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間話 或る生徒の妄想(会計×司)
幸薄オメガは会計に愛される6
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「…………」
壮絶なまでのエロシーンを読み終え、俺は黙って本を閉じた。ちなみにここまでで半分弱だ。もう半分以上残っているのである。
既にお腹いっぱいだった。文字のせいか、漫画よりもさらに増してファンタジー要素が増えつつもエロのエグさがレベルアップしている気がする。
オメガバース怖くない?ここから三日三晩ひたすらセックスとか、いくら若くても腹上してもおかしくないだろ。発情期の獣だってもう少し慎みがあると思う。
多分ここからまだ展開は続くのだろうけど、今は食傷気味になっていた。
甘ったるい。ひたすらに甘ったるいのだ。セックス中も理性飛びまくってるくせに、五十嵐のヤローが優しいしさ….なんなのお前、チャラ男キャラじゃないの……?
取り敢えずこの作者が五十嵐に夢を見ていることは、よーくわかった。ついでに俺を悲劇のヒロイン系にしたいことも。
悪役令嬢設定とかどうでもいいなってくらい、全く影も形も無くなっている。妄想だからね、もう好きにすればいい。いや本人が読んでるんだけどさ。作者の方はそれを知らないんだから。
俺も散々コメントしているが、別にこれを書いた本人に批評を聞かせたいわけじゃない。単なる好奇心でしかない。お互い知らない方が身のためだ、うん。
「あー、疲れた」
普段小説なんて読まないので、エロ同人といえどこんなに文字を追ったのは久しぶりだ。気づけば外が薄暗くなっている。
「そろそろ夕飯時だぞ」
「お、そんな時間か。悪りぃな、長居して」
「今更だろ」
仕事がひと段落ついたのか、大きく伸びをしながら龍次が立ち上がった。
他の風紀委員達は先に返している。いつも委員長である龍次が最後まで残っていた。
こいつは昔からそうだった。他の奴が面倒に思うようなことも積極的に引き受けて、どう考えても貧乏くじとしか思えないことも、文句一つ言わず淡々とこなしていく。
その上面倒見も良いのだから、族の頃もこいつの男気に惚れたとついてくる奴が続出だった。
「飯一緒に……はやめとくか。何言われるかわかったもんじゃないし」
「それはそうだな」
ただでさえこんな同人誌を作られるくらいには、学園内で注目されることが多い。物珍しさと話題性。
一緒に学食に行った日には、新しい薄い本か厚い本が増えているかもしれない。悪役令嬢と風紀委員長のラブロマンス的な本が。それはそれで読んでみたい気もするけど。
俺と龍次の過去を知らずに、どこまで関係性を作られるのか。気になってきたぞ。
「続き、またそのうち読みにくる」
「……それまでに、作者を見つけとく」
「いいよ、他にも色々抱えてんだしのんびりやってくれ」
実在の人間でエロ本を生み出してるのはどうかとも思うが、多分誰かが落としてこない限りはこっそりアングラにやりとりされてたものなんだろう。
そこを土足で踏み荒らすのも、どうかと思う。話としてはユニークだけど面白いし。文章も読みやすいし。
この先の展開に後ろ髪引かれながらも、今晩の夕飯を考えながら風紀委員室を後にしたのだった。
壮絶なまでのエロシーンを読み終え、俺は黙って本を閉じた。ちなみにここまでで半分弱だ。もう半分以上残っているのである。
既にお腹いっぱいだった。文字のせいか、漫画よりもさらに増してファンタジー要素が増えつつもエロのエグさがレベルアップしている気がする。
オメガバース怖くない?ここから三日三晩ひたすらセックスとか、いくら若くても腹上してもおかしくないだろ。発情期の獣だってもう少し慎みがあると思う。
多分ここからまだ展開は続くのだろうけど、今は食傷気味になっていた。
甘ったるい。ひたすらに甘ったるいのだ。セックス中も理性飛びまくってるくせに、五十嵐のヤローが優しいしさ….なんなのお前、チャラ男キャラじゃないの……?
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悪役令嬢設定とかどうでもいいなってくらい、全く影も形も無くなっている。妄想だからね、もう好きにすればいい。いや本人が読んでるんだけどさ。作者の方はそれを知らないんだから。
俺も散々コメントしているが、別にこれを書いた本人に批評を聞かせたいわけじゃない。単なる好奇心でしかない。お互い知らない方が身のためだ、うん。
「あー、疲れた」
普段小説なんて読まないので、エロ同人といえどこんなに文字を追ったのは久しぶりだ。気づけば外が薄暗くなっている。
「そろそろ夕飯時だぞ」
「お、そんな時間か。悪りぃな、長居して」
「今更だろ」
仕事がひと段落ついたのか、大きく伸びをしながら龍次が立ち上がった。
他の風紀委員達は先に返している。いつも委員長である龍次が最後まで残っていた。
こいつは昔からそうだった。他の奴が面倒に思うようなことも積極的に引き受けて、どう考えても貧乏くじとしか思えないことも、文句一つ言わず淡々とこなしていく。
その上面倒見も良いのだから、族の頃もこいつの男気に惚れたとついてくる奴が続出だった。
「飯一緒に……はやめとくか。何言われるかわかったもんじゃないし」
「それはそうだな」
ただでさえこんな同人誌を作られるくらいには、学園内で注目されることが多い。物珍しさと話題性。
一緒に学食に行った日には、新しい薄い本か厚い本が増えているかもしれない。悪役令嬢と風紀委員長のラブロマンス的な本が。それはそれで読んでみたい気もするけど。
俺と龍次の過去を知らずに、どこまで関係性を作られるのか。気になってきたぞ。
「続き、またそのうち読みにくる」
「……それまでに、作者を見つけとく」
「いいよ、他にも色々抱えてんだしのんびりやってくれ」
実在の人間でエロ本を生み出してるのはどうかとも思うが、多分誰かが落としてこない限りはこっそりアングラにやりとりされてたものなんだろう。
そこを土足で踏み荒らすのも、どうかと思う。話としてはユニークだけど面白いし。文章も読みやすいし。
この先の展開に後ろ髪引かれながらも、今晩の夕飯を考えながら風紀委員室を後にしたのだった。
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