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高二ノ秋1
人の口に戸は立てられぬ
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「なんかすごいことになってるね……」
昼休みの美作との一件は、あっという間に学園中を駆け巡り、放課後には知らない人はいないんじゃないかというくらいに広まっていた。
そりゃ、中庭で人の目があるところであれだけ濃厚なキスを目撃したら、言いふらすだろう。しかもキスしていたのが、爽やか俺様イケメン会長と噂の悪役令嬢♂なので、話題性もバッチリだった。
昼休み、げっそりした顔で教室に戻れば、すでにSNSで情報を入手していた我孫子が「司くん!美作会長とディープキスしたってホント!?」と大声で聞いてきた。デリカシーが無さすぎる。
同じクラスの連中も、ヒソヒソと話し出した。勘弁してくれ。
「マジだよ」
「どういう流れでそんなことに……?いや顔カプとしては美味しいと思うけど」
「お前そちら側か」
「テヘッ……アイタッ!司くんデコピン超痛い!おでこ焼けるかと思った」
無言でデコピンを炸裂してやると、涙目で額を抑えた。
そこへ教師が入ってきたので、一先ず生徒達の噂話は中断。とはいえ、隠れてスマホ弄ってる奴は山ほどいるので、放課後には皆が知っているなんて事態になっていた。控えめに言ってクソだった。
「ほら、あそこ。悪役令嬢の司様……そう、会長と超熱烈なキスしてたって」
「しかもベロチュー」
「貪り食うみたいなやばい奴だったって」
「司様の顔がエロかったらしい」
「美作様の攻め顔もすごかったんだってさ」
「薄い本が厚くなる」
廊下を歩くだけでこれだ。
「でも、会長何のためにこんなことしたんだろうね?」
「知るか」
「司くん、外だからヤンキー臭隠そうね」
「知るか……俺はもう疲れた」
今すぐ寮に帰って寝たい。
一眠りしてから夕飯に行くかー、と考えていると、校内放送のチャイムが鳴った。そして響き渡る、無駄に良いバリトンボイス。
『2年S組、東條司。今すぐ風紀委員室に来い。繰り返す。2年S組東條司、早急に風紀委員室に来い』
「……ハァ?」
「司くん、顔!ヤンキーの顔になってる!何人か病院送りにしてそうな顔!」
「俺の安眠……」
どいつもこいつも、平穏な俺の日常をぶち壊すのが趣味なのか?そうなのか?
「風紀委員の呼び出しを無視すると、エロ同人も真っ青な酷い目に遭うって聞いたことあるから、すぐ行った方がいいよ!」
「何だそりゃ」
「どうしよう……司くんの引き締まってるけど細身のエロい体が……風紀委員の魔の手に……」
「お前そういう目で見てたのか」
据わった目で見ると、真っ赤な顔でブンブン首を横に振った。
同室なので必然的に服を脱いでるところを見られるなんて、普通にある。風呂上がりパンイチで牛乳飲んでたし。
「司くん……無事でいてね……!学園のコンプラ的に大丈夫だと思うけど……万が一があるから」
「流石に危うくなったら正当防衛でやり返すから」
「えー、それはそれでつまんない」
「お前表出ろ」
「じゃあ僕先に寮に戻ってるね~」
風のように我孫子は立ち去っていた。
廊下で一人取り残される。そんな俺を見て、また野次馬がヒソヒソ。
「ハァ~~……」
特大の溜息をつき、風紀委員室とやらに向かうことにした。
昼休みの美作との一件は、あっという間に学園中を駆け巡り、放課後には知らない人はいないんじゃないかというくらいに広まっていた。
そりゃ、中庭で人の目があるところであれだけ濃厚なキスを目撃したら、言いふらすだろう。しかもキスしていたのが、爽やか俺様イケメン会長と噂の悪役令嬢♂なので、話題性もバッチリだった。
昼休み、げっそりした顔で教室に戻れば、すでにSNSで情報を入手していた我孫子が「司くん!美作会長とディープキスしたってホント!?」と大声で聞いてきた。デリカシーが無さすぎる。
同じクラスの連中も、ヒソヒソと話し出した。勘弁してくれ。
「マジだよ」
「どういう流れでそんなことに……?いや顔カプとしては美味しいと思うけど」
「お前そちら側か」
「テヘッ……アイタッ!司くんデコピン超痛い!おでこ焼けるかと思った」
無言でデコピンを炸裂してやると、涙目で額を抑えた。
そこへ教師が入ってきたので、一先ず生徒達の噂話は中断。とはいえ、隠れてスマホ弄ってる奴は山ほどいるので、放課後には皆が知っているなんて事態になっていた。控えめに言ってクソだった。
「ほら、あそこ。悪役令嬢の司様……そう、会長と超熱烈なキスしてたって」
「しかもベロチュー」
「貪り食うみたいなやばい奴だったって」
「司様の顔がエロかったらしい」
「美作様の攻め顔もすごかったんだってさ」
「薄い本が厚くなる」
廊下を歩くだけでこれだ。
「でも、会長何のためにこんなことしたんだろうね?」
「知るか」
「司くん、外だからヤンキー臭隠そうね」
「知るか……俺はもう疲れた」
今すぐ寮に帰って寝たい。
一眠りしてから夕飯に行くかー、と考えていると、校内放送のチャイムが鳴った。そして響き渡る、無駄に良いバリトンボイス。
『2年S組、東條司。今すぐ風紀委員室に来い。繰り返す。2年S組東條司、早急に風紀委員室に来い』
「……ハァ?」
「司くん、顔!ヤンキーの顔になってる!何人か病院送りにしてそうな顔!」
「俺の安眠……」
どいつもこいつも、平穏な俺の日常をぶち壊すのが趣味なのか?そうなのか?
「風紀委員の呼び出しを無視すると、エロ同人も真っ青な酷い目に遭うって聞いたことあるから、すぐ行った方がいいよ!」
「何だそりゃ」
「どうしよう……司くんの引き締まってるけど細身のエロい体が……風紀委員の魔の手に……」
「お前そういう目で見てたのか」
据わった目で見ると、真っ赤な顔でブンブン首を横に振った。
同室なので必然的に服を脱いでるところを見られるなんて、普通にある。風呂上がりパンイチで牛乳飲んでたし。
「司くん……無事でいてね……!学園のコンプラ的に大丈夫だと思うけど……万が一があるから」
「流石に危うくなったら正当防衛でやり返すから」
「えー、それはそれでつまんない」
「お前表出ろ」
「じゃあ僕先に寮に戻ってるね~」
風のように我孫子は立ち去っていた。
廊下で一人取り残される。そんな俺を見て、また野次馬がヒソヒソ。
「ハァ~~……」
特大の溜息をつき、風紀委員室とやらに向かうことにした。
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