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ゾンビトリップ2

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「嘘だろぉぉ!!」

 墓所に雷鳴と俺の悲鳴が響き渡った。墓石に頭をぶつけてみた。

「痛ったぁぁ!!」

 俺は痛みで両手で頭を押さえて蹲った。確かに痛い。ものすごく痛い。全然夢じゃない。

 もう一度水溜りを見る。顔面蒼白で死人のような顔の俺が頭から血を流してた。
 恐る恐る首を撫でてみる。あった。ゾンビに噛まれた跡がくっきりと。
 
 確かあの時ゾンビに噛まれたんだな。それでその後
…棺の中か。
 棺にどうやって入れられたんだ。

 というか、ここどこだ?
 
 墓石の形が日本のものではない。それにさっきの男の服装は日本のものじゃなかった。なんていうかファンタジーなゲームに出てきそうな感じだった

 あの火球はなんだ?どっから出したんだ?

 目覚めてから訳がわからないことが多すぎる。ひとまず、雨宿りできる場所に行くとするか。
 

***
 少し歩くと木造の小屋が見えて来た。墓の管理小屋であろう。
 
「ごめんくださーい」

 扉をノックして中の人を呼んでみたが、返事がない。
 ドアノブを捻ってみた。鍵はかかっていないで、開いた。

「すみませーん」

 扉を少し開けて顔を入れて中の様子を見てみる。内装はファンタジーのゲームで見たことある昔の西洋風だった。
 驚くことに先程のつなぎの男が椅子に括り付けられていた。机の上には紙が置かれていた。

 紙には文字が書かれていた。が日本語ではなさそうだ。まして、今まで見たことがない文字だ。しかし、読むことができた。
 

 『これを読んでいる方へ
 これを読んでいることは俺はもうゾンビになっている頃だろう。
 もし、俺の姿を見たら殺してくれ。絶対にゾンビになるな。
 それと、書類を息子に渡してくれないか?引き出しの1番上に直したはずだ。ギルドに行けばわかると思う
 息子にがんばれっていってくれ』

「グギギギ」

 椅子に括り付けられていた男が言葉にならない呻き声を発した。
 どうやら俺がゾンビにしてしまったようだ。可哀想なことをしてしまった。でも腹が減ってたんだ。許してくれ。せめて、この紙に書いてある通り殺してあげるか。

「道具かなにかないかな?」

 流石に非力な俺の素手で殺す事はできない。スコップか何かいいものはないかな

「グギガガガガ」
 
 管理人は外を指差した。あっちにあるって事か。
外に出て小屋の周りを一周してスコップとナタを見つけた。
 あのゾンビ、まだ自我があるのか?

 スコップとナタを小屋の中に戻って帰り、一旦机の上に置いた。

「書類ってどこにあるんか?」

 ダメもとでゾンビに聞いてみた。

「グガガガ」

 ゾンビは再び指を指し示した。あそこだな。指の先にある棚の1番上の引き出しを開ける。
 大量の書類がそこにはあった。内容は墓所の名簿とか土地の権利書だった。

 『アエリタム王国管轄ー』

 どこなんだ。全く聞いたことがない国だ。ヨーロッパの小さな国だろうか。

「うーん」

 書類を見て唸る後ろで

「グギグギギ」

 そうだったな。楽にしてあげないとな。振り返るとゾンビが目前に迫っていた。自分でロープをちぎったのか!?
 
「待ってくれっ!!」

 咄嗟に叫んだ。叫んだからって何も変わらない事はわかっている。

「グギギギ」

 止まった…?ゾンビは俺に攻撃せずに立ち止まった。

「お座りっ!!」

 もしかしてだが

「グギ」
 
 ゾンビは座り込んだ。

 俺ってゾンビを操る事できるんだ。

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