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引き分けの花嫁
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二人のプレイヤーのどちらもが相手にはっきり勝ちたい、最後まで諦めないときめたなら、途中での投了も引き分け交渉もなしだ。そうなると白と黒の軍勢はチェックメイトを目指して最後まで死力を尽くす運命となる。
オレの説明も大詰めだ。ここでチェックメイト関連を振り返っておこうか。
チェックとは、キング以外の駒を相手のキングへの攻撃を行えるマスに動かして次で討ち取るのを示す一手のことだ。チェックの状況を並べていこう。
黒がビショップを繰り出して白キングにチェックをかけた。白は次の一手でキングへの攻撃をかならず防がなければならない。チェックの防ぎ方は、キングを動かす、他の駒に盾となってもらう、チェックしてきた駒をとる、だ。たとえばこうだ。
白はポーンを前進させ黒ビショップの攻撃が白キングに届かないようガードしてチェックを防いだ。
別の盤面で見てみよう。
白がビショップを動かし、c6のマスにいた黒ナイトをぶっ飛ばしてそこを占拠、黒キングにチェックをかけた。黒はこれをふせがにゃいかん。
黒は白ビショップをポーンでとって反撃しチェックを外した。
キングを動かすのは次のような局面だ。
黒がキングを動かして後ろにひかえているルークの射線を白キングまでのばしてチェックをかけた。
対して白はキングを動かしてルークの射線から逃げ出し、チェックを外した。
チェックしてきた駒をキング自身がやっつけるのもありだ。
白はビショップをf7のマスに突っ込ませてそこのポーンをとり、強引にチェックをかけた。
黒はキングでもってビショップを倒した。これで黒のキャスリングの権利は失われるが、ポーンとビショップの取引と考えれば上々だ。
チェックはいくら数を積み上げても勝ちにならないし、されても負けにはならない。されてもあせらないのが大切だ。敵のクイーンがチェックをかけてきた時のプレッシャーなんてすごいもんだ。だがとにかくあせらないことだ。動揺して得することはひとつもありゃせん。
チェックがチェックメイトと判定されて勝敗が決するのは、チェックを受けたキングがどうやってもそれを防ぐことができない時だ。かわしようのないチェック、それがチェックメイトだ。
ちょっとした問題を出すぞ。気楽に考えてみてくれ。
白がルークをぐんと進めてチェックをかけた。黒キングは逃げ切れるだろうか。
さてどうだい。
残念ながら逃げ切るのは無理だ。赤丸で示した黒キングの移動できるマスはどこもふたつの白ルークの攻撃が直射している。チェックメイトだ。
これはどうだろう。黒がクイーンを斜めに進ませて白キングの真ん前においてチェック。白キングに方策はあるか。
どう思う?
白にできることはない。緑丸で示した白キングの移動できるマスすべてに黒のキングとクイーンの攻撃が効いてる。クイーンをとろうとしてもその後ろの黒キングの反撃でやられるから自害にあたって駄目。チェックメイトだ。
別方向からのチェックも見てみよう。黒クイーンがこう飛んでチェックをかけてきたらどうだろうか。白キングはまだ逃げられるだろうか。
さあ今度はどうだ。
これも無理だ。クイーンは障害物がなければどこまでも進めるから、横には逃げられない。前方にでれば黒キングの攻撃範囲。チェックメイトだ。
どうだい、わかってきたかい。チェックされてどうにもならない、それがチェックメイト、詰みだ。こういう風に追い詰めた方が勝ち、やられた方が負けと決まる。盤面ではっきり勝敗が決まり、説明できるわけだ。
チェスってのはガンガン駒を押し出していって相手のキングが動けないようにしてしまえば勝ち、そういうとらえかたもできる。駒が減ろうが残り時間がわずかだろうがとにかくチェックメイトできれば勝利だからな。
だがここに落とし穴がある。メイトにはチェックメイトのほかにもう一つ、ステイルメイトってのがあってな。これがやっかいなんだ。
ステイルメイトはチェックメイトと同じく盤面の状況で決まるから、誰が見たってそうだ。しかしなれるまではわかりづらい。
二つのメイトの分かれ目を示そう。
配下が全滅した白キングが隅に追い込まれ、絶体絶命の状況だ。次は黒の番、クイーンを動かせば勝利決定。
と、ここで黒はこうクイーンを動かした。どうだ、白の王様め、身動きがとれまい、チェックメイトだといわんばかりだ。たしかに白キングはもうどこにも行けない。移動できるマスはすべて黒のキングとクイーンの攻撃範囲だ。ならチェックメイトかというと、違う。
これはチェックメイト……ではなくステイルメイトだ。ここで試合は終了となり、結果は引き分けだ。黒は自らの最後の一手で勝ちを逃して引き分けにしてしまったのさ。
もしも黒がクイーンをこう動かしていたらチェックメイトだった。違いがわかるかい。
チェックメイトは、「チェックされた」キングがそれをはずすことができない状況だ。対してステイルメイトは、「チェックされていない」キングがどこにも動けず、キング以外の駒も動かせない状況だ。そしてステイルメイトになったら引き分けで試合終了と決められている。
追い詰められた白の王様はこう考えているのかもしれん。「ものは考え様じゃ。わしはもう勝つことはできぬが、うごかなければ負けることもない。負け戦かと思うたがあきらめないで良かったわい」。
黒の王様は歯ぎしりして悔しがっているにちがいない。勝っていた戦を自分のヘマで引き分けにしちまったんだからな。
こういう風に、ステイルメイトは優勢な方が負うことになるリスクで、不利な方には最後の希望だ。
とはいえ負けている側が狙ってステイルメイトに持ち込むのはとても難しく、勝っている側がうっかりステイルメイトにしてしまうのがありがちでな。自分が優勢な終盤戦は要注意だ。持ち時間が残り少ないとやっちまう恐れはより強まる。
優勢時にステイルメイトを避けるのに有効な手立ては、相手の駒をとりすぎないことだ。まるで原則と矛盾しとるような話だ。チェスでは相手を追い詰めすぎてはいかんのだ。手負いの獣は恐ろしく、狩人の足元は刻一刻と暗くなる。このさじ加減の難しさがいい味を出しとるのさ。
さっきの黒がチェックメイトを逃した局面で、もしも白のポーンが一つ残っていたらどうだったかを見てみよう。
白キングが動けないのは一緒だが、まだ盤上に残ってる白ポーンは動ける。こうなるとルール上、白はポーンを一マス進める手を指すしかない。そして黒には再びチェックメイトの機会がめぐってくる。白に駒が残っているためにステイルメイトが成立しなかったのさ。
ステイルメイトについてはこんなところで、他の引き分け規定にうつろう。これらは要はどちらもキングを詰ませるのが難儀になってきたら引き分けにしようじゃないかというものだ。申し出と違って合意を必要としないのが特徴だ。ただしその一以外は申請が必要だ。細かく言えば自分が手を指す前に申請する決まりがあるが、その辺は追々覚えればいいだろう。まあどれも最初は右から左へ聞き流してもかまわんくらいのもんだ。
引き分け判定条件その一。戦力不足。
チェスの駒は一度やられると二度と盤上に戻れないから、駒が減りすぎてチェックメイトが不可能になる状況が生まれる。わかりやすいのは究極の、双方のキングのみが残ってるやつだな。キングの性質上そうなったら絶対に勝敗がつかないのがわかるだろう。引き分け確定だ。
キング以外にどちらかにクイーン、ルーク、ポーンが一つ残っていればまだチェックメイトが成立する可能性があるので試合は続行できる。ポーンはプロモーションがあるからだな。
どちらかがビショップを二つとも残していればこれも可能性ありだ。
ビショップとナイトのコンビも可能性あり。
ビショップかナイトが一つだけは不可能、戦力不足で引き分けだ。
ややこしいのがどちらかがナイトを二つ残している場合で、これは孤立無援の方のキングが逃げ回れば決着がつかんが、非常に複雑な現実離れした手順を踏んでわざとチェックメイトになることは可能だそうで、そのせいで戦力不足からの引き分けは申請できんことにされとる。これじゃあ永遠に判定が下せないから、ナイト二つの場合は次の条件その二か三を満たせば追い詰められている方が引き分けを申請して終わらせることができる。
条件その二。50手ルール。
50手指す間に駒の減りが全くなく、ポーンの動きもない時、進展の見込みなしとして引き分けを申請できる。
条件その三。同一局面三回ルール。
全く同じ局面が三回発生した時、引き分けを申請できる。同一局面の発生は三回連続でなくてもよい。
これは戦況が膠着してどちらも有効な手を見いだせなくなった時に起こりがちだ。同じ駒を同じマスの間で行ったりきたりさせるとこの条件を満たす。
干物亭の常連にとびきり無口な奴がいてな。普段ほとんど喋らんで、チェスのときもしゃべらんのだ。で、こいつが自分から引き分けを申し出る時は声を出す代わりにこのルールを使う。さっき動かした駒を元のマスに戻すんだ。そうすると対戦相手のオレたちは、ははあ引き分けの申し出だなと思うわけだ。合意するときはこっちも駒の行ったり来たりを繰り返してから引き分け申請するのさ。拒否するときは同じ局面にならないような手を指すんだ。
この繰り返しルールはさらに、チェックが絡むか絡まないかの二つに分けられる。チェックがらみの三回繰り返しはチェックをかけられてる方が引き分けに持ち込むためのテクニックとして使われ、パーペチュアルチェックと呼ばれている。例の、負けるよりは引き分けが良いというやつだな。戦局は堂々巡りですよ、ここらで引き分けに……というわけだ。
さあこれでチェスのルールはほぼ全て説明した。あとはとにかくやってみて楽しんでみることだ。試合をしてみるんだ。ずっと顔つきあわせていたオレじゃなくて別の人間がいいだろう。そこらの試合をしていないのに声をかけて対局を申し込んでみるんだ。みな気の良い奴らだから安心さ。
一局か二局終えたら戻ってきてくれ。最初にやって見せた試合の解説をして、それからいくつかの格言に触れて、それで終わろう。
オレの説明も大詰めだ。ここでチェックメイト関連を振り返っておこうか。
チェックとは、キング以外の駒を相手のキングへの攻撃を行えるマスに動かして次で討ち取るのを示す一手のことだ。チェックの状況を並べていこう。
黒がビショップを繰り出して白キングにチェックをかけた。白は次の一手でキングへの攻撃をかならず防がなければならない。チェックの防ぎ方は、キングを動かす、他の駒に盾となってもらう、チェックしてきた駒をとる、だ。たとえばこうだ。
白はポーンを前進させ黒ビショップの攻撃が白キングに届かないようガードしてチェックを防いだ。
別の盤面で見てみよう。
白がビショップを動かし、c6のマスにいた黒ナイトをぶっ飛ばしてそこを占拠、黒キングにチェックをかけた。黒はこれをふせがにゃいかん。
黒は白ビショップをポーンでとって反撃しチェックを外した。
キングを動かすのは次のような局面だ。
黒がキングを動かして後ろにひかえているルークの射線を白キングまでのばしてチェックをかけた。
対して白はキングを動かしてルークの射線から逃げ出し、チェックを外した。
チェックしてきた駒をキング自身がやっつけるのもありだ。
白はビショップをf7のマスに突っ込ませてそこのポーンをとり、強引にチェックをかけた。
黒はキングでもってビショップを倒した。これで黒のキャスリングの権利は失われるが、ポーンとビショップの取引と考えれば上々だ。
チェックはいくら数を積み上げても勝ちにならないし、されても負けにはならない。されてもあせらないのが大切だ。敵のクイーンがチェックをかけてきた時のプレッシャーなんてすごいもんだ。だがとにかくあせらないことだ。動揺して得することはひとつもありゃせん。
チェックがチェックメイトと判定されて勝敗が決するのは、チェックを受けたキングがどうやってもそれを防ぐことができない時だ。かわしようのないチェック、それがチェックメイトだ。
ちょっとした問題を出すぞ。気楽に考えてみてくれ。
白がルークをぐんと進めてチェックをかけた。黒キングは逃げ切れるだろうか。
さてどうだい。
残念ながら逃げ切るのは無理だ。赤丸で示した黒キングの移動できるマスはどこもふたつの白ルークの攻撃が直射している。チェックメイトだ。
これはどうだろう。黒がクイーンを斜めに進ませて白キングの真ん前においてチェック。白キングに方策はあるか。
どう思う?
白にできることはない。緑丸で示した白キングの移動できるマスすべてに黒のキングとクイーンの攻撃が効いてる。クイーンをとろうとしてもその後ろの黒キングの反撃でやられるから自害にあたって駄目。チェックメイトだ。
別方向からのチェックも見てみよう。黒クイーンがこう飛んでチェックをかけてきたらどうだろうか。白キングはまだ逃げられるだろうか。
さあ今度はどうだ。
これも無理だ。クイーンは障害物がなければどこまでも進めるから、横には逃げられない。前方にでれば黒キングの攻撃範囲。チェックメイトだ。
どうだい、わかってきたかい。チェックされてどうにもならない、それがチェックメイト、詰みだ。こういう風に追い詰めた方が勝ち、やられた方が負けと決まる。盤面ではっきり勝敗が決まり、説明できるわけだ。
チェスってのはガンガン駒を押し出していって相手のキングが動けないようにしてしまえば勝ち、そういうとらえかたもできる。駒が減ろうが残り時間がわずかだろうがとにかくチェックメイトできれば勝利だからな。
だがここに落とし穴がある。メイトにはチェックメイトのほかにもう一つ、ステイルメイトってのがあってな。これがやっかいなんだ。
ステイルメイトはチェックメイトと同じく盤面の状況で決まるから、誰が見たってそうだ。しかしなれるまではわかりづらい。
二つのメイトの分かれ目を示そう。
配下が全滅した白キングが隅に追い込まれ、絶体絶命の状況だ。次は黒の番、クイーンを動かせば勝利決定。
と、ここで黒はこうクイーンを動かした。どうだ、白の王様め、身動きがとれまい、チェックメイトだといわんばかりだ。たしかに白キングはもうどこにも行けない。移動できるマスはすべて黒のキングとクイーンの攻撃範囲だ。ならチェックメイトかというと、違う。
これはチェックメイト……ではなくステイルメイトだ。ここで試合は終了となり、結果は引き分けだ。黒は自らの最後の一手で勝ちを逃して引き分けにしてしまったのさ。
もしも黒がクイーンをこう動かしていたらチェックメイトだった。違いがわかるかい。
チェックメイトは、「チェックされた」キングがそれをはずすことができない状況だ。対してステイルメイトは、「チェックされていない」キングがどこにも動けず、キング以外の駒も動かせない状況だ。そしてステイルメイトになったら引き分けで試合終了と決められている。
追い詰められた白の王様はこう考えているのかもしれん。「ものは考え様じゃ。わしはもう勝つことはできぬが、うごかなければ負けることもない。負け戦かと思うたがあきらめないで良かったわい」。
黒の王様は歯ぎしりして悔しがっているにちがいない。勝っていた戦を自分のヘマで引き分けにしちまったんだからな。
こういう風に、ステイルメイトは優勢な方が負うことになるリスクで、不利な方には最後の希望だ。
とはいえ負けている側が狙ってステイルメイトに持ち込むのはとても難しく、勝っている側がうっかりステイルメイトにしてしまうのがありがちでな。自分が優勢な終盤戦は要注意だ。持ち時間が残り少ないとやっちまう恐れはより強まる。
優勢時にステイルメイトを避けるのに有効な手立ては、相手の駒をとりすぎないことだ。まるで原則と矛盾しとるような話だ。チェスでは相手を追い詰めすぎてはいかんのだ。手負いの獣は恐ろしく、狩人の足元は刻一刻と暗くなる。このさじ加減の難しさがいい味を出しとるのさ。
さっきの黒がチェックメイトを逃した局面で、もしも白のポーンが一つ残っていたらどうだったかを見てみよう。
白キングが動けないのは一緒だが、まだ盤上に残ってる白ポーンは動ける。こうなるとルール上、白はポーンを一マス進める手を指すしかない。そして黒には再びチェックメイトの機会がめぐってくる。白に駒が残っているためにステイルメイトが成立しなかったのさ。
ステイルメイトについてはこんなところで、他の引き分け規定にうつろう。これらは要はどちらもキングを詰ませるのが難儀になってきたら引き分けにしようじゃないかというものだ。申し出と違って合意を必要としないのが特徴だ。ただしその一以外は申請が必要だ。細かく言えば自分が手を指す前に申請する決まりがあるが、その辺は追々覚えればいいだろう。まあどれも最初は右から左へ聞き流してもかまわんくらいのもんだ。
引き分け判定条件その一。戦力不足。
チェスの駒は一度やられると二度と盤上に戻れないから、駒が減りすぎてチェックメイトが不可能になる状況が生まれる。わかりやすいのは究極の、双方のキングのみが残ってるやつだな。キングの性質上そうなったら絶対に勝敗がつかないのがわかるだろう。引き分け確定だ。
キング以外にどちらかにクイーン、ルーク、ポーンが一つ残っていればまだチェックメイトが成立する可能性があるので試合は続行できる。ポーンはプロモーションがあるからだな。
どちらかがビショップを二つとも残していればこれも可能性ありだ。
ビショップとナイトのコンビも可能性あり。
ビショップかナイトが一つだけは不可能、戦力不足で引き分けだ。
ややこしいのがどちらかがナイトを二つ残している場合で、これは孤立無援の方のキングが逃げ回れば決着がつかんが、非常に複雑な現実離れした手順を踏んでわざとチェックメイトになることは可能だそうで、そのせいで戦力不足からの引き分けは申請できんことにされとる。これじゃあ永遠に判定が下せないから、ナイト二つの場合は次の条件その二か三を満たせば追い詰められている方が引き分けを申請して終わらせることができる。
条件その二。50手ルール。
50手指す間に駒の減りが全くなく、ポーンの動きもない時、進展の見込みなしとして引き分けを申請できる。
条件その三。同一局面三回ルール。
全く同じ局面が三回発生した時、引き分けを申請できる。同一局面の発生は三回連続でなくてもよい。
これは戦況が膠着してどちらも有効な手を見いだせなくなった時に起こりがちだ。同じ駒を同じマスの間で行ったりきたりさせるとこの条件を満たす。
干物亭の常連にとびきり無口な奴がいてな。普段ほとんど喋らんで、チェスのときもしゃべらんのだ。で、こいつが自分から引き分けを申し出る時は声を出す代わりにこのルールを使う。さっき動かした駒を元のマスに戻すんだ。そうすると対戦相手のオレたちは、ははあ引き分けの申し出だなと思うわけだ。合意するときはこっちも駒の行ったり来たりを繰り返してから引き分け申請するのさ。拒否するときは同じ局面にならないような手を指すんだ。
この繰り返しルールはさらに、チェックが絡むか絡まないかの二つに分けられる。チェックがらみの三回繰り返しはチェックをかけられてる方が引き分けに持ち込むためのテクニックとして使われ、パーペチュアルチェックと呼ばれている。例の、負けるよりは引き分けが良いというやつだな。戦局は堂々巡りですよ、ここらで引き分けに……というわけだ。
さあこれでチェスのルールはほぼ全て説明した。あとはとにかくやってみて楽しんでみることだ。試合をしてみるんだ。ずっと顔つきあわせていたオレじゃなくて別の人間がいいだろう。そこらの試合をしていないのに声をかけて対局を申し込んでみるんだ。みな気の良い奴らだから安心さ。
一局か二局終えたら戻ってきてくれ。最初にやって見せた試合の解説をして、それからいくつかの格言に触れて、それで終わろう。
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