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第17話:コスプレ展当日!

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 そしてナギサの家が企画したこすぷれ展当日。
 俺たちはサナの家の前で集まった。
 行くのは俺、サナ、ルリ、フェイフーの四人。
 どうやらサナとルリのびきにあーまーのコスプレは折りたたみできるように出来ているらしく大きめのカバンに入れて(ショルダーバッグと言うらしい)現地に行くまでは普段着だ。
 フェイフーもこすぷれ衣装はカバンに仕舞い、普段着だが、俺の鎧は収納することなど考えられて作られた物ではない。
 俺は会場入りする前、出発のこの段階から鎧姿であった。

「最初に会った時みたくお巡りさんに止められなきゃいいけど」

 サナの危惧は最もであった。
 ケイサツカンという青い騎士にとって、俺は不審者でしかないだろう。
 この世界、この町においては。こすぷれ衣装ということにして何とか誤魔化せないかという所だ。だが、その危険も少ない。

「大通りまで出ればあのナギサという少女がジドウシャで迎えに来てくれるのであろう?」

 確認のために俺は訊ねる。そういう予定になっているはずだ。
 俺たちは一般の参加者ではなくナギサ自ら参加を要請した招待客であるのだから。俺の言葉にサナは頷く。

「渚が迎えに来てくれるのは確かよ。メールで確認したし」
「めーる、か。便利なものだな」
「アドニスもガラケーのメール機能くらい使いこなしてよね。でないと不便だから」

 すまほはとても使いこなせそうになかった俺のためにサナはがらけーとやらを買ってくれた。これで離れた所でも話が出来るようになったのだが、めーるとやらはまだ使いこなせていなかった。

「不勉強で恥ずかしい。一刻も早く身に付けてみせる」
「頼むわよ」

 そんなやり取りをしつつ、そろそろ出発しようか、という話になる。
 ナギサが迎えに来る時間を過ぎてしまっては失礼だ。

 皆、頷き、こすぷれしょっぷイスルギの前から歩き出す。
 やはり俺の鎧姿は注目を集めてしまっていたが、それも大通りに出るまでの話だ。
 視線が集中したり、パシャパシャ、すまほで撮られたりしながら、俺たちは進む。

「撮影の許可も取らずに撮影なんてマナー違反ですね」

 憤慨したようにルリが言う。そういうものなのだろうか。

「まぁまぁ、いいじゃない瑠璃。町中にこんな鎧男がいたら、ついついカメラで撮っちゃうわよ」

 それにフォローを入れるフェイフー。
 こんな扱いされた俺だが、仕方がないと思う所はある。
 ちなみに鋼の剣は置いてきて、代わりに模造刀を腰に挿している。
 真剣を持ち歩くのはあらゆる意味で危なすぎると俺以外のヨーイチ殿含む一同全員に言われたため仕方がなく、だ。

 約束の大通りで待っていると一台のジドウシャがやってくる。
 りむじん、という高級なジドウシャであるらしい。サナに聞いた所によると。
 その窓が開き、ナギサが顔を覗かせる。

「皆さん。おまたせしたわね。あら? アドニスさん、もうコスプレ済みですか? やる気満々ね」
「あはは……」

 感心した様子のナギサに、苦笑いを返す。
 まさか携帯性も何も考えていない衣装だけに家から着込んでいかないといけないとは言えない。
 ナギサは俺の鎧をレベルの高いこすぷれと思ってるのだから。

 俺たちはりむじんとやらに乗り込む。くーらー、とやらの冷気で中は寒いくらいであった。魔力を纏い、体温調整ができる俺にはあまり関係のない話であるが。

「そう言う渚さんももうコスプレ済みじゃないですか。中世ヨーロッパの令嬢風の服ですか」
「そうね、瑠璃。この生地、高かったのよ」
「編み目も上手いこと隠して本物みたいにしてるわね。流石はレベルが高いわ」

 ルリがナギサのこすぷれを訊ね、サナが称賛する。
 チュウセイよーろっぱ風の服とやらは俺の故郷の貴族服に近いデザインの服であった。

 そうしてりむじんは出発する。
 とーきょーびっぐさいととやらを貸し切りにした大規模なこすぷれの展覧会らしい。
 俺にはどの程度凄いのかよく分からないが、サナたちが言うには日本のこすぷれの展覧会でこれ以上の規模はない、とのこと。

 このジドウシャという鉄の箱。全力を出せば馬車など比較にならないだけの速度が出るのは分かっているが今は周りにジドウシャも多いので低速運転でゆったりと道をゆく。
 窓から流れる景色を見ながら本当に高い建物が多い町だ、と思う。
 この町だけなのか。あるいはこの世界はこれが当たり前なのか。疑問だ。

 どちらにせよこの世界の技術力の高さを思い知らされる。

 りむじんは道路を行き、目的地に到達した。運転していた執事が扉を開け、ナギサたちは外に出る。俺も出た。
 さて、最大規模のこすぷれの展覧会。それはこれからだ。
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