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ヒロインと陰謀
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エリーナ・カートレットは焦っていた。王太子の攻略は順調だったが、このままでは「悪役令嬢側妃エンド」まっしぐらである。どうにかして悪役令嬢を悪役令嬢たらしめたい。一夫多妻なんて耐えられない。
だが、協力者がなかなか見つからない。嘘の証拠をでっちあげるのだから、下手な人と手を組んで、裏切られでもしたらラノベでよくある「ざまぁ」をされて、全てが水の泡となってしまう。
悪魔の囁きが聞こえたのはそんな時である。
「『悪役令嬢側妃エンド』回避したくありません?」
「……! 誰? それを知ってるってことは、あなたも転生者なの?」
そこには魔法使いの黒いローブのようなものを身にまとった男が立っていた。
「そう。私はエリーナ×王太子推しでしてね。二人が幸せになる姿を近くで見守りたいのです。それにはアナベルが邪魔ではありませんか?」
「……! そうなの。アナベルを『本物の悪役令嬢』に仕立て上げるには裏切らない協力者が必要なのだけれど‥‥」
「私が証拠を捏造して差し上げます。証言が必要でしたらそれも私が請け負いましょう。大丈夫です。私は絶対に裏切りませんよ」
「どうして裏切らないと言い切れるの?」
「それは、純粋にあなたたちの幸せを見守りたいというのもありますが、一番は私がアナベルを手に入れたいからです。王太子にアナベルとの婚約を破棄してもらえば、それが叶うでしょう?」
「まあ。そうなの。だったら利害が一致するわね。信用するわ。アナベルは面白味のない女だけれど顔と身体は極上ですものね。ふふ。婚約破棄されたらロクな嫁ぎ先は見つからないでしょうから、あなたみたいな陰気な男のところでも喜んで嫁いでくれるでしょうね」
「……。では、あなたは王太子をきちんと攻略してくださいね」
「言われるまでもないわ」
「それは重畳です。では、口裏合わせは任せましたよ」
「うまくやるわ。よろしく頼むわね」
上機嫌でその場を立ち去るエリーナを見送りながら、黒いローブの男は「性格悪いヒロインだな。確かヒロインが悪役令嬢にざまぁされるのも鉄板だったよな……」と呟いていた。
だが、協力者がなかなか見つからない。嘘の証拠をでっちあげるのだから、下手な人と手を組んで、裏切られでもしたらラノベでよくある「ざまぁ」をされて、全てが水の泡となってしまう。
悪魔の囁きが聞こえたのはそんな時である。
「『悪役令嬢側妃エンド』回避したくありません?」
「……! 誰? それを知ってるってことは、あなたも転生者なの?」
そこには魔法使いの黒いローブのようなものを身にまとった男が立っていた。
「そう。私はエリーナ×王太子推しでしてね。二人が幸せになる姿を近くで見守りたいのです。それにはアナベルが邪魔ではありませんか?」
「……! そうなの。アナベルを『本物の悪役令嬢』に仕立て上げるには裏切らない協力者が必要なのだけれど‥‥」
「私が証拠を捏造して差し上げます。証言が必要でしたらそれも私が請け負いましょう。大丈夫です。私は絶対に裏切りませんよ」
「どうして裏切らないと言い切れるの?」
「それは、純粋にあなたたちの幸せを見守りたいというのもありますが、一番は私がアナベルを手に入れたいからです。王太子にアナベルとの婚約を破棄してもらえば、それが叶うでしょう?」
「まあ。そうなの。だったら利害が一致するわね。信用するわ。アナベルは面白味のない女だけれど顔と身体は極上ですものね。ふふ。婚約破棄されたらロクな嫁ぎ先は見つからないでしょうから、あなたみたいな陰気な男のところでも喜んで嫁いでくれるでしょうね」
「……。では、あなたは王太子をきちんと攻略してくださいね」
「言われるまでもないわ」
「それは重畳です。では、口裏合わせは任せましたよ」
「うまくやるわ。よろしく頼むわね」
上機嫌でその場を立ち去るエリーナを見送りながら、黒いローブの男は「性格悪いヒロインだな。確かヒロインが悪役令嬢にざまぁされるのも鉄板だったよな……」と呟いていた。
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