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満月の夜2
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満月の夜の宴について、知っている人間は聖女の10人のみだった。
聖なる湖を飲めば癒しの力は使えるが、心から女神と世界に尽くさなければ、この宴に来ることはできない。
聖女たちの誇りや、やる気の源はこの宴だった。
コルネリアたちが楽しそうに話をしていると、女神が立ち上がった。すると、すぐに聖女全員が膝をつく。
「みなさん。楽しまれていますか?日頃苦労をかけていますので、少しでも気晴らしになればと思いますが」
コルネリアたちが顔を上げて、笑顔で頷く。女神はコルネリアのすぐそばまで行き、手を差し出した。
差し出された手をコルネリアが取ると、女神は微笑む。
「幸せそうで何よりです。もし、結婚が不満なら、何らかの手段で破棄させようと思いますが。大丈夫そうですね?」
「ありがとうございます女神様。私はネバンテ国で、幸せにやっておりますわ」
女神がさっと手をあげると、跪いていた聖女たちが楽な姿勢に戻る。
ふう、とため息をついた女神が、近くにいる狼に抱きつく。
「ごめんね。みんな!どうしても愛した人と、その人にそっくりの子孫がいる国を滅ぼせないの」
先ほどの威厳たっぷりな姿はどこへやら。女神はまるで少女のように振る舞った。
ブーテェ法国は女神に愛された国。パトリックが第一王子なのに、時期国王ではない理由はここにある。
法国では、初代国王同様に目と髪の色が水色の者が国王になると決まっているのだ。
もちろん。その決まりを作ったのは、聖女たちの前で狼といちゃついている女神である。
威厳たっぷりなのは一瞬だけで、少女のように愛らしい女神を聖女たちは愛していた。
(ーーふふ。みんな元気そうでよかったわ。また明日から頑張れそう!それに、ラウラ姉さんに教えてもらった方法も試さないと!)
色んな意味で決意に燃えるコルネリア。楽しい宴の時間はあっという間に終わり、またコルネリアの1日が始まる。
長いまつ毛が影を作り、なめらかな頬はほんのりとピンク色に染まっている。
ふふ、と可憐な笑みを浮かべるコルネリアの頬を、隣で横になっているヴァルターが思わず撫でた。
「いい夢を見ているのか?」
頬を軽く触っても起きないコルネリアに、ヴァルターの指は頬から唇へと移動する。
みずみずしい唇をそっと指で押して…
「な、何をやっているんだ。俺は」
はっと我に返ったヴァルターが手を離すと、コルネリアの瞳が開く。
「お、おはよう。コルネリア」
動揺を隠すようにヴァルターが言うと、コルネリアはにっこりと笑顔を浮かべる。
「いい夢を見ていたのか?笑っていたぞ」
笑顔でこくこく、とコルネリアが頷く。満月の宴は思い出すだけでも、ニヤけるくらい楽しいものだった。
夢といえば。あっ、とコルネリアは思い出して、紙に書く。
【手首や足首につけられる、鈴の楽器が欲しいのですが】
コルネリアそう書いて見せる。
「楽器か?…ああ、なるほど。鈴を使って意思疎通をするのか。朝食後に街の楽器屋を呼ぶように、マルコに頼んでおく」
鈴の用途を自分で想像して納得したヴァルターがそう言うと、コルネリアはにっこりした。
(ーー用途は違うけど、用意してくれるなら問題ないわよね)
【一緒に使うのが楽しみです】
「ん?ああ。どうやるか分からないが、君が楽しみなら俺も楽しみだ」
コルネリアが、邪なことを考えているとは想像もしていないヴァルターが、優しそうな笑みを浮かべた。
聖なる湖を飲めば癒しの力は使えるが、心から女神と世界に尽くさなければ、この宴に来ることはできない。
聖女たちの誇りや、やる気の源はこの宴だった。
コルネリアたちが楽しそうに話をしていると、女神が立ち上がった。すると、すぐに聖女全員が膝をつく。
「みなさん。楽しまれていますか?日頃苦労をかけていますので、少しでも気晴らしになればと思いますが」
コルネリアたちが顔を上げて、笑顔で頷く。女神はコルネリアのすぐそばまで行き、手を差し出した。
差し出された手をコルネリアが取ると、女神は微笑む。
「幸せそうで何よりです。もし、結婚が不満なら、何らかの手段で破棄させようと思いますが。大丈夫そうですね?」
「ありがとうございます女神様。私はネバンテ国で、幸せにやっておりますわ」
女神がさっと手をあげると、跪いていた聖女たちが楽な姿勢に戻る。
ふう、とため息をついた女神が、近くにいる狼に抱きつく。
「ごめんね。みんな!どうしても愛した人と、その人にそっくりの子孫がいる国を滅ぼせないの」
先ほどの威厳たっぷりな姿はどこへやら。女神はまるで少女のように振る舞った。
ブーテェ法国は女神に愛された国。パトリックが第一王子なのに、時期国王ではない理由はここにある。
法国では、初代国王同様に目と髪の色が水色の者が国王になると決まっているのだ。
もちろん。その決まりを作ったのは、聖女たちの前で狼といちゃついている女神である。
威厳たっぷりなのは一瞬だけで、少女のように愛らしい女神を聖女たちは愛していた。
(ーーふふ。みんな元気そうでよかったわ。また明日から頑張れそう!それに、ラウラ姉さんに教えてもらった方法も試さないと!)
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長いまつ毛が影を作り、なめらかな頬はほんのりとピンク色に染まっている。
ふふ、と可憐な笑みを浮かべるコルネリアの頬を、隣で横になっているヴァルターが思わず撫でた。
「いい夢を見ているのか?」
頬を軽く触っても起きないコルネリアに、ヴァルターの指は頬から唇へと移動する。
みずみずしい唇をそっと指で押して…
「な、何をやっているんだ。俺は」
はっと我に返ったヴァルターが手を離すと、コルネリアの瞳が開く。
「お、おはよう。コルネリア」
動揺を隠すようにヴァルターが言うと、コルネリアはにっこりと笑顔を浮かべる。
「いい夢を見ていたのか?笑っていたぞ」
笑顔でこくこく、とコルネリアが頷く。満月の宴は思い出すだけでも、ニヤけるくらい楽しいものだった。
夢といえば。あっ、とコルネリアは思い出して、紙に書く。
【手首や足首につけられる、鈴の楽器が欲しいのですが】
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「楽器か?…ああ、なるほど。鈴を使って意思疎通をするのか。朝食後に街の楽器屋を呼ぶように、マルコに頼んでおく」
鈴の用途を自分で想像して納得したヴァルターがそう言うと、コルネリアはにっこりした。
(ーー用途は違うけど、用意してくれるなら問題ないわよね)
【一緒に使うのが楽しみです】
「ん?ああ。どうやるか分からないが、君が楽しみなら俺も楽しみだ」
コルネリアが、邪なことを考えているとは想像もしていないヴァルターが、優しそうな笑みを浮かべた。
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