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学園編
6年後の推しと妖精
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大司祭に「推しと世界を救います!」と宣言してから早6年。
あっという間に時は過ぎ、ベルるんは天使のショタから美青年へと進化を遂げていた。
私はというと、王家と神殿から公式に女神の使いとして認められて、侯爵家にずっとお世話になっている。
ふわふわ、と屋敷内を飛んで移動する。今は屋敷の人に姿が見えるようにしてあり、みんな私にすっかり見慣れてくれた。
そろそろ午前の授業が終わる時間だな。とベルるんが勉強をしている侯爵家の図書室へ向かう。
「アリサ」
図書室の扉をそっと開けると、中に座っていたベルるんが蕩けるような笑顔で出迎えてくれる。
両手を揃えて前に差し出すポーズは、この上に乗ってほしい、ということだ。
手のひらの上に移動すると、頬にちゅっとキスをされる。
「僕のアリサ。授業は終わったから、何をしようか?」
これである。恥じらいが可愛かった推しは、すっかり色気たっぷりの美の化身になってしまった!!
視界の端で気まずそうな中年男性が、そっと席を外そうとするのが見えた。ちらり、とそちらを冷たい目線で見るベルるん。
なんと悪役を回避したはずのベルるんは、私と家族、仲の良い使用人以外には冷たい対応をとるようになってしまったのだ!
身近な大人を信用して傷つけられた自分が馬鹿馬鹿しかったから、という理由らしい。
「入学準備は済んだ?まだなら色々買いに行こうよ!」
「そうだね。消耗品は向こうで揃えてもいいかと思ったけど、せっかくだし観に行こうか」
そう。あと1週間でついに、学園に入学するのだ。水の国の首都にある学園には、水、風、火、土、全ての国の貴族が集まる。
そして、四つ龍のヒロインと4人の攻略キャラも集まる!
ベルるんはヒロインを見たら、どうなるんだろう。思わずじーと見つめると、ん?と首を傾げるベルるん。
「どうかした?」
「ううん。それじゃあ買いに行こう!あ、あと。午後はレベル上げしに行ってもいい?」
「もちろんだよ」
侯爵からも許可をもらって、6年の間に2人でレベルを上げている。最終的に邪神を倒すことが決まっているため、レベルは高いに越したことはない。
ちなみにベルるんも私もレベルは63。前に見かけた水の国の騎士団長がレベル60だったので、かなり強いのがわかる。
それでも、2人で邪神を倒すなら80レベルは欲しいから、入学したらもっとレベル上げを頑張る予定だ。
「頑張ろう!」
「?何か分からないけど、僕も頑張るよ」
思わず独り言を漏らしながら手を上げると、そっとその手を握ってベルるんが微笑んだ。
「ベルンハルト。忘れ物はない?」
ぎゅっとベルるんを抱きしめる侯爵夫人。学園は寮生活で、高位貴族も例外はない。
「大丈夫です。休暇は帰りますから」
ベルるんも侯爵夫人を抱きしめ返し、にっこりと笑顔を浮かべる。
別れ難い、と悲しむ侯爵夫人の肩を、侯爵が優しく抱く。侯爵夫人のお腹は少し膨らみ、ゆったりとした服を着ている。
「お母様も、お腹の子を第一に考えて健康に過ごしてください」
「ええ。次に帰ってくるときは、弟か妹がきっといるわね」
侯爵と夫人の仲はすっかり良くなり、侯爵夫人がついに第二子を妊娠したのだ。
「アリサ殿。ベルンハルトを頼む」
「任せてください!」
侯爵の言葉に、胸をドンっと叩いてみせる。推しファーストな私が、ベルるんから目を離すわけがない!
名残惜しそうにもう一度侯爵夫人。そして侯爵とハグをすると、馬車に乗り込んだ。
「学園には重要な役割の人が5人もいるんだよね?」
馬車の中でベルるんに聞かれて、こくっと頷く。
「うん。全員に接触するつもりだから、よろしくね!」
ベルるんには悪役であることなどは伏せ、邪神が現れることと倒すためにヒロインと4人の攻略キャラが重要だと伝えてある。
「ローレン以外のやつも顔がいいの?」
「えっ。もちろん、攻略キャラだから!」
思わず食い気味で答えると、ベルるんは面白くなさそうだ。
「ふうん。僕とそいつらなら、どっちがアリサの好み?」
「鼻血!!セ、セーフ」
拗ねたように言うベルるんの姿が衝撃でのけぞり、鼻血が出ていないか確認する。危ないところだった。
「もちろんベルるんだよ!」
「ならいいよ。到着するまで暇だからお話ししよ」
機嫌が良くなったベルるんの隣にあるクッションに座る。首都の方にある屋敷から出発したので、数時間で到着予定だ。
最高級の馬車だがしっかりと揺れ、お尻にも少し振動が伝わる。
「レベル63の防御力なめるなよ!」
お尻全然痛くないぜ!とはしゃぐ私を、ベルるんが生暖かい目で見てくれていた。
あっという間に時は過ぎ、ベルるんは天使のショタから美青年へと進化を遂げていた。
私はというと、王家と神殿から公式に女神の使いとして認められて、侯爵家にずっとお世話になっている。
ふわふわ、と屋敷内を飛んで移動する。今は屋敷の人に姿が見えるようにしてあり、みんな私にすっかり見慣れてくれた。
そろそろ午前の授業が終わる時間だな。とベルるんが勉強をしている侯爵家の図書室へ向かう。
「アリサ」
図書室の扉をそっと開けると、中に座っていたベルるんが蕩けるような笑顔で出迎えてくれる。
両手を揃えて前に差し出すポーズは、この上に乗ってほしい、ということだ。
手のひらの上に移動すると、頬にちゅっとキスをされる。
「僕のアリサ。授業は終わったから、何をしようか?」
これである。恥じらいが可愛かった推しは、すっかり色気たっぷりの美の化身になってしまった!!
視界の端で気まずそうな中年男性が、そっと席を外そうとするのが見えた。ちらり、とそちらを冷たい目線で見るベルるん。
なんと悪役を回避したはずのベルるんは、私と家族、仲の良い使用人以外には冷たい対応をとるようになってしまったのだ!
身近な大人を信用して傷つけられた自分が馬鹿馬鹿しかったから、という理由らしい。
「入学準備は済んだ?まだなら色々買いに行こうよ!」
「そうだね。消耗品は向こうで揃えてもいいかと思ったけど、せっかくだし観に行こうか」
そう。あと1週間でついに、学園に入学するのだ。水の国の首都にある学園には、水、風、火、土、全ての国の貴族が集まる。
そして、四つ龍のヒロインと4人の攻略キャラも集まる!
ベルるんはヒロインを見たら、どうなるんだろう。思わずじーと見つめると、ん?と首を傾げるベルるん。
「どうかした?」
「ううん。それじゃあ買いに行こう!あ、あと。午後はレベル上げしに行ってもいい?」
「もちろんだよ」
侯爵からも許可をもらって、6年の間に2人でレベルを上げている。最終的に邪神を倒すことが決まっているため、レベルは高いに越したことはない。
ちなみにベルるんも私もレベルは63。前に見かけた水の国の騎士団長がレベル60だったので、かなり強いのがわかる。
それでも、2人で邪神を倒すなら80レベルは欲しいから、入学したらもっとレベル上げを頑張る予定だ。
「頑張ろう!」
「?何か分からないけど、僕も頑張るよ」
思わず独り言を漏らしながら手を上げると、そっとその手を握ってベルるんが微笑んだ。
「ベルンハルト。忘れ物はない?」
ぎゅっとベルるんを抱きしめる侯爵夫人。学園は寮生活で、高位貴族も例外はない。
「大丈夫です。休暇は帰りますから」
ベルるんも侯爵夫人を抱きしめ返し、にっこりと笑顔を浮かべる。
別れ難い、と悲しむ侯爵夫人の肩を、侯爵が優しく抱く。侯爵夫人のお腹は少し膨らみ、ゆったりとした服を着ている。
「お母様も、お腹の子を第一に考えて健康に過ごしてください」
「ええ。次に帰ってくるときは、弟か妹がきっといるわね」
侯爵と夫人の仲はすっかり良くなり、侯爵夫人がついに第二子を妊娠したのだ。
「アリサ殿。ベルンハルトを頼む」
「任せてください!」
侯爵の言葉に、胸をドンっと叩いてみせる。推しファーストな私が、ベルるんから目を離すわけがない!
名残惜しそうにもう一度侯爵夫人。そして侯爵とハグをすると、馬車に乗り込んだ。
「学園には重要な役割の人が5人もいるんだよね?」
馬車の中でベルるんに聞かれて、こくっと頷く。
「うん。全員に接触するつもりだから、よろしくね!」
ベルるんには悪役であることなどは伏せ、邪神が現れることと倒すためにヒロインと4人の攻略キャラが重要だと伝えてある。
「ローレン以外のやつも顔がいいの?」
「えっ。もちろん、攻略キャラだから!」
思わず食い気味で答えると、ベルるんは面白くなさそうだ。
「ふうん。僕とそいつらなら、どっちがアリサの好み?」
「鼻血!!セ、セーフ」
拗ねたように言うベルるんの姿が衝撃でのけぞり、鼻血が出ていないか確認する。危ないところだった。
「もちろんベルるんだよ!」
「ならいいよ。到着するまで暇だからお話ししよ」
機嫌が良くなったベルるんの隣にあるクッションに座る。首都の方にある屋敷から出発したので、数時間で到着予定だ。
最高級の馬車だがしっかりと揺れ、お尻にも少し振動が伝わる。
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