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食うか食われるか 4
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腕が、俺を引き込んだ。
絶壁の一部は布張りになっていて、人一人が通れる程度の隙間を作ってあった。そこを隠すために俺たちは、前に立っていたのだ。
一応、風が通り抜けて雪が剥がれ、バレたりしないよう、直前まで通り道は塞いであった。
先程笛を吹いたのは、その道を開ける準備を進めてくれという合図だったんだよ。
俺を引き込んだ腕は、そのまま俺を掴んで後方に下がる。
本当は、ここに絶壁なんて無かった。谷の細道を土嚢で塞ぎ、そう仕立てていただけ。
壁の厚みは土嚢五列程度。高さが必要だったし、時間の余裕も無かったから、そこまで頑強にはできていない。
また、俺を引き込むことで、ここに逃げ道があることも知らせることになるから、ここからは時間勝負だった。
「撃て!」
マルの声。俺の通っている抜け道に殺到しようとする者らの、必死の表情。伸ばされる腕。
けれど、譲り合うなんてしている時間もないから、その細い入り口に、全身を滑り込ませることのできる者など、ごく僅かだ。
執事長を押し退け、生きるために俺を追ってきた兵は、隙間を抜ける直前に、待ち構えていた槍で串刺しにされ倒れた。その死体の上に、雪が詰め込まれた土嚢が積まれる。次に滑り込んだ者も同様。そうやって穴は瞬く間に塞がれてしまった。これでもう、どこにも逃れられない……。
響き渡る絶叫。悲鳴。助けを乞う声。首に回された腕に抱えられたまま、それらを聞いた。
俺が殺す百人だ……。抵抗すらさせず、命乞いも聞かず、明日のために死んでもらう命。
俺ももう、立派な殺戮者だなと、そう思っていたら、背後から腕がもう一本、俺の胸に回された。
「……生きた心地がしなかった……」
ぎゅっと抱きしめられて、肩口に頭が乗せられ、呻くみたいに吐き出された声。
「ありがとうアイル」
まさか合流していたとは思わなかった。
正直な話、立っているのもやっとという状況で、身体も凍えて冷え切っていたから、運んでくれたのは心底助かったよ。
だがアイルは、俺が動けずにいたとは考えていないよう。
「なんでさっさと来なかった。あんな状況で悠長に……!」
いやぁ、どうせ動けないならと、思って……。
「情報を得ておこうかと……。ここにこれだけの戦力が用意された意味を探って、次の手を打たなければならないだろ?
あっ、粘った甲斐はあったよ! 色々聞き出せたし……」
「それよりも、傷の手当だ! 今自分がどんな状態か、理解しているのか⁉︎」
そう怒鳴られ、アイル自身が纏っていた外套が外されて、俺の肩に掛けられた。
この程度の傷、命を捧げたシザーらには、恥ずかしいくらいの軽傷だよ……。
そう思っていたけれど、言葉にはしない。してもアイルらを困らせるだけだと分かっているから。
「土嚢を落とせ!」
「どんどん放り込むんだ!」
作戦が次の段階に移行されたらしい。
伝令が走り、同じ言葉を何度も喚いているのが耳に届き、酷いことをするもんだと、我ながら思った。
ちゃんと殺すために、矢と槍で滅多刺しにした上から、更に雪を詰め込んだ土嚢を降らせるのだ。一晩以上置かれ、カチカチになった氷の塊同然のものを。
身を隠す場所を確保するため、土嚢で人為的に高くしていた横壁を剥がして放り込むので、土嚢の用意も済んでいる。
それにより、例えうずくまり難を逃れていた者がいたとしても、凍えて死ぬか、頭を割られるか、重みで動けないまま、圧死することになるだろう。
橇に繋がれていた狼らも、スヴェトラン兵も、狂信者らも……閉じ込めた者は誰もここから生きて帰さない。そのための作戦だった。
使われただけの者もいたろうに、申し訳ない……。せめて来世は、静かに平和に、生きてほしい……。
「アイル、このお馬鹿さんを奥の天幕に。どうせこんなことになるだろうと思ってましたよ……」
着膨れして丸々としたマルが、ローシェンナに支えられつつやって来た。
アイルとローシェンナ、二人共がここにいるってことは……。
「狂信者の巣は、特定できたんだな……」
「えぇ。交渉材料は揃いました。なのに貴方を失ったらどうしましょうってほんと、気が気じゃありませんでしたよ……」
恨みがましい視線で睨んでくるマルに苦笑。あの行き止まりに敵を集め切る時間稼ぎの間、上では皆がジリジリしていたのだろう。
「俺だって死ぬ気なんて無かったよ。
それより、戦場に残した兵らはどうなってる。まだ敵も八百名近く……」
「そちらも順調です。貴方の指示通り、戦場から離脱した者から、作戦を遊撃に切り替えて散開。元々こっちの方が得意ですからね。
長や主らしき者を最優先で狙撃、討ち倒しております。順調だと報告が入っていますし、ここが片付いたら見張り以外そちらに向かわせます」
マルの言葉にホッと息を吐く。
当初は、将を倒すことで軍としての機能を殺すことを考えていたのだ。
スヴェトランと神殿の連合軍だから、スヴェトラン側の将を討ち取れば、スヴェトラン側の制御に神殿側の脳は苦戦するだろう。
それにより足の鈍った軍隊から、脳と神殿を炙り出し、攻撃を集中させる。そうすることで、実質は五百人を相手にする形となる。
その上で更に俺が姿を現し囮になって、五百名の神殿部隊をもうひとつ分散させる予定だった。そこまで来てから、戦場の部隊は撤退、散開して、遊撃に移ろうと……。
しかしこちらの潜伏に勘付かれていたようで、将の炙り出しから失敗してしまったわけだ。だから無理やり、脳を引っ張り出すことにした。
「判断力の無い狼なんて、野生の獣でも脆いですからねぇ。
スヴェトラン兵も、頼みとしていた殺人兵器が全く機能しないとあっては、引き返すしかありません……。まぁ、帰しませんけどね」
山脈に入った部隊は、誰一人として生きて帰さない。そうすることで、スヴェトラン側を牽制する。
実態の見えない敵ほど怖いものはない。山脈には、得体の知れない何かがあると、そう思ってもらえたら御の字だ。
作戦の状況を確認するための天幕に連れてこられ、そこで応急処置を受け、身体から鏃を穿り出した。
冷え切って血の巡りが悪かったのか、想像していたよりは痛くない気がしたけれど、それでも思っていたよりは重傷であったよう。
手当ての途中から意識が無く、次に瞳を開いた時、目の前にあったのは、サヤの顔だった。
「今はいつ、状況は?」
「まだ一日しか経ってません。ここはマルさんの里です。
敵軍は退けましたけど、それなりの人数が山脈に隠れているでしょうから、狼の鼻を頼りに討伐部隊を組んで派遣しています」
そう答えてくれたサヤが、俺の前髪を手で払い、瞳を潤ませた。
「おかえりなさい……」
「うん、ただいま」
ちゃんと無事に戻ってきた。命に関わるような怪我ではないと分かっていても、不安にさせたのだろうと、左手を伸ばす。
するとサヤは、その手を握り、頬を擦り寄せた。
掌に唇を押し当て、甲を撫でて、俺の体温を確認するように。
「もう……レイが出て行かんでもええくらいには、状況は安定したってマルさんが……。
ローシェンナさんも、アイルさんも戻ってくらはったし、ここは任せておけるって」
「戻ったばっかりでこき使って、なんか悪いな……」
そう呟くと、ふふっとサヤが笑ってくれる。
だけど、その瞳は、絶えず大きな悲しみに満たされていて、この戦いで失った者たちが、決して少なくないことも、語っていた。
圧倒的に不利な人数を相手にして戦ったのだから、それは当然だ……。そう思うけれど、もっと他にやりようがあったのでは、犠牲を減らす手立てがあったのではと、心が苦しくなる。
俺のその気持ちをサヤも読み取ったのだろう。
「これ以上ないくらいの大勝利やって、マルさんは言うた……。
敵部隊を、里には誰一人として、立ち入らせんかったんやし、レイは戦果を誇ってええって」
そうなるよう頑張ってくれたのは、俺じゃなく、命を捨ててまで戦ってくれた皆だ……。
確認したくなかったけれど、しなければならない。それが人の命を使った者としての責任だろう。
「……犠牲者は何人だ……。誰が死んだ……」
戦場に立っていたオブシズや、リアルガーは……イェーナ、グラニットたち、名前すら、覚えてやれていなかった者たちは……。
「……まだ正確には、分からへん。残党の討伐でも、死傷者は増えるやろうし。
だから、今の段階ではっきりしてる死者は、五十七名」
重傷、重体の者らも多いのだろう。彼らが生き残れるか、来世へ旅立つか……それもまだ分からない。
敢えて名前を伏せ、人数だけを伝えたのは、そういうことでもあるのだと思う。
「そうか……。じゃあ、彼らの来世のためにも、もうひとつ仕事をこなさなきゃならないな……。
マルを、呼んでほしい。流石に死んでないだろう?」
そうであれば、サヤは名を口にしなかったろう。
そして俺の推測通り、マルは生きており、作戦指揮をローシェンナに託し戻ってきた。
「マル……オゼロ領に向かわなきゃならない。
多分、アレクはあそこを落とすつもりでいるはずだ」
絶壁の一部は布張りになっていて、人一人が通れる程度の隙間を作ってあった。そこを隠すために俺たちは、前に立っていたのだ。
一応、風が通り抜けて雪が剥がれ、バレたりしないよう、直前まで通り道は塞いであった。
先程笛を吹いたのは、その道を開ける準備を進めてくれという合図だったんだよ。
俺を引き込んだ腕は、そのまま俺を掴んで後方に下がる。
本当は、ここに絶壁なんて無かった。谷の細道を土嚢で塞ぎ、そう仕立てていただけ。
壁の厚みは土嚢五列程度。高さが必要だったし、時間の余裕も無かったから、そこまで頑強にはできていない。
また、俺を引き込むことで、ここに逃げ道があることも知らせることになるから、ここからは時間勝負だった。
「撃て!」
マルの声。俺の通っている抜け道に殺到しようとする者らの、必死の表情。伸ばされる腕。
けれど、譲り合うなんてしている時間もないから、その細い入り口に、全身を滑り込ませることのできる者など、ごく僅かだ。
執事長を押し退け、生きるために俺を追ってきた兵は、隙間を抜ける直前に、待ち構えていた槍で串刺しにされ倒れた。その死体の上に、雪が詰め込まれた土嚢が積まれる。次に滑り込んだ者も同様。そうやって穴は瞬く間に塞がれてしまった。これでもう、どこにも逃れられない……。
響き渡る絶叫。悲鳴。助けを乞う声。首に回された腕に抱えられたまま、それらを聞いた。
俺が殺す百人だ……。抵抗すらさせず、命乞いも聞かず、明日のために死んでもらう命。
俺ももう、立派な殺戮者だなと、そう思っていたら、背後から腕がもう一本、俺の胸に回された。
「……生きた心地がしなかった……」
ぎゅっと抱きしめられて、肩口に頭が乗せられ、呻くみたいに吐き出された声。
「ありがとうアイル」
まさか合流していたとは思わなかった。
正直な話、立っているのもやっとという状況で、身体も凍えて冷え切っていたから、運んでくれたのは心底助かったよ。
だがアイルは、俺が動けずにいたとは考えていないよう。
「なんでさっさと来なかった。あんな状況で悠長に……!」
いやぁ、どうせ動けないならと、思って……。
「情報を得ておこうかと……。ここにこれだけの戦力が用意された意味を探って、次の手を打たなければならないだろ?
あっ、粘った甲斐はあったよ! 色々聞き出せたし……」
「それよりも、傷の手当だ! 今自分がどんな状態か、理解しているのか⁉︎」
そう怒鳴られ、アイル自身が纏っていた外套が外されて、俺の肩に掛けられた。
この程度の傷、命を捧げたシザーらには、恥ずかしいくらいの軽傷だよ……。
そう思っていたけれど、言葉にはしない。してもアイルらを困らせるだけだと分かっているから。
「土嚢を落とせ!」
「どんどん放り込むんだ!」
作戦が次の段階に移行されたらしい。
伝令が走り、同じ言葉を何度も喚いているのが耳に届き、酷いことをするもんだと、我ながら思った。
ちゃんと殺すために、矢と槍で滅多刺しにした上から、更に雪を詰め込んだ土嚢を降らせるのだ。一晩以上置かれ、カチカチになった氷の塊同然のものを。
身を隠す場所を確保するため、土嚢で人為的に高くしていた横壁を剥がして放り込むので、土嚢の用意も済んでいる。
それにより、例えうずくまり難を逃れていた者がいたとしても、凍えて死ぬか、頭を割られるか、重みで動けないまま、圧死することになるだろう。
橇に繋がれていた狼らも、スヴェトラン兵も、狂信者らも……閉じ込めた者は誰もここから生きて帰さない。そのための作戦だった。
使われただけの者もいたろうに、申し訳ない……。せめて来世は、静かに平和に、生きてほしい……。
「アイル、このお馬鹿さんを奥の天幕に。どうせこんなことになるだろうと思ってましたよ……」
着膨れして丸々としたマルが、ローシェンナに支えられつつやって来た。
アイルとローシェンナ、二人共がここにいるってことは……。
「狂信者の巣は、特定できたんだな……」
「えぇ。交渉材料は揃いました。なのに貴方を失ったらどうしましょうってほんと、気が気じゃありませんでしたよ……」
恨みがましい視線で睨んでくるマルに苦笑。あの行き止まりに敵を集め切る時間稼ぎの間、上では皆がジリジリしていたのだろう。
「俺だって死ぬ気なんて無かったよ。
それより、戦場に残した兵らはどうなってる。まだ敵も八百名近く……」
「そちらも順調です。貴方の指示通り、戦場から離脱した者から、作戦を遊撃に切り替えて散開。元々こっちの方が得意ですからね。
長や主らしき者を最優先で狙撃、討ち倒しております。順調だと報告が入っていますし、ここが片付いたら見張り以外そちらに向かわせます」
マルの言葉にホッと息を吐く。
当初は、将を倒すことで軍としての機能を殺すことを考えていたのだ。
スヴェトランと神殿の連合軍だから、スヴェトラン側の将を討ち取れば、スヴェトラン側の制御に神殿側の脳は苦戦するだろう。
それにより足の鈍った軍隊から、脳と神殿を炙り出し、攻撃を集中させる。そうすることで、実質は五百人を相手にする形となる。
その上で更に俺が姿を現し囮になって、五百名の神殿部隊をもうひとつ分散させる予定だった。そこまで来てから、戦場の部隊は撤退、散開して、遊撃に移ろうと……。
しかしこちらの潜伏に勘付かれていたようで、将の炙り出しから失敗してしまったわけだ。だから無理やり、脳を引っ張り出すことにした。
「判断力の無い狼なんて、野生の獣でも脆いですからねぇ。
スヴェトラン兵も、頼みとしていた殺人兵器が全く機能しないとあっては、引き返すしかありません……。まぁ、帰しませんけどね」
山脈に入った部隊は、誰一人として生きて帰さない。そうすることで、スヴェトラン側を牽制する。
実態の見えない敵ほど怖いものはない。山脈には、得体の知れない何かがあると、そう思ってもらえたら御の字だ。
作戦の状況を確認するための天幕に連れてこられ、そこで応急処置を受け、身体から鏃を穿り出した。
冷え切って血の巡りが悪かったのか、想像していたよりは痛くない気がしたけれど、それでも思っていたよりは重傷であったよう。
手当ての途中から意識が無く、次に瞳を開いた時、目の前にあったのは、サヤの顔だった。
「今はいつ、状況は?」
「まだ一日しか経ってません。ここはマルさんの里です。
敵軍は退けましたけど、それなりの人数が山脈に隠れているでしょうから、狼の鼻を頼りに討伐部隊を組んで派遣しています」
そう答えてくれたサヤが、俺の前髪を手で払い、瞳を潤ませた。
「おかえりなさい……」
「うん、ただいま」
ちゃんと無事に戻ってきた。命に関わるような怪我ではないと分かっていても、不安にさせたのだろうと、左手を伸ばす。
するとサヤは、その手を握り、頬を擦り寄せた。
掌に唇を押し当て、甲を撫でて、俺の体温を確認するように。
「もう……レイが出て行かんでもええくらいには、状況は安定したってマルさんが……。
ローシェンナさんも、アイルさんも戻ってくらはったし、ここは任せておけるって」
「戻ったばっかりでこき使って、なんか悪いな……」
そう呟くと、ふふっとサヤが笑ってくれる。
だけど、その瞳は、絶えず大きな悲しみに満たされていて、この戦いで失った者たちが、決して少なくないことも、語っていた。
圧倒的に不利な人数を相手にして戦ったのだから、それは当然だ……。そう思うけれど、もっと他にやりようがあったのでは、犠牲を減らす手立てがあったのではと、心が苦しくなる。
俺のその気持ちをサヤも読み取ったのだろう。
「これ以上ないくらいの大勝利やって、マルさんは言うた……。
敵部隊を、里には誰一人として、立ち入らせんかったんやし、レイは戦果を誇ってええって」
そうなるよう頑張ってくれたのは、俺じゃなく、命を捨ててまで戦ってくれた皆だ……。
確認したくなかったけれど、しなければならない。それが人の命を使った者としての責任だろう。
「……犠牲者は何人だ……。誰が死んだ……」
戦場に立っていたオブシズや、リアルガーは……イェーナ、グラニットたち、名前すら、覚えてやれていなかった者たちは……。
「……まだ正確には、分からへん。残党の討伐でも、死傷者は増えるやろうし。
だから、今の段階ではっきりしてる死者は、五十七名」
重傷、重体の者らも多いのだろう。彼らが生き残れるか、来世へ旅立つか……それもまだ分からない。
敢えて名前を伏せ、人数だけを伝えたのは、そういうことでもあるのだと思う。
「そうか……。じゃあ、彼らの来世のためにも、もうひとつ仕事をこなさなきゃならないな……。
マルを、呼んでほしい。流石に死んでないだろう?」
そうであれば、サヤは名を口にしなかったろう。
そして俺の推測通り、マルは生きており、作戦指揮をローシェンナに託し戻ってきた。
「マル……オゼロ領に向かわなきゃならない。
多分、アレクはあそこを落とすつもりでいるはずだ」
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