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旧友 7
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「宝石の目利きは、玄人でも難しいものです……。見た目のできが良ければ尚のこと、ころりと騙されていまう人もいるでしょう。小粒であれば当然更に、発覚しにくい……。
しかも大店中の大店、老舗のヤロヴィがそのようなことをするなど、誰も思いませんもの……」
それが狙いだったなら、陰湿にも程があるが…………。
正直、ブリッジスならば、そんなことをやってしまうかもしれないと、思った……。
「……対処は考えているのか」
「実はまだ……と、いう段階だったのだけど……ヨルグがうちの品を扱ってくれるなら、取れる手段がひとつある」
バート商会は服飾店だから、宝飾品の取り扱いは専門外。だから宝飾品を店頭に並べてもらうわけにもいかないと思っていた。
そのため、行商を駆使して対策を行うしかないかと考えていたのだけれど……、行商だと貴族との取引はまず生まれない。だから、対処としては下策だったのだ。
「……でも、ヨルグの店がヤロヴィに睨まれてしまうかもしれないよな? だから……」
極力迷惑を掛けるつもりはないが、万が一ということがある。
傾きかけた店の状況に付け入るようでもあるし……正直気が重い。だから、断っても良いのだと、付け足そうとしたのだけど……。
「レイシール様」
そこでヨルグは、鋭く声を発し、俺の言葉を止めた。
貴族の言葉を遮ることは、本来ならば不敬であるけれど……。彼は見た目の柔らかさに反した、鋭い眼光を俺に向ける。
これが許されるのは、俺たちに学舎という縁があるからだ。あそこはそういう場だった……。それをヨルグは、敢えて言葉に出して知らしめたのだ。
「そういう時、我々には利を説くのです。
損よりも実りが多いと思えば、多少の不利益も飲み込む……それが商人というものですわ。
お互いが得することを考える……のでしょう?」
そう言い艶やかに、にこりと笑う。
……彼は物腰の柔らかい好青年なのだけど……案外喧嘩っ早いのだよな……そういえば。
とくに、誇りを踏み躙られることをとても嫌うのだ。彼の女性口調にはきちんと理由がある。それだけ仕事に誇りも持っている。学舎でこれを揶揄った者は、大抵痛い目を見た……。
だから、同じ宝石商として、ブリッジスがもしそのような愚行を行うならば、黙って見過ごす気は無い……というのだろう。
ただし。
己は商人だから、ただで喧嘩は売らない。
「それに、グラインはジョルダーナの支店とはいえ名を分けましたし、本店への影響などたかが知れておりますわ。いざとなれば切り捨てられますもの。
つまりはほぼ新参。我らを危険とみなす大店など、まずおりませんでしょうし、ブリッジスがプローホルにいるならば、王都でのことが伝わるのにも時間が掛かりましょう。
せっかくのよしみ、そして再会ではございませんか。手駒を得たのならば、使わねば……。身分を超えた縁が、学舎の誇りですわよ?」
それに見合う利益があるならば、せっかく繋ぎ直した縁、活用してもらって構いませんよと、ヨルグは言葉に含めた。
変わってないなぁ……。
そう思うと、自然と笑みも溢れるというものだ。
利益……。利益か、そうだな…………。
「では……グラインがうちの『正規品取扱店』となってくれるならば、今回持ち帰ってもらう品の費用は全てうちが持とう。
売り上げはそちらで計上してくれて構わない。再会と、バート商会との提携を祝した祝いの品だとでも思ってくれ。
それから、全ての宝飾品の発信は、拠点村ともうひとつ、王都のグラインからとする……というのは、どうかな。
例えば、サヤが宝飾品で、新作の意匠を思いついたならば、即座にグラインへ知らせる。意匠図案に試作を添えて送ろう」
「あらっ、それは素敵ですわ! でも……新規の品というのはこちらも不安ですし……それだけでは心許ないですわね。
もう一声頂けると、私も張り合いが出ますわ」
「ならば来年、髪留めと洗濯挟みの秘匿権を無償開示する予定だったのだけど、それを一年伸ばそう。
これで『正規品取扱店』は、結構な利益を確保できると思う。開示品を選定し直さなきゃならないが……まぁまだこの段階なら都合をつけられるだろう」
ちょうどサヤが、洗濯挟みの秘匿権を宝飾品に応用するということをやってしまった。
どうせこの件は一回、マルに相談しなきゃならなかったろうしな。
「この三つで、ヤロヴィに喧嘩を売って欲しいと言ったら、引き受けてくれるだろうか?」
「起死回生どころか、とんでもない大逆転ができそうですわね。喜んでお受け致しますわ」
この取引でもって、グラインは拠点村の秘匿権所有品のうち、宝飾品における『正規品取扱店』となった。そしてそこに、ブリッジスに対しての罠を張ることで、互いに同意した。
もしブリッジスが法外な値段での転売を行わなかったとすれば、この罠は発動しない。買い付け方はともかくとして、真っ当な商売をしていれば問題は起こらない。
だから、もしこの罠に、ヤロヴィが掛かるのだとしたら…………それは、老舗の看板を、己の手で穢したということだ。
◆
「はいはーい! ひっさしぶりにテイクさんが腕を振るいましたよーっ!」
夕食にはヨルグも招いた。
色々と細部を詰めなきゃならないし、今日は遅くまで作戦会議となるため、ここの客間に泊まってもらう。今後は色々とお世話になるし、久々の再会だ。まずは祝いたい。
「テイクさん、凄い手際が良かったです! 速いのに、切った野菜がどれも均一の大きさで……私も、もっと練習しなきゃって思いました」
「褒められてる⁉︎ 僕もしかして褒められてる⁉︎ ユミルちゃんなんて良い子! うっふふふふふふふ、そんなテレるうふふふふふふふ」
「気持ち悪いです」
冷たい視線でグサッと鋭い言葉を吐いたのは勿論ハイン。
この時間までハインと遭遇してなかったテイクは、無論……。
「は、ハインーッ⁉︎ お前っ、全っ然変わってないっ、言葉の痛さも視線の冷たさも全っ然、時間の隔たりを、感じないよっ⁉︎」
「貴方の残念具合も変わりませんよ」
「嫌っ、止めて、そんな目で見ないでっ!」
「見られるに値することをしでかして、ここにいるというのに?」
その二人のやりとりにびっくり顔の女性陣だが、学舎陣にとっては懐かしい日常だ。
「いつもこんな風だったんですか?」
「そう。面白いだろう? 学舎はほんと、退屈しなかったよね」
「そんなおおらかに構えてられるのはお前だけだっつの……マルとかテイクとかクリスタ様とか……手の掛かるのばっか集めやがって……」
「ふふっ、そういうギルが結局一番構ってたじゃないの」
「好きで構ってねぇよ! 放置したらとんでもない大惨事になるから仕方なくだな⁉︎」
懐かしい空気に俺が笑うと、その顔止めて! と、テイクに嘆かれるのまでがいつものやりとり。
「なんでこんなに育ったのに顔だけ一緒⁉︎ 更に笑顔の破壊力増してるってどういうこと⁉︎ 間違いを誘ってるとしか思えない!」
「言うな。顔は変わんなかったんだよ。本人の意思じゃねぇんだ、可哀想だろ」
「……………………怒っても良いかな?」
そう言ったらヒイッと怯えられてしまった。
これは前に無かった反応だよな。どうしたって言うんだよもう……。
「自覚ないの⁉︎ 前より確かに人間味は出たけどさぁ……」
「大目に見てやってくれ……女に惚れるなんて奇跡の副産物なんだから……」
「聞こえてるけど?」
「ヒィィッ!」
そうしてルーシーが少し遅れてやって来て、それにテイクはお馴染みの反応。ギルに吊し上げられるといういつもの通過儀礼を無事終えた。
楽しい夕飯の時間を共に過ごし、父上にも二人を紹介できた。
学舎の友を紹介することは、父上にとっても嬉しいことであるよう。二人を歓迎してくれ、身分違いの交流もこころよくうけいれてもらえた。
「歓迎された……僕を領主様が⁉︎ うわっ、なんか感動!」
「お前、領主様をがっかりさせるような不始末起こすんじゃねぇぞ……」
「僕そんなに素行悪いと思われてるの⁉︎」
「素行はともかく女癖は最悪だ」
マルがいたらもっと楽しいやり取りだったのになと思うと、ちょっと残念。
なんというか……テイクとマルがいたら、場が暗くなりようがないのだ。
一瞬で戦場みたいになることもしばしばあるけれど……。
「レイ様……ユミルちゃんに聞いたんだけどさ、料理の秘匿権進呈しなきゃいけないって本当……?」
「そうだよ」
「嘘っ、聞いてないよ⁉︎ これは僕の料理人人生を脅かす陰謀⁉︎ レイ様が陰謀企てたの⁉︎」
「進呈してもらうけどこっちからも進呈するよ。百以上あるから文句言わない。
それから、進呈じゃなく、買い取るから。早く借金減らしたいだろ? あと、有償の秘匿権開示っていうのもあるから、それでも借金返せる。好きな方選んで良いよ」
「…………なにそれ」
「…………規約説明した時何を聞いてたんだ?」
嵐の前の静けさだったのかもしれない……。
その日は本当に一日中、本当に楽しくって、一日があっという間に過ぎてしまった。
サヤも本日ばかりは明るく笑っていて。
色々問題は山積みだけど、こんなふうにしていられたら、明日をまた頑張れる。
そんなふうに思える一日だった。
そうして翌日…………。
まだマルの出てこないうちに、オゼロからの使者が到着した。
しかも大店中の大店、老舗のヤロヴィがそのようなことをするなど、誰も思いませんもの……」
それが狙いだったなら、陰湿にも程があるが…………。
正直、ブリッジスならば、そんなことをやってしまうかもしれないと、思った……。
「……対処は考えているのか」
「実はまだ……と、いう段階だったのだけど……ヨルグがうちの品を扱ってくれるなら、取れる手段がひとつある」
バート商会は服飾店だから、宝飾品の取り扱いは専門外。だから宝飾品を店頭に並べてもらうわけにもいかないと思っていた。
そのため、行商を駆使して対策を行うしかないかと考えていたのだけれど……、行商だと貴族との取引はまず生まれない。だから、対処としては下策だったのだ。
「……でも、ヨルグの店がヤロヴィに睨まれてしまうかもしれないよな? だから……」
極力迷惑を掛けるつもりはないが、万が一ということがある。
傾きかけた店の状況に付け入るようでもあるし……正直気が重い。だから、断っても良いのだと、付け足そうとしたのだけど……。
「レイシール様」
そこでヨルグは、鋭く声を発し、俺の言葉を止めた。
貴族の言葉を遮ることは、本来ならば不敬であるけれど……。彼は見た目の柔らかさに反した、鋭い眼光を俺に向ける。
これが許されるのは、俺たちに学舎という縁があるからだ。あそこはそういう場だった……。それをヨルグは、敢えて言葉に出して知らしめたのだ。
「そういう時、我々には利を説くのです。
損よりも実りが多いと思えば、多少の不利益も飲み込む……それが商人というものですわ。
お互いが得することを考える……のでしょう?」
そう言い艶やかに、にこりと笑う。
……彼は物腰の柔らかい好青年なのだけど……案外喧嘩っ早いのだよな……そういえば。
とくに、誇りを踏み躙られることをとても嫌うのだ。彼の女性口調にはきちんと理由がある。それだけ仕事に誇りも持っている。学舎でこれを揶揄った者は、大抵痛い目を見た……。
だから、同じ宝石商として、ブリッジスがもしそのような愚行を行うならば、黙って見過ごす気は無い……というのだろう。
ただし。
己は商人だから、ただで喧嘩は売らない。
「それに、グラインはジョルダーナの支店とはいえ名を分けましたし、本店への影響などたかが知れておりますわ。いざとなれば切り捨てられますもの。
つまりはほぼ新参。我らを危険とみなす大店など、まずおりませんでしょうし、ブリッジスがプローホルにいるならば、王都でのことが伝わるのにも時間が掛かりましょう。
せっかくのよしみ、そして再会ではございませんか。手駒を得たのならば、使わねば……。身分を超えた縁が、学舎の誇りですわよ?」
それに見合う利益があるならば、せっかく繋ぎ直した縁、活用してもらって構いませんよと、ヨルグは言葉に含めた。
変わってないなぁ……。
そう思うと、自然と笑みも溢れるというものだ。
利益……。利益か、そうだな…………。
「では……グラインがうちの『正規品取扱店』となってくれるならば、今回持ち帰ってもらう品の費用は全てうちが持とう。
売り上げはそちらで計上してくれて構わない。再会と、バート商会との提携を祝した祝いの品だとでも思ってくれ。
それから、全ての宝飾品の発信は、拠点村ともうひとつ、王都のグラインからとする……というのは、どうかな。
例えば、サヤが宝飾品で、新作の意匠を思いついたならば、即座にグラインへ知らせる。意匠図案に試作を添えて送ろう」
「あらっ、それは素敵ですわ! でも……新規の品というのはこちらも不安ですし……それだけでは心許ないですわね。
もう一声頂けると、私も張り合いが出ますわ」
「ならば来年、髪留めと洗濯挟みの秘匿権を無償開示する予定だったのだけど、それを一年伸ばそう。
これで『正規品取扱店』は、結構な利益を確保できると思う。開示品を選定し直さなきゃならないが……まぁまだこの段階なら都合をつけられるだろう」
ちょうどサヤが、洗濯挟みの秘匿権を宝飾品に応用するということをやってしまった。
どうせこの件は一回、マルに相談しなきゃならなかったろうしな。
「この三つで、ヤロヴィに喧嘩を売って欲しいと言ったら、引き受けてくれるだろうか?」
「起死回生どころか、とんでもない大逆転ができそうですわね。喜んでお受け致しますわ」
この取引でもって、グラインは拠点村の秘匿権所有品のうち、宝飾品における『正規品取扱店』となった。そしてそこに、ブリッジスに対しての罠を張ることで、互いに同意した。
もしブリッジスが法外な値段での転売を行わなかったとすれば、この罠は発動しない。買い付け方はともかくとして、真っ当な商売をしていれば問題は起こらない。
だから、もしこの罠に、ヤロヴィが掛かるのだとしたら…………それは、老舗の看板を、己の手で穢したということだ。
◆
「はいはーい! ひっさしぶりにテイクさんが腕を振るいましたよーっ!」
夕食にはヨルグも招いた。
色々と細部を詰めなきゃならないし、今日は遅くまで作戦会議となるため、ここの客間に泊まってもらう。今後は色々とお世話になるし、久々の再会だ。まずは祝いたい。
「テイクさん、凄い手際が良かったです! 速いのに、切った野菜がどれも均一の大きさで……私も、もっと練習しなきゃって思いました」
「褒められてる⁉︎ 僕もしかして褒められてる⁉︎ ユミルちゃんなんて良い子! うっふふふふふふふ、そんなテレるうふふふふふふふ」
「気持ち悪いです」
冷たい視線でグサッと鋭い言葉を吐いたのは勿論ハイン。
この時間までハインと遭遇してなかったテイクは、無論……。
「は、ハインーッ⁉︎ お前っ、全っ然変わってないっ、言葉の痛さも視線の冷たさも全っ然、時間の隔たりを、感じないよっ⁉︎」
「貴方の残念具合も変わりませんよ」
「嫌っ、止めて、そんな目で見ないでっ!」
「見られるに値することをしでかして、ここにいるというのに?」
その二人のやりとりにびっくり顔の女性陣だが、学舎陣にとっては懐かしい日常だ。
「いつもこんな風だったんですか?」
「そう。面白いだろう? 学舎はほんと、退屈しなかったよね」
「そんなおおらかに構えてられるのはお前だけだっつの……マルとかテイクとかクリスタ様とか……手の掛かるのばっか集めやがって……」
「ふふっ、そういうギルが結局一番構ってたじゃないの」
「好きで構ってねぇよ! 放置したらとんでもない大惨事になるから仕方なくだな⁉︎」
懐かしい空気に俺が笑うと、その顔止めて! と、テイクに嘆かれるのまでがいつものやりとり。
「なんでこんなに育ったのに顔だけ一緒⁉︎ 更に笑顔の破壊力増してるってどういうこと⁉︎ 間違いを誘ってるとしか思えない!」
「言うな。顔は変わんなかったんだよ。本人の意思じゃねぇんだ、可哀想だろ」
「……………………怒っても良いかな?」
そう言ったらヒイッと怯えられてしまった。
これは前に無かった反応だよな。どうしたって言うんだよもう……。
「自覚ないの⁉︎ 前より確かに人間味は出たけどさぁ……」
「大目に見てやってくれ……女に惚れるなんて奇跡の副産物なんだから……」
「聞こえてるけど?」
「ヒィィッ!」
そうしてルーシーが少し遅れてやって来て、それにテイクはお馴染みの反応。ギルに吊し上げられるといういつもの通過儀礼を無事終えた。
楽しい夕飯の時間を共に過ごし、父上にも二人を紹介できた。
学舎の友を紹介することは、父上にとっても嬉しいことであるよう。二人を歓迎してくれ、身分違いの交流もこころよくうけいれてもらえた。
「歓迎された……僕を領主様が⁉︎ うわっ、なんか感動!」
「お前、領主様をがっかりさせるような不始末起こすんじゃねぇぞ……」
「僕そんなに素行悪いと思われてるの⁉︎」
「素行はともかく女癖は最悪だ」
マルがいたらもっと楽しいやり取りだったのになと思うと、ちょっと残念。
なんというか……テイクとマルがいたら、場が暗くなりようがないのだ。
一瞬で戦場みたいになることもしばしばあるけれど……。
「レイ様……ユミルちゃんに聞いたんだけどさ、料理の秘匿権進呈しなきゃいけないって本当……?」
「そうだよ」
「嘘っ、聞いてないよ⁉︎ これは僕の料理人人生を脅かす陰謀⁉︎ レイ様が陰謀企てたの⁉︎」
「進呈してもらうけどこっちからも進呈するよ。百以上あるから文句言わない。
それから、進呈じゃなく、買い取るから。早く借金減らしたいだろ? あと、有償の秘匿権開示っていうのもあるから、それでも借金返せる。好きな方選んで良いよ」
「…………なにそれ」
「…………規約説明した時何を聞いてたんだ?」
嵐の前の静けさだったのかもしれない……。
その日は本当に一日中、本当に楽しくって、一日があっという間に過ぎてしまった。
サヤも本日ばかりは明るく笑っていて。
色々問題は山積みだけど、こんなふうにしていられたら、明日をまた頑張れる。
そんなふうに思える一日だった。
そうして翌日…………。
まだマルの出てこないうちに、オゼロからの使者が到着した。
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