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門出 17
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とにかくサヤの部屋へと移動した。ジェイドには申し訳ないけれど、少し俺の部屋で待っていてくれとお願いして。
誤解を誤解のままにしておきたくない。ちゃんとサヤの言い分を聞き、理解ができたら、今一度説明するからと伝えたら。
「そンなこと必要ねぇよ、別に気にしちゃいねぇし……」
彼はそう言ったけれど、待っててと念を押した。
また長らく姿を眩まされたらたまらない。
サヤの部屋は、俺の部屋同様に片付いていて、間取りや家具は別館の時とさして変わらないはずなのに、妙に新鮮だ。
前に入った時は、緊急事態の最中で、部屋の中を見る余裕も無かったし……。
そのまま寝室に足を向けた彼女を追って良いのかどうか、ちょっと戸惑い、俺は主室で足を止めた。
ここの部屋には、壁紙が無い……。サヤが、漆喰壁と飾り板のみの、簡素な内装を求めたから。その代わり、ギルから貰った布の切れ端でちまちまと小物が作られ、部屋に彩りを添えている。
ふと、飾り棚の上に置かれた、何かの動物を模したと思しき人形が目についた。これは何かな……サヤの世界の動物?
「レイ」
なんとなしにその人形を見ていたら、サヤに呼ばれたから、慌てて足を進める。
やっぱり寝室、入らなきゃ駄目か……。い、いや、こんな時に別に、不埒なことを考えたりとかしてるわけじゃないけど。断じて、ないけど。
内心ではドキドキしながら、見ちゃ駄目なものが見える場所に置いてあったりしないよな? と、不安に思いつつ足を踏み入れると、窓際の化粧台の前に、サヤはいた。
化粧台の上には木箱と、その横に置かれた、サヤがこの世界にやって来た時の衣服。
その中には下着らしきものまであって、俺は慌てて視線を逸らした。ちょっ、それ、ななななんで出してる⁉︎
俺としては重大事項だったのに、サヤはそれを気にする素振りも見せない。
でもそれは、そんなことに構っていられないくらいに大変なことが起こっているのだと、サヤの表情でやっと理解した。
未だ、恐怖に強張った表情……。
「……サヤ、オーパーツって、何?」
なんとなくそれが肝心なのだと思った。腕時計を、オーパーツだと言ったのだから。
「オーパーツは……渡来の略語でな、直訳としては『場違いな工芸品』って意味になる……」
そう言ってからサヤは、丈の短い、サヤの世界の袴を手に取り、それを広げた。
出会ったばかりのあの時は、サヤが全身濡れそぼっており、透けて肌が見えてしまっていたことや、膝がむき出しになっていたことに慌てて、あまり視線をやらないようにしていたから……その袴をきちんと見ていなかった。
サヤの世界の袴は、紺の無地だと思っていたけれど、細かい格子柄だった。
均一に、綺麗なひだがきっちりと並び、格子の柄のずれも無い。とても丁寧で、精巧なものであるようだ。
ギル辺りが見たら喜びそうだよな。生地は毛織物にしては……うん? これ、毛織物じゃないような……。でも、綿でもないよな、無論麻とも違う……なんだこれ?
サヤが敢えて広げて見せている箇所が、特に気になった。
腰の部分なのだが、一部開いており、留め金らしきものがある。けれどその下、何か、ギザギザと刻まれた……金属? よく分からない。紺色の、目立たない色をした、硬質な何か。
「……これ、何?」
考えても、分からなかった。触れてみたけれど、やっぱり分からない。謎の手触りだ。硬い……とにかくこの小さなもの一つ一つが全て同じ形で、寸分の狂いもなく等間隔に並んでいて、それがひだの間、割れ目の両側にある。
交わる箇所にはまた違う部品があり、その下側…………っ、なん、だ? これ……。
「…………くっついてる?」
ギザギザの部分が、部品の下からはくっついているのだ。……くっついてると言えばいいのか? これは……。
「これはファスナー。この小さな一つ一つが互い違いに噛み合って、隙間が塞がるようになってる。
機械生産で作られた、私の世界では一般的な金具の一種。人の手ではまず作れへんもんや……。
生地はポリエステル、ウールが主。ウールは羊の毛。それとポリエステルは石油……黒い、地中から湧く油って分かる? それから作られた繊維を織り交ぜて織られてる」
サヤの言っていることが、全く理解不能だった。
そしてそれ以上に、目の前にあるものが、分からなかった。
ごくごくありふれた布地だと思っていたものが、異質すぎて、触れてしまったことが今更怖くなる。
石油は分かる……分かるけど……あれは、こんなものじゃない……。あんなものから、どうして糸ができる? どうして色が違う? どうしてあの独特な匂いが無い? どうしてそんなものを、身に纏うんだ?
「場違いな工芸品……ってな。ようは、その時代の技術では、到底作ることがかなわんはずのものを言う。
つまりこれや。私が、私の世界から持ち込んだものが、ほぼ、全部そう……」
そう言ったサヤは、俺の前に広げていた袴を、ぐしゃりと握り潰した。
きっちり綺麗に畳まれ、余計なしわなどひとつも入らないよう、気を付けてしまってあったはずになのに。
そうして何故か、震える声で絞り出すように「かんにん……」と、口にした。
「……なんで、謝る必要がある?」
「危険やて、思ってた。これがここにあったらあかんって、分かってた。
前……別館に、誰か侵入したことがあったやろ? あの時慌ててこれを確認した。
けど、失くなってへんかったし、きっとこれには、気付かんかったんやろうって……。
だけど本当は、そんな風に楽観したら、あかんかった。あの時処分せなあかんかった! ひやりとしたあの瞬間に、それは重々、分かってたのに!」
そうして、ボロボロと涙を零した。
あの時は……あの時のサヤは、まだ帰るはずだったのだ。自分の世界に。
だから、この衣服は必要だった。
「その後箱に入れて、釘で塞いで、取り出せんようにした。それで対策は充分やて、自分で言い訳した!
そのまま今日までずっと、大丈夫やって、思って……思い込んで!」
「……なんで今、箱を開けたの?」
そう問うと、サヤは暫く沈黙した……。
「……もう、ええ加減、覚悟せなあかんって、思うたの……。
ここに骨を埋めるって決めた。レイの隣におるて。
せやったら、私が異界の人間である証拠は、あったらあかん…………」
……処分、しようとしたのだ。
だから、厳重に封をしたはずの箱を開けた。そうしたら、腕時計が、失くなっていた。
ゾクリと背筋に悪寒が走った。
あったはずのものが失くなったのは、いつだ⁉︎
「……封は、してあったんだね?」
「うん、してあ、あった……」
「全部、確認したんだね」
「箱も、ひっくり返した。服も、一枚ずつふるって、確認した。
入れる時は、絶対にあった。スカートとブラウスの間に、下着と一緒に、挟んでしまったから」
ただひたすら泣くサヤを抱き寄せた。
考えろ。考えろ。どうすべきかを、今すぐ決断しなきゃならない。
一度しか見なかったけれど、あの小さく精巧な装飾品が特殊なものであることは、充分に理解していた。
それが無い。
まず考えられるのは、ここに誰かが侵入したかもしれないということ。
だけどここには、吠狼がいる。
一見分からないよう、この屋敷は常に警護されている。
なのにここに、侵入することができるだろうか?
「かんにん、かんにんほんま。私……」
「大丈夫。大丈夫だよ」
本当に大丈夫か?
サヤを抱く腕に力を込め、俺は自分に問うた。
腕時計を持ち去った人物は、いくつかあったこの異質なものたちの中から、それだけを持ち去ったのだ。
それは何故だ?
やはり、理由の一つは、発覚を遅らせるためだろう。
小さな小物ひとつだけなら、箱の重さはさして変わらなかったろうし、服に挟んであったなら、音がするでもない。釘で封印までされていたなら、そうそう開けられることもない……それを分かって、選んだんだ。
きちんと考えて行動している。
他のものだって充分価値があるものであったはず。
なのに、ただ一つだけを選び、持ち去った……。欲望を優先していない。なら転売目的じゃない。ちゃんと意図して、腕時計だけを、選び取ったのだ。
意思を感じた。誰かの思惑を。
腕時計だけで終わるのか? 否、きっとそれだけで満足なんてしない。
だけど目的のために、欲望を制御することのできる相手だ。
なら、次も狙ってくる……。
もっと良いものを、確実に得るために。
そう、相手の最終目的は…………。
きっと、サヤだ。
……もう、無理だ。
苦い思いで、その結論を下した。
これは、俺たちだけでどうにかできることじゃない。
サヤが異界の者だって知ってるのは、たったの六人。俺と、ハイン、ギル、マル、ワド、シザーだけだった。でももう、そうじゃない。第三者が、きっともう、何かしらを掴んでる……。サヤが特別であることを、知られてしまっている。
つまり既に、サヤを守りきれない段階に達している。
「…………サヤ、よく聞いて」
腕の中の華奢な肩を、小さく揺すって名を呼ぶと、濡れた瞳が俺を見上げる。
その瞳に、大丈夫だよと笑い掛けて、俺は息を吸った。
サヤを不安にさせては駄目だ。だから、落ち着け。ちゃんと対処できると、冷静だと、そう見せろ。
「サヤ、相談してみよう。皆に」
ジェイドと、アイル、ローシェンナに。
サヤのことを……本当のことを伝える。
その上で協力を仰ぐ。
彼らを信頼してる。それを示す必要もあると思う。
これは、皆の結束が揺らぎかねない事態だから。
俺が態度をはっきりさせなければ、きっと俺たちは、瓦解してしまう。
誤解を誤解のままにしておきたくない。ちゃんとサヤの言い分を聞き、理解ができたら、今一度説明するからと伝えたら。
「そンなこと必要ねぇよ、別に気にしちゃいねぇし……」
彼はそう言ったけれど、待っててと念を押した。
また長らく姿を眩まされたらたまらない。
サヤの部屋は、俺の部屋同様に片付いていて、間取りや家具は別館の時とさして変わらないはずなのに、妙に新鮮だ。
前に入った時は、緊急事態の最中で、部屋の中を見る余裕も無かったし……。
そのまま寝室に足を向けた彼女を追って良いのかどうか、ちょっと戸惑い、俺は主室で足を止めた。
ここの部屋には、壁紙が無い……。サヤが、漆喰壁と飾り板のみの、簡素な内装を求めたから。その代わり、ギルから貰った布の切れ端でちまちまと小物が作られ、部屋に彩りを添えている。
ふと、飾り棚の上に置かれた、何かの動物を模したと思しき人形が目についた。これは何かな……サヤの世界の動物?
「レイ」
なんとなしにその人形を見ていたら、サヤに呼ばれたから、慌てて足を進める。
やっぱり寝室、入らなきゃ駄目か……。い、いや、こんな時に別に、不埒なことを考えたりとかしてるわけじゃないけど。断じて、ないけど。
内心ではドキドキしながら、見ちゃ駄目なものが見える場所に置いてあったりしないよな? と、不安に思いつつ足を踏み入れると、窓際の化粧台の前に、サヤはいた。
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でもそれは、そんなことに構っていられないくらいに大変なことが起こっているのだと、サヤの表情でやっと理解した。
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「……サヤ、オーパーツって、何?」
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出会ったばかりのあの時は、サヤが全身濡れそぼっており、透けて肌が見えてしまっていたことや、膝がむき出しになっていたことに慌てて、あまり視線をやらないようにしていたから……その袴をきちんと見ていなかった。
サヤの世界の袴は、紺の無地だと思っていたけれど、細かい格子柄だった。
均一に、綺麗なひだがきっちりと並び、格子の柄のずれも無い。とても丁寧で、精巧なものであるようだ。
ギル辺りが見たら喜びそうだよな。生地は毛織物にしては……うん? これ、毛織物じゃないような……。でも、綿でもないよな、無論麻とも違う……なんだこれ?
サヤが敢えて広げて見せている箇所が、特に気になった。
腰の部分なのだが、一部開いており、留め金らしきものがある。けれどその下、何か、ギザギザと刻まれた……金属? よく分からない。紺色の、目立たない色をした、硬質な何か。
「……これ、何?」
考えても、分からなかった。触れてみたけれど、やっぱり分からない。謎の手触りだ。硬い……とにかくこの小さなもの一つ一つが全て同じ形で、寸分の狂いもなく等間隔に並んでいて、それがひだの間、割れ目の両側にある。
交わる箇所にはまた違う部品があり、その下側…………っ、なん、だ? これ……。
「…………くっついてる?」
ギザギザの部分が、部品の下からはくっついているのだ。……くっついてると言えばいいのか? これは……。
「これはファスナー。この小さな一つ一つが互い違いに噛み合って、隙間が塞がるようになってる。
機械生産で作られた、私の世界では一般的な金具の一種。人の手ではまず作れへんもんや……。
生地はポリエステル、ウールが主。ウールは羊の毛。それとポリエステルは石油……黒い、地中から湧く油って分かる? それから作られた繊維を織り交ぜて織られてる」
サヤの言っていることが、全く理解不能だった。
そしてそれ以上に、目の前にあるものが、分からなかった。
ごくごくありふれた布地だと思っていたものが、異質すぎて、触れてしまったことが今更怖くなる。
石油は分かる……分かるけど……あれは、こんなものじゃない……。あんなものから、どうして糸ができる? どうして色が違う? どうしてあの独特な匂いが無い? どうしてそんなものを、身に纏うんだ?
「場違いな工芸品……ってな。ようは、その時代の技術では、到底作ることがかなわんはずのものを言う。
つまりこれや。私が、私の世界から持ち込んだものが、ほぼ、全部そう……」
そう言ったサヤは、俺の前に広げていた袴を、ぐしゃりと握り潰した。
きっちり綺麗に畳まれ、余計なしわなどひとつも入らないよう、気を付けてしまってあったはずになのに。
そうして何故か、震える声で絞り出すように「かんにん……」と、口にした。
「……なんで、謝る必要がある?」
「危険やて、思ってた。これがここにあったらあかんって、分かってた。
前……別館に、誰か侵入したことがあったやろ? あの時慌ててこれを確認した。
けど、失くなってへんかったし、きっとこれには、気付かんかったんやろうって……。
だけど本当は、そんな風に楽観したら、あかんかった。あの時処分せなあかんかった! ひやりとしたあの瞬間に、それは重々、分かってたのに!」
そうして、ボロボロと涙を零した。
あの時は……あの時のサヤは、まだ帰るはずだったのだ。自分の世界に。
だから、この衣服は必要だった。
「その後箱に入れて、釘で塞いで、取り出せんようにした。それで対策は充分やて、自分で言い訳した!
そのまま今日までずっと、大丈夫やって、思って……思い込んで!」
「……なんで今、箱を開けたの?」
そう問うと、サヤは暫く沈黙した……。
「……もう、ええ加減、覚悟せなあかんって、思うたの……。
ここに骨を埋めるって決めた。レイの隣におるて。
せやったら、私が異界の人間である証拠は、あったらあかん…………」
……処分、しようとしたのだ。
だから、厳重に封をしたはずの箱を開けた。そうしたら、腕時計が、失くなっていた。
ゾクリと背筋に悪寒が走った。
あったはずのものが失くなったのは、いつだ⁉︎
「……封は、してあったんだね?」
「うん、してあ、あった……」
「全部、確認したんだね」
「箱も、ひっくり返した。服も、一枚ずつふるって、確認した。
入れる時は、絶対にあった。スカートとブラウスの間に、下着と一緒に、挟んでしまったから」
ただひたすら泣くサヤを抱き寄せた。
考えろ。考えろ。どうすべきかを、今すぐ決断しなきゃならない。
一度しか見なかったけれど、あの小さく精巧な装飾品が特殊なものであることは、充分に理解していた。
それが無い。
まず考えられるのは、ここに誰かが侵入したかもしれないということ。
だけどここには、吠狼がいる。
一見分からないよう、この屋敷は常に警護されている。
なのにここに、侵入することができるだろうか?
「かんにん、かんにんほんま。私……」
「大丈夫。大丈夫だよ」
本当に大丈夫か?
サヤを抱く腕に力を込め、俺は自分に問うた。
腕時計を持ち去った人物は、いくつかあったこの異質なものたちの中から、それだけを持ち去ったのだ。
それは何故だ?
やはり、理由の一つは、発覚を遅らせるためだろう。
小さな小物ひとつだけなら、箱の重さはさして変わらなかったろうし、服に挟んであったなら、音がするでもない。釘で封印までされていたなら、そうそう開けられることもない……それを分かって、選んだんだ。
きちんと考えて行動している。
他のものだって充分価値があるものであったはず。
なのに、ただ一つだけを選び、持ち去った……。欲望を優先していない。なら転売目的じゃない。ちゃんと意図して、腕時計だけを、選び取ったのだ。
意思を感じた。誰かの思惑を。
腕時計だけで終わるのか? 否、きっとそれだけで満足なんてしない。
だけど目的のために、欲望を制御することのできる相手だ。
なら、次も狙ってくる……。
もっと良いものを、確実に得るために。
そう、相手の最終目的は…………。
きっと、サヤだ。
……もう、無理だ。
苦い思いで、その結論を下した。
これは、俺たちだけでどうにかできることじゃない。
サヤが異界の者だって知ってるのは、たったの六人。俺と、ハイン、ギル、マル、ワド、シザーだけだった。でももう、そうじゃない。第三者が、きっともう、何かしらを掴んでる……。サヤが特別であることを、知られてしまっている。
つまり既に、サヤを守りきれない段階に達している。
「…………サヤ、よく聞いて」
腕の中の華奢な肩を、小さく揺すって名を呼ぶと、濡れた瞳が俺を見上げる。
その瞳に、大丈夫だよと笑い掛けて、俺は息を吸った。
サヤを不安にさせては駄目だ。だから、落ち着け。ちゃんと対処できると、冷静だと、そう見せろ。
「サヤ、相談してみよう。皆に」
ジェイドと、アイル、ローシェンナに。
サヤのことを……本当のことを伝える。
その上で協力を仰ぐ。
彼らを信頼してる。それを示す必要もあると思う。
これは、皆の結束が揺らぎかねない事態だから。
俺が態度をはっきりさせなければ、きっと俺たちは、瓦解してしまう。
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