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門出 12
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弁当持参の馬車旅。半日程で着いたセイバーン村は、異様な壁を除けば、ただのど田舎だ。
針子が試作を作る日となった今日、やはり我々の手は空いたので、こうして土嚢壁見学へと繰り出した。
ルーシーは耳飾の件があるので留守番。
ギルも残るかなと思ったのだけど、接待も仕事のうちとワドに言われたようで、一緒に来ている。
本日もサヤは女性の装いだ。まだ女従者の装いは完成していないし、俺の婚約者としての立場で過ごすからだ。
「レイ様久しぶり!」
「わー、でっかい人だ!」
「怪我してたって聞いたよ、もう大丈夫?」
「こっ、こら、今ダメ、お仕事中だからね」
「えー」
「お姫様いる。お姫様いるよ!」
「サヤにいちゃんが……ねえちゃん⁉︎」
村の子供が元気だ……。
今となってはやってくる貴族といえば俺くらいだから、警戒心が無くなってしまった。
キャッキャとはしゃいで絡みにくるのを必死で宥めるのだが、あまり意味を成してない。クオン様が呆気にとられて見ている。
サヤも、女性の装いを見せたことが無かったため、男だと思っていた子も多かった様子で、俺以上の子供に集られていた。
「貴方たち……舐められきってるじゃないの……」
「い、いや、田舎なんてこんなものですよ⁉︎ 前はあの丘の中程に屋敷があったもので、ほぼ毎日村を巡回していたし……」
「領主の館がこんなど田舎に? セイバーンって変わってるのね。しかも今度は解体予定の拠点村に領主の館って……」
「……いや、ここの館が燃えたのは不可抗力ですし、そうならざるを得なかったってだけですよ……」
「それにしたって……」
「あー……まぁ、子供らが元気なのは、今まであまり自由にできなかったのもあるかなって」
異母様方、ジェスルが大手を振っていた頃は、子供らだって好き勝手はしゃぎ回るわけにはいかなかったのだ。
けれど今、その脅威は去り、怯えながら生活をする必要はなくなった。
春のこの時期は、比較的畑に掛かる手間も少ないし、子供らは好きにはしゃぎ回っていても問題無い。
そのため、こうして集まってくるのだが……。
これはちょっと……今から貴族関係者も増えるから、親にしっかり言い聞かせておこう。手打ちにされたんじゃたまらないしな。
まぁでも……ジェスルがいた時はきちんとできてたんだし、相手を選んでるだけかもしれないけど……ん? じゃあやっぱり俺って舐められてるのか?
若干不安を抱きつつ、まあいいか、今は。と、流しておくことにした。
普段は大人しく木陰でままごとなんかをしている女の子の一団までがやって来て、リヴィ様方にうっとりしているのがなんとも可愛いし、今日くらいは大目に見よう。
そんな風に思っていたら、そのうち比較的勇気のある子が、リヴィ様方に今朝積んだばかりなのだろう、野花を持ってきた。
「これどうぞ」
「まぁ、ありがとう」
「おひめさま、とってもきれいね」
「嬉しいわ。でも私、お姫様じゃなくてよ」
「公爵家令嬢よね」
「おひめさまとこうしゃくけれいじょうはちがうの?」
「お姫様はね、クリスティーナ様お一人だけなの。もう少ししたら王様になっちゃうけど」
「おひめさまがおおさま! すごいのね!」
「…………アギーの孤児とか凄いスレてるのに……ここの子って、緩いわ」
「なんというのかしら、とてもこう、おおらかね?」
野花なんか差し出しちゃったので、ちょっとどうしようって思ってたのだけど、案外受け入れてもらえててホッとする。
しっかり遊んでおいでと皆を送り出してから、俺は彼女らの質問に答えを出した。
「遊ぶ余裕があるからでしょうね」
と。
「今年も氾濫が無かったので、経済的に余裕があるんです。今からも、無いはずですし、大人も少し、気持ちにゆとりが持てているのだと。
だから、子供も遊んでいる暇がある。……子供は、遊ばなきゃいけないって、俺も幼き頃に言われましたね」
「へぇ、誰に?」
「スランバートさん……ギルの父上です。
遊びの中には沢山の学びが詰まっているのだよ。本を読むのも大切だけど、体験しないと身にならないからね……。
と、そう言ってもらったの、今でも覚えてます」
冬の長期休暇だった。雪に閉ざされる時期は、王都でもやはり不便を強いられる。
あの当時の俺は、本さえ読んでいられれば良かったのだけど、晴れた日の憂さ晴らしにも出ようとしない俺を、心配してくれたのだろう。
記憶に無いなと首を傾げるギルに、ギルが風邪を引いて寝込んでた時だよと言うと、思い当たる記憶があった様子。
因みに学舎二年目の冬、二度目に長期休暇をお世話になった時だ。
「俺もあの頃は、まだいまいち馴染めてなかったから。
越冬中も、住み込みの使用人は忙しくしてたし、邪魔するのも申し訳なくて、ずっと部屋に篭って本を読んでたんだよ」
「あぁ……そういや……」
昨日より、もう少し口調が砕けてきたギル。
女性相手の時は基本的に紳士だから、どうしても畏まってしまっていたのだけど、サヤと接するようにとクオン様に注文をつけられて、苦心しているのだ。
サヤのように接するって、要はクオン様を女性として扱わないってことなんだけどなぁ……。良いのかな、それ。
「思い出してきた。俺の風邪が治ったら、今度はお前が引いてたんだよな、あの時」
「外遊びってしたことなかったから、加減が分からなかったんだ。
雪人形の作り方だけ教えてもらったから、それをずっと作ってたら、冷え過ぎたんだろうね」
「……外遊びしたことないって……どういうことよ?」
「あー……、こいつはちょっと、複雑だったんですよ」
こんな長閑な村、外遊び以外することなさそうじゃない。と、クオン様。ほんとそうだよねと笑うしかない。
ま、この話は暗くなってしまうからやめておこう。
「農家の子らは文字を書いたりや計算したりはできませんが、季節の巡りについてなら、俺なんて足元にも及ばない知識者ですよ。
ああやって遊びの中で、上が下に教え、自然が教え、学び取っていっています。
ちょっとした大気の変化で明日の天候だって当ててしまうしね。
彼らはとても優しいですし、大抵のことに寛容です。
降ってほしくない時の雨も、晴れてほしくない時の日照りも、彼らは許容しますからね。
自然をありのままに受け入れる度量が備わっているので、おおらかなのじゃないですか?」
「…………そんなものかしら」
村を巡ってから、遠目にも見えていた土嚢壁へと到着した。
既に土建組合員らが入り、道に作り変えるための準備が始まっている。
その中にルカの父……メバックの土建組合長が見受けられたのだけど、挨拶に来ようとする彼を、手振りで押し留めた。
取材だから、作業は続けてもらって構わない。ありのままをお見せする方が良いだろう。
うーん、ルカが拠点村で、組合長がここにいるってことは、今リタの家は母親とリタだけになってるのかな? まぁ他の組合員もいるかもだけど。
「……信じらんない。本当に袋? まるで岩を積んでるみたい……」
「本当に、ひと月足らずでこんな壁が作れますの?」
「皆の協力があってこそですよ。雨季まで間が無かったので、必死でしたし」
「今宿舎が建っている場所、あそこが丘だったんです。それを切り崩してここに積みました」
現在宿舎は土建組合員らや人足たちの寝泊まりする場となっている。賄いに関しては食事処が一手に引き受けてくれているはずだ。
ガウリィとエレノラ。そしてユミルが抜けたけれど、ダニルとカーリンは上手くこなしている様子。あの後、新たに見習いを雇ったとも聞いた。
ジェスルがセイバーンを離れたことで、村から出されていた若い女性らが、出稼ぎ先から帰って来ていたりもするようだ。
あぁ。子供らが明るい雰囲気なのは、その辺りも関係しているのかな。
壁まで到着すると、クオン様は感嘆の息を吐き、まず自身の背よりも高いその壁を見上げた。
そうして手が汚れることも厭わず、ペチペチと土嚢壁を叩きながら、壁沿いをゆっくり進む。
そのうち、階段状に積まれた袋を見つけ、そこに走り寄った。
「姉様、登れるわ!」
制止の声を掛ける間もなく上に登ってしまい、壁の上に立ったクオン様が「凄ーい!」と、歓声を上げる。なんか可愛い反応だ。
「子供みたいになってるな」
「彼の方まだ十五だから」
ギルの感想にそう返事を返す。
普段はすましているけれど、年相応の反応は好ましい。
と、クオン様を見上げてオロオロしているリヴィ様が視界に入った。
「リヴィ様も登ってみますか?」
「えっ⁉︎ でもあの、私は……」
「では僭越ながら私がお付き添いいたしますよ。さあ、こちらへどうぞ」
リヴィ様が、自身の体格を気にして遠慮しているのを敏感に察知したのだろう。それよりもはるかに大柄なギルが率先して土嚢壁を登り、リヴィ様に手を差し出す。
こういう、多くは語らないギルの優しさが、彼の彼たる所以だと思う。
ギルに促されて、遠慮しきれなかったリヴィ様は、ギルの手を借り、袴の裾を握って腰元に引き上げ、美しい所作で積まれた袋に足を乗せた。
その様子は本当に絵になるなと感心するほどなのに、当人らはお互いを遠慮してるっていう……なんとも不毛な感じだ。
「……ギルさん、どの女性にも優しいのだとは思うのですけど……」
「うん……それはそうなんだけど……」
リヴィ様には、ことのほか気を使っていると思うのは、気のせい、なのかなぁ……。
針子が試作を作る日となった今日、やはり我々の手は空いたので、こうして土嚢壁見学へと繰り出した。
ルーシーは耳飾の件があるので留守番。
ギルも残るかなと思ったのだけど、接待も仕事のうちとワドに言われたようで、一緒に来ている。
本日もサヤは女性の装いだ。まだ女従者の装いは完成していないし、俺の婚約者としての立場で過ごすからだ。
「レイ様久しぶり!」
「わー、でっかい人だ!」
「怪我してたって聞いたよ、もう大丈夫?」
「こっ、こら、今ダメ、お仕事中だからね」
「えー」
「お姫様いる。お姫様いるよ!」
「サヤにいちゃんが……ねえちゃん⁉︎」
村の子供が元気だ……。
今となってはやってくる貴族といえば俺くらいだから、警戒心が無くなってしまった。
キャッキャとはしゃいで絡みにくるのを必死で宥めるのだが、あまり意味を成してない。クオン様が呆気にとられて見ている。
サヤも、女性の装いを見せたことが無かったため、男だと思っていた子も多かった様子で、俺以上の子供に集られていた。
「貴方たち……舐められきってるじゃないの……」
「い、いや、田舎なんてこんなものですよ⁉︎ 前はあの丘の中程に屋敷があったもので、ほぼ毎日村を巡回していたし……」
「領主の館がこんなど田舎に? セイバーンって変わってるのね。しかも今度は解体予定の拠点村に領主の館って……」
「……いや、ここの館が燃えたのは不可抗力ですし、そうならざるを得なかったってだけですよ……」
「それにしたって……」
「あー……まぁ、子供らが元気なのは、今まであまり自由にできなかったのもあるかなって」
異母様方、ジェスルが大手を振っていた頃は、子供らだって好き勝手はしゃぎ回るわけにはいかなかったのだ。
けれど今、その脅威は去り、怯えながら生活をする必要はなくなった。
春のこの時期は、比較的畑に掛かる手間も少ないし、子供らは好きにはしゃぎ回っていても問題無い。
そのため、こうして集まってくるのだが……。
これはちょっと……今から貴族関係者も増えるから、親にしっかり言い聞かせておこう。手打ちにされたんじゃたまらないしな。
まぁでも……ジェスルがいた時はきちんとできてたんだし、相手を選んでるだけかもしれないけど……ん? じゃあやっぱり俺って舐められてるのか?
若干不安を抱きつつ、まあいいか、今は。と、流しておくことにした。
普段は大人しく木陰でままごとなんかをしている女の子の一団までがやって来て、リヴィ様方にうっとりしているのがなんとも可愛いし、今日くらいは大目に見よう。
そんな風に思っていたら、そのうち比較的勇気のある子が、リヴィ様方に今朝積んだばかりなのだろう、野花を持ってきた。
「これどうぞ」
「まぁ、ありがとう」
「おひめさま、とってもきれいね」
「嬉しいわ。でも私、お姫様じゃなくてよ」
「公爵家令嬢よね」
「おひめさまとこうしゃくけれいじょうはちがうの?」
「お姫様はね、クリスティーナ様お一人だけなの。もう少ししたら王様になっちゃうけど」
「おひめさまがおおさま! すごいのね!」
「…………アギーの孤児とか凄いスレてるのに……ここの子って、緩いわ」
「なんというのかしら、とてもこう、おおらかね?」
野花なんか差し出しちゃったので、ちょっとどうしようって思ってたのだけど、案外受け入れてもらえててホッとする。
しっかり遊んでおいでと皆を送り出してから、俺は彼女らの質問に答えを出した。
「遊ぶ余裕があるからでしょうね」
と。
「今年も氾濫が無かったので、経済的に余裕があるんです。今からも、無いはずですし、大人も少し、気持ちにゆとりが持てているのだと。
だから、子供も遊んでいる暇がある。……子供は、遊ばなきゃいけないって、俺も幼き頃に言われましたね」
「へぇ、誰に?」
「スランバートさん……ギルの父上です。
遊びの中には沢山の学びが詰まっているのだよ。本を読むのも大切だけど、体験しないと身にならないからね……。
と、そう言ってもらったの、今でも覚えてます」
冬の長期休暇だった。雪に閉ざされる時期は、王都でもやはり不便を強いられる。
あの当時の俺は、本さえ読んでいられれば良かったのだけど、晴れた日の憂さ晴らしにも出ようとしない俺を、心配してくれたのだろう。
記憶に無いなと首を傾げるギルに、ギルが風邪を引いて寝込んでた時だよと言うと、思い当たる記憶があった様子。
因みに学舎二年目の冬、二度目に長期休暇をお世話になった時だ。
「俺もあの頃は、まだいまいち馴染めてなかったから。
越冬中も、住み込みの使用人は忙しくしてたし、邪魔するのも申し訳なくて、ずっと部屋に篭って本を読んでたんだよ」
「あぁ……そういや……」
昨日より、もう少し口調が砕けてきたギル。
女性相手の時は基本的に紳士だから、どうしても畏まってしまっていたのだけど、サヤと接するようにとクオン様に注文をつけられて、苦心しているのだ。
サヤのように接するって、要はクオン様を女性として扱わないってことなんだけどなぁ……。良いのかな、それ。
「思い出してきた。俺の風邪が治ったら、今度はお前が引いてたんだよな、あの時」
「外遊びってしたことなかったから、加減が分からなかったんだ。
雪人形の作り方だけ教えてもらったから、それをずっと作ってたら、冷え過ぎたんだろうね」
「……外遊びしたことないって……どういうことよ?」
「あー……、こいつはちょっと、複雑だったんですよ」
こんな長閑な村、外遊び以外することなさそうじゃない。と、クオン様。ほんとそうだよねと笑うしかない。
ま、この話は暗くなってしまうからやめておこう。
「農家の子らは文字を書いたりや計算したりはできませんが、季節の巡りについてなら、俺なんて足元にも及ばない知識者ですよ。
ああやって遊びの中で、上が下に教え、自然が教え、学び取っていっています。
ちょっとした大気の変化で明日の天候だって当ててしまうしね。
彼らはとても優しいですし、大抵のことに寛容です。
降ってほしくない時の雨も、晴れてほしくない時の日照りも、彼らは許容しますからね。
自然をありのままに受け入れる度量が備わっているので、おおらかなのじゃないですか?」
「…………そんなものかしら」
村を巡ってから、遠目にも見えていた土嚢壁へと到着した。
既に土建組合員らが入り、道に作り変えるための準備が始まっている。
その中にルカの父……メバックの土建組合長が見受けられたのだけど、挨拶に来ようとする彼を、手振りで押し留めた。
取材だから、作業は続けてもらって構わない。ありのままをお見せする方が良いだろう。
うーん、ルカが拠点村で、組合長がここにいるってことは、今リタの家は母親とリタだけになってるのかな? まぁ他の組合員もいるかもだけど。
「……信じらんない。本当に袋? まるで岩を積んでるみたい……」
「本当に、ひと月足らずでこんな壁が作れますの?」
「皆の協力があってこそですよ。雨季まで間が無かったので、必死でしたし」
「今宿舎が建っている場所、あそこが丘だったんです。それを切り崩してここに積みました」
現在宿舎は土建組合員らや人足たちの寝泊まりする場となっている。賄いに関しては食事処が一手に引き受けてくれているはずだ。
ガウリィとエレノラ。そしてユミルが抜けたけれど、ダニルとカーリンは上手くこなしている様子。あの後、新たに見習いを雇ったとも聞いた。
ジェスルがセイバーンを離れたことで、村から出されていた若い女性らが、出稼ぎ先から帰って来ていたりもするようだ。
あぁ。子供らが明るい雰囲気なのは、その辺りも関係しているのかな。
壁まで到着すると、クオン様は感嘆の息を吐き、まず自身の背よりも高いその壁を見上げた。
そうして手が汚れることも厭わず、ペチペチと土嚢壁を叩きながら、壁沿いをゆっくり進む。
そのうち、階段状に積まれた袋を見つけ、そこに走り寄った。
「姉様、登れるわ!」
制止の声を掛ける間もなく上に登ってしまい、壁の上に立ったクオン様が「凄ーい!」と、歓声を上げる。なんか可愛い反応だ。
「子供みたいになってるな」
「彼の方まだ十五だから」
ギルの感想にそう返事を返す。
普段はすましているけれど、年相応の反応は好ましい。
と、クオン様を見上げてオロオロしているリヴィ様が視界に入った。
「リヴィ様も登ってみますか?」
「えっ⁉︎ でもあの、私は……」
「では僭越ながら私がお付き添いいたしますよ。さあ、こちらへどうぞ」
リヴィ様が、自身の体格を気にして遠慮しているのを敏感に察知したのだろう。それよりもはるかに大柄なギルが率先して土嚢壁を登り、リヴィ様に手を差し出す。
こういう、多くは語らないギルの優しさが、彼の彼たる所以だと思う。
ギルに促されて、遠慮しきれなかったリヴィ様は、ギルの手を借り、袴の裾を握って腰元に引き上げ、美しい所作で積まれた袋に足を乗せた。
その様子は本当に絵になるなと感心するほどなのに、当人らはお互いを遠慮してるっていう……なんとも不毛な感じだ。
「……ギルさん、どの女性にも優しいのだとは思うのですけど……」
「うん……それはそうなんだけど……」
リヴィ様には、ことのほか気を使っていると思うのは、気のせい、なのかなぁ……。
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