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神殿 3
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時間が止まってしまったかのように、お互いが言葉を無くしていた。
目の前の白髪の男……整った容貌の青年だ。年はオブシズよりは下だろう。瞳は深い青緑。
王家の方? でもそれはあり得ない。王家に男性の白は国王様のみ、後継の姫様を除き、白はもう、存在していないはず……⁉︎
正直混乱していたと思う。そんな中、まずは白髪の男が我に返った。
「そこな少年……其方、その髪は黒いのかい?」
その質問に、問われたサヤはまず、瞬きを数度繰り返した。
そうしてから「はい」と、言葉少なに返事を返す。
「……初めて見た。黒い髪……存在するのか……」
「はい……ここではかなり珍しいみたいです……」
「ここでは? 其方異国の者か?」
その言葉に俺もやっと頭が働いた。
慌ててその男とサヤとの間に体を挟み、サヤを背に隠す。
瞬間男の瞳が、サヤを、欲した気がしたのだ。
「私の部下が失礼を致しました。
ですがこちらの女性、足を痛めている様子であったため……」
「あぁ、いや! こちらこそ申し訳ございません。
人がいるとは思っておらず……彼女に気付いていなかった。……怪我をさせてしまうところでしたね」
俺の言葉に慌てて言葉を返す白髪の男。
通りの向こう側で交わされていた鋭い口調は影を潜め、柔和な柔らかいものになっていた。
肩で切りそろえられた白髪……簡素な白い法衣……全身が白一色であるためどうしても王家を彷彿とさせられるが、法衣を身に纏っている以上、神職者なのだろう。
唯一の色は瞳の青緑……だが、姫様とは違う雰囲気だ。なんだろう?と、考え、肌の色だと気付いた。抜けるような白ではない……陽の光の下で生活する色だ。
だが……髪が白い……どう見ても白い…………王家以外で白い方がいらっしゃるとすれば、公爵家のいずれかの方となる。けれど、法衣を纏っていらっしゃる以上地位は捨てているのだよな……。姫様は公爵家の系譜にも白い方が存在していたとおっしゃっていたが、現存しているという話は聞いていない。では、この方はもしやヴァーリンの白い方か? だが隠されていたはずで、こうして人前に姿を現して良い立場にはいないだろう。何より姫様はまだ王位を継いでいらっしゃらない、病を公表していない。なのにこの方はこうして人前に姿を晒している。おかしい。じゃあ公爵家に隠されていた白い方はこの方ではないということか? ならばこの人はいったい誰で、何故白いのか……⁉︎
頭の中は混乱し、思考が嵐に翻弄されるが如く乱れていたのだけど……。
「…………面白い方ですね。私の髪を見ても、驚いた顔をなさらないとは……」
うっすらと微笑みそう言った男の言葉で、表情を作り忘れていたことに気付いた。
「……いえ、驚いていますよ。顔に出す余裕が無かっただけで……」
「ははっ、いやいや。後ろの方々は固まってしまっているというのに、貴方は動けた。そして私とこうして言葉を交わしている……。
そんな方はとても稀ですよ。それとも……珍しい黒髪の少年を部下に持っていらっしゃるから、こういった特殊なものには慣れてらっしゃる?」
首を傾げて、面白そうに白髪の男は問う。
自分の髪が特殊であることは自覚している……。まぁ、当然そうだよな。
この国にいて、白が特別でない者などいないのだから。
「慣れている……わけではないと、思います。
ただ、どうして白いのか、そうなった理由を先に、考えていました」
「……ははは、なった理由? 理由があるなんて考える人は初めてだな。面白いですね!
それとも……近しい方にこんな風になった方がいらっしゃいましたか?
御察しの通り、私の髪は生まれつきの色ではありません。後に授かったものです」
少々勘違いをされてしまったようだ。
察したわけではなく……いや、だけどまぁ、そうしておく方が無難かな。王家の白が病ですし……なんて風には口にできないのだし。
それにしても、授かった……という言い方が、神職者だよなと思った。
王家の白を尊び、自らも白い法衣を纏う。地位も私欲も捨て、神に仕えることを第一として生きる。
……この方はともかく、後ろの巨体の人なんかは全くそれができているようには見えてこないし、俺たちを案内した神官に至っては金をせびろうとする程には欲にまみれているのだけど……。
「若かりし頃、生死を彷徨うような怪我をしましてね……。
その試練に打ち勝った時に、授かりました……。神に仕える身として、これほどの栄誉はありません……」
そう言って男は微笑んだ。
「とはいえ、この白は悪目立ちしますし、不敬と捉えられると困ってしまいますから、普段は表には出さぬようにしております。
神殿の高位関係者と、国の上層部……役持ちの方のみにしか明かしておりませんから、どうかご内密に願いたいのですが……」
「承知いたしました。
……とはいえ、でしたらまた王都にてお会いすることがあるやもしれません。その時は、よろしくお願い致します」
役職を賜るとお会いする機会がある人物……ということは、神殿内でかなり高位の方なんだなと思った。
成る程、こんな方を相手にしていれば、男爵家の成人前など相手にしていられない。
そう思って返した言葉であったのだけど……。
「…………お会いする……?」
俺の返答に男は不思議そうな顔になり、我に返った司祭らは怒りで顔を赤くした。
「男爵家の未熟者が何を言う! この方はそうやすやすとお目にかかれるお方ではないわ!
おい、さっさとお帰りいただけ! 司教様は多忙であられるのだからな!」
特別な人と言葉を交わす俺に腹が立ったらしい。怒りのままに言葉を吐き、神官の肩をバシンと叩く巨体の男。
司教様ときた。
まだお若い方なのに凄いな……と、正直思ったのだけど……。
「王都……男爵家の成人前……もしや、セイバーンのお方?」
白髪の方は、俺との会話を止める気は無かった様子。
司祭の言葉を無視して俺にそう聞いてきた。
「…………は……はい、いかにも、そうですが……」
「やはり! 成人前で役職を賜るのは貴方様のみと伺っております! これは失礼をいたしました。
まさかお会いする機会に恵まれようとは……これもアミ神の計らいでしょうか。なんと有難い。
私も、春よりこの南の地域を統べる司教に任じられます、名をアレクセイと申します。どうぞこれより宜しくお願い致します」
「こ、こちらこそ。レイシール・ハツェン・セイバーンと申します……。
見ての通りの未熟者ゆえ、色々と至らないことも多いかと思いますが、どうぞ宜しくお願い致します」
挨拶の先を越されてしまい、慌てて俺も名を名乗る。
立ち居振る舞いからしてやはり、貴族出身の方なのだろう。だが姓は名乗らなかった。もう捨てているからなのだろうな。
若かりし頃に怪我が原因で髪の色を失ったということだが……そんなことってあるのかな……。
不思議に思ったけれど、この方自身に聞くわけにもいかない。後でサヤに聞いてみようと、頭の中に書き記した。
「お忙しい方を煩わせてしまいました。申し訳ない。どうぞお先へ。我々は……急ぎませんから」
女性の様子を確認しなくてはならないし、こちらの出入り口は利用してはいけないらしいから、そう言ってお帰りを促した。
司祭があの巨体の男だと分かっただけ良しとするか。
俺が成人前の身で役職を賜ると聞いて唖然としてしまっているが、権威には弱そうだし……明日ならば話を聞くと言うのだから、明日聞いてもらおう。
そう思い先を譲ったのだけど……。
「はて……こちら側にいらっしゃっているということは、ご用がおありだったのでは?
私の案件は終わりましたから、今から時間はいくらだってあると思いますが」
やんわりと話の切り上げを拒否した司教様が、そう言って司祭を振り返った。
「私の案件はそれほど重要度の高いものでしたか?
新任の挨拶など、後回しで全く構いませんでしたが……」
声音が幾分か重たくなった。
貴族が複数名で連れ立って訪れている。その状況に俺たちが重要な案件を抱えていると判断した様子。
慌てる神官と、動揺を隠せない司祭。
そこに「国の事業に関わる案件だということは伝えてあったのだがな」と、ディート殿の声が割って入り、より一層神官は取り乱し、司祭は「聞いておらぬぞ⁉︎」と、神官の叱責を始めてしまった。
そうこうしている間に立ち直ったらしいディート殿とオブシズが、こちらに足を進めてきた。
俺と並んだディート殿は、外套を跳ねあげ、服装があえて見えるように晒していた。アレクセイ殿は、きっと彼の服装を見ていたろうな。近衛が正装でここに来ているなら、重要度は当然高いだろうと判断したのだ。
「いや、すまんな。俺としたことが……流石に驚いた」
「申し訳ありません」
それと並行して、サヤが女性を促して後方に下がるのを気配で察した。
彼女がずっと俺の背後にいたのは、俺の守りのためであったらしい。
アレクセイ殿の瞳が、今度はオブシズを見る。
この人……珍しいものが好きなのかな? オブシズの瞳にも興味を惹かれた様子だ。
「ほう、それは……私もお聞きしておく方が、良いでしょうね。
私の着任する神殿はアギー領の別の神殿なのですが……そこからアギーはもとより、セイバーン・オースト・ヴェルテ・ヒレンブラントの神殿を統括することとなります。
国の事業というならば、当然私も関わる。
同席を許していただけますか?
申し訳ないのですが、私の着任は戴冠式後となります。ゆえに、今はなんの権限も持ち合わせていないのですが……」
きっと俺たちの対する侘びの気持ちと、この司祭に任せていては駄目だという意識が働いたのだと思う。
アレクセイ殿のその言葉に、ディート殿は俺に視線を寄越した。俺の判断で構わない……という意味だろう。
「はい……でしたら、よろしくお願い致します」
「いやぁ良かった! 今日聞いてもらえるならば、レイ殿が戴冠式に遅刻してくる心配が減るな!」
ここぞとばかりにディート殿。
その言葉に、またくるりと振り返るアレクセイ殿。
いったいどんな表情をしていたのか、強欲な神官と巨体の司祭は震え上がった。
目の前の白髪の男……整った容貌の青年だ。年はオブシズよりは下だろう。瞳は深い青緑。
王家の方? でもそれはあり得ない。王家に男性の白は国王様のみ、後継の姫様を除き、白はもう、存在していないはず……⁉︎
正直混乱していたと思う。そんな中、まずは白髪の男が我に返った。
「そこな少年……其方、その髪は黒いのかい?」
その質問に、問われたサヤはまず、瞬きを数度繰り返した。
そうしてから「はい」と、言葉少なに返事を返す。
「……初めて見た。黒い髪……存在するのか……」
「はい……ここではかなり珍しいみたいです……」
「ここでは? 其方異国の者か?」
その言葉に俺もやっと頭が働いた。
慌ててその男とサヤとの間に体を挟み、サヤを背に隠す。
瞬間男の瞳が、サヤを、欲した気がしたのだ。
「私の部下が失礼を致しました。
ですがこちらの女性、足を痛めている様子であったため……」
「あぁ、いや! こちらこそ申し訳ございません。
人がいるとは思っておらず……彼女に気付いていなかった。……怪我をさせてしまうところでしたね」
俺の言葉に慌てて言葉を返す白髪の男。
通りの向こう側で交わされていた鋭い口調は影を潜め、柔和な柔らかいものになっていた。
肩で切りそろえられた白髪……簡素な白い法衣……全身が白一色であるためどうしても王家を彷彿とさせられるが、法衣を身に纏っている以上、神職者なのだろう。
唯一の色は瞳の青緑……だが、姫様とは違う雰囲気だ。なんだろう?と、考え、肌の色だと気付いた。抜けるような白ではない……陽の光の下で生活する色だ。
だが……髪が白い……どう見ても白い…………王家以外で白い方がいらっしゃるとすれば、公爵家のいずれかの方となる。けれど、法衣を纏っていらっしゃる以上地位は捨てているのだよな……。姫様は公爵家の系譜にも白い方が存在していたとおっしゃっていたが、現存しているという話は聞いていない。では、この方はもしやヴァーリンの白い方か? だが隠されていたはずで、こうして人前に姿を現して良い立場にはいないだろう。何より姫様はまだ王位を継いでいらっしゃらない、病を公表していない。なのにこの方はこうして人前に姿を晒している。おかしい。じゃあ公爵家に隠されていた白い方はこの方ではないということか? ならばこの人はいったい誰で、何故白いのか……⁉︎
頭の中は混乱し、思考が嵐に翻弄されるが如く乱れていたのだけど……。
「…………面白い方ですね。私の髪を見ても、驚いた顔をなさらないとは……」
うっすらと微笑みそう言った男の言葉で、表情を作り忘れていたことに気付いた。
「……いえ、驚いていますよ。顔に出す余裕が無かっただけで……」
「ははっ、いやいや。後ろの方々は固まってしまっているというのに、貴方は動けた。そして私とこうして言葉を交わしている……。
そんな方はとても稀ですよ。それとも……珍しい黒髪の少年を部下に持っていらっしゃるから、こういった特殊なものには慣れてらっしゃる?」
首を傾げて、面白そうに白髪の男は問う。
自分の髪が特殊であることは自覚している……。まぁ、当然そうだよな。
この国にいて、白が特別でない者などいないのだから。
「慣れている……わけではないと、思います。
ただ、どうして白いのか、そうなった理由を先に、考えていました」
「……ははは、なった理由? 理由があるなんて考える人は初めてだな。面白いですね!
それとも……近しい方にこんな風になった方がいらっしゃいましたか?
御察しの通り、私の髪は生まれつきの色ではありません。後に授かったものです」
少々勘違いをされてしまったようだ。
察したわけではなく……いや、だけどまぁ、そうしておく方が無難かな。王家の白が病ですし……なんて風には口にできないのだし。
それにしても、授かった……という言い方が、神職者だよなと思った。
王家の白を尊び、自らも白い法衣を纏う。地位も私欲も捨て、神に仕えることを第一として生きる。
……この方はともかく、後ろの巨体の人なんかは全くそれができているようには見えてこないし、俺たちを案内した神官に至っては金をせびろうとする程には欲にまみれているのだけど……。
「若かりし頃、生死を彷徨うような怪我をしましてね……。
その試練に打ち勝った時に、授かりました……。神に仕える身として、これほどの栄誉はありません……」
そう言って男は微笑んだ。
「とはいえ、この白は悪目立ちしますし、不敬と捉えられると困ってしまいますから、普段は表には出さぬようにしております。
神殿の高位関係者と、国の上層部……役持ちの方のみにしか明かしておりませんから、どうかご内密に願いたいのですが……」
「承知いたしました。
……とはいえ、でしたらまた王都にてお会いすることがあるやもしれません。その時は、よろしくお願い致します」
役職を賜るとお会いする機会がある人物……ということは、神殿内でかなり高位の方なんだなと思った。
成る程、こんな方を相手にしていれば、男爵家の成人前など相手にしていられない。
そう思って返した言葉であったのだけど……。
「…………お会いする……?」
俺の返答に男は不思議そうな顔になり、我に返った司祭らは怒りで顔を赤くした。
「男爵家の未熟者が何を言う! この方はそうやすやすとお目にかかれるお方ではないわ!
おい、さっさとお帰りいただけ! 司教様は多忙であられるのだからな!」
特別な人と言葉を交わす俺に腹が立ったらしい。怒りのままに言葉を吐き、神官の肩をバシンと叩く巨体の男。
司教様ときた。
まだお若い方なのに凄いな……と、正直思ったのだけど……。
「王都……男爵家の成人前……もしや、セイバーンのお方?」
白髪の方は、俺との会話を止める気は無かった様子。
司祭の言葉を無視して俺にそう聞いてきた。
「…………は……はい、いかにも、そうですが……」
「やはり! 成人前で役職を賜るのは貴方様のみと伺っております! これは失礼をいたしました。
まさかお会いする機会に恵まれようとは……これもアミ神の計らいでしょうか。なんと有難い。
私も、春よりこの南の地域を統べる司教に任じられます、名をアレクセイと申します。どうぞこれより宜しくお願い致します」
「こ、こちらこそ。レイシール・ハツェン・セイバーンと申します……。
見ての通りの未熟者ゆえ、色々と至らないことも多いかと思いますが、どうぞ宜しくお願い致します」
挨拶の先を越されてしまい、慌てて俺も名を名乗る。
立ち居振る舞いからしてやはり、貴族出身の方なのだろう。だが姓は名乗らなかった。もう捨てているからなのだろうな。
若かりし頃に怪我が原因で髪の色を失ったということだが……そんなことってあるのかな……。
不思議に思ったけれど、この方自身に聞くわけにもいかない。後でサヤに聞いてみようと、頭の中に書き記した。
「お忙しい方を煩わせてしまいました。申し訳ない。どうぞお先へ。我々は……急ぎませんから」
女性の様子を確認しなくてはならないし、こちらの出入り口は利用してはいけないらしいから、そう言ってお帰りを促した。
司祭があの巨体の男だと分かっただけ良しとするか。
俺が成人前の身で役職を賜ると聞いて唖然としてしまっているが、権威には弱そうだし……明日ならば話を聞くと言うのだから、明日聞いてもらおう。
そう思い先を譲ったのだけど……。
「はて……こちら側にいらっしゃっているということは、ご用がおありだったのでは?
私の案件は終わりましたから、今から時間はいくらだってあると思いますが」
やんわりと話の切り上げを拒否した司教様が、そう言って司祭を振り返った。
「私の案件はそれほど重要度の高いものでしたか?
新任の挨拶など、後回しで全く構いませんでしたが……」
声音が幾分か重たくなった。
貴族が複数名で連れ立って訪れている。その状況に俺たちが重要な案件を抱えていると判断した様子。
慌てる神官と、動揺を隠せない司祭。
そこに「国の事業に関わる案件だということは伝えてあったのだがな」と、ディート殿の声が割って入り、より一層神官は取り乱し、司祭は「聞いておらぬぞ⁉︎」と、神官の叱責を始めてしまった。
そうこうしている間に立ち直ったらしいディート殿とオブシズが、こちらに足を進めてきた。
俺と並んだディート殿は、外套を跳ねあげ、服装があえて見えるように晒していた。アレクセイ殿は、きっと彼の服装を見ていたろうな。近衛が正装でここに来ているなら、重要度は当然高いだろうと判断したのだ。
「いや、すまんな。俺としたことが……流石に驚いた」
「申し訳ありません」
それと並行して、サヤが女性を促して後方に下がるのを気配で察した。
彼女がずっと俺の背後にいたのは、俺の守りのためであったらしい。
アレクセイ殿の瞳が、今度はオブシズを見る。
この人……珍しいものが好きなのかな? オブシズの瞳にも興味を惹かれた様子だ。
「ほう、それは……私もお聞きしておく方が、良いでしょうね。
私の着任する神殿はアギー領の別の神殿なのですが……そこからアギーはもとより、セイバーン・オースト・ヴェルテ・ヒレンブラントの神殿を統括することとなります。
国の事業というならば、当然私も関わる。
同席を許していただけますか?
申し訳ないのですが、私の着任は戴冠式後となります。ゆえに、今はなんの権限も持ち合わせていないのですが……」
きっと俺たちの対する侘びの気持ちと、この司祭に任せていては駄目だという意識が働いたのだと思う。
アレクセイ殿のその言葉に、ディート殿は俺に視線を寄越した。俺の判断で構わない……という意味だろう。
「はい……でしたら、よろしくお願い致します」
「いやぁ良かった! 今日聞いてもらえるならば、レイ殿が戴冠式に遅刻してくる心配が減るな!」
ここぞとばかりにディート殿。
その言葉に、またくるりと振り返るアレクセイ殿。
いったいどんな表情をしていたのか、強欲な神官と巨体の司祭は震え上がった。
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