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望む未来 12
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「貴様となど、願い下げだ‼︎
私はっ、王を生み出す家畜ではないわ‼︎」
怒りに任せて、姫様が小机をタンッ!と叩く。
姫様とリーカ様……二人とも表情に憤りを滲ませ、リカルド様を睨め付ける。対するリカルド様は、腕を組み、片眉をあげて、不敵な表情。その背後の従者殿は……無表情。
リカルド様の居丈高な態度を、当然のこととして受け止めている。
ルオード様にも視線をやった。
苦渋に満ちた表情。最後にちらりと、心配そうに、姫様に視線をやった。
ああ、ルオード様は、姫様が傷付かれたであろうことを、心配している……。どこか、突き放した様な態度を取っていても彼の方は、今もクリスタ様を、姫様を、大切に思ってらしゃるんだ。
……これは、今この場でどうこうできることじゃない。
齟齬がある。
何かは分からないが、俺の預かり知らない場所で、動いている何かがある。
リカルド様の態度は、それに対する布石の動きだ。
冷静に観察すればするほど、不自然さが殆ど無いほどに、繰り返し、刷り込まれた演技なのだと確信を持てた。この方……常時、演じているのだ。この気質を。
けれど、瞳が違う。冷静な部分がたまに垣間見える。
ここに来られた時は違った。あれは本心から動いていた。俺に向けた怒りも、演技では無い。そこは確信を持てる。
媚び諂い、姫様に責任を蔑ろにさせる其方は国の害だ。
怒りを内包し、淡々と述べたあの時のリカルド様は、本来の彼だ。
けれど、俺を無礼者と罵って手を振り上げた時のあれは、演技だ。
なんだ、冷静になれば、案外見えてくる……。
この方は粗野な乱暴者ではない、凄く冷静で、頭のきれる方だ。
「リカルド様、一つ、お聞きしたいのですが……」
状況が分からないから、下手な探りは入れない方が良いだろう。後でマルが何か掴んでないか、確認してから行動した方が良い。
けれど、先程の会話に少し気になった部分があったから、それだけは確認しようかと思った。
少々、揺さぶってみようと思ったのもある。
「心情的に受け入れられない……と、思われるのは、何故ですか」
家の取り決めたこと。亡くなられた姉上様の関わること。その言葉でなんとなく、推測は出来たが敢えて聞いた。
「ふん、もともと私は、クリスティーナ様の婚約者ではないからな」
どうでも良いことの様に、表情を作る。けれど……。
「申し訳ありません。片田舎で畑だけを相手にしていると、世間に疎くなりますから」
姉上様の婚約者であったのが、姉上様が亡くなられたから……と、いうことなのか。
茶に手を伸ばすリカルド様。
感情の制御に労力を割く時の癖かな。他の動作で、表情を隠し、誤魔化すのは。
なんにしても、俺のリカルド様への印象は、随分と変わった。
どこかで、この方と語る時間はあるだろうか……出来れば、邪魔の無い状態で。
「……あの、この話し合い、もう少し時間を空けてから、再度行いませんか。
今はまだ、感情が荒れています。冷静な言葉を選べない。それでは、纏まらないでしょうから」
黙って背後に立つマルを意識しつつ、そう切り出した。
まずは大急ぎで、情報の共有を行いたい。
「ふん、貴様と話す必要を、私は感じぬ。もう充分と思うが」
「そうでしょうか?私は……まだ全く、足りていないと思いますが。
リカルド様には、今の少ないお時間で、きちんと私の人となりを理解して頂けたのでしょうか?
……心外だな。まだ俺、結構、猫を被ってますよ?」
わざと、不敬を承知で態度を崩してみた。
喧嘩を売ったと見えるだろう。けれどこの方が冷静ならば、そこに何か、含みを感じてくれるのではないか。そう期待したのだ。
「……癪に触る男よな。姫様の寵愛あればこそか?虎の威を借りるのが得意とみえる」
「寵愛……そうですね。昔から、ちょっと俺を甘やかしすぎだと思うのですが。
今回も、思いの外高評価を頂いて、望外の結果でした。
リカルド様も……王となる為の心構を、ありがとうございます。買いかぶられ過ぎていて、少々居心地悪いですけどね」
リカルド様の配下の方の、圧が強くなる。
あ、こっちの方は俺をいけ好かない奴と認定した様子だ。
リカルド様は……俺を凝視したままだ。まだ感情は揺るがない。
だからわざと、機嫌を損ねるであろう言葉を、口にすることにする。
「俺は、王の器ではありませんよ。そんな責任には、耐えられない。
ですが、まあ……囲われる程度なら、考えてみようかと思えます」
覚悟して、口にしたけれど……鳥肌が立った。忌避感が半端ない。
囲われる……。母と同じ道を歩む。絶対に願い下げだ。けれど……今は、駆け引きの最中だ。これも、その為の一手。
自分に言い聞かせて、感情を押し殺した。
「……」
ゆらりと席を立ったリカルド様が、無造作に俺の肩口に手を伸ばす。そのまま服を掴み、吊り上げる様に、引き寄せる。
「調子にのるなよ、小倅……」
冷静な瞳が、重く怒りを押し殺した声音で、淡々と俺に言う。眼前に、リカルド様の顔がある。
「リカルド!その手を離せ‼︎」
姫様が、慌てて席を立ち、止めに入ろうとするが、俺はそれを手で制した。
大丈夫、計算尽くです。言葉にはしないが。
「二人だけで、話しませんか」
唇を動かさず、眼前のリカルド様だけに、そう伝えた。
是と、冷静な瞳が瞬く。
暫く睨み合ったのち、敢えて乱暴に、俺は振り払われた。体勢を崩し、椅子を大きく鳴らして、床に倒してしまう。
ゲホリと、締められた喉に負けて、咳き込んでしまった。
肩口だったけど、 詰襟だもんな、苦しいことに変わりはない。
「レイシール!」
姫様が、手を貸そうとしてくださるが、大丈夫ですからと、辞退した。
良かった。ちゃんと分かってくれたと思う。そのまま態度を鵜呑みにされたらどうしようかと思った。
「けふっ、……。き、今日はもう、時間的にも、お泊り頂くしかないと思います。
ここは広いのですが、なにぶん、使用人がおりません。部屋は山と余っているのですが、使える場所が限られます。
本館に、知らせをやりますから、そちらでお休み下さ……」
「姫様と其方を、同じ館内に、このまま放置すると思うのか?」
「……それもそうですね。
では、少々窮屈かと思いますが、客間をご利用下さい。すぐ、準備させますから」
「こやつなど、叩き出せば良い‼︎」
「そうはいきませんよ。私の首が飛びそうです」
「サヤ」と、廊下に呼びかけると、すぐに返事があった。扉を開き、入室してくる。
が、かなり強張った表情のサヤに、少々面食らった。
何?まさか、ここの会話、俺が本心で語ってたとか思って……そうだな、この顔は。
背中を冷や汗が伝った……。
うああぁぁ、後を考えず全力演技したから……で、でも扉の外のサヤまで意識して演技なんて無理だし⁉︎
「さ、サヤ……ハインに、客間の準備をお願いしてほしい。あと、昼食から、四食ほど増えることになるが、大丈夫だろうか?」
「はい……問題ありません。すぐ、手配して参ります」
重い声音でそう言われ、視線を逸らしたまま一礼され、踵を返す。
ご……誤解だよ⁉︎
そう叫びたかったが、気合いで堪えた。
ど、どうしよう……誤解を解く時間取らないと、またサヤと距離が開くなんて、絶対に嫌だ。あ、いや……慌てるな。大丈夫。最悪、夜番の時に話を……仮面の笑顔を向けられても怯まず、まずは説明して……っ。
「レイシール様、解散で良かったですか?」
マルにそう聞かれるまで、俺は硬直していた。
慌てて姿勢を正し、表情を作る。
「あ、ああ……。間もなく、昼食です。リカルド様方の分も、ご用意出来そうですから……あっ!その前に湯浴み!リカルド様も配下の方も、そのままでは体調を崩してしまう、申し訳ありません!」
戦略脳に切り替わったいたのが、サヤの態度に気を取られ、引き戻されてしまった。
すると、リカルド様や配下の方が、豪雨の中をいらっしゃったことを思い出し、あまりな対応をしていた自分に気付く、う、うわあああぁぁ⁉︎話し合いどころじゃないだろ、先に着替え、湯浴み!なんでそっち気付かないかな⁉︎
「マルっ、食堂にルーシーがいると思うから、湯の準備って伝えて来て!
申し訳ありませんリカルド様、部屋が整い次第、着替えを……」
「もうこちらで手配をしておりますから、落ち着いて下さい。
リカルド様、客間の方は整っております。湯もございますので、まずは身繕いを。ご案内致します」
あわあわしている俺を押し退けて、やって来たハインが冷静に告げる。
どうやら、食堂で従者方を仕切る合間に、その他の準備は進めてくれていた様子だ。サヤの言伝を聞き、即、来てくれたのだろう。なんで察しが良い!
「この後の状況を思えば、誰でも思い描けることだと思いますが……」
冷めた目で見られ、ボソリと小声で告げられてしまった……。
そうしておいてから、さっさとリカルド様を案内する為、先導しだす。
うううぅ、穴があったら入りたい心境だ……。俺に駆け引きとか、向いてない。絶対に向いてない。目の前しか見えなくなる人間には不向き!
打ち拉がれる俺に、リカルド様がなんともいえない視線を寄越して来たのが、とても居心地悪かった。
私はっ、王を生み出す家畜ではないわ‼︎」
怒りに任せて、姫様が小机をタンッ!と叩く。
姫様とリーカ様……二人とも表情に憤りを滲ませ、リカルド様を睨め付ける。対するリカルド様は、腕を組み、片眉をあげて、不敵な表情。その背後の従者殿は……無表情。
リカルド様の居丈高な態度を、当然のこととして受け止めている。
ルオード様にも視線をやった。
苦渋に満ちた表情。最後にちらりと、心配そうに、姫様に視線をやった。
ああ、ルオード様は、姫様が傷付かれたであろうことを、心配している……。どこか、突き放した様な態度を取っていても彼の方は、今もクリスタ様を、姫様を、大切に思ってらしゃるんだ。
……これは、今この場でどうこうできることじゃない。
齟齬がある。
何かは分からないが、俺の預かり知らない場所で、動いている何かがある。
リカルド様の態度は、それに対する布石の動きだ。
冷静に観察すればするほど、不自然さが殆ど無いほどに、繰り返し、刷り込まれた演技なのだと確信を持てた。この方……常時、演じているのだ。この気質を。
けれど、瞳が違う。冷静な部分がたまに垣間見える。
ここに来られた時は違った。あれは本心から動いていた。俺に向けた怒りも、演技では無い。そこは確信を持てる。
媚び諂い、姫様に責任を蔑ろにさせる其方は国の害だ。
怒りを内包し、淡々と述べたあの時のリカルド様は、本来の彼だ。
けれど、俺を無礼者と罵って手を振り上げた時のあれは、演技だ。
なんだ、冷静になれば、案外見えてくる……。
この方は粗野な乱暴者ではない、凄く冷静で、頭のきれる方だ。
「リカルド様、一つ、お聞きしたいのですが……」
状況が分からないから、下手な探りは入れない方が良いだろう。後でマルが何か掴んでないか、確認してから行動した方が良い。
けれど、先程の会話に少し気になった部分があったから、それだけは確認しようかと思った。
少々、揺さぶってみようと思ったのもある。
「心情的に受け入れられない……と、思われるのは、何故ですか」
家の取り決めたこと。亡くなられた姉上様の関わること。その言葉でなんとなく、推測は出来たが敢えて聞いた。
「ふん、もともと私は、クリスティーナ様の婚約者ではないからな」
どうでも良いことの様に、表情を作る。けれど……。
「申し訳ありません。片田舎で畑だけを相手にしていると、世間に疎くなりますから」
姉上様の婚約者であったのが、姉上様が亡くなられたから……と、いうことなのか。
茶に手を伸ばすリカルド様。
感情の制御に労力を割く時の癖かな。他の動作で、表情を隠し、誤魔化すのは。
なんにしても、俺のリカルド様への印象は、随分と変わった。
どこかで、この方と語る時間はあるだろうか……出来れば、邪魔の無い状態で。
「……あの、この話し合い、もう少し時間を空けてから、再度行いませんか。
今はまだ、感情が荒れています。冷静な言葉を選べない。それでは、纏まらないでしょうから」
黙って背後に立つマルを意識しつつ、そう切り出した。
まずは大急ぎで、情報の共有を行いたい。
「ふん、貴様と話す必要を、私は感じぬ。もう充分と思うが」
「そうでしょうか?私は……まだ全く、足りていないと思いますが。
リカルド様には、今の少ないお時間で、きちんと私の人となりを理解して頂けたのでしょうか?
……心外だな。まだ俺、結構、猫を被ってますよ?」
わざと、不敬を承知で態度を崩してみた。
喧嘩を売ったと見えるだろう。けれどこの方が冷静ならば、そこに何か、含みを感じてくれるのではないか。そう期待したのだ。
「……癪に触る男よな。姫様の寵愛あればこそか?虎の威を借りるのが得意とみえる」
「寵愛……そうですね。昔から、ちょっと俺を甘やかしすぎだと思うのですが。
今回も、思いの外高評価を頂いて、望外の結果でした。
リカルド様も……王となる為の心構を、ありがとうございます。買いかぶられ過ぎていて、少々居心地悪いですけどね」
リカルド様の配下の方の、圧が強くなる。
あ、こっちの方は俺をいけ好かない奴と認定した様子だ。
リカルド様は……俺を凝視したままだ。まだ感情は揺るがない。
だからわざと、機嫌を損ねるであろう言葉を、口にすることにする。
「俺は、王の器ではありませんよ。そんな責任には、耐えられない。
ですが、まあ……囲われる程度なら、考えてみようかと思えます」
覚悟して、口にしたけれど……鳥肌が立った。忌避感が半端ない。
囲われる……。母と同じ道を歩む。絶対に願い下げだ。けれど……今は、駆け引きの最中だ。これも、その為の一手。
自分に言い聞かせて、感情を押し殺した。
「……」
ゆらりと席を立ったリカルド様が、無造作に俺の肩口に手を伸ばす。そのまま服を掴み、吊り上げる様に、引き寄せる。
「調子にのるなよ、小倅……」
冷静な瞳が、重く怒りを押し殺した声音で、淡々と俺に言う。眼前に、リカルド様の顔がある。
「リカルド!その手を離せ‼︎」
姫様が、慌てて席を立ち、止めに入ろうとするが、俺はそれを手で制した。
大丈夫、計算尽くです。言葉にはしないが。
「二人だけで、話しませんか」
唇を動かさず、眼前のリカルド様だけに、そう伝えた。
是と、冷静な瞳が瞬く。
暫く睨み合ったのち、敢えて乱暴に、俺は振り払われた。体勢を崩し、椅子を大きく鳴らして、床に倒してしまう。
ゲホリと、締められた喉に負けて、咳き込んでしまった。
肩口だったけど、 詰襟だもんな、苦しいことに変わりはない。
「レイシール!」
姫様が、手を貸そうとしてくださるが、大丈夫ですからと、辞退した。
良かった。ちゃんと分かってくれたと思う。そのまま態度を鵜呑みにされたらどうしようかと思った。
「けふっ、……。き、今日はもう、時間的にも、お泊り頂くしかないと思います。
ここは広いのですが、なにぶん、使用人がおりません。部屋は山と余っているのですが、使える場所が限られます。
本館に、知らせをやりますから、そちらでお休み下さ……」
「姫様と其方を、同じ館内に、このまま放置すると思うのか?」
「……それもそうですね。
では、少々窮屈かと思いますが、客間をご利用下さい。すぐ、準備させますから」
「こやつなど、叩き出せば良い‼︎」
「そうはいきませんよ。私の首が飛びそうです」
「サヤ」と、廊下に呼びかけると、すぐに返事があった。扉を開き、入室してくる。
が、かなり強張った表情のサヤに、少々面食らった。
何?まさか、ここの会話、俺が本心で語ってたとか思って……そうだな、この顔は。
背中を冷や汗が伝った……。
うああぁぁ、後を考えず全力演技したから……で、でも扉の外のサヤまで意識して演技なんて無理だし⁉︎
「さ、サヤ……ハインに、客間の準備をお願いしてほしい。あと、昼食から、四食ほど増えることになるが、大丈夫だろうか?」
「はい……問題ありません。すぐ、手配して参ります」
重い声音でそう言われ、視線を逸らしたまま一礼され、踵を返す。
ご……誤解だよ⁉︎
そう叫びたかったが、気合いで堪えた。
ど、どうしよう……誤解を解く時間取らないと、またサヤと距離が開くなんて、絶対に嫌だ。あ、いや……慌てるな。大丈夫。最悪、夜番の時に話を……仮面の笑顔を向けられても怯まず、まずは説明して……っ。
「レイシール様、解散で良かったですか?」
マルにそう聞かれるまで、俺は硬直していた。
慌てて姿勢を正し、表情を作る。
「あ、ああ……。間もなく、昼食です。リカルド様方の分も、ご用意出来そうですから……あっ!その前に湯浴み!リカルド様も配下の方も、そのままでは体調を崩してしまう、申し訳ありません!」
戦略脳に切り替わったいたのが、サヤの態度に気を取られ、引き戻されてしまった。
すると、リカルド様や配下の方が、豪雨の中をいらっしゃったことを思い出し、あまりな対応をしていた自分に気付く、う、うわあああぁぁ⁉︎話し合いどころじゃないだろ、先に着替え、湯浴み!なんでそっち気付かないかな⁉︎
「マルっ、食堂にルーシーがいると思うから、湯の準備って伝えて来て!
申し訳ありませんリカルド様、部屋が整い次第、着替えを……」
「もうこちらで手配をしておりますから、落ち着いて下さい。
リカルド様、客間の方は整っております。湯もございますので、まずは身繕いを。ご案内致します」
あわあわしている俺を押し退けて、やって来たハインが冷静に告げる。
どうやら、食堂で従者方を仕切る合間に、その他の準備は進めてくれていた様子だ。サヤの言伝を聞き、即、来てくれたのだろう。なんで察しが良い!
「この後の状況を思えば、誰でも思い描けることだと思いますが……」
冷めた目で見られ、ボソリと小声で告げられてしまった……。
そうしておいてから、さっさとリカルド様を案内する為、先導しだす。
うううぅ、穴があったら入りたい心境だ……。俺に駆け引きとか、向いてない。絶対に向いてない。目の前しか見えなくなる人間には不向き!
打ち拉がれる俺に、リカルド様がなんともいえない視線を寄越して来たのが、とても居心地悪かった。
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