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23. マルコの同僚、レオナルド田中くん③
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レオナルドが前世の記憶を思い出したのは2か月前だ。
夢でレオナルドは「にほん」という国に住んでいた「さらりーまん」で、「まんいんでんしゃ」で通勤。圧迫感に「うーん」とうなされて目が覚めた。しかし、夢というには現実感があり過ぎた。
その翌日には、今度はスター●ックスで、なんたらフラペチーノをごくごく飲んだ夢を見た。あまりの美味しさに唾を飲み込みながら目を覚ます。
さらにその翌日は、●クドナルドでポテトを頬張り、さらに次の日にはスマホを見ながらラーメンをすすった。味までしっかり覚えていた。
ここまで続いたリアルな夢にレオナルドは気づく。これは前世の記憶だと。
いきなりの飛躍だが、レオナルドの近くには、生まれ変わりと言われるマルコがいるのだ。
マルコが現国王の弟、マリ閣下の生まれ変わりというのは、マルコとペアを組む際、ダダン公爵から呼び出されて聞いた。
最初はにわかに信じられなかったレオナルドだが、真顔で話す公爵にそういうこともあるのかと納得。その際、公爵から「これはトップシークレットだ。他言無用」と言われた。
そんな大事なことをなぜ自分に話すのか。
当然、レオナルドは思った。
そんなレオナルドの疑問に、公爵は「叔父上とペアを組むレオナルドは知っていた方がいいだろうとの陛下の判断だ。そのうえ君の口の堅さは折り紙付きだ。君を信じて話したんだ」と答えた。
レオナルドの実家は石材卸売商だ。オリアナの建物は全て石造り。当然、王宮もそう。レオナルドの祖先は王宮建設の際に石を卸し、その後、王宮の増改築の度に石を納入し続けた、いわば王室御用達。
石の納入時は図面を確認して必要な石を選ぶ。つまり王宮の隅から隅までレオナルドの祖先は知り尽くしているのだ。それを誰にも言わない。それから700年以上が過ぎたが、王宮の内部の様子が外に漏れることはなかった。
レオナルドの両親の口癖は「金は無くなっても取り返せるが、失った信用は取り返せない」である。
補助係には口の堅さが求められるため、他の係員も口は堅い。その中でレオナルドは別格、まさに石のごとく口の堅い一族だったのだ。そんなレオナルドの一族に王家は全幅の信頼を置いていた。
ダダン公爵は続けた。
「叔父上が王族係の専属になったら、事情を知らない係員が『なぜ?』とか『ひいきじゃないか』などとやっかむ者も出よう。
だから叔父上だけでなく、君も専属に選んだ。それだけでなく、もし係員からの心無い発言があったら、君からうまくとりなして欲しいというのもある。
ずいぶんと難しい事を頼んでいる自覚はある。しかしこれは誰にでも頼めるものではない。口が堅く、男気がなければできない。それで君に白羽の矢が立った。やってくれるか?」
大きな石材商の息子とはいえ、一平民に公爵はお伺いまで立てたのだ。ここで引き受けなければ男じゃない。
レオナルドは「やります!」と力強く答えた。
夢でレオナルドは「にほん」という国に住んでいた「さらりーまん」で、「まんいんでんしゃ」で通勤。圧迫感に「うーん」とうなされて目が覚めた。しかし、夢というには現実感があり過ぎた。
その翌日には、今度はスター●ックスで、なんたらフラペチーノをごくごく飲んだ夢を見た。あまりの美味しさに唾を飲み込みながら目を覚ます。
さらにその翌日は、●クドナルドでポテトを頬張り、さらに次の日にはスマホを見ながらラーメンをすすった。味までしっかり覚えていた。
ここまで続いたリアルな夢にレオナルドは気づく。これは前世の記憶だと。
いきなりの飛躍だが、レオナルドの近くには、生まれ変わりと言われるマルコがいるのだ。
マルコが現国王の弟、マリ閣下の生まれ変わりというのは、マルコとペアを組む際、ダダン公爵から呼び出されて聞いた。
最初はにわかに信じられなかったレオナルドだが、真顔で話す公爵にそういうこともあるのかと納得。その際、公爵から「これはトップシークレットだ。他言無用」と言われた。
そんな大事なことをなぜ自分に話すのか。
当然、レオナルドは思った。
そんなレオナルドの疑問に、公爵は「叔父上とペアを組むレオナルドは知っていた方がいいだろうとの陛下の判断だ。そのうえ君の口の堅さは折り紙付きだ。君を信じて話したんだ」と答えた。
レオナルドの実家は石材卸売商だ。オリアナの建物は全て石造り。当然、王宮もそう。レオナルドの祖先は王宮建設の際に石を卸し、その後、王宮の増改築の度に石を納入し続けた、いわば王室御用達。
石の納入時は図面を確認して必要な石を選ぶ。つまり王宮の隅から隅までレオナルドの祖先は知り尽くしているのだ。それを誰にも言わない。それから700年以上が過ぎたが、王宮の内部の様子が外に漏れることはなかった。
レオナルドの両親の口癖は「金は無くなっても取り返せるが、失った信用は取り返せない」である。
補助係には口の堅さが求められるため、他の係員も口は堅い。その中でレオナルドは別格、まさに石のごとく口の堅い一族だったのだ。そんなレオナルドの一族に王家は全幅の信頼を置いていた。
ダダン公爵は続けた。
「叔父上が王族係の専属になったら、事情を知らない係員が『なぜ?』とか『ひいきじゃないか』などとやっかむ者も出よう。
だから叔父上だけでなく、君も専属に選んだ。それだけでなく、もし係員からの心無い発言があったら、君からうまくとりなして欲しいというのもある。
ずいぶんと難しい事を頼んでいる自覚はある。しかしこれは誰にでも頼めるものではない。口が堅く、男気がなければできない。それで君に白羽の矢が立った。やってくれるか?」
大きな石材商の息子とはいえ、一平民に公爵はお伺いまで立てたのだ。ここで引き受けなければ男じゃない。
レオナルドは「やります!」と力強く答えた。
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