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19. マルコを巡る王家の人々、そして攻めと強制?会遇②(過去)
しおりを挟む抱き合う四人を見た王妃は嗚咽。
15年前、マリが遺体で帰ってきた時のことは、王妃とて忘れたことがない。そんな王妃に王太子がいう。
「母上、マリ閣下がお亡くなりになったとき、私は10歳でした。変わり果てた叔父上の姿は今でも脳裏に焼き付いております」
「母上、私は5歳でしたが、同じです」と第二王子。
「私は3歳でした。ですが、あの優しいマリ叔父上の、あのようなお姿は忘れようがありません」と第三王子。
こちらも王妃を中心にみんなでヒシっと抱き合った。
この謁見の間で唯一、アウェー感満載の人物が一人だけいた。
マジョリカ妃殿下である。
妃殿下はブエノ国の王女の生まれで6年前に嫁いできた。よってマリ閣下との面識なし。きっちり教育された冷静な頭脳の持ち主だ。
そもそもマルコという人物が、マリ閣下の生まれ変わりという論理的な根拠があるのかしら。陛下は断言されたけど、その根拠については何もおっしゃっていなかったような。
それとも私が知らないだけで、気づける人が「これは誰それの生まれ変わりだ!」といったら、その気づける人を信じるのが正しいのかしら。
陛下は気づける人なの?
もっとも立派な陛下ですもの、気づける人なんでしょうけれど。
でもこれは政務とは関係ないし、だから、今度は陛下が気づける人であることの根拠が必要よね。
その根拠は何?
何かの啓示?
ああ、よく分からないわ。誰か教えて欲しい。
でもこの状況で「根拠を上げて下さい」とは口が裂けても言えないし、言ったらダメなやつっていうことくらいは分かるわ。
王太子妃マジョリカ殿下。まるで天動説が定説の世界のコペルニクスかガリレオか。冷静に分析しつつ、果てしない疑問が沸き上がってくる。
そんな悶々としていた気持ちを抱えた妃殿下だが、突然、その落としどころを見つけた。
あ、でもあのレオン閣下と、王妃様一推しのマルコが二人で並んでいるのは見たいわ!
だってレオン閣下は、顔の形が四角という王家の常識を覆し、ちゃんと顎があるんですもの。うちの子たち(既に妃殿下は二児の母)だって、顔が四角なのに、閣下の顔の形は突然変異だわ!ほんとに美しいもの。
王妃様から話を聞く限り、マルコはとっても小さくて可愛いのですって!
ということは美形と可愛い。やだ!これって目の保養?父が15歳で息子が19歳。あり得ないわ。このあり得ない状況で、禁断の愛に燃える二人が見れるってことよね?
どうしよう。私、鼻血でてない?
まさかの腐女子爆誕である。
こうしてマルコは本人の知らぬところで、攻め(レオン)を決められ、親子禁断?の愛を背負うことになった。
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