21 / 47
21、ホワイトハウス(2)
しおりを挟む
テロ発生数時間後 ホワイトハウス ワシントンDC 合衆国
シチュエーションルームには、ラムズフェルド英国大使の声が響いていた。彼は事実のみを正確に述べていった。
理久と眞の父、イギリス海軍のリオン・キートン大将は、日本人女性と結婚した。ロンドンで生まれた理久と眞は、成人するまで日本とイギリスの二つの国籍を持っていたが、18歳になった時、二人は日本国籍を選択して「日本人」になった。
現在は、日本に住みながら大学に通い、首相の要望で頻繁にロンドンと東京を行き来しているという。
マティス国防長官は、内心、驚いていた。キートン首相の孫二人が、大学生だったことに、だ。どう見てもせいぜい高校生くらいにしか見えない。
今回は、二人とも大学が夏休みになり、前から行きたかったワシントンの国立自然史博物館を見学し、そのあとロンドンに入ってキートン首相とバカンスに出かける予定だったという。
ラムズフェルトの話を聞きながらも、マティスは理久と眞の様子をさりげなく観察していた。
マティスが見るに、首相の孫二人は、大きな目をさらに大きくしているように見えた。恐らく、突然、現れた大男たちに驚いているのだろう。
それ以外は、たいしたものだと思っていた。目の前に合衆国大統領、その横に国務長官、そして国防長官である自分、さらに厳しさを隠そうともしない統合参合本部議長と対面していたが、それには全く動揺していないようだった。
ラムズフェルトによれば、この孫二人はロンドンの「ナンバー10」(英国の首相官邸)で育ったという。「ナンバー10」は、ホワイトハウスと同様の機能がある。つまり、首相官邸であるばかりでなく、イギリス政府の中枢でもあるのだ。その規模も、ここは134室だが、「ナンバー10」は100室あったはずで、若干、小さいくらいか。
そこで育ったからだろう。彼ら二人は、これだけ圧の強い者どもに囲まれながら、目を丸くして特殊部隊の隊員たちを見つつも、萎縮していない。
ここまでラムズフェルトが話したとき、兄の方のスマホが振動した。彼は周囲を気遣うように確認していった。
「おばあ様だ!」
しかし、それでもすぐには出ない。彼はラムズフェルトと山脇両大使をうかがい、両大使がうなずいてから、初めて電話に出た。
シチュエーションルームには、ラムズフェルド英国大使の声が響いていた。彼は事実のみを正確に述べていった。
理久と眞の父、イギリス海軍のリオン・キートン大将は、日本人女性と結婚した。ロンドンで生まれた理久と眞は、成人するまで日本とイギリスの二つの国籍を持っていたが、18歳になった時、二人は日本国籍を選択して「日本人」になった。
現在は、日本に住みながら大学に通い、首相の要望で頻繁にロンドンと東京を行き来しているという。
マティス国防長官は、内心、驚いていた。キートン首相の孫二人が、大学生だったことに、だ。どう見てもせいぜい高校生くらいにしか見えない。
今回は、二人とも大学が夏休みになり、前から行きたかったワシントンの国立自然史博物館を見学し、そのあとロンドンに入ってキートン首相とバカンスに出かける予定だったという。
ラムズフェルトの話を聞きながらも、マティスは理久と眞の様子をさりげなく観察していた。
マティスが見るに、首相の孫二人は、大きな目をさらに大きくしているように見えた。恐らく、突然、現れた大男たちに驚いているのだろう。
それ以外は、たいしたものだと思っていた。目の前に合衆国大統領、その横に国務長官、そして国防長官である自分、さらに厳しさを隠そうともしない統合参合本部議長と対面していたが、それには全く動揺していないようだった。
ラムズフェルトによれば、この孫二人はロンドンの「ナンバー10」(英国の首相官邸)で育ったという。「ナンバー10」は、ホワイトハウスと同様の機能がある。つまり、首相官邸であるばかりでなく、イギリス政府の中枢でもあるのだ。その規模も、ここは134室だが、「ナンバー10」は100室あったはずで、若干、小さいくらいか。
そこで育ったからだろう。彼ら二人は、これだけ圧の強い者どもに囲まれながら、目を丸くして特殊部隊の隊員たちを見つつも、萎縮していない。
ここまでラムズフェルトが話したとき、兄の方のスマホが振動した。彼は周囲を気遣うように確認していった。
「おばあ様だ!」
しかし、それでもすぐには出ない。彼はラムズフェルトと山脇両大使をうかがい、両大使がうなずいてから、初めて電話に出た。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる