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メガフラッシュ・メガホン
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ある晴れた日、海沿いにあるレストランのバルコニーで、女性はスマホ片手に水平線の彼方を眺めていた。
「ちょっと田道間守さん。さそりに刺されたから遅れますって、さすがにそれは無理があるんじゃなくて?」
彼女は一瞬間、白い閃光に包まれるのを感じた。
不思議に思って見上げれば、真っ青な空は雲ひとつなく晴れ渡っている。
ふいに遠くで雷鳴が轟いたかと思うと、水平線の彼方で巨大な雷が落ちた。
『そういわれても。ほんとに刺されたんですよ先輩。嘘じゃありません。幸い弱毒性でしたけどね』
巨大な龍を思わせる青い稲妻は、いまや水平線いっぱいに広がっていた。
「いまの見た?」
「すごい音だったねー」
「まだ光ってる……。あ、ライン送ろ」
気づけば他の客人たちもいつの間にか席を立ち、思い思いにスマホを向けていた。
ざわめく客人たちを見つめながら彼女は、
「だってさー、日本にさそりがいるわけないじゃん。詰めが甘い、甘過ぎるんじゃなくて?」
とスマホの向こうに檄を飛ばすと、もう片方の手で握りしめていたメガホンをガシガシと鳴らした。
後輩から貰ったピンク色のメガホンは、いまや彼女のお気に入りであった。
『何をいってるんですか監督。日本にもさそりはいますよ。ほんとうです。嘘じゃありません。というか詰めが甘いって。そういう先輩の方こそ……』
ふと、スマホの向こうでくつくつと笑い声がした。
「まあ田道間守さん、わたくしに何か問題でも?」
『いえ何も』
「正直に言ってごらんなさいな田道間守?」
『いえほんとうに。世の中ブーメランだななんてこれっぽっちも思ってないですよ監督』
「だってあれ、絶対UFOだったもん」
彼女はピンクのメガホンを水平線の彼方へ向けた。
「こうメガホンの穴から覗いてたら偶然」
『ほんとですかぁ?』
「昼間から星があんなに見えるわけないじゃん」
『明けの明星とかシリウスとか色々あるじゃないですか』
「こんな真昼に? しかも赤かったし。あれは絶対間違いなくUFO」
『じゃあ動画撮っといてくださいよ先輩。今度会う時までに。写真でもまあギリオッケーですよ、監督』
「そういわれても……あ、ほらまた!」
彼女はスマホ片手にピンクのメガホンを勢いよく水平線の彼方へ向けた。
「ちょっと田道間守さん。さそりに刺されたから遅れますって、さすがにそれは無理があるんじゃなくて?」
彼女は一瞬間、白い閃光に包まれるのを感じた。
不思議に思って見上げれば、真っ青な空は雲ひとつなく晴れ渡っている。
ふいに遠くで雷鳴が轟いたかと思うと、水平線の彼方で巨大な雷が落ちた。
『そういわれても。ほんとに刺されたんですよ先輩。嘘じゃありません。幸い弱毒性でしたけどね』
巨大な龍を思わせる青い稲妻は、いまや水平線いっぱいに広がっていた。
「いまの見た?」
「すごい音だったねー」
「まだ光ってる……。あ、ライン送ろ」
気づけば他の客人たちもいつの間にか席を立ち、思い思いにスマホを向けていた。
ざわめく客人たちを見つめながら彼女は、
「だってさー、日本にさそりがいるわけないじゃん。詰めが甘い、甘過ぎるんじゃなくて?」
とスマホの向こうに檄を飛ばすと、もう片方の手で握りしめていたメガホンをガシガシと鳴らした。
後輩から貰ったピンク色のメガホンは、いまや彼女のお気に入りであった。
『何をいってるんですか監督。日本にもさそりはいますよ。ほんとうです。嘘じゃありません。というか詰めが甘いって。そういう先輩の方こそ……』
ふと、スマホの向こうでくつくつと笑い声がした。
「まあ田道間守さん、わたくしに何か問題でも?」
『いえ何も』
「正直に言ってごらんなさいな田道間守?」
『いえほんとうに。世の中ブーメランだななんてこれっぽっちも思ってないですよ監督』
「だってあれ、絶対UFOだったもん」
彼女はピンクのメガホンを水平線の彼方へ向けた。
「こうメガホンの穴から覗いてたら偶然」
『ほんとですかぁ?』
「昼間から星があんなに見えるわけないじゃん」
『明けの明星とかシリウスとか色々あるじゃないですか』
「こんな真昼に? しかも赤かったし。あれは絶対間違いなくUFO」
『じゃあ動画撮っといてくださいよ先輩。今度会う時までに。写真でもまあギリオッケーですよ、監督』
「そういわれても……あ、ほらまた!」
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