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 突如幕張海浜パークに出現したカップリアと言う魔界獣。
 その威力は出動した警備隊や自衛隊などの多くの人間を簡単にボコボコにしてしまうほどの凄まじさである。現場に駆け付けた慶輔は、初めて見る魔界獣の恐ろしさを改めて思い知ったのだった。

(あれが噂の魔界獣か……。僕だってラグナさんから、ミラージュナイトの操縦資格を貰ってるんだ。たとえ上手くできなくても、みんなの事を守らなきゃ……!)

 そう思っている慶輔に対して、金色のカードが勝手に空を浮かぶ。そして次の瞬間、カードは巨大なリアルロボットへと姿を変えるのであった。その姿は背中に二種類の翼をもち、黒のボディに金色の塗装がしてあるというすさまじいものであった。

「こ、このロボットは一体!?」
「これが君の分身である巨大リアルロボット『ミラージュナイト』だムニ! その名は『暗黒騎士アルカード』ムニ!」
「誰なの!?」

 いきなり聞こえてきた声に驚いた慶輔は周りを見渡すと、そこには白い可愛い小動物らしき生物が、彼の右肩に乗っていた。唖然とする慶輔。

「うわ!」
「驚かせてゴメンムニ! ボクッチはムニエル。君のパートナーを務めさせてもらう魔法聖獣ムニ!」
「魔法聖獣?」

 ムニエルと名乗った聖獣は慶輔に対して軽いお辞儀をした後に、右手を天に掲げて、それを光らせる。すると暗黒騎士アルカードが慶輔の側に近づいてきたのである。

「詳しい話はこの魔界獣を倒してからだムニ。慶輔、君はもう既にラグナから操縦方法をインプットされているから動かせるはずだムニ!」
「え~!? いきなりは説明なしでロボット操縦して魔界獣を倒せだなんてまずくないですか?」
「大丈夫ムニ! この暗黒騎士アルカードはかなりの激レアミラージュドールだから君の初陣の勝利は間違いないムニ!」
「これってホントマジで?」
「さあ、被害者が出る前に操縦するムニ!」

 慶輔はムニエルに誘われるまま暗黒騎士アルカードのコクピットに乗り込むのであった。

★★★

 操縦席の中で、慶輔は両手にレバーを握って、専用のバトルスーツに魔法で着替えさせられると言う状態となっており、少し戸惑っている。

「ムニエル……、なんだか不安になってきたんだけどホントマジで大丈夫だよね?」
「慶輔、少しだけ説明するムニ。ミラージュナイトは右手のレバーを握るだけで格闘攻撃、左手のレバーで射撃攻撃が敵と思われるターゲットに自動的に攻撃を行うムニ。移動する時は必ずペダルを踏み続けるムニ。そして君の精神の中でアルカードの行動をイメージするんだムニ!」
「僕の心の中でイメージ?」
「ミラージュナイトの原動力は操縦者の心だムニ。操縦者の考えている事を読み取る事で行動したり、パワーアップするんだムニ」

 ムニエルは自信満々に慶輔に説明を行っている間にカップリアが突進してきた。こちらの存在に気づいたのだろう。

「突っ込んできた!?」
「慶輔、カップリアの突進をガードした後に剣で攻撃する事をイメージするんだムニ! 絶対に両手のレバーを離したら駄目だよ!」

 慶輔はムニエルの指示通り、それをイメージして両手のレバーを強く握る。カップリアが暗黒騎士アルカードの目前に迫った次の瞬間……。

「アルカード、クロスカウンターだ!」

 アルカードは懐から剣を取り出して、カップリアの特攻を切り払った後に、その剣でカップリアに豪快な一閃を食らわせる。

「やった! 攻撃が成功したよ!」
「慶輔、気を付けるムニ! まだあいつは完全に死亡していないから、次はあいつを射撃で攻撃する事をイメージするんだムニ!」

 カップリアが上空からアルカードに特攻を仕掛けてきた。そして慶輔は念じるかのように次の行動のイメージを絞り出す。

「アルカード、あいつを対空攻撃した後に強力なビーム砲でとどめを刺すんだ!」

 するとアルカードは剣でカップリアを切り上げた瞬間に、背中の翼のパーツから複数の短剣を射出してきた。その短剣はアルカードの周囲を可憐に飛び回り、優しい黒と金色の光に包まれていた。

「カップリアの全ての急所に強力なビームを打ち込む事をイメージするんだ!」

 カップリアが動こうとした次の瞬間__。

「今だ! フォーメーション『ラグナロク』!」

 複数の短剣から青と赤と言った複数の色のビーム砲がカップリアに炸裂していく。その華憐なビーム砲は、カップリアの肉体を焼き捨てると同時に、周囲の者の心を楽しませる雰囲気を生み出していくのであった。

「凄いよ慶輔! こんなきれいな演出をイメージしながら魔界獣を倒していくなんて、今までになかった光景ムニ!」

 ムニエルが慶輔の華憐な攻撃に驚いている間に、カップリアはその虹のビーム砲に散っていった。
 その瞬間、慶輔の初陣が終了した。

「ムニエル、やはりミラージュドールって、僕の心のままに動くロボットだったんだね」

 慶輔の明るくて綺麗な笑顔が、ムニエルに見えていた。

---to be continued---
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