ラブレター

shoichi

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缶コーヒー

遠くなっていく

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『あいさん、載ってたね。』
『あいと、写真撮ってもらったよ。』

友達の女の子、あいの友達からのメールが届いた。

『ん?何が?』

すぐに返事をするバイト先。

ほどなくして、ポケットに入れてあった携帯電話の振動が伝わった。

隠れながら、それを開く。

『今年の成人式の写真だよ。見てないの?』

地元の雑誌に、あいが載っているらしい。

何故、本人からではなく、他人から、そんな話を聞かないといけないのか。とか思いながらも、そうか。と平気なフリをして、返事をしていた。

昼休みに入り、バイクを飛ばして、コンビニの本棚へ向かった。

どれだよ。と、思いながら、荒らされていく雑誌達。

「…これか。」

成人式の振袖姿。

僕より大人のあいが、そこに写っていた。

数分の間だったけれど、立ち尽くし、普段見れないあいを目に焼き付けていた。

僕のあいなのに。と、アイドルと付き合っている、一般人のような気分に襲われる。

静かに、それを閉じ、何も買わずに、コンビニを後にした。

『雑誌、見たよ。』

そんなこと言うと、あいが喜ぶ顔が浮かぶと同時に、自分が情けなくなった。

『見たの?』

『言ってくれれば、良かったのに。』

いつも、僕の思いよりも遠くへ行ってしまいそうなあいに、子供のように嘆いていた。

『恥ずかしくて。』

気持ちは分からないでもないけれど、成人式で会えなかった分、寂しかった気持ちを埋めてほしかった。

『綺麗だったよ。』

ありがとう。と、笑顔の顔文字を見て、まぁ、仕方ないか。と考えていた。

『だから、会いたいよ。』

まだ、明るい午後の時間だが、いつも以上に甘えていた。

『ゆうくん。』

やっぱり、

『だからって、何なのかな?』

年上の彼女なんだな。と、その返事を見て、一人で笑ってた。

『今度から、何でも言ってくれよな。』

変わり行く景色の中、色褪せない、君への思い。

どこかへ行きそうな君を思う、ただの僕の劣等感。 
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