ラブレター

shoichi

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缶コーヒー

スニーカーを見てから

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「これ、欲しいな。」

ずっと、手を繋いでいられる、二人の休日。

今日は、大きな靴屋さんでの、デート。

「買わないの?」

新品の靴、独特の匂いが鼻に付くけれど、数分もしないうちに、それも、自然と慣れてくる。

「ん~。でも、お金貯めてるから、買わない。見るだけで、十分だから。こういうの見るだけで、楽しくない?」

笑顔のあいと、家具とかも。なんて言いながら、お店の人に、申し訳なさそうにしながら、二人で、そこを後にした。

「ねぇ。どこ行こうか?腹減った?」

車に乗り込んで、エンジンをかけた。

「少し、お腹空いたかな?」

鳴り出すラジオの音だったけれど、エンジン音と共に、また、消された。

「よっしゃ。降りろ。飯食おうか。」

歩いて行ける距離にあるファミレスへ、僕らは、また、手を繋いで歩き始めた。

「あい、俺、幸せ。だから、離れたくないよ。」

「あいも、幸せ。なら、行かなくていいさ。」

ずっと、笑ってくれるあいが、可愛いくて、どうしようもない。

「でも、今の自分が嫌だし、一人でも頑張りたいんだ。」

強く握った手は、お互い寂しかったのかな。

お店に入り、良い香りと共に、お腹が鳴った。
 
「何にしようか?」

席に着き、メニュー表を見ながら、考え込む、優柔不断なあいと僕が、いつもいる。

「ハンバーグかな…。んー。でも、パスタも…。」

「おう。全部、食え。」

「え~。無理~。」

頭を撫でたくなるのは、こんなにも愛しいから。

「俺、これ。と、食後に、抹茶パフェ。」

「じゃ、あいは、これにしようかな?デザートに、チョコのやつ。」

急かされるように、選んだあいに、チョコはいらない。とか、太っちゃったね?とか、甘えてみたり。

「いいもーん。」

そんな笑顔に、惚れたんだな。なんて、言えないから、

「太ったあいちゃんを、食べるから。」

こんな風に言うと、ふんふーん。と、鼻歌混じりのご機嫌なあいに、いつものように、エッチ。と付け足すと、違うもーん。と、僕にまで、その笑顔が移ってしまう。

「あっ、来たよ。」 
 
運ばれてきた沢山の料理と、可愛い制服を着たおばさんの笑顔、プライスレス。

「お先にどうぞ。」

遅く頼んだあいの料理の方が、早く出てきた。

「ゆうくんのも来てから、一緒に食べる。」

あまり変わらないのにな。って、笑いながら、煙草に火を点けた。

僕の注文の品も慌てて出てきて、ナイフとフォークを隠して、箸を握った。

いただきます。と、また箸なの?との微笑みに、なんだよ?と言ったら、何も言ってないよ?と笑われた。

「あいって、見てるだけで幸せになれる存在だね。」

「ん?」

二回も同じ言葉は言えないよ。

「アホ。」

目を見つめられて、笑う君の頭を撫でて、食べ終わった箸を投げ捨てて。

「だから、先に食べていい。って言ったのに。」

そんな時間が、とても大切だった。

そんな時を見計らったように、テーブルに置かれた二人のパフェ。

さすがに、これは箸じゃな…。と、浮気者の右手は、スプーンに持ち変えた。

「ほら。」

あいの口に運ばれる、アイスに。

「美味しいね。」

その返事に。

「可愛いな。」

僕は、微笑んでいた。
 
「あーん。」

食べ終わった僕の口に運ばれる、あいのパフェ。

口を開けた、僕のアホ顔。

恥ずかしいけれど、幸せな気分にさせてくれる人。

「あーん。」

どうしようもないくらい、好きなんだな。

「はい、あーん。」
「ちょ、ちょっと待て。」

次々に押しよせてくる、食後のデザート。

これは、あれだな。

「コーンばかりなのは、何でかな?ねぇ、あいちゃん?」

あいの両頬を握ると、うぅ。と漏れる声。

「だって、お腹いっぱいになるんだもん。」

これは、ほら、昔のブロッコリーの再来だな。

「仕方ないなぁ。」

笑う僕に、微笑む君と、そんな時間が好きだった。 
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