ラブレター

shoichi

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太陽の光

君からのラブレター

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『ごめん。』
『また、会えない?』
『ゆうくん。』

分かってる。

自分がどんなに、あいを好きなのか。

あいが、どれほど愛をくれているのか。

一人部屋に閉じこもって、考えていた。

『少しだけなら。』

言葉が不器用な僕に、あいは、ありがとう。と言ってくれた。

『着いたよ。』

メールが来ても、数分しても、部屋から足が動かなかった。

特別な、携帯の着信音が鳴り響く。

「着いたよ。」

「会うなら、笑って会いたい。」

困らせたのは僕なのに、何処までも、どうしようもない自分がいる。

「うん。笑ってるよ。」

それに答えを出さずに、電話を切り、玄関へ足を向ける。

目の前に、一台の車が、さっきと同じように、止まっている。

どんな顔をして、会おうか。の不安と。

「何?」

「はい。一日遅れのバレンタイン。」

零時過ぎの、泣いた後の目が、笑っている。

「いらない。」

素直になれない、僕がいる。

「貰って。」

壊れるくらい、好きなのに。

「仕方ないから貰ってやる。」

袋の中を覗くと、チョコレートではない物が入っていた。

「これ、ケーキ。ちゃんと、食べてね。」

バレンタインは、チョコレートだろ?と疑問を感じたのは、僕だけだろうか。

「手作りが良かった。」
 
あいに、僕は何をしてあげれるのかな。

「いつかね。」

それは、いつになるのかな。

素直に喜べない、自分が嫌いだった。

「明日、学校だよね?遅くなるとダメだから、もう帰ろう?」

ドアに手をかけると、あいが目を閉じていた。

「何?」

「チュー。」

眉間に皺を寄せていた僕だけど、つい微笑んでしまった。

その優しさが、僕の気持ちを離してくれない。

もう傷付けないから。と自分に誓い、喧嘩とかしても、また仲直りすればいい。と願った日。

「これ、ありがとう。じゃーね。」

うん。と、あいが笑って、車が動き出す。

それを見送った後に、体を摩(さす)りながら、部屋へ戻った。

それは、緑の文字で書いてあったんだ。

『緑の文字は、目に良いんだよ。』

あいをね、もう、離したくない。って、思ったんだ。

そこには、ケーキと一枚の封筒が入っていた。

あのね、何故、二回目に会うのが遅くなったか分かった。

気のせいかもしれない。

今、手にしているこの手紙ってさ、今さっき、書いたんだよね。

だって、今日最初に会った時に、見てしまった袋の中の封筒の色と…違うよね。
 
この手紙には、いろんことが、書いてあった。

キスしたこと。

エッチしたこと。

喧嘩もすること。

赤ちゃんのこと。

全部、

嬉しい。

と言ってくれた。

ありがとう。と言ってくれた。

汚い字で読みにくいでしょ?なんて、あいらしくて、可愛くて。

『汚い字でも、読んであげたよ。』

なんて、素直になれなくて。

『ケーキも、食べたよ。』

手紙なんて、今時、流行らないのに。

恥ずかしさ。や、照れ。が邪魔して、その話題には触れなくて。

だけど、ちゃんと言えたかな?

いつも、ありがとう。って。

言わなくても、君なら分かってる。って、そう思ってるからさ。

『ケーキ、美味しかったでしょ?少し、有名な所で買ってきたもん。』

黒い機械字で書かれた手紙よりも、今読んでいる手紙で、お腹いっぱいです。

『あいが、作ってほしかった。』

その優しさに、何度、泣かされるんだろう。

『作るの下手だけど、今度頑張ってみるね。』

狭い部屋で、体を丸めながら、薄明かりの中で、読んだ二枚の手紙。
 
今日、三回も読み直した。なんて言ったら、また、笑ってくれるかな?

恥ずかしがりのあいだから、話を誤魔化すのかな?

どちらのあいでも、やっぱり、愛しい。に変わりは無いけれど。

だから、次に、僕から手紙をあげる時は、同じように緑の字で、ラブレターを、書くんだ。

そして、その時は、

「緑の字は、目に良いんだって。知ってた?」

と、言うと、笑っているあいを想像する。

でも、恥ずかしがりでは負けない僕は、手紙すら渡せない。

もし、渡せた時には、付け足して言うよ。

「俺が、ラブレターなんて書いたのは、あいが初めて。」

ってね。

笑って、ありがとう。と、言ってくれているのが、頭に浮かぶ。

ねぇ、あい。

このまま、この気持ちのまま、ずっと、側にいてね。 
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