溺愛αの初恋に、痛みを抱えたβは気付かない

桃栗

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本当の僕と慎太郎とお仕置き ③

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「もうお前帰れ!」
『そーだそーだ!』
周りの子供達も同じように俺と声を揃えて慎太郎に言葉を投げつける。
「で、でも早く帰らないと…怒られちゃうよ?」
いつも家を抜け出しては近所の子供達と遊んでいた俺は、口うるさい慎太郎がその当時大嫌いだった。
この辺りで”木崎”の名は有名で、俺も家からはあまり出してもらえず、すぐ慶明の幼稚舎に通ってからは特に近所で俺の事を知る子供達はあまりいなかった。

幼稚舎は小さな頃から受験をして入ってきた子供ばかりだったから、なんだかギスギスしていて、好きになれず、やんちゃだった俺に慶明の友達なんてできるはずがなかった。

あの当時俺は親の目を盗んでは”探検”と言う名の散歩に出かけ慎太郎に自慢げに話していた、好奇心には勝てない子供だったから…

それからまもなく、慎太郎も着いてくると言うので、子分としてなら連れて行ってやる!と慎太郎の手を引いて連れ回していた。
皆んなには”木崎”の俺は秘密だから、ちょっと親戚の家に遊びに来た兄弟、と言うことにして遊び回っていた。

そんなある日、夕方から踊り(日本舞踊の)先生が、次の発表会の為に指導してくれる予定だったので、慎太郎は家にいようと俺を引き留めていたが、それを押し退けて遊びに行った。なんで男の俺が踊りなんかやらなくちゃいけないんだ、って気持ちが大きくてやりたくない、サボりたいが勝っていた。
公園で子供達と合流した俺の後を追って来た慎太郎に”帰れ”コールをしていたら、子供の1人が石を投げつけ出した。
俺もそれに乗って同じように小石を投げつける。
「痛い、馨痛いよ!やめて!!」
自分を庇い俺の手を引っ張ってくる、それを振り払い石を思いっきり投げつけた。

ゴツっと大きな音がしてその場に倒れた慎太郎の左目からはたくさんの血が流れ地面を真っ赤に染めていた。
周りにいた子供達は逃げ出し、その場には俺と慎太郎だけになった。

「し…しんたろう、ご…ごめん、だ…い」
「………」
何も言わない。
何をどうしていいかもわからずその場に座り込んで慎太郎の手を握った。
「ごめん…俺が悪かった…ごめん、ごめん」
薄暗い空からポツポツと雨が降って来た。
慎太郎から流れて出る血を、雨で広がっていく血を眺めながら動くことも出来ずに救急車が来るまで彼の手を握りしめることしかできなかった…



「何してる?早く脱げ」
「あ、ごめん、う…うまく脱げなくて…」
ベットに腰をかけ膝で腕組みをした慎太郎がこちらを凝視しながら命令してくる。
「来て」
震える足で一歩一歩近付く。
慎太郎の息遣いが聞こえ、一層足が震える。
「そんな緊張しないで、俺は触れないよ、馨に許されるまで触れない」
「わかっ…てる、慎太郎の言う通りにするよ」
1つづつゆっくりとボタンがはずされてゆく、オメガと確定されてから少しだけあった筋肉も柔らかくなだらかになり、日焼けもしなくなった白い肌には薄っすら鳥肌が立っていく。
ボタンが外れるとシャツの上から人差し指で乳首に触れ”それ”を指で弾かれた。
「あッ…」
「シャツの上から感じてるの?これからだろ?なぁ馨」
シャツを脱がされズボンの上から慎太郎の膝が意図したように俺のそれをなぞる。
乳首のそれで下半身が大きく弾けそうになる。
我慢、我慢しなきゃ…
そこに力を入れて静めるように心の中で”小さくなれ、大きくなるな”と何度も唱えた。
「駄目だろ?そんな力を入れちゃぁ、元気になっていつものように俺に見せてよ」
耳に顔を寄せ
「馨の”イク”所を…」
左目を俺に見せ
「こっちは見えないから、反対側でよく見えるようにね…」
満面の笑顔は慎太郎の彫りの深い整った顔を際立たせていた、俺を見つめる目だけは笑ってはいない”いつものように”それも、同じだ。
ズボンを剥ぎ取り、ベットの上に両足を立て座るように命じられる。
一連のやり取りでペニスが、腹に付くほどガチガチにそそり立っていた。
「もう”そこ”も濡れてるだろ、みせて”馨”」
震える手でアナルに、触れて大きく開きドロっと流れ落ちるそれを慎太郎に見せつける。
「馨はいやらしいなぁ、もうグチョグチョになってるじゃないか、アナルが寂しそうだろ、指を入れてかき回してみて」
この時がいつも恥ずかしく慎太郎の顔をまともに直視できなくて、ぎゅっと目を閉じるが
「目を開けてちゃんと俺を見ろ」
と命令される。
一本、また一本と増えていく指は、もうどこが気持ちよくなる場所かわかっているので、自然とそこに指を当てていく。
早くイかないとこの恥ずかしくて辛い時間は終わらない。
「あっ、あっ…」
「気持ちいいんだ、ならもう一本指を増やしてみろ、反対の手はどこにやるんだったっけ?」
「あっっ、ご…ごめん…なさい」
反対の指で乳首をつまむ。
「ああっっっつ、」
ペニスから白い先走りがこぼれ落ちた。
グチョグチョと掻き回していい所を押しながら乳首の気持ちよさと同化させるが、イクほどの気持ちよさはやってこない。
「慎太郎…しん、イケない…助けて…」
「良いの?俺が馨に触れて、嫌いなんだろ?俺の事」
「…や、…嫌じゃない…やじゃない、」
「本当?本当にそうならちゃんと口にして言ってみて…なんて言うんだった??」
「し…しんの…」
「俺の?」
「しんの入れて…」
「ちゃんと言わないと”して”あげないよ?」
こんな時、慎太郎はとても意地悪になる。俺が投げつけた石を思い浮かばせるように…
「ほら、なんて言うの?」
「…し、しんの…大きいお…おちんちんを…」
大きくアナルを両手で広げ
「俺のここに…」
「ここってどこ?」
「オレのアナルに…お、奥…奥まで入れてつ…ついて!」
ズボンを引き下げ俺より大きなペニスを見せつける。
「これを入れればいいの?」
欲しい…脳が溶けるようにそれしか考えられなくなる。
「お…お願い…」
もうイキたい、イキたい、そう顔で表しているのに慎太郎はゆっくりとした動作でそれにゴムをはめていく。
「ねぇ…早く…しん、おね…」
顔が近づき口の中を弄られる。
上顎を舌でなぞられ背筋に震えが走った。
同時に乳首を摘まれ息が上がる。
「ああっっっ…」
唾液が口からこぼれ落ちた。
「ねぇ、どこ触ればいい?夜はまだまだ長い、好きなだけ馨を気持ちよくしてあげる…」

どこまで落ちていくんだろう、微睡む意識の中で慎太郎の怪しい色気に流されていく…今日も…ぐちゃぐちゃになるまで貪り浸かれる、言い訳は聞かれないまま乱れ狂う俺を見下ろしそっと微笑むんだ。

目は笑わずに…優しく微笑むんだ…







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