14 / 59
1
2人のアルファ
しおりを挟む
放課後、校門前が騒がしくなった。
三階の教室から外を覗いた凌ちゃんが
「強い人の匂いぷんぷんするけど、アレ晴翔様ちゃう?」
帰り支度をしていた僕のスマホが鳴った。
”あいつ、連れてこい”
と書いてある。
それを凌ちゃんに見せると
「一回会っといた方がええな、俺も顔繋ぎしたいし、ここまで来られたら逃げるわけにもいかへんしな!」
と言って校門に向かって歩いて行った。
追いかけながら少し不安になる。
凌ちゃんは意外と晴には好戦的な気がする。
2人とも、落ち着いて話なんてできるのかな?
校門に近づくと自然と晴と凌ちゃんの間に道ができ、少し離れているのに2人共のオーラが強すぎて周りの生徒達も遠巻きにしか見れなくなっている。
お互い牽制しあっているのか肌が張り付く様に痛みだし、周りの皆んなも苦痛に顔を歪めだした。
「2人共、ちょっと落ち着いて!」
間に入ったら、気分が悪くなってきた。
なんとかしなきゃ皆んな倒れちゃう。
「晴!!凌ちゃん!!」
大声で叫んだ。
ハッと2人がこっちを見て我に返ったみたい。
「とにかく!!場所変えよ!!」
オーラとフェロモンは消えたけど、睨み合いは暫く続いた。
話し合いをする為に晴の車で移動しようと言ったら、それもまた乗せる乗せないで歪み合いが始まった。
あれだね、なんかこの2人根本的な所はよく似ているっぽい。
お互いアルファとしての力が拮抗してるせいか、簡単に威圧とか牽制とかも難しいみたい。
周りにまた人がいると大変なので、とりあえず晴の家に行くことになった。
ギリギリまで、凌ちゃんを連れて行きたくないと駄々を捏ねていたけど、それも凌ちゃんの
「逃げるん?」
の一言で晴の家まで行くことになった。
途中、凌ちゃんのスマホに着信とメールが頻繁に鳴って、うるさいから電話切っとけ!!と晴に怒鳴られてた。
微妙に漫才の掛け合いみたいだな、と笑いそうになったら2人からもの凄く怒られた。
やっぱ気が合いそう、そう思ったら笑いが止まらなくなった。
晴の家に着いて、来客用の部屋に向かう途中も、出迎えてくれた執事の山科さんを追い越して2人して部屋まで競い出した。
凌ちゃん、部屋知らないよね?
逆に仲良いでしょ?
って思ったりして。
僕は置いてけぼりで2人が部屋に入った途端目の前でドアを閉められた。
「なんで??」
『『とりあえず2人で話す!』』
ハモリも完璧。
もうこれ大丈夫なんじゃない?
なんとなく話し合いで解決しそう。
なら僕は晴の部屋で待ってればいいよね!
晴が学校に来た時はどうなることかと思った。
仲良くは無理かもしれないけれど、妥協点は見つけられそう。
考えても仕方ない、僕を追い出すってことはそう言うことだもんね。
途中山科さんに会った。
その時、チャイムが鳴り、慌てて山科さんが玄関に向かう。
とりあえず僕は晴の部屋で待ってようかな。
晴の部屋に行くには玄関前を通るので僕も一緒に山科さんに着いて行った。
玄関のドアが開くとそこには線の細いスッとした出立ちの綺麗な男性が立っていた。
「この度は私の主人がお世話になっているみたいで申し訳ございません、私瀬川凌太の世話係をしております沼田と申します」
彼にとてもよく似合うスーツのポケットから名刺を山科さんに差し出した。
名刺のやり取りをし、その名刺を見た山科さんが
「安藤の…」
と言っていた。
誰なんだろ?
彼は僕を見て
「もしや川崎智洋さんでしょうか?いつも凌太様がお世話になっております」
深くお辞儀をされた。
??世話係?凌太様???
え?凌ちゃんってどこかのご子息だっとかすの?ええっ??
「あ、あの…」
「大丈夫です、彼はまだそこまで偉い人でもなんでもないので。彼のお祖父様が偉い方なだけです。お気になさらずに」
「めっちゃ気になります!!」
身体が沼田さん?に一歩向かっていた。
「詳しくは凌太様にお聞き下さい。」
彼は何度も凌ちゃんに連絡を入れたのに、返事もなく心配していたので、GPSアプリでここまで来たそう。
顔は優しげだが、声が怒りに満ちてちょっと、ほんのちょっと怖いな~と山科さんの後ろに隠れた。
”お仕置きを…”
なんて言葉もちらほら出てきたので、この2人の関係も想像がつかないな、と思っちゃった。
そうこうしていると、大きな物音が聞こえた。
「「智!」」
シンクロしてる。
「仲のよろしい事で」
笑顔の沼田さんが間髪入れずに声をかけると、凌ちゃんがビクッと硬直した。
「なんで沼田さんがこ…ここに…」
「おや、私の電話やメールを無視したのは凌太様でしょう、貴方の居場所などすぐにわかりますよ」
山科さんの後ろに隠れた僕の、そのまた後ろに駆け寄ろうとした凌ちゃんの首根っこをひっ捕まえて
「この後予定が詰まっていますので、今日はここでお暇致します、さぁ凌太様行きますよ」
凌ちゃんより頭ひとつ分低い背丈でどれだけの怪力なんだろう
「凌ちゃん大丈夫??」
「智、助けて~~、とりあえず誤解は解いたから~また明日な~ちょ、ちょっと沼田さん、い…痛い痛い~」
沼田さん、許して~凌ちゃんの叫ぶ声が遠くなって門の向こうに停めてある黒塗りの厳つい車に押し込められ彼は帰っていった。
あっと言うまの出来事で、そこにいる晴や僕、山科さんは呆気にとられ3人で立ち尽くした。
沼田さん、恐るべしである!
「智、話がある」
強い力で手を引かれる。
が、それほど怖いと感じない。
さっきほどは怒ってないみたい?で良かったな、と思ったのも束の間…でした。
大声で叫びたい!!
…凌ちゃん、僕も助けて~
フラグたった瞬間みたいです…
三階の教室から外を覗いた凌ちゃんが
「強い人の匂いぷんぷんするけど、アレ晴翔様ちゃう?」
帰り支度をしていた僕のスマホが鳴った。
”あいつ、連れてこい”
と書いてある。
それを凌ちゃんに見せると
「一回会っといた方がええな、俺も顔繋ぎしたいし、ここまで来られたら逃げるわけにもいかへんしな!」
と言って校門に向かって歩いて行った。
追いかけながら少し不安になる。
凌ちゃんは意外と晴には好戦的な気がする。
2人とも、落ち着いて話なんてできるのかな?
校門に近づくと自然と晴と凌ちゃんの間に道ができ、少し離れているのに2人共のオーラが強すぎて周りの生徒達も遠巻きにしか見れなくなっている。
お互い牽制しあっているのか肌が張り付く様に痛みだし、周りの皆んなも苦痛に顔を歪めだした。
「2人共、ちょっと落ち着いて!」
間に入ったら、気分が悪くなってきた。
なんとかしなきゃ皆んな倒れちゃう。
「晴!!凌ちゃん!!」
大声で叫んだ。
ハッと2人がこっちを見て我に返ったみたい。
「とにかく!!場所変えよ!!」
オーラとフェロモンは消えたけど、睨み合いは暫く続いた。
話し合いをする為に晴の車で移動しようと言ったら、それもまた乗せる乗せないで歪み合いが始まった。
あれだね、なんかこの2人根本的な所はよく似ているっぽい。
お互いアルファとしての力が拮抗してるせいか、簡単に威圧とか牽制とかも難しいみたい。
周りにまた人がいると大変なので、とりあえず晴の家に行くことになった。
ギリギリまで、凌ちゃんを連れて行きたくないと駄々を捏ねていたけど、それも凌ちゃんの
「逃げるん?」
の一言で晴の家まで行くことになった。
途中、凌ちゃんのスマホに着信とメールが頻繁に鳴って、うるさいから電話切っとけ!!と晴に怒鳴られてた。
微妙に漫才の掛け合いみたいだな、と笑いそうになったら2人からもの凄く怒られた。
やっぱ気が合いそう、そう思ったら笑いが止まらなくなった。
晴の家に着いて、来客用の部屋に向かう途中も、出迎えてくれた執事の山科さんを追い越して2人して部屋まで競い出した。
凌ちゃん、部屋知らないよね?
逆に仲良いでしょ?
って思ったりして。
僕は置いてけぼりで2人が部屋に入った途端目の前でドアを閉められた。
「なんで??」
『『とりあえず2人で話す!』』
ハモリも完璧。
もうこれ大丈夫なんじゃない?
なんとなく話し合いで解決しそう。
なら僕は晴の部屋で待ってればいいよね!
晴が学校に来た時はどうなることかと思った。
仲良くは無理かもしれないけれど、妥協点は見つけられそう。
考えても仕方ない、僕を追い出すってことはそう言うことだもんね。
途中山科さんに会った。
その時、チャイムが鳴り、慌てて山科さんが玄関に向かう。
とりあえず僕は晴の部屋で待ってようかな。
晴の部屋に行くには玄関前を通るので僕も一緒に山科さんに着いて行った。
玄関のドアが開くとそこには線の細いスッとした出立ちの綺麗な男性が立っていた。
「この度は私の主人がお世話になっているみたいで申し訳ございません、私瀬川凌太の世話係をしております沼田と申します」
彼にとてもよく似合うスーツのポケットから名刺を山科さんに差し出した。
名刺のやり取りをし、その名刺を見た山科さんが
「安藤の…」
と言っていた。
誰なんだろ?
彼は僕を見て
「もしや川崎智洋さんでしょうか?いつも凌太様がお世話になっております」
深くお辞儀をされた。
??世話係?凌太様???
え?凌ちゃんってどこかのご子息だっとかすの?ええっ??
「あ、あの…」
「大丈夫です、彼はまだそこまで偉い人でもなんでもないので。彼のお祖父様が偉い方なだけです。お気になさらずに」
「めっちゃ気になります!!」
身体が沼田さん?に一歩向かっていた。
「詳しくは凌太様にお聞き下さい。」
彼は何度も凌ちゃんに連絡を入れたのに、返事もなく心配していたので、GPSアプリでここまで来たそう。
顔は優しげだが、声が怒りに満ちてちょっと、ほんのちょっと怖いな~と山科さんの後ろに隠れた。
”お仕置きを…”
なんて言葉もちらほら出てきたので、この2人の関係も想像がつかないな、と思っちゃった。
そうこうしていると、大きな物音が聞こえた。
「「智!」」
シンクロしてる。
「仲のよろしい事で」
笑顔の沼田さんが間髪入れずに声をかけると、凌ちゃんがビクッと硬直した。
「なんで沼田さんがこ…ここに…」
「おや、私の電話やメールを無視したのは凌太様でしょう、貴方の居場所などすぐにわかりますよ」
山科さんの後ろに隠れた僕の、そのまた後ろに駆け寄ろうとした凌ちゃんの首根っこをひっ捕まえて
「この後予定が詰まっていますので、今日はここでお暇致します、さぁ凌太様行きますよ」
凌ちゃんより頭ひとつ分低い背丈でどれだけの怪力なんだろう
「凌ちゃん大丈夫??」
「智、助けて~~、とりあえず誤解は解いたから~また明日な~ちょ、ちょっと沼田さん、い…痛い痛い~」
沼田さん、許して~凌ちゃんの叫ぶ声が遠くなって門の向こうに停めてある黒塗りの厳つい車に押し込められ彼は帰っていった。
あっと言うまの出来事で、そこにいる晴や僕、山科さんは呆気にとられ3人で立ち尽くした。
沼田さん、恐るべしである!
「智、話がある」
強い力で手を引かれる。
が、それほど怖いと感じない。
さっきほどは怒ってないみたい?で良かったな、と思ったのも束の間…でした。
大声で叫びたい!!
…凌ちゃん、僕も助けて~
フラグたった瞬間みたいです…
12
お気に入りに追加
267
あなたにおすすめの小説
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)

成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです


フェロモンで誘いたいかった
やなぎ怜
BL
学校でしつこい嫌がらせをしてきていたαに追われ、階段から落ちたΩの臣(おみ)。その一件で嫌がらせは明るみに出たし、学校は夏休みに入ったので好奇の目でも見られない。しかし臣の家で昔から同居しているひとつ下のαである大河(たいが)は、気づかなかったことに責任を感じている様子。利き手を骨折してしまった臣の世話を健気に焼く大河を見て、臣はもどかしく思う。互いに親愛以上の感情を抱いている感触はあるが、その関係は停滞している。いっそ発情期がきてしまえば、このもどかしい関係も変わるのだろうか――? そう思う臣だったが……。
※オメガバース。未成年同士の性的表現あり。

番を失くしたアルファと添い遂げる方法
takumi sai
BL
亡き姉の婚約者と同居することになった千歳祐樹。彼女を失ってから2年、祐樹は姉の元婚約者である外科医・立花一狼に対して抱いた禁断の感情を封印すべく、オーストラリアへ留学していた。
「俺は彼女だけを愛し続ける」—そう誓った一狼は、今も指輪を外さない。孤高のアルファとして医師の道を歩む彼の家に、一時的に居候することになった祐樹は、罪悪感と憧れの間で揺れ動く。
「姉さんじゃない…僕は僕だ…」
「俺たちも似ているのかもな。葵の影に囚われて、前に進めない」
未亡人医師×自責系学生 オメガバース。
二人の葛藤と成長を描いた、切なくも温かい愛の物語。番を亡くした医師と、彼の元婚約者の弟の、禁断の恋の行方とは

番に囲われ逃げられない
ネコフク
BL
高校の入学と同時に入寮した部屋へ一歩踏み出したら目の前に笑顔の綺麗な同室人がいてあれよあれよという間にベッドへ押し倒され即挿入!俺Ωなのに同室人で学校の理事長の息子である颯人と一緒にα寮で生活する事に。「ヒートが来たら噛むから」と宣言され有言実行され番に。そんなヤベェ奴に捕まったΩとヤベェαのちょっとしたお話。
結局現状を受け入れている受けとどこまでも囲い込もうとする攻めです。オメガバース。

キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる