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2人のアルファ

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放課後、校門前が騒がしくなった。
三階の教室から外を覗いた凌ちゃんが

「強い人の匂いぷんぷんするけど、アレ晴翔様ちゃう?」

帰り支度をしていた僕のスマホが鳴った。
”あいつ、連れてこい”
と書いてある。

それを凌ちゃんに見せると
「一回会っといた方がええな、俺も顔繋ぎしたいし、ここまで来られたら逃げるわけにもいかへんしな!」
と言って校門に向かって歩いて行った。

追いかけながら少し不安になる。

凌ちゃんは意外と晴には好戦的な気がする。

2人とも、落ち着いて話なんてできるのかな?
校門に近づくと自然と晴と凌ちゃんの間に道ができ、少し離れているのに2人共のオーラが強すぎて周りの生徒達も遠巻きにしか見れなくなっている。

お互い牽制しあっているのか肌が張り付く様に痛みだし、周りの皆んなも苦痛に顔を歪めだした。

「2人共、ちょっと落ち着いて!」

間に入ったら、気分が悪くなってきた。

なんとかしなきゃ皆んな倒れちゃう。

「晴!!凌ちゃん!!」
大声で叫んだ。

ハッと2人がこっちを見て我に返ったみたい。

「とにかく!!場所変えよ!!」

オーラとフェロモンは消えたけど、睨み合いは暫く続いた。
話し合いをする為に晴の車で移動しようと言ったら、それもまた乗せる乗せないで歪み合いが始まった。

あれだね、なんかこの2人根本的な所はよく似ているっぽい。

お互いアルファとしての力が拮抗してるせいか、簡単に威圧とか牽制とかも難しいみたい。

周りにまた人がいると大変なので、とりあえず晴の家に行くことになった。

ギリギリまで、凌ちゃんを連れて行きたくないと駄々を捏ねていたけど、それも凌ちゃんの
「逃げるん?」
の一言で晴の家まで行くことになった。

途中、凌ちゃんのスマホに着信とメールが頻繁に鳴って、うるさいから電話切っとけ!!と晴に怒鳴られてた。

微妙に漫才の掛け合いみたいだな、と笑いそうになったら2人からもの凄く怒られた。

やっぱ気が合いそう、そう思ったら笑いが止まらなくなった。

晴の家に着いて、来客用の部屋に向かう途中も、出迎えてくれた執事の山科さんを追い越して2人して部屋まで競い出した。

凌ちゃん、部屋知らないよね?
逆に仲良いでしょ?
って思ったりして。

僕は置いてけぼりで2人が部屋に入った途端目の前でドアを閉められた。

「なんで??」

『『とりあえず2人で話す!』』

ハモリも完璧。

もうこれ大丈夫なんじゃない?

なんとなく話し合いで解決しそう。
なら僕は晴の部屋で待ってればいいよね!

晴が学校に来た時はどうなることかと思った。
仲良くは無理かもしれないけれど、妥協点は見つけられそう。

考えても仕方ない、僕を追い出すってことはそう言うことだもんね。

途中山科さんに会った。
その時、チャイムが鳴り、慌てて山科さんが玄関に向かう。

とりあえず僕は晴の部屋で待ってようかな。

晴の部屋に行くには玄関前を通るので僕も一緒に山科さんに着いて行った。

玄関のドアが開くとそこには線の細いスッとした出立ちの綺麗な男性が立っていた。

「この度は私の主人がお世話になっているみたいで申し訳ございません、私瀬川凌太の世話係をしております沼田と申します」

彼にとてもよく似合うスーツのポケットから名刺を山科さんに差し出した。

名刺のやり取りをし、その名刺を見た山科さんが

「安藤の…」
と言っていた。

誰なんだろ?

彼は僕を見て
「もしや川崎智洋さんでしょうか?いつも凌太様がお世話になっております」
深くお辞儀をされた。

??世話係?凌太様???


え?凌ちゃんってどこかのご子息だっとかすの?ええっ??

「あ、あの…」

「大丈夫です、彼はまだそこまで偉い人でもなんでもないので。彼のお祖父様が偉い方なだけです。お気になさらずに」

「めっちゃ気になります!!」

身体が沼田さん?に一歩向かっていた。

「詳しくは凌太様にお聞き下さい。」

彼は何度も凌ちゃんに連絡を入れたのに、返事もなく心配していたので、GPSアプリでここまで来たそう。
顔は優しげだが、声が怒りに満ちてちょっと、ほんのちょっと怖いな~と山科さんの後ろに隠れた。

”お仕置きを…”

なんて言葉もちらほら出てきたので、この2人の関係も想像がつかないな、と思っちゃった。

そうこうしていると、大きな物音が聞こえた。


「「智!」」

シンクロしてる。

「仲のよろしい事で」

笑顔の沼田さんが間髪入れずに声をかけると、凌ちゃんがビクッと硬直した。

「なんで沼田さんがこ…ここに…」

「おや、私の電話やメールを無視したのは凌太様でしょう、貴方の居場所などすぐにわかりますよ」

山科さんの後ろに隠れた僕の、そのまた後ろに駆け寄ろうとした凌ちゃんの首根っこをひっ捕まえて

「この後予定が詰まっていますので、今日はここでお暇致します、さぁ凌太様行きますよ」

凌ちゃんより頭ひとつ分低い背丈でどれだけの怪力なんだろう

「凌ちゃん大丈夫??」

「智、助けて~~、とりあえず誤解は解いたから~また明日な~ちょ、ちょっと沼田さん、い…痛い痛い~」

沼田さん、許して~凌ちゃんの叫ぶ声が遠くなって門の向こうに停めてある黒塗りの厳つい車に押し込められ彼は帰っていった。


あっと言うまの出来事で、そこにいる晴や僕、山科さんは呆気にとられ3人で立ち尽くした。


沼田さん、恐るべしである!




「智、話がある」

強い力で手を引かれる。
が、それほど怖いと感じない。

さっきほどは怒ってないみたい?で良かったな、と思ったのも束の間…でした。


大声で叫びたい!!

…凌ちゃん、僕も助けて~


フラグたった瞬間みたいです…

































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