異世界転移したら「sub」だった俺。え、「sub」って何ですか!?

鉾田 ほこ

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19 本当に可愛いな

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 小さく「あぁ……うぅ……」とくぐもったうめき声を上げながら、悩んでいる。うずくまったままで、恥ずかしさと戸惑いに苛まれている表情を見られないのが悔やまれた。
 リアンはこの後ケンがなんと答えるのか楽しみで仕方がない。
 ケンは意を決したのか、ちらりと顔だけこちらに向けて、潤んだ瞳で「も、漏れて、しまいました」と言った。
(さいっっっこう!!)
 なんなんだ、本当に。
 なんなんだ、この可愛い生き物は。
 意図して行っているなら、末恐ろしさすら感じる。
 ケンは自分の望んでいた……いや、それを上回る受け答えをした。その上で、とろんとした眼差しを向けて、「まだ出来るよ。もっと、もっと」と訴えてくる。
 リアンは自分の股間に熱が集まるのを感じた。
 ケンの訴えに応えるように艶然と笑みを浮かべて、『』」と低く命令する。
 その場で膝立ちになって、見せつけるように濡れて色が変わったズボンを晒す。
 よく見えるじわりと広がったシミは確かにケンが達したことを示していた。
「いいこ」
 まずは頭を撫でながら褒めてあげる。そして優しい声で、「何が漏れたのか」を尋ねた。
 「あ、え、……その」と、もごもごと口ごもるものだから、リアンはダメ押しのコマンドを発した。
「『言って』」
 観念したケンは「き、気持ちがよくて、しゃ……しゃ、射精して、しまいました」と恥ずかしそうに白状した。
 その間にも、見下ろすズボンの濡れた部分が再び立ち上がったもので押し上げられている。
 本当に何と欲望に忠実なのか──。
 頭や顔を撫でて、「えらいえらい。『いいこ』だ」とちゃんと言えたことを褒めてやると、目を細めてうっとりと表情をしていた。
 リアンは自分でもわかるほどの満面の笑みを浮かべて、「嬉しいな」と喜びを伝えてその表情を見つめる。朱のさした頬を両手で包み、ケンの額に優しくキスを落とした。
 ふにゃりと笑って、照れる目の前の人への愛しさが込み上げて止まない。
 子供にするように正面から抱き上げると、リアンの腰に足を巻きつけてきた。
 落ちまいとして密着するようにしがみつかれ、硬くなったケンの性器がリアンの腹筋に擦り付けられる。その行動に満足し、「いいこだ」と思わず口にした。
 ベッドまで連れて行く間のほんの短い時間、揺れるたびに擦られる刺激に、「ん、ふぅ」と艶っぽいため息をつき、縋りつくように腰を揺らす。その無意識の行為が可愛くてたまらない。
 もっともっと気持ち良くさせたい。
 ベッドに下ろすと、無防備な惚けた表情で見上げてくる愛しい人に、「『脱いで』」と命令した。

 一瞬、惚けた顔から「えっ?」という表情をして、それから恥じらいと困惑を行き来する。何かを考え、「いや、でも……」とくるくると表情が変わる。
 飽きないほどに目まぐるしく変化する表情を眺めるが、リアンには確信があった。

 ケンは絶対に命令に従う──。
 背中を押すような「出来るよね?」と言う言葉に、決心したのかズボンに手をかけた。
(そっち!? そっちからか!)
 上着を脱ぐことだって出来た。だが、ケンはなんの戸惑いもなく、ズボンに手をかけ、あろうことか下着も一緒に勢いよく下ろしたのだ。
 自分でも間違えたと思ったのか、「お!わっ」と声をあげて、パンツをあげようとした。
「『止まって』」
 せっかく下ろしたのだ。上げさせてなるものか、とコマンドで動きを封じ、動けない困惑の中で目を白黒させる可愛い人を眺める。
 最高だ。

 そのまま、上も脱ぐようにコマンドを発し、全裸にさせると、骨の浮いた薄い胸が露になる。淡い色をした小さな乳首が寒さゆえかぴんと立ち上がっていた。ごくりと喉を鳴らし、触りたい衝動を抑えて、「そのままベッドに『仰向けになって』」と追加でコマンドを告げる。

 肩まで真っ赤になったケンはくるりと向きを変えて、ベッドによじ登る。小さな尻が誘惑するようにリアンの目の前で揺れる。
 肉付きの薄い尻はそれはそれで嗜虐心を唆るが、リアンはもう少し健康的な方が好みだ。
 そうでなくても、ケンの体は骨が浮いている。
 美味いものをたくさん食べさせて、健康的な体つきにしてあげたい。
 明日の朝はゆっくり一緒に朝食を取ろう、色々な料理を出してあげようと心に決める。

 ベッドに仰向けに寝転がるケンの隣に横たわり、覆い被さるようにして頭を撫でる。
 もともと言い訳だった「サブドロップ」からの回復など、もうどこかに行ってしまって久しい。
 今も撫でる手に頭を押しつけてくるこの従順で可愛いSubを、ただただ自分に夢中にさせたい。
「あぁ……本当に可愛いな。もっと気持ちいいことをしようか」
 そう言って、すでに天を向き泪をこぼすケンのものをゆるりと握って、優しくしごく。幹を濡らすほど溢れ出る先走りがいやらしい水音を立てた。
 恥じらいに目を瞑ったケンの耳元で「こっちを『見て』」とコマンドを与えれば、濡れた黒曜石の瞳が自分を写しだす。
 緩急をつけて擦り、切先をぐりっと抉ると、ケンの口から「ん、……は!ぁっ」と熱のこもった喘ぎが溢れた。
 リアンのゆるやかな手の動きに合わせて、快楽を求めてケンの腰が淫らに動く。手を止めて、
「『動くな』」
 と低く掠れた声で命じれば、まなじりに雫を溜めて我慢する。そのいじらしさもたまらない。
 「どうして欲しい?」と意地悪に尋ねれば、「達せてください!」と勢いよく懇願する。
 もっと焦らしたいとも思ったが、すでに自分の股間も限界を迎えそうだった。
 焦らすことも、自分と一緒に気持ち良くなることもこれから出来る。リアンはそう考えて、「いい子だね……。よし、『いっていいよ』」と手にした性器に最後の刺激を与えた。

 果てたケンはそのまま眠りに落ちた。
 クリーンをかけて、メイドに用意させた新品のシャツとズボンを履かせる。
 事後の世話すらも楽しい。プレイで……こんなに満足感と幸福感を得たのは初めての経験だった。
 ベッドに寝かせたケンの顔を眺める。真っ白だった顔色はすっかり血色を取り戻していた。前髪をさらりとかきあげて、額にキスを落とし、部屋を後にした。


「なっ……!」
 翌日、朝食を一緒に取ろうと、リアンはうきうきとした足取りでケンの眠る客間を訪れる。
 意気揚々と扉を開けると、ベッドの上はもぬけのからだった。


 
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