狼の憂鬱 With Trouble

鉾田 ほこ

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19章

6 甘い声

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 リアムは欲望のままに振る舞いたい気持ちをグッと堪える。いくら興奮しているとはいえ、シロウを傷つけては元も子もない。

 動きを止めて、馴染ませるように小さく揺すっては、また動きを進める。
「はっはっ……」
 シロウの眉間に皺が寄り、息が荒くなる。
「大丈夫か?」
 シロウはふわっと笑って、小さく頷いた。
 リアムはシロウの綺麗な形の唇に吸い付く。シロウが舌を出してそれに応えたので、リアムも舌を絡ませ、二人の唾液を絡ませる。
「ん、ふっ」
 再び腰が動き出し、緩やかに抽送が再開された。
 リアムに下から突き上げられ、腰を回されて、シロウはかき乱される。
「あ、あぁっ……ん、んあっ」
 リアムの首に回した腕に力がこもる。

 緩急をつけたリアムの巧みな腰使いでもって、シロウの狭く未発達な器官はやっとリアムの半分を受け入れた。
 ぬかるんだ蜜壺を掻き混ぜながら、入れては抜き、抜いては入れてを繰り返し、より奥を目指す。
「はっ、あ、あ、……ん、あぁ……」
 揺すられ擦られるたびに、シャワーの流れ落ちる水音とシロウの惑乱した嬌声が風呂場に響く。
「声……声が……あっ、んむっ」
 リアムは離せない手の代わりに口づけでシロウの口を塞ぐ。

 シロウの中は次々と溢れてくる蜜でぐっしょりと濡れていた。
 抽送が激しさを増し、腹の奥から湧き上がる熱といいところを擦られる快感で、シロウは訳がわからなくなる。
「中に出すよ」
「はい」
 シロウは反射的に答えた。

「くっ」
 リアムから艶のこもったうめきが漏れ、腰を掴んだ手にグッと力が込もる。中に入ったリアムのペニスがどくっどくっと脈打ち熱い飛沫が放たれる。
「あぁっ、あっ、イッ……」
 シロウの花弁も搾り取るように収縮を強め、男性器からも精を放って達した。
 

 しばらくそのまま抱き合ってから、リアムはゆっくりと腰を下ろす。
 ズルっと花弁から陰茎を抜くと愛液に混ざって、リアムの放った白濁が溢れ出た。
 バスルームのタイルに座るシロウの扇情的で淫靡な様にリアムの股間は再び固さを取り戻す。

 シロウはそのそそり立つリアムの屹立を眺め、ごくりと喉を鳴らす。肩で息をしながら、シロウは両脚を広げて、リアムを誘った。
「後ろもしてください」

 リアムは信じられないものを見ている気がした。今日のシロウは一体どうしてしまったのだろうと不思議には思うが、断る理由などどこにもない。
「シロウッ」
 感極まった声でシロウの名前を呼ぶと、そのままタイルに押し倒した。
 花びらから溢れる蜜を手に掬い、シロウの後孔に塗りつける。
 シロウの後ろはリアムの指を誘っているようにひくひくとわななく。一度達して緩んだ身体は難なくリアムの指を飲み込んだ。
 リアムは蠢く襞を押し開き、増やした指で狭い器官を押し開く。中の敏感なしこりを指の腹でぐっと擦り上げれば、シロウが艶めいた声をあげる。
「んっ、あっあっ……」
 シロウの前も昂りを取り戻していた。リアムはシロウの勃起もゆっくりと優しく愛撫する。幹を握りしめ、軽く上下させ、先端の括れ手のひらでくるくると撫でるように刺激した。先走りを溢す敏感な先端を親指で抉り、後ろの孔には指を三本咥えさせて丁寧に丁寧に蕩かせる。
「はぁ……あ、ん」
 シロウは気持ち良さげに喘ぎ、淫らな収縮を繰り返してリアムの指を締め付ける。

 良さそうだ──。
 リアムはシロウをひっくり返して四つん這いにさせると、待ちかねたように猛った屹立を後孔に押し付ける。獣の体勢で細い腰を掴み、後ろからググッと一気にシロウの内側へ突き挿れた。
「アアーーーッ」
 背中をしならせたシロウの前から白濁が放たれる。同時に後ろの内壁がリアムのペニスをぎゅっと引き搾る。
 頭がくらくらするほど強烈な高まりがリアムに押し寄せる。
「くぅっ」
 もう少しでつられて果てるところだった。

 リアムは立て直しを図ってから、ゆっくりと腰の動きを再開する。引いては突き、突いては引く。
「あ、待って、……んっ」
 出し入れのたびに角度を調整して、シロウの良いところに当たるように丹念に繰り返す。
 腹側の敏感な器官にカリを引っ掛けるように当てれば、先程は静止を口にしていたシロウから甘い嬌声が漏れ始めた。
「んっ、あぁんんっ……ああ!」
 
 奥まで突き入れて腰を回し、中を掻き混ぜる。
 リアムの抽挿の動きも徐々に早くなっていき、限界が近いことを物語っていた。
「く、ぅっ」
 熱い息をつき呻き声を上げ、中に出す既のところで、穴から自身を引きずり出して、シロウの背中に夥しい量の白濁を浴びせる。シロウは腕から力が抜けて、床にべしゃりと崩れ落ちた。
 リアムは慌てて、シロウを抱き起こす。顔を見るとふにゃりと笑っていた。意識はあるようで安心する。


 そのあとは、ふわふわとして立つのもままならないシロウを甲斐甲斐しく風呂に入れて、布団に寝かせた。

 初めての「狩り」としては上々だったのではないか。
 隣で眠るメイトの穏やかな顔を眺める。リアムは狩りもそのあとのシロウにも大満足だった。

 ただ、翌朝、恥じ入ったシロウには無視をされ、ノエルに白い目で見られることになるのだが、この時のリアムは知る由もない。
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