狼の憂鬱 With Trouble

鉾田 ほこ

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19章

5 狩りの興奮

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 扉が閉められた瞬間、リアムがシャワーの蛇口を捻る。冷たい水が勢いよく噴き出し、火照った二人の身体を濡らす。
 冷たい水ですら二人の興奮を抑えることはできない。
 土と埃の匂いに混ざって、強烈なシロウの欲情の香りがリアムの鼻腔を刺激する。

 立ち上がった屹立は痛むほどに張り詰めていた。
 シロウの滑らかな肌を楽しむ余裕もない。腕を掴み、壁に押し付けるようにして、荒々しく唇にかぶりつく。シロウも顔を上げて、応えるように唇を開いて受け入れた。
 牙が触れぬように舌を絡め合い、貪るように口づけを味わう。シャワーの流れる音が、激しいキスの音をかき消した。

 リアムはシロウの腰を掴んで、ぐいと引き寄せる。シロウもリアムの腰に腕を回して、これ以上隙間がないほどに身体を押し付けてきた。
 未だかつて、これほど情熱的な反応をシロウが見せたことはあっただろうか。
 いや、ない。
 これは狩りの興奮がそうさせているのかどうなのかわからないが、そんなことは今のリアムにはどうでも良かった。
 歯列をたどり、舌を吸い、唾液を絡める。シロウの牙も出たままだった。尖った牙を舌で撫でると、シロウも小さく呻き声を上げながら夢中で応えた。
 シロウが身体を押し付ける度に、兆した昂りがリアムの太ももや股間を突く。
 リアムが腰を揺すって刺激すると、「あ、ぅ」と声を上げて、先端からぬるついた先走りを溢した。

 リアムはいつになく早急だった。
 シロウの尻を掴み、片手を間に滑り込ませると、そのままシロウの秘所を指で触れる。
 すでに熱く潤んだそこはリアムの指にちゅうっと吸い付き、中に誘い込むように蠢めいた。
 中指で入口を数度擦ってから、濡れそぼる柔襞の中に突き入れるとにゅぷんといつもより抵抗なく受け入れた。中は熱く蕩けているのに、リアムの指をきゅうきゅうと食い締める。
 すぐさまもう一本指を足して、二本の指を付け根まで挿入する。一瞬抵抗があったものの、ぬかるみは容易にリアムの太く長い指を飲み込む。
 指を動かすごとにぬちゅぬちゅと卑猥な水音を立ててしゃぶりつく。

「ふぅ、ん」
 キスの合間に鼻にかかったシロウの嬌声が漏れ出た。
 嫌がるそぶりも痛がるそぶりもない。
 激しいキスを交わしながら、その間も絶えずに中に埋められた指が収縮する内壁を擦り上げ、奥まで掻き回す。
 
 シロウが腰を揺らし、リアムの太ももに自身を擦り付けてくる。「は……んん……」と小さく喘ぎをあげた顔はうっとりとしていた。普段のシロウの姿からは想像もつかない行動にリアムの情欲がさらに煽られる。
「シロウ……!」

 尻を掴んでいた手を離し、二人の竿を一緒に握りこみ、腰を突き入れた。シロウの先端から切ない先走りが溢れ出る。切れ込みの奥からもとめどなく愛蜜が溢れ出て、中の指をしとどに濡らし、手首を伝って流れていく。
 シロウは身体を震わせ、中の収縮が一層激しくなった。
 絶頂が近づく。
「ん、んあ!」
 入れていた指を一気に引き抜くと、秘所は縋り付くように締め付ける。シロウはキスの合間に一際大きな喘ぎを漏らした。
「静かにしないと……」
 シロウの耳元で小さく囁く。
 シロウはとろんとした顔で首だけで何度も頷いた。

 シロウにも多少の後ろめたさはあった。実家で──サクラコやノエルが眠る傍らで、こんなことをしているなんて……。だが、この興奮の前ではどうでも良くなっていた。シロウの本能が目の前のメイトを求めて、身体を熱くする。

 リアムは腰にあったシロウの両手を自分の首に回させる。
「しっかり掴まってて」
 そう言って、シロウの太ももを掴んで軽々と抱き上げて、固くそそり立った自分のペニスをシロウの秘裂にあてがった。
「あ……あぁ……」
 これから起こることを理解したシロウの目が大きく見開かれる。半開きになったシロウの口から、喘ぎとも驚きとも取れる声が漏れた。
「挿れるよ」
 耳元でリアムが囁く。じわじわと腰を落とされて、ゆっくりとシロウの割れ目にリアムの太く熱い剛直が埋まっていく。
「はっ、あ、あぁ……っ」
「シロウっ」
 どんなに濡れて潤んでいても、やはりシロウの狭い秘所へ入るにはリアムの勃起は立派過ぎた。
 まだまだ全てを受け入れるには未熟なそこはそれでも精一杯リアムを受け入れようといじらしく収縮を繰り返す。

(このまま一気に突き入れてしまいたい)
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