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13章
1 気が気じゃない
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他の二人と共に部屋を出たリアムはそのままくるりと振り返ると、出てきたばかりの方向を睨みつけた。だが、ノエルによって締められた扉によって、もう中の様子はわからない。
リアムはシロウを書斎に一人残して、この場から移動する気などさらさら無かった。父から解放されたシロウが出て来るまで、このまま扉の前で待っているつもりでいた。
だが、ポールに「朝食をみんなで取るつもりで用意しているから」と促され、半ば無理矢理に書斎の前から引き離される。
メイトが一人、心細い思いをしているかもしれない、そう思うとリアムは居ても立っても居られない。
それにシロウが父から何を言われているかわからないことも気がかりで、心中穏やかでいられなかった。
父はなぜ、何を言うためにシロウだけ残したのだろう。
引き合わせてもいなかった自分のメイトに、父という立場であれ、群れの統率者の立場であれ、何を言うつもりだというのか。
自分の居ない場でシロウが責められたり、なんなら「身を引くように」諭されでもしていたら……。
嫌な想像がリアムの頭によぎる。
ただ「息抜きに行こう」と本来の目的も知らされずに連れてこられた先で、そんな目に遭うなどと、シロウは露ほども思っていなかっただろう。
自分でも意図していなかったこととは言え、酷い仕打ちだと思った。
(クソっ!本当に……こんなことになると誰がわかったというんだ!)
リアムは心の中で毒吐く。
そのうえ、父がシロウを説得する理由に、自分の過去の奔放さを引き合いに出されていないか、リアムは気が気でなかった。
来るもの拒まず、去るもの追わず。
メイトでない相手にかけらほども関心が無かったリアムはそのような恋愛を繰り返していた。
両親からも、三十歳を過ぎた頃からは、「いい加減諦めて身を固めたらどうか」と苦言を呈されていたのだが──。
自業自得だとはいえ、メイトと出会う前のこと。大いに反省するところではあるが、それを盾にされてはたまったものではない。
ポールに「やはり自分は部屋の前でシロウを待ちたい」と言って、リアムは来た道を戻ろうとする。
しかしそれは、リアムの腕に優しく手をかけたポールによって、引き留められた。
「大丈夫。そんなに時間はかからないよ。二人ともすぐに後を追ってダイニングルームに来るから」
そう言うとすぐに手を離して、再び廊下を歩き出してしまった。
不本意だが、リアムもその後を追うように歩き出す。
決して厳しいわけでも、強引なわけでもない。物腰柔らかな叔父に、いつも抗えずに大人しく従ってしまう。
リアムはそれが不思議だった。
今回もそう……。
メイトを守りたい、メイトの側に居たいというのに。
そんな叔父の背中をぼんやり眺めながら、食堂までの廊下を歩く。
リアムはシロウを書斎に一人残して、この場から移動する気などさらさら無かった。父から解放されたシロウが出て来るまで、このまま扉の前で待っているつもりでいた。
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それにシロウが父から何を言われているかわからないことも気がかりで、心中穏やかでいられなかった。
父はなぜ、何を言うためにシロウだけ残したのだろう。
引き合わせてもいなかった自分のメイトに、父という立場であれ、群れの統率者の立場であれ、何を言うつもりだというのか。
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ただ「息抜きに行こう」と本来の目的も知らされずに連れてこられた先で、そんな目に遭うなどと、シロウは露ほども思っていなかっただろう。
自分でも意図していなかったこととは言え、酷い仕打ちだと思った。
(クソっ!本当に……こんなことになると誰がわかったというんだ!)
リアムは心の中で毒吐く。
そのうえ、父がシロウを説得する理由に、自分の過去の奔放さを引き合いに出されていないか、リアムは気が気でなかった。
来るもの拒まず、去るもの追わず。
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両親からも、三十歳を過ぎた頃からは、「いい加減諦めて身を固めたらどうか」と苦言を呈されていたのだが──。
自業自得だとはいえ、メイトと出会う前のこと。大いに反省するところではあるが、それを盾にされてはたまったものではない。
ポールに「やはり自分は部屋の前でシロウを待ちたい」と言って、リアムは来た道を戻ろうとする。
しかしそれは、リアムの腕に優しく手をかけたポールによって、引き留められた。
「大丈夫。そんなに時間はかからないよ。二人ともすぐに後を追ってダイニングルームに来るから」
そう言うとすぐに手を離して、再び廊下を歩き出してしまった。
不本意だが、リアムもその後を追うように歩き出す。
決して厳しいわけでも、強引なわけでもない。物腰柔らかな叔父に、いつも抗えずに大人しく従ってしまう。
リアムはそれが不思議だった。
今回もそう……。
メイトを守りたい、メイトの側に居たいというのに。
そんな叔父の背中をぼんやり眺めながら、食堂までの廊下を歩く。
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