【完結】うちの魔術開発研究室室長さまがモテ過ぎています(主に男に)

いかくもハル

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襲撃事件の解決と偽魔術師

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~シェリル~

「「偽魔術師???」」

アシュレイさんと第一隊うちのロバート・エメル隊長の執務室に来ていた。
ジャンさんが襲われた犯人の報告があるからと呼ばれていたのと、ついでに私達も報告する事がてんこ盛りだったので、魔術研究所の所長に報告後、そのままやって来た。

まぁ、研究所内が朝から賑やかだったので逃げて来たとも言うけどね。
しかし、至る所で項垂れたり、ため息ついてたりと、衝撃が大きくて、改めてアシュレイさんの人気の高さを思い知ることになった。

彼らから文句の一つもぶつけられるかと思いきや、ショックではあるが、結婚自体は受け入れられているらしい事にホッとする。

アシュレイさんは引き攣った顔のまま、彼らのショックは見なかった事にするらしい。
それもそうか。ごめんって言うのも何だか違うしね。




執務室に入るなり、エメル隊長はうちらを見て、一瞬「ん?」という顔をしたけど、それより先に要件を済ませてしまおうと、護衛するキッカケとなった魔術師襲撃事件の事を話し始めたのだった。

「そう、偽魔術師が横行している事が判明した。魔術師ジャン・エバンス氏を襲った犯人は、ダン・ロドリゲスという45歳の無職の男だ。この男とエバンス氏との間に関係性は無い。彼は偽魔術師に騙されたが、偽物と知らず、自分を騙したのは魔術師だと思ったらしい。たまたま運悪く出会した魔術師に積年の恨みとばかりに襲いかかったそうだ」


偽魔術師と聞いて、アシュレイさんが黙っていられなくなったらしく、エメル隊長に質問した。

「そもそも恨みを買うきっかけの偽魔術師は何をしたのですか?」
「それが、石化病を患っていた彼の奥さんに、良い薬があると効きもしない薬を高額で何度も売りつけたらしい。結果として、当然薬は効かず、彼の奥さんは亡くなってしまったんだが、亡くなってから偽の薬である事がわかり、怒り狂って売り付けた魔術師を尋ねたところ、もぬけの殻だった、というわけだ。彼自身は腕の良い職人だったんだが、高額な薬を買うために店を抵当に入れて借金し、結果として店も無くなってしまった、という経緯もある」
「そんな・・・・」

お気の毒に、踏んだり蹴ったりとはこの事だ。

石化病は国指定の難病で手や足の先端部から徐々に強張り、やがて全身が石化して亡くなってしまう進行性の病気である。
今のところは治癒魔法でも完治する事は出来ないが、進行を遅らせる事は出来るようになった。
いつどのように発病するかわかっていない不治の病。
病というか呪いともいわれる恐ろしい病気だった。
確か、難病のため、治療費は国が負担しているはず。

少しでも治る見込みがあるならと、藁にもすがる思いで高額な薬を手にし、結果奥さんも店も無くしたダンを思うと、騙した魔術師を語る奴は到底許せる物では無い。
アシュレイさんもそう思ったらしく、握った拳を握りしめていた。関節が白くなるほど力が籠っている。

襲撃事件の裏にとんだ詐欺事件まで絡んでいたというわけだ。

「過去似たような事件もあって、グランドが関連性を調べてるところだ。第一隊としては、襲撃事件は一先ず片付いたから、もう護衛の必要は無くなった。ご苦労だったな、デパル。明日から隊に戻ってくれ」

私はアシュレイさんを一瞬見た。彼が軽く頷く。

「はい、承知致しました」

今日の魔術研究所の騒動を考えると、私は早々に騎士団に戻った方が良さそうだ。

「エメル隊長、シェリルを護衛につけていただき、大変感謝しております。とても助かりました。シェリル、ありがとう」
「いえいえ、こちらこそ。魔術を教えて頂きありがとうございました」

お互い礼をしながらうふふと笑い合っていると

「ところで、その魔力の混ざり具合は何だ?」

エメル隊長が突っ込みたくてたまらなかった様子で聞いて来た。
そうだよね、わかっちゃいますよねぇ・・・

「実は、他にも報告がありまして」
「シェリルと結婚する事になりました」
「だよな、おめでとう。それは見ればわかるが・・・」
「結婚前に魔力を混ぜたのは、シェリルが妖精の取り替えっ子で妖精界に連れ去られてしまったため、今後のことも考えて、早急に混ぜ合わせて連れ去られるのを阻止するためです」
「妖精の取り替えっ子だとぉ」

混乱するエメル隊長にアシュレイさんが土曜に起こった連れ去り連れ戻し事件と、妖精眼についても説明してくれた。

何回も説明して正直うんざりしてるが、上司である彼に報告は必須だ。
エメル隊長もう~む、とやや複雑な表情をしている。

「妖精眼・・・本当にあるとはな。確かに印象が違うなと思った。魔力の混ぜ合わせに気を取られていたが、えらい事になってたんだな」

その前にアシュレイさんは同僚に薬盛られて迫られてたんですよ、と心の中で付け足した。
本当にドえらい週末だったもんだ。改めて考えるとよくうちらは無事だったなと思う。

「しかし、さすが我が国が誇る魔術師ツートップだな。妖精界にまで乗り込んでシェリルを取り返すとは」
「クリストファーがいたから出来たんですよ。そういえば、妖精達はたまにシェリルに会いに来るそうです。まぁ、菓子でもやって穏便に帰ってもらうので問題は無いですよ」
「そうなのか!?」
「そうらしいです。妖精眼になったので、彼らからは私がどこにいてもわかるらしいですね。いつでも好きな時に来るみたいです」
「わかった、妖精のことは俺にはよくわからんから、お前に任せた。ご苦労だった。二人とも下がって良いぞ」



私とアシュレイさんは一旦魔術師研究所に戻る事になった。
私も荷物をまとめて戻る準備をしなくてはならない。

「はぁ~、いい助手がいなくなってしまった・・・シェリルがいる方が仕事が捗って良かったのにな」
「仕方ないですよ。襲撃事件は解決して、護衛は必要無くなりましたし。それにしても偽魔術師とは許し難いですね」
「ああ、こっち魔術師でも探る事にする。兄貴達と連携する必要があるな。これ以上野放しにはしない。絶対に許さん」

魔術師を騙って詐欺を働くなんて、結果として騙されたダン・ロドリゲスは奥さんを亡くした上に職と店を失い、犯罪まで犯してしまったのだ。
彼も被害者だといえる。

アシュレイさんからゆらりと怒りのオーラが立ち昇るのが見えた。
今までよりはっきりと魔力が感じられる。
魔力を混ぜ合わせた上、妖精眼になった事も大きい。
同僚が襲われて怪我を負い、果ては魔術師を騙られ怒りMAXのようだ。
ヤバッッッ、これは詐欺グループはとんでもない人を敵に回してしまった。

「私も手伝える事があったら言って下さいね。敵に乗り込むなら行きます。一緒にぶっ飛ばしましょう」

アシュレイさんがニヤリと笑う。え、笑顔が黒いですよ。

「ああ、灰すら残さず殲滅しよう」

こ、ここにも新たな魔王がいたぁぁ。













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