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~アシュレイ~
どうしたもんかなと俺が考えてると、バートンは居住まいを正して言った。
「アシュレイ、俺は処罰覚悟でお前に薬を盛った。受け入れられないのは初めからわかってたんだ。だから、最後に一つお願いがある」
「お前のことだから、シェリルが止めるのわかってて薬盛ったな。で、何だよお願いって」
嫌な予感しかしない・・・
ふぅ、と思わずため息が出てしまう。
全く、人手不足だって言うのに問題を起こして頭が痛い。
「アシュレイ、キスして欲しい。魔力交換もして欲しい」
ブッ!この期に及んで何てこと言いやがる。
一つと言いながら、何気にもう一つ追加しやがって。
ったく、油断も隙もない奴だな。
「そんな願いきけるかっっ!マジで無理」
俺はキッパリと断った。当たり前だ。
キスと言えば、さっきシェリルに口移しで解毒剤飲ませてもらったっけ・・・
その時の感触を思い出してしまい、カァッと顔が赤くなった。
思わず唇に手をやる。
それをこいつで上書き??あり得ない。
「お願いだ、アシュレイ。頼む一回だけ」
「一回でもお願いでも、絶対に無理。嫌だ断る」
俺は断固として断った。
バートンはハァァとため息をついた。
「やっぱりダメか・・・」
「当たり前だ!何で大丈夫だと思うんだよ」
「お前、距離近くても肩組んでも腰組んでも平気だったから、もしかしてイケるかもって期待してた」
「すんな、そんな期待」
「大体、女と付き合ってもすぐにダメになるから、俺なら平気かもって思ったんだよ。気を持たせるのも悪いぞ」
何だと!!距離感に関してはニブイ俺が悪いにしても、だからといってバートンが大丈夫にはならないだろ。
そんなこと思いもしなかったんだからな!
「まぁ、勘違いさせたのは悪かった。お陰で絶対無理ってわかった。で、このことは所長に報告させてもらうからな。とりあえず一度拘束外すぞ」
俺は通信機でシェリルを呼んで拘束魔法を解くよう言った。
「良いんですか?」
「あぁ、反省しているようだし、魔術封じはそのままにしておく。所長を呼んで来るから見張っててくれ」
「わかりました」
シェリルの強さはさっき見た通りだし、両手を魔力封じで拘束したバートンにまず勝ち目はなさそうだ。
俺は所長を呼びに転移した。
ノックをするとすぐに入るように中から応えがあった。
「アシュレイ、何かあったか?シェリルさんが慌てて戻ったようだが」
「はい、少しマズイことがありまして。バートンなんですが」
「バートン?」
所長は意外そうな顔をして俺を見た。
今まで問題を起こしたこともないバートンの名前が出たのだから当然の反応だ。
「実は先程、痺れ薬を盛られて動けなくなったところで彼に迫られました」
「はぁ?」
だよな。俺もそう思う。だが、それ以外にいいようがない。
「ええ~っと、バートンはアシュレイを好きって事で良いのかな?」
「そのようです」
先程のことを思い出すと鳥肌ものだが仕方ない。
冷静に起こったことをそのまま伝える。
「わかった、では君の執務室に行こう」
「お願いします」
「君も大変だね」
少し同情するように言われてしまった。
二人して俺の執務室に転移した。
部屋に戻ると、シェリルはバートンの向かいに座り、うんうんと頷きながら、話をしていた。
なに語り合ってんだよ。
「あ、おかえりなさい」
こちらに気がつくと立ち上がってソファの後ろに立つ。
俺と所長がバートンの向かいに座った。
「アシュレイからざっと聞いたよ。バートンからも話しを聞きたい」
「はい。ご迷惑おかけして申し訳ありません。アシュレイへの気持ちが抑えられなくなって、薬を盛るという卑劣な手を使ってしまいました。どのような処分でも受ける覚悟は出来てます」
「なるほどね。人を好きになる気持ちに罪はないけど、薬を使ったのに関しては看過できないな」
「はい」
「アシュレイはどう?許せない?二度と仕事はしたくない?」
「いえ、二度とこのようなことをしないと誓ってくれるなら、バートンと仕事をすること自体は問題ありません」
「なるほど。では謹慎一週間を言い渡す。その間、しっかり反省しなさい。君は魔術師としては優秀なので、人手不足な今抜けられるのは正直痛い。後、半年間の減俸だな」
「かしこまりました。寛大なご処置をありがとうございます。アシュレイ、ここのところ、シェリルと仲良さそうにしてるのを見て焦っていたんだ。本当に申し訳なかった」
「いや、俺も勘違いさせるような部分があったし、今後はもう薬は勘弁してくれ」
「お前の気持ちを聞けたから、スッパリ諦めるように努力はする」
「そうしてくれ」
俺は苦笑しながら頭を下げるバーンに向かって言った。
やれやれ、本当にえらい目にあった。
バートンとは今までのような距離感とはいかないと思うが、仕事はまた別問題だ。
しかし、この件でわかったが、兄貴は一時毎日こんな思いで仕事していたのかと思ったら、本気で尊敬する。
俺の比じゃないくらい怪しい物が送られてくると義姉から聞いたことがあった。
動ければ、何とか抵抗できるが、薬で動けなくなるとこんなにも無力なんだと、改めて思い知った。
これからは口に入れる物は探索をかけるようにしよう。
はぁぁ。今日何度目かわからないため息を吐いた。
バートンの拘束を解き、そのまま奴は荷物をまとめ、ジャンに引き継ぎをして謹慎に入る。
大事にしたくはなかったので、私用で急に休むことになったと皆には説明しておいた。
念のため、救護室で診察をしてもらい、問題が無いと診断されると、執務室に戻って仕事を続けた。
今日は定時で上ろう。
定時になったので帰る準備をする。
大変な日ではあったが、普通に腹が減った。
シェリルを誘って飯を食って帰るか、と思って彼女を見ると、ニッコリしながら
「お供いたします」
と言って来たので、そのままグロリア亭に行くことにした。
本当にいい相棒だ。
どうしたもんかなと俺が考えてると、バートンは居住まいを正して言った。
「アシュレイ、俺は処罰覚悟でお前に薬を盛った。受け入れられないのは初めからわかってたんだ。だから、最後に一つお願いがある」
「お前のことだから、シェリルが止めるのわかってて薬盛ったな。で、何だよお願いって」
嫌な予感しかしない・・・
ふぅ、と思わずため息が出てしまう。
全く、人手不足だって言うのに問題を起こして頭が痛い。
「アシュレイ、キスして欲しい。魔力交換もして欲しい」
ブッ!この期に及んで何てこと言いやがる。
一つと言いながら、何気にもう一つ追加しやがって。
ったく、油断も隙もない奴だな。
「そんな願いきけるかっっ!マジで無理」
俺はキッパリと断った。当たり前だ。
キスと言えば、さっきシェリルに口移しで解毒剤飲ませてもらったっけ・・・
その時の感触を思い出してしまい、カァッと顔が赤くなった。
思わず唇に手をやる。
それをこいつで上書き??あり得ない。
「お願いだ、アシュレイ。頼む一回だけ」
「一回でもお願いでも、絶対に無理。嫌だ断る」
俺は断固として断った。
バートンはハァァとため息をついた。
「やっぱりダメか・・・」
「当たり前だ!何で大丈夫だと思うんだよ」
「お前、距離近くても肩組んでも腰組んでも平気だったから、もしかしてイケるかもって期待してた」
「すんな、そんな期待」
「大体、女と付き合ってもすぐにダメになるから、俺なら平気かもって思ったんだよ。気を持たせるのも悪いぞ」
何だと!!距離感に関してはニブイ俺が悪いにしても、だからといってバートンが大丈夫にはならないだろ。
そんなこと思いもしなかったんだからな!
「まぁ、勘違いさせたのは悪かった。お陰で絶対無理ってわかった。で、このことは所長に報告させてもらうからな。とりあえず一度拘束外すぞ」
俺は通信機でシェリルを呼んで拘束魔法を解くよう言った。
「良いんですか?」
「あぁ、反省しているようだし、魔術封じはそのままにしておく。所長を呼んで来るから見張っててくれ」
「わかりました」
シェリルの強さはさっき見た通りだし、両手を魔力封じで拘束したバートンにまず勝ち目はなさそうだ。
俺は所長を呼びに転移した。
ノックをするとすぐに入るように中から応えがあった。
「アシュレイ、何かあったか?シェリルさんが慌てて戻ったようだが」
「はい、少しマズイことがありまして。バートンなんですが」
「バートン?」
所長は意外そうな顔をして俺を見た。
今まで問題を起こしたこともないバートンの名前が出たのだから当然の反応だ。
「実は先程、痺れ薬を盛られて動けなくなったところで彼に迫られました」
「はぁ?」
だよな。俺もそう思う。だが、それ以外にいいようがない。
「ええ~っと、バートンはアシュレイを好きって事で良いのかな?」
「そのようです」
先程のことを思い出すと鳥肌ものだが仕方ない。
冷静に起こったことをそのまま伝える。
「わかった、では君の執務室に行こう」
「お願いします」
「君も大変だね」
少し同情するように言われてしまった。
二人して俺の執務室に転移した。
部屋に戻ると、シェリルはバートンの向かいに座り、うんうんと頷きながら、話をしていた。
なに語り合ってんだよ。
「あ、おかえりなさい」
こちらに気がつくと立ち上がってソファの後ろに立つ。
俺と所長がバートンの向かいに座った。
「アシュレイからざっと聞いたよ。バートンからも話しを聞きたい」
「はい。ご迷惑おかけして申し訳ありません。アシュレイへの気持ちが抑えられなくなって、薬を盛るという卑劣な手を使ってしまいました。どのような処分でも受ける覚悟は出来てます」
「なるほどね。人を好きになる気持ちに罪はないけど、薬を使ったのに関しては看過できないな」
「はい」
「アシュレイはどう?許せない?二度と仕事はしたくない?」
「いえ、二度とこのようなことをしないと誓ってくれるなら、バートンと仕事をすること自体は問題ありません」
「なるほど。では謹慎一週間を言い渡す。その間、しっかり反省しなさい。君は魔術師としては優秀なので、人手不足な今抜けられるのは正直痛い。後、半年間の減俸だな」
「かしこまりました。寛大なご処置をありがとうございます。アシュレイ、ここのところ、シェリルと仲良さそうにしてるのを見て焦っていたんだ。本当に申し訳なかった」
「いや、俺も勘違いさせるような部分があったし、今後はもう薬は勘弁してくれ」
「お前の気持ちを聞けたから、スッパリ諦めるように努力はする」
「そうしてくれ」
俺は苦笑しながら頭を下げるバーンに向かって言った。
やれやれ、本当にえらい目にあった。
バートンとは今までのような距離感とはいかないと思うが、仕事はまた別問題だ。
しかし、この件でわかったが、兄貴は一時毎日こんな思いで仕事していたのかと思ったら、本気で尊敬する。
俺の比じゃないくらい怪しい物が送られてくると義姉から聞いたことがあった。
動ければ、何とか抵抗できるが、薬で動けなくなるとこんなにも無力なんだと、改めて思い知った。
これからは口に入れる物は探索をかけるようにしよう。
はぁぁ。今日何度目かわからないため息を吐いた。
バートンの拘束を解き、そのまま奴は荷物をまとめ、ジャンに引き継ぎをして謹慎に入る。
大事にしたくはなかったので、私用で急に休むことになったと皆には説明しておいた。
念のため、救護室で診察をしてもらい、問題が無いと診断されると、執務室に戻って仕事を続けた。
今日は定時で上ろう。
定時になったので帰る準備をする。
大変な日ではあったが、普通に腹が減った。
シェリルを誘って飯を食って帰るか、と思って彼女を見ると、ニッコリしながら
「お供いたします」
と言って来たので、そのままグロリア亭に行くことにした。
本当にいい相棒だ。
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