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力技
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~アシュレイ~
ガンッ、バキン!っという音が扉の方からした。
物凄い音がしたので、バートンも扉の方に意識がそれた。
「アシュレイさん!!」
シェリルの声と共に掴まれた顎が解放された。
あっという間にバートンの腕をねじり上げ、床に押さえつけるシェリルがいた。
つ、強ぇぇ。自分よりデカいバートンを抵抗する間も無くあっさり取り押さえたぞ。
バートンが床で呻き声を上げた。
「くっ、どうして入ってこれた。結界を張っておいたんだぞ!」
「力技でぶっ壊しました」
「この!ゴリラ女!!」
「ゴリラぐらいじゃないとアシュレイさんを守れないんで」
シェリルは平然と返して腰から魔術封じの手錠を取り出し、後ろ手にバートンに手錠をかけてから拘束魔術をかけると、こちらに駆け寄って来た。
「大丈夫ですか、アシュレイさん。通信機からの様子がおかしかったんで戻って来ました」
ううっっ、助かった。シェリルの顔を見た途端、全身の力を抜いて心底ホッとした。
でも動けない。答えない俺を見てすぐに異変に気がついてくれた。
「薬盛られましたね。このコーヒーですか?ちょっと待ってください。すぐに分析して治療します」
そう言うとコーヒーを持ち上げて一口飲む。
ばっ!!お前まで痺れるぞ!
内心で慌てる俺をよそに、ふむふむと平然としながら味わうようにすると
「マシビレ草から抽出したエキスみたいですね。すぐ解毒剤持ってきます」
言うなり転移してしまった。
全く、無茶する奴だな。
でも、何であいつは平気なんだ??
不思議に思ってるとすぐにシェリルが戻ってきた。
手にはポーションタイプの解毒剤を持っている。
「これ、解毒剤です。ゆっくり飲んで下さいね」
唇も痺れて感覚が無いため、口の端から溢れてしまった。
「うーん、上手く飲み込めないですね・・・ごめんなさい。ちょっとだけ我慢してください」
言うなり、解毒剤を一気に煽ると、俺の顔を引き寄せ、口移しで飲ませた。
「っっっ!!!」
びっくりしてると解毒剤と共にシェリルの魔力まで流れ込んできた。
コクンコクンと解毒剤と魔力も一緒に飲み込む。
お腹の辺りがフワリと暖かくなり、さっきまでゾワゾワ感が嘘のように消え去った。
うわぁ、気持ち良い。
トロンとしてると、シェリルが顔を離して覗き込んできた。
「大丈夫ですか?痺れはとれて来ました?一緒に魔力も注いだんで、ちょっとは楽になるかと思います」
コクンと頷く。さっきよりは大分良い。
「バートンと、はなし、したい」
「わかりました」
バートンを起き上がらせ、ソファに座らせる。
「まだ、拘束かけたままにさせてもらいますね、バートンさん」
バートンは黙ったまま頷いた。
シェリルは扉の外にいますと、出て行った。
「「・・・」」
部屋に何とも言えない沈黙が流れた。
俺はかなりマシになった体を動かした。
数度咳をしたら、まだ少し喉に違和感はあるものの、何とか話は出来そうだった。
「バートン。なんで、あんなこと、した?」
「・・・」
バートンは俺から目を逸らし、じっと床を見つめている。
「痺れ薬は、やりすぎ、だろう。いくら、なんでも」
バートンはゆっくりと俺を見る。その瞳はかなり切なげで、今にも泣き出しそうなほどだった。
それで初めて、俺はバートンを追い詰めていたのか?と思った。
「あいつが側にいるようになってから、アシュレイがどんどん変わって行くように思えた。よく笑うようになったし、前よりも人を近づけさせるようになった」
あいつって、シェリルの事か。
俺自身はあまり変わった自覚はないが、はたから見たらそう見えるのか。
それよりも・・・
「おれを好きって、いつから?一体どういうこと、なんだ?お前、学生時代は普通に彼女とかいただろ」
「はじめはもちろん、友達として付き合ってたさ。でも、魔術師として一緒に働くうちに、尊敬出来る部分とか、憧れとか・・あと・・・」
「あと?」
バートンは少し赤くなりながら俺をチラリとみる。
「綺麗だな~って、思うようになって、それからは他の女とか見ても、アシュレイの方が全然綺麗だな、としか思わなくなって。気がついたらずっと目で追うようになった。もっと触れたいとか。アシュレイだって、俺が触っても平気だから、いつか受け入れてくれると思ってた」
綺麗って、何言ってんだコイツ。
俺だって兄貴ほどじゃないけど、188cmもあって、そこそこゴツいと思うぞ。
成る程、距離近くても気にしなかった俺にもスキがあったという事か。
「悪いが、俺は友人としてしかお前を見ることが出来ない。今回のことでよ~~くわかった。俺、男は無理だ」
あえてキッパリと言う。まぁ、本心だし。
バートンは、はぁぁ、とため息をついた。
「まぁ、わかってたんだけどな。アイツと親しくしてるのを見て、気持ちを抑えておくのが限界だったんだ」
「だからって、おまえ。薬盛るのは犯罪だぞ」
こっちがため息つきたいぞ。前に兄貴が薬の入った飲み物をうっかり飲んでしまって大変だったと言っていたが、まさか俺まで同じ目に遭うとは思わなかった。しかも男にっっ!
大事には至らなかったとはいえ、シェリルがいなかったらと思うとゾッとした。
シェリルがいたから盛ったんだろうな。止められるのは前提だったんだろう。
まさか、あそこまであっさり取り押さえられるとは思わなかったが。
さて、どうするかな。
ガンッ、バキン!っという音が扉の方からした。
物凄い音がしたので、バートンも扉の方に意識がそれた。
「アシュレイさん!!」
シェリルの声と共に掴まれた顎が解放された。
あっという間にバートンの腕をねじり上げ、床に押さえつけるシェリルがいた。
つ、強ぇぇ。自分よりデカいバートンを抵抗する間も無くあっさり取り押さえたぞ。
バートンが床で呻き声を上げた。
「くっ、どうして入ってこれた。結界を張っておいたんだぞ!」
「力技でぶっ壊しました」
「この!ゴリラ女!!」
「ゴリラぐらいじゃないとアシュレイさんを守れないんで」
シェリルは平然と返して腰から魔術封じの手錠を取り出し、後ろ手にバートンに手錠をかけてから拘束魔術をかけると、こちらに駆け寄って来た。
「大丈夫ですか、アシュレイさん。通信機からの様子がおかしかったんで戻って来ました」
ううっっ、助かった。シェリルの顔を見た途端、全身の力を抜いて心底ホッとした。
でも動けない。答えない俺を見てすぐに異変に気がついてくれた。
「薬盛られましたね。このコーヒーですか?ちょっと待ってください。すぐに分析して治療します」
そう言うとコーヒーを持ち上げて一口飲む。
ばっ!!お前まで痺れるぞ!
内心で慌てる俺をよそに、ふむふむと平然としながら味わうようにすると
「マシビレ草から抽出したエキスみたいですね。すぐ解毒剤持ってきます」
言うなり転移してしまった。
全く、無茶する奴だな。
でも、何であいつは平気なんだ??
不思議に思ってるとすぐにシェリルが戻ってきた。
手にはポーションタイプの解毒剤を持っている。
「これ、解毒剤です。ゆっくり飲んで下さいね」
唇も痺れて感覚が無いため、口の端から溢れてしまった。
「うーん、上手く飲み込めないですね・・・ごめんなさい。ちょっとだけ我慢してください」
言うなり、解毒剤を一気に煽ると、俺の顔を引き寄せ、口移しで飲ませた。
「っっっ!!!」
びっくりしてると解毒剤と共にシェリルの魔力まで流れ込んできた。
コクンコクンと解毒剤と魔力も一緒に飲み込む。
お腹の辺りがフワリと暖かくなり、さっきまでゾワゾワ感が嘘のように消え去った。
うわぁ、気持ち良い。
トロンとしてると、シェリルが顔を離して覗き込んできた。
「大丈夫ですか?痺れはとれて来ました?一緒に魔力も注いだんで、ちょっとは楽になるかと思います」
コクンと頷く。さっきよりは大分良い。
「バートンと、はなし、したい」
「わかりました」
バートンを起き上がらせ、ソファに座らせる。
「まだ、拘束かけたままにさせてもらいますね、バートンさん」
バートンは黙ったまま頷いた。
シェリルは扉の外にいますと、出て行った。
「「・・・」」
部屋に何とも言えない沈黙が流れた。
俺はかなりマシになった体を動かした。
数度咳をしたら、まだ少し喉に違和感はあるものの、何とか話は出来そうだった。
「バートン。なんで、あんなこと、した?」
「・・・」
バートンは俺から目を逸らし、じっと床を見つめている。
「痺れ薬は、やりすぎ、だろう。いくら、なんでも」
バートンはゆっくりと俺を見る。その瞳はかなり切なげで、今にも泣き出しそうなほどだった。
それで初めて、俺はバートンを追い詰めていたのか?と思った。
「あいつが側にいるようになってから、アシュレイがどんどん変わって行くように思えた。よく笑うようになったし、前よりも人を近づけさせるようになった」
あいつって、シェリルの事か。
俺自身はあまり変わった自覚はないが、はたから見たらそう見えるのか。
それよりも・・・
「おれを好きって、いつから?一体どういうこと、なんだ?お前、学生時代は普通に彼女とかいただろ」
「はじめはもちろん、友達として付き合ってたさ。でも、魔術師として一緒に働くうちに、尊敬出来る部分とか、憧れとか・・あと・・・」
「あと?」
バートンは少し赤くなりながら俺をチラリとみる。
「綺麗だな~って、思うようになって、それからは他の女とか見ても、アシュレイの方が全然綺麗だな、としか思わなくなって。気がついたらずっと目で追うようになった。もっと触れたいとか。アシュレイだって、俺が触っても平気だから、いつか受け入れてくれると思ってた」
綺麗って、何言ってんだコイツ。
俺だって兄貴ほどじゃないけど、188cmもあって、そこそこゴツいと思うぞ。
成る程、距離近くても気にしなかった俺にもスキがあったという事か。
「悪いが、俺は友人としてしかお前を見ることが出来ない。今回のことでよ~~くわかった。俺、男は無理だ」
あえてキッパリと言う。まぁ、本心だし。
バートンは、はぁぁ、とため息をついた。
「まぁ、わかってたんだけどな。アイツと親しくしてるのを見て、気持ちを抑えておくのが限界だったんだ」
「だからって、おまえ。薬盛るのは犯罪だぞ」
こっちがため息つきたいぞ。前に兄貴が薬の入った飲み物をうっかり飲んでしまって大変だったと言っていたが、まさか俺まで同じ目に遭うとは思わなかった。しかも男にっっ!
大事には至らなかったとはいえ、シェリルがいなかったらと思うとゾッとした。
シェリルがいたから盛ったんだろうな。止められるのは前提だったんだろう。
まさか、あそこまであっさり取り押さえられるとは思わなかったが。
さて、どうするかな。
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