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ミランダの日常
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~ミランダ~
ここのところ、王都を騒がしていた魔術師を襲った犯人の目処がつき、任意同行で現在取り調べ中だと、グラントが言っていた。
「その人が犯人ってよくわかったね~」
「酔って周りに俺が犯人だって吹聴している奴が結構いてね、真犯人は俺だって、犯人しか知らないことを話しているのをたまたま聞いてた人が通報してくれたんだよ」
「ヘェ~、自分じゃない奴が犯人って思われるのは嫌なんだね」
「そうなんだろうね」
「どうして魔術師を襲ったの?」
「それはまだ調べてる最中」
ふ~ん。まだわからないのか。でもまあ、捕まるのは時間の問題らしいね。
やっと護衛の皆さんも解放されるのか。
一人でトイレにも行けなかった状況が改善されるのは嬉しい。
グラントたちもピリピリしていたから、少し余裕が出て来るだろう。
グラントが足元にいた4歳になったヒューゴを膝の上に抱き上げる。
ヒューゴは夕飯後で眠くなったのか、少し甘えてグラントの首に抱きついた。
優しく笑って、ヒューゴの頭をなでなでするグラント。
くっ!何と尊い光景だ!
結婚して7年経つがいまだにグラントには慣れない。
ふとした事でもドギマギが止まらないのだ。
31歳になり、とどまるところを知らない男前っぷり。
食い入るように見つめていると、こちらを見てフッと笑った。
「ミランダは後でな」
おおっふー。鼻血が出そう、とそうじゃない。
「羨ましいとかじゃなくて、尊いなぁと思って見てたの」
「なんだ。穴が開きそうなほど見てたから。でも、やっと落ち着いてゆっくり出来るな」
「そうだね。このところバタバタしてたからね」
「魔術研究所も大変だったろ」
「う~ん、一人で行動するなって、どこに行くにも護衛か二人以上で行動するように言われてたからね」
「所長とアシュレイには専属の護衛が着いてたしな」
「アシュレイさんの護衛はシェリルだったんだよ。随分仲良くなって、ご飯とかもよく一緒に行ってたみたい」
「らしいな。アシュレイから聞いた」
「へぇ~、そうなんだ。あの子魔術のコントロールが凄く苦手で、アシュレイさんに習って上達したって喜んでたよ」
「アシュレイも良い助手と弟子が出来たって喜んでたんだがな。終わってしまうのは残念だろう」
そうか、犯人が捕まれば護衛はもう必要ない。
仕事とはいえ、朝から晩までずっと一緒にいたのだ。
二人とも寂しかろう。
「いっそこと、結婚しちゃえば良いのにねぇ~」
「はは、そうだな。こればっかりは本人同士にその気が無いと難しいが、シェリルさんなら大賛成だ」
「私もアシュレイさんなら大賛成!」
「二人のことは二人に任せよう」
「そうだね」
私たちは顔を見合わせて、お互いにうんうんと頷き合った。
本当、そうなってくれればこれ程喜ばしい事はない。
アシュレイさんだって私と同じ年だから、28歳なのだ。
そうだ、魔術書はどう見てるか聞いてみよう。
テーブルに置いてあった魔術書を取り上げた。
「ちょっと、おっさんはどう思う?」
『あの二人か?ふん、甘やかな雰囲気などない感じだぞ。シェリルは良い酒飲み相手で師匠としてしか見てないようじゃからな。まぁ、離れてからお互いの存在に気がつくこともあるじゃろ』
お、中々まともな意見じゃないか。
そうか、私の見てないとこでおっさんは聞き耳を立てていてようだ。
「よく見てんだね」
『ミランダも一人でこなせるようになったから、わしはヒマじゃからな。魔力を全体に広げてあちこちの様子は伺ってたんじゃ』
「そんな事出来るの?」
『こう見えてもはじまりの魔術師なんじゃぞ。朝飯前だ』
なるほど。ん?待てよ。
おっさん、やっぱり趣味はのぞきじゃ無いか!
「あんたやっぱり封印した方がいいかも」
『まてまてまて!魔術師は好奇心が旺盛なんじゃぞ。歩き回れ無い分、魔力で辺りを探るのは許してほしい』
「う~ん。勝手にペラペラ話さないでよ。あと、うちの寝室は禁止だからね」
『わかっておる』
「ミランダ、心配しなくてもうちの寝室はのぞけないから安心して」
「そうなの?グラント」
『そうじゃ。お前の旦那のバリアは強力でな、子供部屋も寝室も見る事は出来ん』
「それなら安心した」
私たちも子どもたちも、勝手にのぞかれるのは嫌だからね~。
知らずに知らずに潜んでるなんて、ゴキブリと一緒じゃないか!
何がはじまりの魔術師だ。全くもう。
さて、犯人と断定されれば、すぐにでも日常に戻れるなと一安心して、隣のグラントにもたれかかると、グラントは肩を抱いて私を引き寄せ、こめかみにキスを落とした。
ヴァンサンもヴァアンカも大人しくテレビを見ている。
今年小学校に上がったヴァンサンは背も伸びて、益々グラントに似てきた。
妹弟の面倒もよく見てくれる。世話を焼くのが好きなところも似ている。
推しもいて、可愛い子どもたちもいて、仕事先ではリアルBL観察もできて、幸せだなぁ。
ここのところ、王都を騒がしていた魔術師を襲った犯人の目処がつき、任意同行で現在取り調べ中だと、グラントが言っていた。
「その人が犯人ってよくわかったね~」
「酔って周りに俺が犯人だって吹聴している奴が結構いてね、真犯人は俺だって、犯人しか知らないことを話しているのをたまたま聞いてた人が通報してくれたんだよ」
「ヘェ~、自分じゃない奴が犯人って思われるのは嫌なんだね」
「そうなんだろうね」
「どうして魔術師を襲ったの?」
「それはまだ調べてる最中」
ふ~ん。まだわからないのか。でもまあ、捕まるのは時間の問題らしいね。
やっと護衛の皆さんも解放されるのか。
一人でトイレにも行けなかった状況が改善されるのは嬉しい。
グラントたちもピリピリしていたから、少し余裕が出て来るだろう。
グラントが足元にいた4歳になったヒューゴを膝の上に抱き上げる。
ヒューゴは夕飯後で眠くなったのか、少し甘えてグラントの首に抱きついた。
優しく笑って、ヒューゴの頭をなでなでするグラント。
くっ!何と尊い光景だ!
結婚して7年経つがいまだにグラントには慣れない。
ふとした事でもドギマギが止まらないのだ。
31歳になり、とどまるところを知らない男前っぷり。
食い入るように見つめていると、こちらを見てフッと笑った。
「ミランダは後でな」
おおっふー。鼻血が出そう、とそうじゃない。
「羨ましいとかじゃなくて、尊いなぁと思って見てたの」
「なんだ。穴が開きそうなほど見てたから。でも、やっと落ち着いてゆっくり出来るな」
「そうだね。このところバタバタしてたからね」
「魔術研究所も大変だったろ」
「う~ん、一人で行動するなって、どこに行くにも護衛か二人以上で行動するように言われてたからね」
「所長とアシュレイには専属の護衛が着いてたしな」
「アシュレイさんの護衛はシェリルだったんだよ。随分仲良くなって、ご飯とかもよく一緒に行ってたみたい」
「らしいな。アシュレイから聞いた」
「へぇ~、そうなんだ。あの子魔術のコントロールが凄く苦手で、アシュレイさんに習って上達したって喜んでたよ」
「アシュレイも良い助手と弟子が出来たって喜んでたんだがな。終わってしまうのは残念だろう」
そうか、犯人が捕まれば護衛はもう必要ない。
仕事とはいえ、朝から晩までずっと一緒にいたのだ。
二人とも寂しかろう。
「いっそこと、結婚しちゃえば良いのにねぇ~」
「はは、そうだな。こればっかりは本人同士にその気が無いと難しいが、シェリルさんなら大賛成だ」
「私もアシュレイさんなら大賛成!」
「二人のことは二人に任せよう」
「そうだね」
私たちは顔を見合わせて、お互いにうんうんと頷き合った。
本当、そうなってくれればこれ程喜ばしい事はない。
アシュレイさんだって私と同じ年だから、28歳なのだ。
そうだ、魔術書はどう見てるか聞いてみよう。
テーブルに置いてあった魔術書を取り上げた。
「ちょっと、おっさんはどう思う?」
『あの二人か?ふん、甘やかな雰囲気などない感じだぞ。シェリルは良い酒飲み相手で師匠としてしか見てないようじゃからな。まぁ、離れてからお互いの存在に気がつくこともあるじゃろ』
お、中々まともな意見じゃないか。
そうか、私の見てないとこでおっさんは聞き耳を立てていてようだ。
「よく見てんだね」
『ミランダも一人でこなせるようになったから、わしはヒマじゃからな。魔力を全体に広げてあちこちの様子は伺ってたんじゃ』
「そんな事出来るの?」
『こう見えてもはじまりの魔術師なんじゃぞ。朝飯前だ』
なるほど。ん?待てよ。
おっさん、やっぱり趣味はのぞきじゃ無いか!
「あんたやっぱり封印した方がいいかも」
『まてまてまて!魔術師は好奇心が旺盛なんじゃぞ。歩き回れ無い分、魔力で辺りを探るのは許してほしい』
「う~ん。勝手にペラペラ話さないでよ。あと、うちの寝室は禁止だからね」
『わかっておる』
「ミランダ、心配しなくてもうちの寝室はのぞけないから安心して」
「そうなの?グラント」
『そうじゃ。お前の旦那のバリアは強力でな、子供部屋も寝室も見る事は出来ん』
「それなら安心した」
私たちも子どもたちも、勝手にのぞかれるのは嫌だからね~。
知らずに知らずに潜んでるなんて、ゴキブリと一緒じゃないか!
何がはじまりの魔術師だ。全くもう。
さて、犯人と断定されれば、すぐにでも日常に戻れるなと一安心して、隣のグラントにもたれかかると、グラントは肩を抱いて私を引き寄せ、こめかみにキスを落とした。
ヴァンサンもヴァアンカも大人しくテレビを見ている。
今年小学校に上がったヴァンサンは背も伸びて、益々グラントに似てきた。
妹弟の面倒もよく見てくれる。世話を焼くのが好きなところも似ている。
推しもいて、可愛い子どもたちもいて、仕事先ではリアルBL観察もできて、幸せだなぁ。
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