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【番外編】グレーゾーンのギリアムさん〜ギリアム〜
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私はギリアム・マコーレン。王国調査局、調査員。
幸か不幸か、ジークフリード王太子とは同学年で腐れ縁の仲。
私の中では、殿下はいつも厄介事を持ってくる、というイメージしか無い。
そして、今日もその殿下に呼び出された。
「あ、忙しいとこ悪いね、ギリアム。ちょっと頼みたい事があって」
出た!殿下のちょっとはちょっとだった試しがない。
「何ですか?面倒臭いのは困るんですよぉ」
「いやいや、大した事ないよ。ダミーの婚約者を引き受けてくれる令嬢を探して欲しいんだよね」
「ダミーの婚約者?」
あ~、もう面倒な匂いしかないっっ!
「これが、うちの王国の伯爵以上でご令嬢がいる家のリストとご令嬢のプロフィールね。後こっちが、王都の大きい会社とか専科と特化の教授の令嬢のリスト。まあ、名家と呼ばれるお家ばかりだよね」
「この中から探せと?」
ざっと見ても100は超えてる。
「僕さぁ、どうしてもエマリア・モリーシュと結婚したいんだけど、彼女王妃になりたい!とかそういうギラギラしたタイプじゃないんだよね。だから、彼女が断り辛くなるいい年になるまで待つつもりだから」
「それまでのカモフラージュとして、ダミー婚約者で繋いでおくんですか?」
「いや、僕が勝手に結婚相手決めると、大臣とか後からうるさいでしょ。だから、エマリアとダミーを混ぜて大臣達に選考させて、良い感じでダミーに落ちてもらって、エマリアが残るようにするって訳」
「うわっっ!面倒臭~。じゃあ、ある程度演技もできて、自然に落ちてもらうよう動ける人じゃなきゃダメってことぉ?」
「そうそう。そういう人探してきてよ」
「ちょっと、簡単に言うけどねぇ。そんな人いるぅ」
「これだけ居れば、一人か二人はいるでしょ。王妃になりたくない協力者くらい。謝礼は僕のボケットマネーから出すよ。僕や王妃に興味がない、生活できないほどじゃないけど口が堅くて少しお金に困ってる、くらいが理想だね」
「はぁ?なにそれ。物凄い難易度高いよ~、特別ボーナス要求するからね」
「もちろん、そのつもりだから。ギリアムにしか頼めないんだよ」
「はぁぁぁぁ。もぅ、しかたないなぁ。モリーシュ先輩に一途なのは知ってたから、協力する」
「ありがとう、ギリアム。頼りにしてる。サマンサ局長には僕の極秘特別任務として動いてもらうって報告しとくから」
も~、いつもこうなんだよなぁぁ!
でも、好きな人と自分勝手に結婚できない事情もわかる~。モリーシュ先輩は本当に好きだもんね、高等部時代、殿下が生き生きとしてたの知ってるから、ここはどうしても結婚させてあげたい。
あの殿下なら凄い執念で何年掛けてでもモリーシュ先輩と結婚するぞ、きっと。
やれやれ、モリーシュ先輩も厄介な人に好かれたもんだ。
そして私は令嬢リストを頭に叩き込んで各地を転々とする羽目になった。
北のガータニーはほのぼの田園風景で、畑と田んぼと山ばかり。
水も空気も綺麗で温泉もあって、実はそんな環境のため、美人の産地としても有名。
ここの令嬢は公爵の長女カレンデュラ・オリバーと伯爵の次女マリカ・エイドルと三女のリラね。
じゃあまずはカレンデュラから会いに行こうかなぁ。
と、その前に変身しとかないと。
私はトランスフォームの能力がある。
自分の背丈が190cmあって、この大きさから、しゃがんで丸まった大きさのまでの生き物なら何でもなれる。
まあ、大型犬とかくらいから、ちょっと小さめの熊くらいならなれる。見た目はね。
でも、任務では動物にはほどんどならない。
私の容姿は目立つから、老若男女どちらでも目立たないように変身して市井に紛れて調査するには凄い便利な能力。
今回は女性で行こうかしら?女子に近づくんだし。
あ、今からもう女言葉になってる。まぁいっか。
王都から来た一人旅の女性って事で、さっさと変身して彼女のいるイベント会場に向かう。
確か、ミス・ガータニーとしてPR大使をしてるんだっけ?
どこの領主も無料で使えるからって、娘をミス何とかって、大使にする人多いけど、まぁ、可愛らしいけど大抵容姿は普通の子よ。
カレンデュラも若いのに家のために偉いわぁ。
イベントは王国周辺の地方の物産展をやっていた。
ラッキー、他の令嬢も調査できそう。
さりげなくカレンデュラを探す。
タタタッと軽い足音と、「キャー遅れちゃう」という声と共に後ろからぶつかられた。思わずよろめいて目の前の物産品を置いたワゴンにつかまる。
振り向くと、相手の子は後ろ向きに転がっていた
ちょっと、何やってるの、鈍臭い子ね!
思わず手をとって立たせる。
もう、せっかくの白いワンピースがホコリだらけになるじゃない、とスカートを払ってあげた。
「大丈夫?怪我ない?」
「ご、ごめんなさい。急いでて」
その子はパッと顔を上げて、私を見た。
サラサラ艶々の漆黒の髪に暮れなずむ空のような美しい紫の鮮やか瞳。
透き通るような毛穴レスの白い肌にはシミも黒子もなくて、王都で美人を見慣れている私でもびっくりする程綺麗な子だった。
さすが美人の産地。それにお化粧してないわ、この子。
やだそれでこれなの?ちょっと凄いじゃない。
思わずジィーと見てしまった。
丁度舞台では司会が
「それでは、ミス・ガータニーの登場です!」
と大きい声で盛り上げていた。
「あ、行かなきゃ!本当にごめんなさい」
「頑張ってね」
彼女はニコリとして、また、キャーと言いながら走って行った。
すっごい綺麗な子だけど騒がしいわね。
でも、あの子がカレンデュラだわ。間違いないわね。
文句なしのミス・ガータニーじゃない、珍しく。
あの素直そうな感じからして、嘘も演技も無理だわ。リストから外しましょ。
それに公爵は今年も安定して豊作で収入も困ってないし。
はぁ~、それにしてもあの小娘、宝石の原石みたいな子だわ~。
ああいう子見ると、一から自分で磨きたくなるのよね・・・
結果、一年かけてあちこち巡り、無事に2名のダミー婚約者候補を見つけ出した。
殿下はダミー候補者と面談して、よくやった!と手放して褒めてくれた。
当然~、私がその後も指導しましたから。完璧なはず。
心身共に疲れ果てた私は、殿下にボーナスはミランダ・デパルの代理事務官になりたいと願い出た。
もう、しばらくは地方は勘弁よ。
第二隊といえは、グラント副隊長でしょ。
私は殿下の手伝いで、2学年上の超有名先輩方の調査もしたから、モリーシュ先輩がマリモリ先生だと知ってる数少ない人の一人。
モリーシュ先輩の書く、青薔薇騎士団のマクシミリアンのモデルと聞けば、騎士になった副隊長を近くで見たい!
無事、任務完了となって5月から代理事務官になった私は、グロリア亭で食事中に、男女の別れ話に遭遇したのだった。
ちょっとちょっと、何でこんなところで、しかも女連れ!
あ~、あ~、あの男もあんなテンプレな女に引っかかって・・・。
見るからに都会に慣れてない感じだから、イチコロだね、ご愁傷様。
横目で見ながらワインを飲んでいた。
「そんなもんもこんなもんも、一方的に終わらせたのはあんたでしょーが!」
突然、大きな声と共に立ち上がった女の人は・・・
「すみません、大声出して。お気になさらず」
こちらを向いた瞬間確信した、あの小娘、カレンデュラ!
そうか、第二隊魔術騎士だった。
ここで会ったのも運命かなぁ。
去年見た、鮮烈な印象を残したカレンデュラを思い出す。
よし、あの小娘は私が拾って大事に磨き上げて育てることに決定。
ミランダが出て行くのを見計らって、私も店を出る。
「あ~、小娘、ここにいたのぉ?」
何食わぬ顔して隣に座る。
まあ、いまは変身してないから、ギリアムとして会うのはほぼ初対面。
それにしても、肌も髪もボロボロになって・・・
こんなになるまで放っておくなんて許せない!!
美人の自覚の無い子っっっ。
ジャンジャンお酒飲み出すし、遠慮なく愚痴言い出すし。
でも恋人だったジェリコとやらの悪口は言わない。
相変わらず良い子のようで安心。
無事、カレンデュラを連れ帰ったは良いものの、今度はトイレで吐き出すし、水飲ませたらこぼすしで、私のパジャマに着替えさせてやっと客間に寝かしつけた。
姉たちがたまに泊まりに来ても良い用に確保してある。
化粧品も洗面用具も全て、3番目の姉が勤めてるRitaのが揃ってる。
あ~、もぅ、手がかかる子なんだから~。
でも、嫌いじゃない、こういうの。
しばらくは姉のようなポジションで慣れさせてから、徐々に私を男として意識させて行くようにすれば良いか。
私も殿下の事言えないなぁ、と苦笑する。
ま、その頃には私から離れて生きて行けないようにするから、覚悟しておいて、小娘!
髪を撫で、カレンデュラの寝顔を見ながら、そっと額にキスした。
【完】
—————————————————————————
お付き合い頂き、ありがとうございます。
ギリアムの話は最初はミランダの視点から書いていたのですが、ミランダは妊婦なので行き詰まってしまい、
結局マイフェアレディみたいな、源氏物語の紫の上みたいな話になってしまいました。
そんな訳で更新が遅れてすみませんでした。
前回のマリモリ先生の受難から、ダミー婚約者を探し出したのはギリアムということで、その流れで第二隊代理事務官になった経緯も書けたので良かったです。
モーリス(国王)もジークも自分のお気に入りに無茶振りさせるところは似た物親子なのですよ。
モーリスの部下、宰相のウォルフは「誰にも読めない怪しい依頼を受けることになりました」に出てくるので、もし良かったら読んでみて下さい。
ギリアムはオネエに見えるか見えないか、語尾を調整するのに苦労しました。
よく読むと、オネエ言葉でも無いのです。だよね?
まあ、任務で女性に変身することもあるから、普段からわざとグレーゾーン風でいる事もあるという事で。
そのくらいで無いと、モテ過ぎるグラントの二の舞になりそうだから面倒臭い、という事にしておきます。
では、次はミランダが魔術師になるかならないかの攻防戦をお届けする予定。
皆さん、またお会いできる日を。
いかくもハル
幸か不幸か、ジークフリード王太子とは同学年で腐れ縁の仲。
私の中では、殿下はいつも厄介事を持ってくる、というイメージしか無い。
そして、今日もその殿下に呼び出された。
「あ、忙しいとこ悪いね、ギリアム。ちょっと頼みたい事があって」
出た!殿下のちょっとはちょっとだった試しがない。
「何ですか?面倒臭いのは困るんですよぉ」
「いやいや、大した事ないよ。ダミーの婚約者を引き受けてくれる令嬢を探して欲しいんだよね」
「ダミーの婚約者?」
あ~、もう面倒な匂いしかないっっ!
「これが、うちの王国の伯爵以上でご令嬢がいる家のリストとご令嬢のプロフィールね。後こっちが、王都の大きい会社とか専科と特化の教授の令嬢のリスト。まあ、名家と呼ばれるお家ばかりだよね」
「この中から探せと?」
ざっと見ても100は超えてる。
「僕さぁ、どうしてもエマリア・モリーシュと結婚したいんだけど、彼女王妃になりたい!とかそういうギラギラしたタイプじゃないんだよね。だから、彼女が断り辛くなるいい年になるまで待つつもりだから」
「それまでのカモフラージュとして、ダミー婚約者で繋いでおくんですか?」
「いや、僕が勝手に結婚相手決めると、大臣とか後からうるさいでしょ。だから、エマリアとダミーを混ぜて大臣達に選考させて、良い感じでダミーに落ちてもらって、エマリアが残るようにするって訳」
「うわっっ!面倒臭~。じゃあ、ある程度演技もできて、自然に落ちてもらうよう動ける人じゃなきゃダメってことぉ?」
「そうそう。そういう人探してきてよ」
「ちょっと、簡単に言うけどねぇ。そんな人いるぅ」
「これだけ居れば、一人か二人はいるでしょ。王妃になりたくない協力者くらい。謝礼は僕のボケットマネーから出すよ。僕や王妃に興味がない、生活できないほどじゃないけど口が堅くて少しお金に困ってる、くらいが理想だね」
「はぁ?なにそれ。物凄い難易度高いよ~、特別ボーナス要求するからね」
「もちろん、そのつもりだから。ギリアムにしか頼めないんだよ」
「はぁぁぁぁ。もぅ、しかたないなぁ。モリーシュ先輩に一途なのは知ってたから、協力する」
「ありがとう、ギリアム。頼りにしてる。サマンサ局長には僕の極秘特別任務として動いてもらうって報告しとくから」
も~、いつもこうなんだよなぁぁ!
でも、好きな人と自分勝手に結婚できない事情もわかる~。モリーシュ先輩は本当に好きだもんね、高等部時代、殿下が生き生きとしてたの知ってるから、ここはどうしても結婚させてあげたい。
あの殿下なら凄い執念で何年掛けてでもモリーシュ先輩と結婚するぞ、きっと。
やれやれ、モリーシュ先輩も厄介な人に好かれたもんだ。
そして私は令嬢リストを頭に叩き込んで各地を転々とする羽目になった。
北のガータニーはほのぼの田園風景で、畑と田んぼと山ばかり。
水も空気も綺麗で温泉もあって、実はそんな環境のため、美人の産地としても有名。
ここの令嬢は公爵の長女カレンデュラ・オリバーと伯爵の次女マリカ・エイドルと三女のリラね。
じゃあまずはカレンデュラから会いに行こうかなぁ。
と、その前に変身しとかないと。
私はトランスフォームの能力がある。
自分の背丈が190cmあって、この大きさから、しゃがんで丸まった大きさのまでの生き物なら何でもなれる。
まあ、大型犬とかくらいから、ちょっと小さめの熊くらいならなれる。見た目はね。
でも、任務では動物にはほどんどならない。
私の容姿は目立つから、老若男女どちらでも目立たないように変身して市井に紛れて調査するには凄い便利な能力。
今回は女性で行こうかしら?女子に近づくんだし。
あ、今からもう女言葉になってる。まぁいっか。
王都から来た一人旅の女性って事で、さっさと変身して彼女のいるイベント会場に向かう。
確か、ミス・ガータニーとしてPR大使をしてるんだっけ?
どこの領主も無料で使えるからって、娘をミス何とかって、大使にする人多いけど、まぁ、可愛らしいけど大抵容姿は普通の子よ。
カレンデュラも若いのに家のために偉いわぁ。
イベントは王国周辺の地方の物産展をやっていた。
ラッキー、他の令嬢も調査できそう。
さりげなくカレンデュラを探す。
タタタッと軽い足音と、「キャー遅れちゃう」という声と共に後ろからぶつかられた。思わずよろめいて目の前の物産品を置いたワゴンにつかまる。
振り向くと、相手の子は後ろ向きに転がっていた
ちょっと、何やってるの、鈍臭い子ね!
思わず手をとって立たせる。
もう、せっかくの白いワンピースがホコリだらけになるじゃない、とスカートを払ってあげた。
「大丈夫?怪我ない?」
「ご、ごめんなさい。急いでて」
その子はパッと顔を上げて、私を見た。
サラサラ艶々の漆黒の髪に暮れなずむ空のような美しい紫の鮮やか瞳。
透き通るような毛穴レスの白い肌にはシミも黒子もなくて、王都で美人を見慣れている私でもびっくりする程綺麗な子だった。
さすが美人の産地。それにお化粧してないわ、この子。
やだそれでこれなの?ちょっと凄いじゃない。
思わずジィーと見てしまった。
丁度舞台では司会が
「それでは、ミス・ガータニーの登場です!」
と大きい声で盛り上げていた。
「あ、行かなきゃ!本当にごめんなさい」
「頑張ってね」
彼女はニコリとして、また、キャーと言いながら走って行った。
すっごい綺麗な子だけど騒がしいわね。
でも、あの子がカレンデュラだわ。間違いないわね。
文句なしのミス・ガータニーじゃない、珍しく。
あの素直そうな感じからして、嘘も演技も無理だわ。リストから外しましょ。
それに公爵は今年も安定して豊作で収入も困ってないし。
はぁ~、それにしてもあの小娘、宝石の原石みたいな子だわ~。
ああいう子見ると、一から自分で磨きたくなるのよね・・・
結果、一年かけてあちこち巡り、無事に2名のダミー婚約者候補を見つけ出した。
殿下はダミー候補者と面談して、よくやった!と手放して褒めてくれた。
当然~、私がその後も指導しましたから。完璧なはず。
心身共に疲れ果てた私は、殿下にボーナスはミランダ・デパルの代理事務官になりたいと願い出た。
もう、しばらくは地方は勘弁よ。
第二隊といえは、グラント副隊長でしょ。
私は殿下の手伝いで、2学年上の超有名先輩方の調査もしたから、モリーシュ先輩がマリモリ先生だと知ってる数少ない人の一人。
モリーシュ先輩の書く、青薔薇騎士団のマクシミリアンのモデルと聞けば、騎士になった副隊長を近くで見たい!
無事、任務完了となって5月から代理事務官になった私は、グロリア亭で食事中に、男女の別れ話に遭遇したのだった。
ちょっとちょっと、何でこんなところで、しかも女連れ!
あ~、あ~、あの男もあんなテンプレな女に引っかかって・・・。
見るからに都会に慣れてない感じだから、イチコロだね、ご愁傷様。
横目で見ながらワインを飲んでいた。
「そんなもんもこんなもんも、一方的に終わらせたのはあんたでしょーが!」
突然、大きな声と共に立ち上がった女の人は・・・
「すみません、大声出して。お気になさらず」
こちらを向いた瞬間確信した、あの小娘、カレンデュラ!
そうか、第二隊魔術騎士だった。
ここで会ったのも運命かなぁ。
去年見た、鮮烈な印象を残したカレンデュラを思い出す。
よし、あの小娘は私が拾って大事に磨き上げて育てることに決定。
ミランダが出て行くのを見計らって、私も店を出る。
「あ~、小娘、ここにいたのぉ?」
何食わぬ顔して隣に座る。
まあ、いまは変身してないから、ギリアムとして会うのはほぼ初対面。
それにしても、肌も髪もボロボロになって・・・
こんなになるまで放っておくなんて許せない!!
美人の自覚の無い子っっっ。
ジャンジャンお酒飲み出すし、遠慮なく愚痴言い出すし。
でも恋人だったジェリコとやらの悪口は言わない。
相変わらず良い子のようで安心。
無事、カレンデュラを連れ帰ったは良いものの、今度はトイレで吐き出すし、水飲ませたらこぼすしで、私のパジャマに着替えさせてやっと客間に寝かしつけた。
姉たちがたまに泊まりに来ても良い用に確保してある。
化粧品も洗面用具も全て、3番目の姉が勤めてるRitaのが揃ってる。
あ~、もぅ、手がかかる子なんだから~。
でも、嫌いじゃない、こういうの。
しばらくは姉のようなポジションで慣れさせてから、徐々に私を男として意識させて行くようにすれば良いか。
私も殿下の事言えないなぁ、と苦笑する。
ま、その頃には私から離れて生きて行けないようにするから、覚悟しておいて、小娘!
髪を撫で、カレンデュラの寝顔を見ながら、そっと額にキスした。
【完】
—————————————————————————
お付き合い頂き、ありがとうございます。
ギリアムの話は最初はミランダの視点から書いていたのですが、ミランダは妊婦なので行き詰まってしまい、
結局マイフェアレディみたいな、源氏物語の紫の上みたいな話になってしまいました。
そんな訳で更新が遅れてすみませんでした。
前回のマリモリ先生の受難から、ダミー婚約者を探し出したのはギリアムということで、その流れで第二隊代理事務官になった経緯も書けたので良かったです。
モーリス(国王)もジークも自分のお気に入りに無茶振りさせるところは似た物親子なのですよ。
モーリスの部下、宰相のウォルフは「誰にも読めない怪しい依頼を受けることになりました」に出てくるので、もし良かったら読んでみて下さい。
ギリアムはオネエに見えるか見えないか、語尾を調整するのに苦労しました。
よく読むと、オネエ言葉でも無いのです。だよね?
まあ、任務で女性に変身することもあるから、普段からわざとグレーゾーン風でいる事もあるという事で。
そのくらいで無いと、モテ過ぎるグラントの二の舞になりそうだから面倒臭い、という事にしておきます。
では、次はミランダが魔術師になるかならないかの攻防戦をお届けする予定。
皆さん、またお会いできる日を。
いかくもハル
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