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第1章・大阪百鬼会の若い衆 編
016:まんまとかかる
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016:まんまとかかる
俺たちは大和組との抗争理由を作る為に、大和組のシマをフラフラし始める。
兄貴にはチンピラを見つけて因縁つけてから喧嘩をしろと言われたが、意外に喧嘩を始めるのは難しい。何故なら相手を殴る理由を作らなければ、筋違いと言って極道の世界では面倒な事になるからだ。
「そんな簡単にチンピラが歩いてるわけねぇよなぁ」
「どうやって因縁つけますか? 肩をぶつけたとかっていうんじゃ、なんか格好がつきませんよね」
「あっ!! 兄貴。それなら良いアイデアを思いつきましたよ。これなら自然な理由で喧嘩になります」
「おっ!! さすがは宮木だな。小野も和馬も見習うんだぞ!! こういうのが出世するんだ」
因縁をつける理由について歩きながら話していると、宮木が手を挙げてアイデアを思いついたという。
さすがは宮木だと褒めてから、小野と和馬の頭を小突いて見習うようにいうのである。
「それでアイデアってのは何だ?」
「それはボッタクリバーに行くんですよ!! それで支払いの時に大和組の人間を呼ばせるんです。そして何やかんやあって喧嘩になれば自然じゃないですか?」
「おぉさすがは宮木だな!! その作戦で大和組との抗争の火種を作るぞ!!」
宮木のアイデアを採用して、俺たちは夕方からやっていて大和組がケツモチをしているボッタクリ居酒屋に足を運ぶのである。
そして夕方から宮木の加入祝いも含めて、どんちゃん騒ぎをする。やはり宮木のノリは、俺たちに合っているので最高に盛り上がる。
「よしっ!! それじゃあそろそろ行くか?」
「そうっすね。ちょうど良いところじゃないっすか?」
俺たちはたっぷり2時間楽しんだところで、伝票を持って会計にいくのである。
するとやはり2時間普通に飲み食いしただけなのに、請求額が8万円になっていた。そんなに高い酒も食い物も頼んでいないので、この請求額は明らかにボッタクリと言える料金だ。
そして俺たちは互いに顔を見合わせてから、この料金に対する不満を爆発させる。
「おいっ!! こっちは大したもんは頼んでねぇのに、この8万ってのはおかしいんじゃねぇか?」
「お客さん。うちはええ食材をつこてまんねん。そんなイチャモンをつけられても困りますわ」
「何言ってんだ? こんなチンケな居酒屋で、何が良い食材を使ってるからだ。なんだ随分と阿漕な商売をしてんだなぁ」
「俺たちは絶対に払わねぇよ」
「せやったらトラブル担当に雇うてる仲介人を呼ぶけど、そやかてほんまにええんですか?」
「おう。そのトラブル担当っていうのを読んでもらおうじゃねえかよ」
俺たちの作戦通りに店の人間と揉めて、トラブル担当の人間を呼ぶとか言って電話をかけ始めた。
どんな奴が来るのかと思っていたら、明らかにチンピラなんだろうなと分かる6人の男たちが現れた。
「お客さんたちが、お会計を渋ってるっちゅう人たちかい? 困るんやでなぁ。これだけ飲んだり食べたりしたのに金払えへんって何なん?」
「何回説明させるんだ? ここの値段設定が、ボッタクリだって言ってんだよ。俺たちは鐚一文も払わねぇよ」
「せやったらちっと痛い思いをしてもらう必要があるみたいやな。ちっと着いて来いや!!」
俺たちはチンピラに外へと連れて行かれて、近くの空き地に到着すると6人に囲まれるのである。
俺は昔からヒリヒリとした空気が好きで、今にも喧嘩が始まりそうだと空気を察する。
そして何か言われていたが、何も言っていたのかは集中していて聞いておらず、そんな俺にイラッとしてチンピラが襲いかかってきた。
それと同時に俺は「やれっ!!」と、GOサインを出してチンピラたちに襲いかかるのである。こっちの布陣は喧嘩自慢の俺と宮木に、少し劣りはするがそれでも武闘派を名乗っても問題ない小野と和馬だ。
この4人でチンピラが6人程度に負けるわけがない。
数分もかからずに、俺たちはチンピラたちを見下ろして、チンピラは俺たちを見上げている。
「お前らって大和組だろ? お前たちには申し訳ないないけど、見せしめにさせてもらうよ。とりあえず上層部の人間に、百鬼会にやられたって報告してくれるか?」
「ひゃ 百鬼会!? どうしてこんなところに………」
「そんなの決まってるじゃねぇか。お前たちを、ぶっ潰す為だよ」
俺たちはやる事も終わったので、チンピラなんて放っておいて解散する事にしたのである。
「お前たちは、もう解散で良いぞ。お前たちって大阪から通うのは面倒だからってホテル取ってるんだろ?」
「そうです!! オヤジがホテル代を出してくれたんで泊まる事にしました。それにしても目をつけられてるかもしれないんで、最後まで付き合いますよ?」
「そんなに気を使わなくたって良いよ!! お前たちは明日もあるんだから休め………だけど、小野よ。奈良事務所まで、送ってもらえるか?」
「もちろんです。俺は会長付きなんで、最後の最後まで付き合いますよ」
宮木と和馬は大阪から通うのが大変なので、駅の近くにホテルを取っている。
だから今日は休んで、明日に備えるようにいう。
しかし小野になら事務所まで送ってもらうように頼んで解散するのである。
「なぁ奈良県内の大和組友好団体は、どんな風に動くと思う? このまま沈黙って事はないんじゃないか?」
「それは確かにそうですね。大和組に友好的な団体ってどこがありましたっけ?」
「友好団体か? それなら倉吉組、守崎興業、朝日総業の3つじゃないか?」
俺と小野は大和組の動きを予想をするが、やはり兄貴のような崇高な考えが浮かばない。
それに奈良県は事実上《大和組》の独壇場で、その他にも3つの任侠団体が存在するが、大和組とは友好関係を築いている。
それなら確実に有効団体である3つの組織が動き出してくるだろう。そうなると、やはり大阪百鬼会VS奈良県という構図になるのは確実だ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺たちが大和組のチンピラを、ボコボコにしたという事は奈良県中に広がり、遂に百鬼会による大和組への制裁行動が始まったのだと噂が広がった。
そしてそのニュースは大和組を友好団体と認めている倉吉組・朝日総業・守崎興業の3団体にも圧力がかかっているのである。
「兄貴っ!! どないするんですか!!」
「なっとーするって言うたってなぁ………田中とわしは五分の兄弟分だど? そう簡単に見切りをつけるなんてできるわけないやろ」
「話によると百鬼会のカタギの知り合いに手ぇ出したっていいますやん!! そんなんに手ぇ貸したなんてなると、その蛮行を認める事になりますわ!!」
倉吉組の倉吉のところに守崎興業の〈守崎 大介〉と、朝日総業の〈朝日田 正俊〉がやってくる。
この2人は今となっては奈良県を代表する任侠団体のトップであるが、極道になった時は元々倉吉組で倉吉の舎弟をしていた。
その影響もあって2人は、大和組に手を貸すのかと倉吉のところに状況を見極めにくる。確かに兄貴として慕っている人間と、五分の兄弟盃を交わしている田中組長に見切りをつけるのは難しいだろうと思っていた。
「確かに兄貴言いたい事は分かるけど、本気の百鬼会とぶつかるには大和組は小さすぎますわ!! 何より過去に負けてるんが大きいと思いますわ!!」
「盃ってのは、そう簡単に裏切らんのやで。ここはわしらが大和組を助けるど………チンケな百鬼会なんて倒しちゃろうや」
倉吉は百鬼会と、ぶつかる事は確定するが義理人情を優先して、大和組に手を貸すと決める。
そんな時に倉吉組の扉が開いて、ある男が我が物顔で入ってくるのである。
俺たちは大和組との抗争理由を作る為に、大和組のシマをフラフラし始める。
兄貴にはチンピラを見つけて因縁つけてから喧嘩をしろと言われたが、意外に喧嘩を始めるのは難しい。何故なら相手を殴る理由を作らなければ、筋違いと言って極道の世界では面倒な事になるからだ。
「そんな簡単にチンピラが歩いてるわけねぇよなぁ」
「どうやって因縁つけますか? 肩をぶつけたとかっていうんじゃ、なんか格好がつきませんよね」
「あっ!! 兄貴。それなら良いアイデアを思いつきましたよ。これなら自然な理由で喧嘩になります」
「おっ!! さすがは宮木だな。小野も和馬も見習うんだぞ!! こういうのが出世するんだ」
因縁をつける理由について歩きながら話していると、宮木が手を挙げてアイデアを思いついたという。
さすがは宮木だと褒めてから、小野と和馬の頭を小突いて見習うようにいうのである。
「それでアイデアってのは何だ?」
「それはボッタクリバーに行くんですよ!! それで支払いの時に大和組の人間を呼ばせるんです。そして何やかんやあって喧嘩になれば自然じゃないですか?」
「おぉさすがは宮木だな!! その作戦で大和組との抗争の火種を作るぞ!!」
宮木のアイデアを採用して、俺たちは夕方からやっていて大和組がケツモチをしているボッタクリ居酒屋に足を運ぶのである。
そして夕方から宮木の加入祝いも含めて、どんちゃん騒ぎをする。やはり宮木のノリは、俺たちに合っているので最高に盛り上がる。
「よしっ!! それじゃあそろそろ行くか?」
「そうっすね。ちょうど良いところじゃないっすか?」
俺たちはたっぷり2時間楽しんだところで、伝票を持って会計にいくのである。
するとやはり2時間普通に飲み食いしただけなのに、請求額が8万円になっていた。そんなに高い酒も食い物も頼んでいないので、この請求額は明らかにボッタクリと言える料金だ。
そして俺たちは互いに顔を見合わせてから、この料金に対する不満を爆発させる。
「おいっ!! こっちは大したもんは頼んでねぇのに、この8万ってのはおかしいんじゃねぇか?」
「お客さん。うちはええ食材をつこてまんねん。そんなイチャモンをつけられても困りますわ」
「何言ってんだ? こんなチンケな居酒屋で、何が良い食材を使ってるからだ。なんだ随分と阿漕な商売をしてんだなぁ」
「俺たちは絶対に払わねぇよ」
「せやったらトラブル担当に雇うてる仲介人を呼ぶけど、そやかてほんまにええんですか?」
「おう。そのトラブル担当っていうのを読んでもらおうじゃねえかよ」
俺たちの作戦通りに店の人間と揉めて、トラブル担当の人間を呼ぶとか言って電話をかけ始めた。
どんな奴が来るのかと思っていたら、明らかにチンピラなんだろうなと分かる6人の男たちが現れた。
「お客さんたちが、お会計を渋ってるっちゅう人たちかい? 困るんやでなぁ。これだけ飲んだり食べたりしたのに金払えへんって何なん?」
「何回説明させるんだ? ここの値段設定が、ボッタクリだって言ってんだよ。俺たちは鐚一文も払わねぇよ」
「せやったらちっと痛い思いをしてもらう必要があるみたいやな。ちっと着いて来いや!!」
俺たちはチンピラに外へと連れて行かれて、近くの空き地に到着すると6人に囲まれるのである。
俺は昔からヒリヒリとした空気が好きで、今にも喧嘩が始まりそうだと空気を察する。
そして何か言われていたが、何も言っていたのかは集中していて聞いておらず、そんな俺にイラッとしてチンピラが襲いかかってきた。
それと同時に俺は「やれっ!!」と、GOサインを出してチンピラたちに襲いかかるのである。こっちの布陣は喧嘩自慢の俺と宮木に、少し劣りはするがそれでも武闘派を名乗っても問題ない小野と和馬だ。
この4人でチンピラが6人程度に負けるわけがない。
数分もかからずに、俺たちはチンピラたちを見下ろして、チンピラは俺たちを見上げている。
「お前らって大和組だろ? お前たちには申し訳ないないけど、見せしめにさせてもらうよ。とりあえず上層部の人間に、百鬼会にやられたって報告してくれるか?」
「ひゃ 百鬼会!? どうしてこんなところに………」
「そんなの決まってるじゃねぇか。お前たちを、ぶっ潰す為だよ」
俺たちはやる事も終わったので、チンピラなんて放っておいて解散する事にしたのである。
「お前たちは、もう解散で良いぞ。お前たちって大阪から通うのは面倒だからってホテル取ってるんだろ?」
「そうです!! オヤジがホテル代を出してくれたんで泊まる事にしました。それにしても目をつけられてるかもしれないんで、最後まで付き合いますよ?」
「そんなに気を使わなくたって良いよ!! お前たちは明日もあるんだから休め………だけど、小野よ。奈良事務所まで、送ってもらえるか?」
「もちろんです。俺は会長付きなんで、最後の最後まで付き合いますよ」
宮木と和馬は大阪から通うのが大変なので、駅の近くにホテルを取っている。
だから今日は休んで、明日に備えるようにいう。
しかし小野になら事務所まで送ってもらうように頼んで解散するのである。
「なぁ奈良県内の大和組友好団体は、どんな風に動くと思う? このまま沈黙って事はないんじゃないか?」
「それは確かにそうですね。大和組に友好的な団体ってどこがありましたっけ?」
「友好団体か? それなら倉吉組、守崎興業、朝日総業の3つじゃないか?」
俺と小野は大和組の動きを予想をするが、やはり兄貴のような崇高な考えが浮かばない。
それに奈良県は事実上《大和組》の独壇場で、その他にも3つの任侠団体が存在するが、大和組とは友好関係を築いている。
それなら確実に有効団体である3つの組織が動き出してくるだろう。そうなると、やはり大阪百鬼会VS奈良県という構図になるのは確実だ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺たちが大和組のチンピラを、ボコボコにしたという事は奈良県中に広がり、遂に百鬼会による大和組への制裁行動が始まったのだと噂が広がった。
そしてそのニュースは大和組を友好団体と認めている倉吉組・朝日総業・守崎興業の3団体にも圧力がかかっているのである。
「兄貴っ!! どないするんですか!!」
「なっとーするって言うたってなぁ………田中とわしは五分の兄弟分だど? そう簡単に見切りをつけるなんてできるわけないやろ」
「話によると百鬼会のカタギの知り合いに手ぇ出したっていいますやん!! そんなんに手ぇ貸したなんてなると、その蛮行を認める事になりますわ!!」
倉吉組の倉吉のところに守崎興業の〈守崎 大介〉と、朝日総業の〈朝日田 正俊〉がやってくる。
この2人は今となっては奈良県を代表する任侠団体のトップであるが、極道になった時は元々倉吉組で倉吉の舎弟をしていた。
その影響もあって2人は、大和組に手を貸すのかと倉吉のところに状況を見極めにくる。確かに兄貴として慕っている人間と、五分の兄弟盃を交わしている田中組長に見切りをつけるのは難しいだろうと思っていた。
「確かに兄貴言いたい事は分かるけど、本気の百鬼会とぶつかるには大和組は小さすぎますわ!! 何より過去に負けてるんが大きいと思いますわ!!」
「盃ってのは、そう簡単に裏切らんのやで。ここはわしらが大和組を助けるど………チンケな百鬼会なんて倒しちゃろうや」
倉吉は百鬼会と、ぶつかる事は確定するが義理人情を優先して、大和組に手を貸すと決める。
そんな時に倉吉組の扉が開いて、ある男が我が物顔で入ってくるのである。
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