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第1章・大阪百鬼会の若い衆 編
015:新顔の挨拶
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015:新顔の挨拶
華龍會による覇王一家への総統戦が行われたのだが、結果として俺が宮木に舎弟盃を降ろして覇王一家は華龍會の傘下に入る事になった。
そして宮木は舎弟頭として実質的な華龍會のNo.3に落ち着く事になった。
他のメンバーたちが、納得しないのでは無いだろうかと不安ではあったが、俺の決定なら異論は無いと言って納得してくれたのである。
「なんとか覇王一家の件は落ち着いたな。俺たちの傘下に入ったのは良いが大和組の人間たちは、何か言ってきたりしていないのか?」
「大和組ですか? そうですね。今のところは目立った被害はありませんが、それは大阪にいるからかもしれませんね。何か手を打ってくるかもしれません」
「そりゃあそうか。大阪から追い出されたのに、わざわざ百鬼会のテリトリーに入ってきたりはしないだろ」
覇王一家は元々大和組の四次団体だったので、何か言ってきたりしていないだろうかと聞いたが、今のところ実害はないと報告を受けた。
「それよりもOB組が、うるさいですね」
「OB組だって? そんな奴らが、まだ幅を効かせてるってのか? もう素直に引退すりゃ良いのにさ………溜まったもんじゃ無いな」
「組織の歴史を尊重しろだの言ってきて、下手したら抗争になってもおかしくは無いです」
「そんなに面倒なら俺のところに連れてくれば良いよ。ソイツらを説得するだの実力行使するだのして邪魔は絶対にさせないからさ」
どの世界でもOBが、うるさいのは嫌だよな。
そんな事を思いながら報告を受けていると、スマホが鳴って兄貴からの電話だった。
幹部連中にシーッと静かにするように促してから、咳払いをして通話ボタンを押すのである。
「兄貴ですか? お疲れ様です」
『おうっ! お疲れ様。覇王一家の件は、上手ういってるんか?』
「はいっ!! 覇王一家を華龍會の傘下に加えて、リーダーの宮木には舎弟頭に着いてもらいました」
『上手ういって良かったで。これで大和組も百鬼会が、いらんことをしたって動き出しそうやさかいな。そっちが落ち着いたら、こっちにきて仕事を手伝うてくれや』
「今すぐ行きますよ!! こっちの仕事は落ち着いたので、そっちに行って奈良を制覇します!!」
兄貴は大阪での仕事が落ち着いたら、奈良まで戻ってきて手伝って欲しいと言ってくれた。
その言葉に反応するように、椅子から立ち上がって電話なのに頭を下げて「直ぐにいきます!!」と、今の気持ちをアピールするのである。
兄貴はスマホの向こうで、軽く笑っているので機嫌が良いんだなと思っていて、そっちに行くというと待ってるとだけ言って電話が終わった。
「今から俺は奈良に行くから、小野は車を回してくれ」
「はいっ!! 直ぐに回してきます」
「あとは和馬と宮木も着いてきてもらうぞ。残りのメンバーは、他の半グレたちを華龍會に入れさせろ」
『はいっ!!』
的確な指示を出して行動を開始する。
今回は俺と小野だけで行くのではなく、副会長の和馬と宮木も連れていくと指示をした。
そして残りのメンバーは、近くにいる半グレたちをまとめて華龍會に入れるように勧誘しろという。
とりあえず定例会議を終了させて、俺たち3人は小野の運転する車に乗って奈良に向かう。
「そういえば大和組の四次団体に加入したのは、いつからだったんだ?」
「加入したのですか? 元々は3代目の人が、学校の先輩が入った大和組に勧誘されてって言ってましたね。なので、俺が入った頃には傘下に入ってました」
「そういう感じで吸収してたのか。今は百鬼会の人間だって事を忘れるなよ。それさえ忘れなければ、どんな事があっても俺が尻を拭いてやる」
「はいっ!! それで、これからは大和組を潰しに行くんですよね? どうやって潰すんですか?」
「そんなの奈良の事務所に行って、兄貴から話を聞いてからでも遅くは無いだろ」
この前までは俺の事を恨んでいた宮木だったが、今となっては車の中で仲良く会話する関係になっている。
そんな風に大和組の情報を少しでも聞いている内に、1時間半くらいで奈良の事務所に到着する。
車から降りるとスーツをピシッとさせてから、事務所の扉を開けて1番奥にいる兄貴に頭を下げて挨拶を行なうのである。何回も挨拶しているが、やっぱり兄貴に挨拶する時は毎回のように緊張する。
そんな俺に対して兄貴は、手招きをしてソファに座るように手招きをしているのである。
「ほんまに早よ来たんやな。少し見ーへんうちに逞しなったんやんけ?」
「そんな事ないっすよ!!(笑) あっそれで、コイツが新しい俺のところの舎弟頭です」
「自分は百鬼会広瀬組内華龍會で舎弟頭をやらせていただいている覇王一家・5代目総長〈宮木 正夫〉と申します!! よろしくお願いします!!」
「なんやねん、話に聞くよりも素直そうなええ奴やん。期待してるから花菱の下で頑張ってくれや」
「はいっ!! ありがとうございます。兄貴の下で、男を磨かせていただきます!!」
兄貴に宮木を紹介すると、俺なんかよりも綺麗な形で頭を下げるのである。
その姿を見て兄貴は、話に聞くよりも遥かに真面目そうで期待できると笑いながら言った。
それに宮木は全力でやらせていただきますと、兄貴に頭を下げるだけではなく、俺の方に体を向けてペコッと律儀に頭を下げる。
挨拶が終わったところで、俺たち3人はソファに座って話を始めるのである。
「それで兄貴、これからの動きは考えてるんすか?」
「俺がなんも考えへんでボケーッとしてるだけや思てんのかぁ? ちゃんと色々考えてるから心配すんな」
「すんませんした。その考えを聞いても良いすか? 俺たちは馬鹿なんで、ジッとしてられないんすよ」
「そうやろう思うとったで(笑) ちゃんと用意してるから説明したるで。1回しか言えへんから、よぉ~く聞けや(笑)」
兄貴がニヤニヤと悪巧みをしてそうな顔をしている。
どんな作戦なのかと聞いてみると、俺たちが大和組のシマを歩き回ってチンピラと喧嘩をして来いとの事だったのである。
そうする事で抗争の火種になって、本格的にぶつかるとなると倉吉組たちの周辺組織の動きも判断できる。
簡単そうな作戦に見えて、チンピラたちをボコボコにして回るだけの強さが必要だと兄貴は話す。それなら俺たちが適任だと街に繰り出す。
「それじゃあ行ってきます!! 夕方までには帰れると思うので、よろしくお願いします!!」
「無理しすぎるんちゃうぞ? 危ない思たら、ここまで引くようにせえや」
「はいっ!! 兄貴も1人で出歩かない様にして下さいよ。今となっては百鬼会の重要人物なんですからね」
「俺は子供か? 俺の心配なんてせんでええから、わしらの心配をしぃや」
俺は兄貴に挨拶をしてから奈良事務所を後にする。
街の中でチンピラに因縁をつけると言っても、これはこれで難しいのが、この世界である。
華龍會による覇王一家への総統戦が行われたのだが、結果として俺が宮木に舎弟盃を降ろして覇王一家は華龍會の傘下に入る事になった。
そして宮木は舎弟頭として実質的な華龍會のNo.3に落ち着く事になった。
他のメンバーたちが、納得しないのでは無いだろうかと不安ではあったが、俺の決定なら異論は無いと言って納得してくれたのである。
「なんとか覇王一家の件は落ち着いたな。俺たちの傘下に入ったのは良いが大和組の人間たちは、何か言ってきたりしていないのか?」
「大和組ですか? そうですね。今のところは目立った被害はありませんが、それは大阪にいるからかもしれませんね。何か手を打ってくるかもしれません」
「そりゃあそうか。大阪から追い出されたのに、わざわざ百鬼会のテリトリーに入ってきたりはしないだろ」
覇王一家は元々大和組の四次団体だったので、何か言ってきたりしていないだろうかと聞いたが、今のところ実害はないと報告を受けた。
「それよりもOB組が、うるさいですね」
「OB組だって? そんな奴らが、まだ幅を効かせてるってのか? もう素直に引退すりゃ良いのにさ………溜まったもんじゃ無いな」
「組織の歴史を尊重しろだの言ってきて、下手したら抗争になってもおかしくは無いです」
「そんなに面倒なら俺のところに連れてくれば良いよ。ソイツらを説得するだの実力行使するだのして邪魔は絶対にさせないからさ」
どの世界でもOBが、うるさいのは嫌だよな。
そんな事を思いながら報告を受けていると、スマホが鳴って兄貴からの電話だった。
幹部連中にシーッと静かにするように促してから、咳払いをして通話ボタンを押すのである。
「兄貴ですか? お疲れ様です」
『おうっ! お疲れ様。覇王一家の件は、上手ういってるんか?』
「はいっ!! 覇王一家を華龍會の傘下に加えて、リーダーの宮木には舎弟頭に着いてもらいました」
『上手ういって良かったで。これで大和組も百鬼会が、いらんことをしたって動き出しそうやさかいな。そっちが落ち着いたら、こっちにきて仕事を手伝うてくれや』
「今すぐ行きますよ!! こっちの仕事は落ち着いたので、そっちに行って奈良を制覇します!!」
兄貴は大阪での仕事が落ち着いたら、奈良まで戻ってきて手伝って欲しいと言ってくれた。
その言葉に反応するように、椅子から立ち上がって電話なのに頭を下げて「直ぐにいきます!!」と、今の気持ちをアピールするのである。
兄貴はスマホの向こうで、軽く笑っているので機嫌が良いんだなと思っていて、そっちに行くというと待ってるとだけ言って電話が終わった。
「今から俺は奈良に行くから、小野は車を回してくれ」
「はいっ!! 直ぐに回してきます」
「あとは和馬と宮木も着いてきてもらうぞ。残りのメンバーは、他の半グレたちを華龍會に入れさせろ」
『はいっ!!』
的確な指示を出して行動を開始する。
今回は俺と小野だけで行くのではなく、副会長の和馬と宮木も連れていくと指示をした。
そして残りのメンバーは、近くにいる半グレたちをまとめて華龍會に入れるように勧誘しろという。
とりあえず定例会議を終了させて、俺たち3人は小野の運転する車に乗って奈良に向かう。
「そういえば大和組の四次団体に加入したのは、いつからだったんだ?」
「加入したのですか? 元々は3代目の人が、学校の先輩が入った大和組に勧誘されてって言ってましたね。なので、俺が入った頃には傘下に入ってました」
「そういう感じで吸収してたのか。今は百鬼会の人間だって事を忘れるなよ。それさえ忘れなければ、どんな事があっても俺が尻を拭いてやる」
「はいっ!! それで、これからは大和組を潰しに行くんですよね? どうやって潰すんですか?」
「そんなの奈良の事務所に行って、兄貴から話を聞いてからでも遅くは無いだろ」
この前までは俺の事を恨んでいた宮木だったが、今となっては車の中で仲良く会話する関係になっている。
そんな風に大和組の情報を少しでも聞いている内に、1時間半くらいで奈良の事務所に到着する。
車から降りるとスーツをピシッとさせてから、事務所の扉を開けて1番奥にいる兄貴に頭を下げて挨拶を行なうのである。何回も挨拶しているが、やっぱり兄貴に挨拶する時は毎回のように緊張する。
そんな俺に対して兄貴は、手招きをしてソファに座るように手招きをしているのである。
「ほんまに早よ来たんやな。少し見ーへんうちに逞しなったんやんけ?」
「そんな事ないっすよ!!(笑) あっそれで、コイツが新しい俺のところの舎弟頭です」
「自分は百鬼会広瀬組内華龍會で舎弟頭をやらせていただいている覇王一家・5代目総長〈宮木 正夫〉と申します!! よろしくお願いします!!」
「なんやねん、話に聞くよりも素直そうなええ奴やん。期待してるから花菱の下で頑張ってくれや」
「はいっ!! ありがとうございます。兄貴の下で、男を磨かせていただきます!!」
兄貴に宮木を紹介すると、俺なんかよりも綺麗な形で頭を下げるのである。
その姿を見て兄貴は、話に聞くよりも遥かに真面目そうで期待できると笑いながら言った。
それに宮木は全力でやらせていただきますと、兄貴に頭を下げるだけではなく、俺の方に体を向けてペコッと律儀に頭を下げる。
挨拶が終わったところで、俺たち3人はソファに座って話を始めるのである。
「それで兄貴、これからの動きは考えてるんすか?」
「俺がなんも考えへんでボケーッとしてるだけや思てんのかぁ? ちゃんと色々考えてるから心配すんな」
「すんませんした。その考えを聞いても良いすか? 俺たちは馬鹿なんで、ジッとしてられないんすよ」
「そうやろう思うとったで(笑) ちゃんと用意してるから説明したるで。1回しか言えへんから、よぉ~く聞けや(笑)」
兄貴がニヤニヤと悪巧みをしてそうな顔をしている。
どんな作戦なのかと聞いてみると、俺たちが大和組のシマを歩き回ってチンピラと喧嘩をして来いとの事だったのである。
そうする事で抗争の火種になって、本格的にぶつかるとなると倉吉組たちの周辺組織の動きも判断できる。
簡単そうな作戦に見えて、チンピラたちをボコボコにして回るだけの強さが必要だと兄貴は話す。それなら俺たちが適任だと街に繰り出す。
「それじゃあ行ってきます!! 夕方までには帰れると思うので、よろしくお願いします!!」
「無理しすぎるんちゃうぞ? 危ない思たら、ここまで引くようにせえや」
「はいっ!! 兄貴も1人で出歩かない様にして下さいよ。今となっては百鬼会の重要人物なんですからね」
「俺は子供か? 俺の心配なんてせんでええから、わしらの心配をしぃや」
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