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夜になり、私は質の良いドレスに身を包み彼のいる部屋へと向かう。
彼のいるスイートルームをノックすると彼の部下達に入念にボディチェックをされる。
武器の類いは全て置いてきたので、ここでは問題なくチェックを終えた。
部屋の奥のベッドルームに向かうように言われて、心臓の鼓動が速くなるのを感じた。
いよいよだ。
ベッドルームに入ると、ウィスキーらしきものが入ったグラスを片手にソファに座る彼が私を見た。
思い出の中の少年は良い歳の重ね方をしたようだ。
30半ばの精悍な顔つきをした色男に私はゆっくりと微笑みながら近づいていく。
「ごきげんよう。」
「いつもとは毛色が違うのが来たな。」
鋭い言葉が耳に響く。
低くはなっていはいるけれど、彼の声だ。
「あら、お気に召さなかった?」
私が小首を傾げると、彼はグラスを置き立ち上がって私の腰を抱いた。
「いいや、いつも来る派手な女達よりお前みたいな落ち着いた雰囲気の方が好みだ。」
私を見つめる彼の瞳をずっと見ていたいと思った。
でも、そうじゃないと心でかぶりを振って気を引き締める。
「ダニエル、貴方に伝えなきゃいけないことがあるの。」
私が彼の名前を呼ぶと、さっと体を離して私の後ろに周り腕を首に回された。
無駄な無いその動きに感心してしまう。
「娼婦達は俺の名前を知らされてないはずだが、なぜ知ってる?」
「なぜ知ってるかって、15歳の貴方から聞いたからよ。」
じわじわと締められる苦しさを我慢して何とかそう伝えると、彼が低い声で「何者だ。」と呟いた。
「うっ、ローズ・キッドマン。夕方のアパートの屋上で貴方と下手くそなワルツを踊った10歳の少女なんて覚えてないわよね。」
「・・・だったとして、何をしにきた。」
「貴方が、ボスの弟に、うぐっ、命を狙われてる、から。教えてあげた、くて。」
どんどん呼吸が出来なくなる中、何とかそこまで言うとようやく彼は私の首を絞めるのをやめた。
でも、離してはくれない。
「どうして、カールが俺の命を狙ってることを知ってる。」
「ごほっげほっ、彼が雇った殺し屋のパソコンをたまたま覗く機会があって、そこに貴方のデータがあったから。」
「それでご丁寧に知らせにきてくれたってわけか?それでお前に何のメリットがある?」
「初恋の人を助けられるわ。」
私がそう言うと、彼は私を突き飛ばした。
振り向くと彼が胸元から取り出した銃を私に向けている。
まだだ、まだ死ぬわけにはいかない。
私はゆっくりと頭に手を乗せると床に腹這いになった。
「私を撃ち殺しても良いけれど、私のバッグに入っているスマホのデータを見てからにした方が良いわよ。」
「おい!誰か!早く来い!」
ダニエルが叫ぶと部下達が何事かと部屋に入ってきた。
「そこの女が妙な真似をしないか見てろ。」
そう部下に指示を出すとダニエルは床に落ちていた私のクラッチバッグを拾い、スマホを取り出した。
その中にはボスの弟が送った暗殺依頼のデータや、彼が自分の不始末をダニエルに押し付けようとしていた証拠、ついでにマフィアの資金に手を出してよからぬことに使った送金履歴なんかが入っている。
「あの野郎・・・。」
ダニエルは低く唸るように呟くと、自分のスマホで誰かに電話をしながら部屋を出ていった。
「ふふっ。」
「おい、何がおかしい。」
私が床に這いつくばったまま笑うと彼の部下の一人が私の頭を踏みつけた。
「私のちっぽけな命が役に立って良かったと思って。」
そう言ってクスクス笑った。
彼のいるスイートルームをノックすると彼の部下達に入念にボディチェックをされる。
武器の類いは全て置いてきたので、ここでは問題なくチェックを終えた。
部屋の奥のベッドルームに向かうように言われて、心臓の鼓動が速くなるのを感じた。
いよいよだ。
ベッドルームに入ると、ウィスキーらしきものが入ったグラスを片手にソファに座る彼が私を見た。
思い出の中の少年は良い歳の重ね方をしたようだ。
30半ばの精悍な顔つきをした色男に私はゆっくりと微笑みながら近づいていく。
「ごきげんよう。」
「いつもとは毛色が違うのが来たな。」
鋭い言葉が耳に響く。
低くはなっていはいるけれど、彼の声だ。
「あら、お気に召さなかった?」
私が小首を傾げると、彼はグラスを置き立ち上がって私の腰を抱いた。
「いいや、いつも来る派手な女達よりお前みたいな落ち着いた雰囲気の方が好みだ。」
私を見つめる彼の瞳をずっと見ていたいと思った。
でも、そうじゃないと心でかぶりを振って気を引き締める。
「ダニエル、貴方に伝えなきゃいけないことがあるの。」
私が彼の名前を呼ぶと、さっと体を離して私の後ろに周り腕を首に回された。
無駄な無いその動きに感心してしまう。
「娼婦達は俺の名前を知らされてないはずだが、なぜ知ってる?」
「なぜ知ってるかって、15歳の貴方から聞いたからよ。」
じわじわと締められる苦しさを我慢して何とかそう伝えると、彼が低い声で「何者だ。」と呟いた。
「うっ、ローズ・キッドマン。夕方のアパートの屋上で貴方と下手くそなワルツを踊った10歳の少女なんて覚えてないわよね。」
「・・・だったとして、何をしにきた。」
「貴方が、ボスの弟に、うぐっ、命を狙われてる、から。教えてあげた、くて。」
どんどん呼吸が出来なくなる中、何とかそこまで言うとようやく彼は私の首を絞めるのをやめた。
でも、離してはくれない。
「どうして、カールが俺の命を狙ってることを知ってる。」
「ごほっげほっ、彼が雇った殺し屋のパソコンをたまたま覗く機会があって、そこに貴方のデータがあったから。」
「それでご丁寧に知らせにきてくれたってわけか?それでお前に何のメリットがある?」
「初恋の人を助けられるわ。」
私がそう言うと、彼は私を突き飛ばした。
振り向くと彼が胸元から取り出した銃を私に向けている。
まだだ、まだ死ぬわけにはいかない。
私はゆっくりと頭に手を乗せると床に腹這いになった。
「私を撃ち殺しても良いけれど、私のバッグに入っているスマホのデータを見てからにした方が良いわよ。」
「おい!誰か!早く来い!」
ダニエルが叫ぶと部下達が何事かと部屋に入ってきた。
「そこの女が妙な真似をしないか見てろ。」
そう部下に指示を出すとダニエルは床に落ちていた私のクラッチバッグを拾い、スマホを取り出した。
その中にはボスの弟が送った暗殺依頼のデータや、彼が自分の不始末をダニエルに押し付けようとしていた証拠、ついでにマフィアの資金に手を出してよからぬことに使った送金履歴なんかが入っている。
「あの野郎・・・。」
ダニエルは低く唸るように呟くと、自分のスマホで誰かに電話をしながら部屋を出ていった。
「ふふっ。」
「おい、何がおかしい。」
私が床に這いつくばったまま笑うと彼の部下の一人が私の頭を踏みつけた。
「私のちっぽけな命が役に立って良かったと思って。」
そう言ってクスクス笑った。
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