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砂狼の回顧録
砂狼の回顧録-14
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狩りに出て、一日休み。
狩りに出て、二日休みと、休む時間が長くなってきた。
カーディルの神経衰弱の度合いが激しく、目を離せなくなってきたのだ。
ある日、狩りから戻るとカーディルはベッドにぐったりと横たわり、ディアスが部屋に入っても何の反応も示さないことがあった。視線はぼんやりと宙をさ迷い、口の端から涎を垂らしていた。
まさか、と思い慌てて駆け寄り、首もとに手を当てて脈を計った。生きている。
水を飲ませ軽く頬を叩きながら名を呼び続けると、
「あ、ディアス……?」
などと、今気がついたような声を出した。
カーディルのディアスに対する愛情と依存が大きくなればなるほど失うことへの恐怖が際限なく増え続け、帰りを待つ間の精神負担も大きくなった。それがもう限界を迎えたのだ。
ディアスもまた部屋に残したカーディルのことが気にかかり、狩りの最中に注意力が散漫となって死にかけたことが何度もある。最低の悪循環が出来上がっていた。
今はふたり身を寄せあって部屋でぼんやりとしている。言葉は無い。ただお互いの体温を感じているだけだ。それだけが唯一残された安らぎであった。
愛用のライフルさえも売ってしまい一週間分の水と食料に変えたが、それも尽きようとしていた。
「ねえ、ディアス……」
カーディルのハッキリとした声を聞くのはとても久しぶりのような気がする。ディアスは少し驚いて彼女の顔をじっと見つめた。
「私のこと、恨んでいない……?」
正気に戻っている。だがそれは蝋燭の火が消え去る前に一瞬、燃え盛るようなものだと理解していた。
「恨む? なぜそんなことを?」
「だって私、あなたの足手まといになっているでしょう? 私さえいなければ、あなたは自分の人生を歩むことができたでしょう?」
「それは違うよ、カーディル」
ディアスは優しく語りかけながらカーディルの頬を撫でてやった。彼女はくすぐったそうな顔をして笑う。
「カーディルがいてこその、俺の人生だ。今だから言うが君がミュータントに拐われたとき、助かるだなんて思っちゃいなかった」
「えぇ……それじゃあ、なんで来たのよ? ちょっと様子を見に行こうって距離でも場所でもないでしょう? 観光名所にするには悪趣味すぎるわ」
「格好つけて死にたかったのさ。つまらない人生。この先、生きていても良いことなんか何もなさそうな人生、そんなものにさっさとおさらばしたかった。ただ死ぬだけの理由も無かったから生きていただけだ。正直なところ、いい口実ができたって思ったよ」
呆れた顔をするカーディル。話しながら苦笑いをしていたディアスはふと、何かを思い付いたようにいった。
「いや、違うな。死ぬとばかり考えていた訳じゃない。頭の片隅でこうも思っていた、君を手に入れるチャンスじゃないかって」
「いきなり俗っぽくなったわね……」
「男の妄想なんてそんなものさ。仲間のうち他の男が助けに行こうと言い出していたら、俺はひょっとして逃げていたかもしれない。何のメリットも無いからね」
「結局、来てくれたわけで。恩に着せて抱くのが目的だったとして、あなたの口からそういう台詞を聞いたことがないわ。俺のおかげで助かったんだぞ、わかっているだろうなグヘヘ……とか」
「それどころじゃなかったからねぇ……」
顔を見あわせ、ふたりは笑った。とても笑い事ではないが、もう笑うしかない。
「なにより意外だったのは君が処女だったことだな」
「いきなり突っ込んできたわね……いや、色んな意味で突っ込んだのはあなただけど。何これ、本音をぶっちゃけていい流れ? いかにも遊んでいる女って、そういう風に見ていたの?」
「男遊びが激しいとまでは思っていないが、君の回りにはいつも男が沢山いたからなぁ。勝手に想像して勝手に嫉妬していたもんさ」
「仲間内でのお姫様扱い、か。あんまり格好のいいもんじゃないわね」
カーディルは長い睫毛を伏せて、つまらなさそうにいった。
「取り巻きどもに男としての魅力を感じたことは一度もないけれど、ちやほやされて調子に乗っていなかったかと問われれば、確かにそういうところはあったわ。いつかそんな空気とか雰囲気に流されて、あのつまらない連中のうちの誰かに抱かれていたのかと思えば本当にぞっとする」
「雰囲気に流されて、か」
「できあがった空気というやつは馬鹿にできたものではないわ。あれはじわじわと精神を蝕む毒のようなものよ。あなたが自分に価値がないとか、死んでしまいたいとか思っていたのも、周囲からの扱いによって蓄積された思考ではなくて?」
「そうだな、確かにそうだ。どんなに努力しても働いても、周囲からは低く見られていたんだ。それこそ明らかに俺より弱くて怠けている奴からもね。正しい正しくないではなく、そういう風に扱っていい空気が出来ていたのかもしれない」
そんな扱いが続くと、何をしても無駄、何もかもがどうでもいいといった方向へ人格が堕ちていく。そうして出来上がったのが何かと自己評価の低いディアスという男だ。
やはりカーディルは美しいだけでなく、聡明な女性だと、ディアスは自分のことのように嬉しくなった。
「ずいぶんと話が遠回りになってしまったが、俺が自分の生きる道とか、目標を見つけたのは君の存在あってこそなんだ。恨むどころではない、むしろお礼を言いたい。一緒にいてくれて本当にありがとう」
彼女は満足げに、そして少し疲れた顔で頷いた。目をつぶればもう二度と目を覚まさないのではないか。そんな不安にかられ、強く抱き締める。
カーディルが少しだけ首を伸ばす。その意図を理解してディアスは唇を重ねた。
結局、悪あがきをしていただけで彼女を守ることはできなかった。
自分は何に負けたのだろうか。中型のミュータントにだって負けはしなかった。ひとを嘲笑するかつての仲間の頭をふっ飛ばしてやった。現実という姿無き敵、あまりにも強大で醜悪な化け物に負けたのだ。
カーディルに語った言葉に嘘はない。事件以来、一緒にいた時間は辛いことも多かったが、同時に幸せだった。
今にも消えてしまいそうなカーディルの顔をじっと見ながら、過去に思いを馳せる。蜘蛛の巣、荒野、病院、地下……、何かが記憶のなかで引っ掛かった。
病室の前で出会った男、マルコ。病院の助っ人、兵器工場のオーナー、義肢の調整を専門としたサイバネ医。
調査を頼んだとき、カーディルはなんと言ったか。
(人体実験の被験者を探している……?)
聞いた時も感じたが、あまりにも非常識で無責任な噂だ。
だがもしも噂が真実であったならば売れるものがまだあるということだ。頑丈な肉体を持つ若者がここにいる。
(こんな話にすがろうとしていること自体が、俺の頭がいよいよ壊れてきた証拠だよ。そもそも俺はマルコ博士の居場所だって知らないんだ……)
ベッドの上に放り出された雑誌が視界に入る。カーディルの無聊の慰めになればと内容すらわからぬまま何気なく買った本だ。
左腕でカーディルを抱きながら、右手で拾い上げてパラパラとめくる。出版業界も厳しいのか、半分くらいは広告で埋まっている。その中で、銃器の紹介ページで指が止まった。
(おいおい、嘘だろ……。偶然買った雑誌に、偶然銃器の広告が載っていて、もしも偶然マルコ博士の工場の住所なんか書いてあったら……)
その時は運命的な導きを感じざるを得ない。とても神に愛されているとは思えないので悪魔の陥穽か何かだろう。
水分が薄れ、粘っこくなった唾を飲みこみ、そのページにじっくりと目を走らせる。見当たらない。だが、広告に会社名が載っていないなどということがあるだろうか。商品が欲しくなったお客さんにどうしろというのだ。
しばらく探してから気がついたが、ページの右下を自分の指で遮っていた。ゆっくりと紙の上を這うように親指をずらすと、そこに小さく書かれていた。
『丸子製作所』
「嘘、だろ……?」
信じられない、という顔をしながらも、怪しげな噂に賭けてみようかという気になっていたディアスであった。光明と呼ぶにはあまりにもか細く、理論も破たんしている。それでも彼女を救う可能性が残されているならば……と。
余談であるが丸子製作所はその雑誌の大口スポンサーであり広告は毎月載せているので、偶然ではあるが奇跡と呼ぶほどでもない。
狩りに出て、二日休みと、休む時間が長くなってきた。
カーディルの神経衰弱の度合いが激しく、目を離せなくなってきたのだ。
ある日、狩りから戻るとカーディルはベッドにぐったりと横たわり、ディアスが部屋に入っても何の反応も示さないことがあった。視線はぼんやりと宙をさ迷い、口の端から涎を垂らしていた。
まさか、と思い慌てて駆け寄り、首もとに手を当てて脈を計った。生きている。
水を飲ませ軽く頬を叩きながら名を呼び続けると、
「あ、ディアス……?」
などと、今気がついたような声を出した。
カーディルのディアスに対する愛情と依存が大きくなればなるほど失うことへの恐怖が際限なく増え続け、帰りを待つ間の精神負担も大きくなった。それがもう限界を迎えたのだ。
ディアスもまた部屋に残したカーディルのことが気にかかり、狩りの最中に注意力が散漫となって死にかけたことが何度もある。最低の悪循環が出来上がっていた。
今はふたり身を寄せあって部屋でぼんやりとしている。言葉は無い。ただお互いの体温を感じているだけだ。それだけが唯一残された安らぎであった。
愛用のライフルさえも売ってしまい一週間分の水と食料に変えたが、それも尽きようとしていた。
「ねえ、ディアス……」
カーディルのハッキリとした声を聞くのはとても久しぶりのような気がする。ディアスは少し驚いて彼女の顔をじっと見つめた。
「私のこと、恨んでいない……?」
正気に戻っている。だがそれは蝋燭の火が消え去る前に一瞬、燃え盛るようなものだと理解していた。
「恨む? なぜそんなことを?」
「だって私、あなたの足手まといになっているでしょう? 私さえいなければ、あなたは自分の人生を歩むことができたでしょう?」
「それは違うよ、カーディル」
ディアスは優しく語りかけながらカーディルの頬を撫でてやった。彼女はくすぐったそうな顔をして笑う。
「カーディルがいてこその、俺の人生だ。今だから言うが君がミュータントに拐われたとき、助かるだなんて思っちゃいなかった」
「えぇ……それじゃあ、なんで来たのよ? ちょっと様子を見に行こうって距離でも場所でもないでしょう? 観光名所にするには悪趣味すぎるわ」
「格好つけて死にたかったのさ。つまらない人生。この先、生きていても良いことなんか何もなさそうな人生、そんなものにさっさとおさらばしたかった。ただ死ぬだけの理由も無かったから生きていただけだ。正直なところ、いい口実ができたって思ったよ」
呆れた顔をするカーディル。話しながら苦笑いをしていたディアスはふと、何かを思い付いたようにいった。
「いや、違うな。死ぬとばかり考えていた訳じゃない。頭の片隅でこうも思っていた、君を手に入れるチャンスじゃないかって」
「いきなり俗っぽくなったわね……」
「男の妄想なんてそんなものさ。仲間のうち他の男が助けに行こうと言い出していたら、俺はひょっとして逃げていたかもしれない。何のメリットも無いからね」
「結局、来てくれたわけで。恩に着せて抱くのが目的だったとして、あなたの口からそういう台詞を聞いたことがないわ。俺のおかげで助かったんだぞ、わかっているだろうなグヘヘ……とか」
「それどころじゃなかったからねぇ……」
顔を見あわせ、ふたりは笑った。とても笑い事ではないが、もう笑うしかない。
「なにより意外だったのは君が処女だったことだな」
「いきなり突っ込んできたわね……いや、色んな意味で突っ込んだのはあなただけど。何これ、本音をぶっちゃけていい流れ? いかにも遊んでいる女って、そういう風に見ていたの?」
「男遊びが激しいとまでは思っていないが、君の回りにはいつも男が沢山いたからなぁ。勝手に想像して勝手に嫉妬していたもんさ」
「仲間内でのお姫様扱い、か。あんまり格好のいいもんじゃないわね」
カーディルは長い睫毛を伏せて、つまらなさそうにいった。
「取り巻きどもに男としての魅力を感じたことは一度もないけれど、ちやほやされて調子に乗っていなかったかと問われれば、確かにそういうところはあったわ。いつかそんな空気とか雰囲気に流されて、あのつまらない連中のうちの誰かに抱かれていたのかと思えば本当にぞっとする」
「雰囲気に流されて、か」
「できあがった空気というやつは馬鹿にできたものではないわ。あれはじわじわと精神を蝕む毒のようなものよ。あなたが自分に価値がないとか、死んでしまいたいとか思っていたのも、周囲からの扱いによって蓄積された思考ではなくて?」
「そうだな、確かにそうだ。どんなに努力しても働いても、周囲からは低く見られていたんだ。それこそ明らかに俺より弱くて怠けている奴からもね。正しい正しくないではなく、そういう風に扱っていい空気が出来ていたのかもしれない」
そんな扱いが続くと、何をしても無駄、何もかもがどうでもいいといった方向へ人格が堕ちていく。そうして出来上がったのが何かと自己評価の低いディアスという男だ。
やはりカーディルは美しいだけでなく、聡明な女性だと、ディアスは自分のことのように嬉しくなった。
「ずいぶんと話が遠回りになってしまったが、俺が自分の生きる道とか、目標を見つけたのは君の存在あってこそなんだ。恨むどころではない、むしろお礼を言いたい。一緒にいてくれて本当にありがとう」
彼女は満足げに、そして少し疲れた顔で頷いた。目をつぶればもう二度と目を覚まさないのではないか。そんな不安にかられ、強く抱き締める。
カーディルが少しだけ首を伸ばす。その意図を理解してディアスは唇を重ねた。
結局、悪あがきをしていただけで彼女を守ることはできなかった。
自分は何に負けたのだろうか。中型のミュータントにだって負けはしなかった。ひとを嘲笑するかつての仲間の頭をふっ飛ばしてやった。現実という姿無き敵、あまりにも強大で醜悪な化け物に負けたのだ。
カーディルに語った言葉に嘘はない。事件以来、一緒にいた時間は辛いことも多かったが、同時に幸せだった。
今にも消えてしまいそうなカーディルの顔をじっと見ながら、過去に思いを馳せる。蜘蛛の巣、荒野、病院、地下……、何かが記憶のなかで引っ掛かった。
病室の前で出会った男、マルコ。病院の助っ人、兵器工場のオーナー、義肢の調整を専門としたサイバネ医。
調査を頼んだとき、カーディルはなんと言ったか。
(人体実験の被験者を探している……?)
聞いた時も感じたが、あまりにも非常識で無責任な噂だ。
だがもしも噂が真実であったならば売れるものがまだあるということだ。頑丈な肉体を持つ若者がここにいる。
(こんな話にすがろうとしていること自体が、俺の頭がいよいよ壊れてきた証拠だよ。そもそも俺はマルコ博士の居場所だって知らないんだ……)
ベッドの上に放り出された雑誌が視界に入る。カーディルの無聊の慰めになればと内容すらわからぬまま何気なく買った本だ。
左腕でカーディルを抱きながら、右手で拾い上げてパラパラとめくる。出版業界も厳しいのか、半分くらいは広告で埋まっている。その中で、銃器の紹介ページで指が止まった。
(おいおい、嘘だろ……。偶然買った雑誌に、偶然銃器の広告が載っていて、もしも偶然マルコ博士の工場の住所なんか書いてあったら……)
その時は運命的な導きを感じざるを得ない。とても神に愛されているとは思えないので悪魔の陥穽か何かだろう。
水分が薄れ、粘っこくなった唾を飲みこみ、そのページにじっくりと目を走らせる。見当たらない。だが、広告に会社名が載っていないなどということがあるだろうか。商品が欲しくなったお客さんにどうしろというのだ。
しばらく探してから気がついたが、ページの右下を自分の指で遮っていた。ゆっくりと紙の上を這うように親指をずらすと、そこに小さく書かれていた。
『丸子製作所』
「嘘、だろ……?」
信じられない、という顔をしながらも、怪しげな噂に賭けてみようかという気になっていたディアスであった。光明と呼ぶにはあまりにもか細く、理論も破たんしている。それでも彼女を救う可能性が残されているならば……と。
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