男子高校生は、最高の伴侶を探す。

茄子の皮

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男子高校生は、真面目に授業を受ける

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 高校生活が始まった。

 白いブレザーの制服で、女子がスカートだ。
 1年A組は、50人の生徒がおり、男女比半々だ。制全員簡単な自己紹介をしたのを、俺は全員覚える事が出来た。全国の有名学校から進学してきた生徒達で、A組が学力上位50人集まっている。

「俺は黒澤遊季。最高の伴侶と楽しい高校生活をするために、白薔薇高校に来た。よろしく。」
 うん。最高の自己紹介だな。生徒達からは、冷たい目線を向けられているが、気にしない。皆恥ずかしいだけだと思う。たぶん。

 自己紹介も終わり、授業が始まった。担任の佐藤詩織は、数学の担当のため、教師が替わる。
 最初は、英語か。

 英語の授業も、教科書をすでに丸暗記しているので暇だ。

 そうだ。株価がどうなったかな。俺は母親の名義でネットの証券会社で株取引をしている。授業中だろうが、今は取引時間なので、見ないとだめだな。

 バッグから、スマホを取り出し証券会社のアプリを起動する。

「日経平均株価が微増か。どれどれ、持ってるのは、どうかな。」

 英語の授業は、続いていく。実力が全ての白薔薇高校は、例えスマホを見ていても問題は無い。ただ、そんな生徒は、半年後には、白薔薇高校から居なくなるだけだ。

「うん。この株は、損切りだな。これは、買い足そう。」
 授業を全く聞かないで、授業は進む。

「はい。授業を終わります。」
 男性教師が終わりを告げる。
 ちらっと黒板を見るが、余裕で理解できる。

 全部の科目をスマホを見て過ごす。株で20万の儲けが出たな。後場も楽しみだな。

 遊季は、授業を全く聞いていないが、反省などしない。なぜなら、もう1年で習う教科書は、完璧に覚えているし、応用もできるのだ。


「隼人大変だ。授業が暇過ぎる。なんか面白い暇潰しはないか。」

「アホか。普通以上のスピードで授業が進んでいるぞ!余裕あるのなんて、上位10人くらいだろ!」
 隣に座る隼人に聞いて見るが、授業のスピードは、早く大変そうだ。それよりも、暇潰しは、無いのか?

「それよりも、昼休みだし食堂に行こうか。」
 白薔薇高校の食堂には、企業の飲食店が並んでいる。ここの生徒は、大企業の子供が多いため、宣伝として多くの企業が店を構えたい一等地だ。だが、ここで粗相をすると、大企業からの圧力が待っているのが考えものだ。

 昼休みは、2時間あり、のんびりと昼食を取れる。多くの学生は、予習復習で時間を使ってしまうが。

「今日から順番に店舗を制覇しよう!」
 食堂内は、100店舗の飲食店があり、生徒達が並んでいる。もはや食堂だけで、デパートのフードコート以上だがこれが、白薔薇高校なのだ。学生以外の一般人も、飲食店に入る事が出来る。

 今日は、牛丼チェーン「牛屋うしや」だ。牛丼一杯1800円の牛丼屋だ。早い!高い!旨い!のキャッチコピーで有名だ。

「うん。旨いな。」
 牛丼にゆで卵、豚汁のセットを注文した。激安の牛丼も良いが、一流には、高級品が白薔薇高校なのだ。

「毎日食べても飽きないだろうな。けど、奢りで良いのか?」
 隼人は、聞いてくる。

「もちろん!株で20万勝ったから余裕だ。毎日奢りでも良いぞ!」

「はぁ、金持ちは、違うな。他の生徒も金持ちがほとんどだから緊張するよ。町工場の息子が通う学校ではないだろうに。」
 白薔薇高校は、入学金や授業料が無料だ。多くの企業から支援されているのだ。食堂の飲食店からも、支援して貰っている。

「たまには僕が奢るよ。」
 そう言って隼人は、牛丼を美味しそうに食べている。

 昼休みも終わり、午後の授業が始まる。
 机の上には、スマホと国語の教科書、有名起業家が出版した、ビジネス書『弱小企業の5つの道』が開かれている。
 スマホで株価を眺めながら、ビジネス書を見ている。

「なるほど。大企業からどれだけ仕事を貰うか書いてあるな。目次に大企業には勝てない!とデカデカと書かれているのが、好評価だな。」
 ビジネス書を読んでいたら、午後の授業が終わってしまった。


「遊季。授業終わったぞ。何読んで?」

「隼人。この本を買いた奴は、最高だ。弱小企業がどれだけ大企業の邪魔をしないで、寄生するか分かりやすく書いている。」
 俺は、隼人に本を見せる。

「村川高次か。確か詐欺で捕まった人だろ?」

「なに?」

「ほらこいつ。地方企業から再建のアドバイスとか言って金を奪った奴だよ。実績も無いのに、高齢の人は、騙されるんだろうな。」
 隼人がスマホで村川高次を検索して、ネット記事がヒットしていた画面を見せてきた。

【非道な地面師!架空のデパート建設持ちかけ高齢者詐欺!】の見出しが出ていた。

「ふ~ん。知ってたのか。面白かったんだけどな。」
 マジか。俺だったら詐欺にかかってただろうな。

「大丈夫か?」

「もちろん大丈夫だ。授業も終わったから帰って良いのか?」
 俺は悲しい!こんな本に午後の時間を使ってしまったよ。けど、内容は面白いけどな。

「クラブ活動は、どうする?帰宅部になるのか?」

 クラブ活動!中学では、バレーボール部だったが、高校はどうしようかな。

「いろんな所を、見学しようか。可愛い娘が居るところでも入る?」
 隼人がイタズラぽく言ってくる。さすが隼人だ。

「もちろんだ。」
 俺達は、教室を出て、いざ可愛い娘がいるクラブへ向かう。



 ちなみに、『弱小企業の5の道』は、古本屋で買い取り5円で売却した。
 新品1400+税で昨日買ったのに。残念だよ。




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