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全盲のお嬢様 フォルブルク家の災難

魔鉱石の実験と貴族達のパーティー

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 翌日は、騎士が来なかった。昨夜にサーシャさんから伝言板で、貴族様達のパーティーに行くと、書かれていた。

 サーシャさんの眼が回復したため、貴族様達のパーティーに出ないと行けなくなったみたいだ。 

 なので、僕は今日は家で過ごしている。

 貰った魔鉱石で、実験するのだ。

 テーブルに杖と魔鉱石3つをだす。魔鉱石をキーホルダーにしてみる。


 魔鉱石
 効果 回復Lv1
 回復魔法が使える。軽度の傷が治る。

 魔鉱石
 効果 光魔法Lv1
 光魔法を発動させる。

 魔鉱石
 効果 氷魔法Lv1
 氷魔法を発動させる。

 キーホルダーにしても効果は、変わらなかった。効果時間が無いので、キーホルダーに触れて発動するが、魔力を使った様子がない。  

「なるほど。普通の魔鉱石を使えば、効果時間がなく、魔法が使えるのか。」
 それなら、魔物石を集めるよりも、魔鉱石を最初から集めれば、魔法使いたい放題だな。

 杖から魔鉱石を取り出し、キーホルダーにする。

 魔鉱石
 効果 魔力回復Lv1
 魔力を回復する

 うん。問題ないな。魔力回復の魔鉱石があれば、魔力枯渇の心配が無くなるな。魔力回復の魔鉱石をブレスレットにして、常に身につける。紫色のブレスレットだ。

 これが出来ただけで、十分だな。

 杖の部分は、ただの鉄として溶かして使う。

 魔法袋は、リュックサックの中に入れている。予備の物置だ。


 実験も終わったので、マリームギルドに向かい、依頼を受ける。ゴブリンリーダーの魔物石を集めるのだ。

 問題も無く夕飯前まで、ダンジョンで魔物石を集める。

 10階層のボスを倒し、マリームギルドへ戻り受付で依頼達成すると、4等級冒険者へとランクアップした。

 家に帰り夕飯を食べ、部屋でのんびりしていると、伝言板に文字が浮かぶ。

 エルジュさん。この毒無効の魔鉱石は、どの様に使うのですか。お父様を助けて下さい。

 と普段の綺麗な文字ではなく、書きなぐった様な文字だか、サーシャさんの癖が見える。

 お父様を助けて下さい?毒か!

 僕は、丁寧に文字を書いて行く。

 ネックレスを首にかけて、使える様に願ってください。

 文字を書くと、返信がない。バタバタしているのかな。
 僕は、両親の元に伝言板を持っていき、説明する。

「エルジュ。サフマン様が毒を食らったのか?」
 伝言板を見ると、多分そうだろう。

「詳しくは、わからないが多分」
 僕が答えると、伝言板に文字が浮かぶ。


 イドリスです。ご心配お掛けしました。回復しました。詳しくは、明日屋敷にて。

 護衛隊長のイドリスさんから、返信がきた。

「回復か。恐らく毒を盛られたのだろうな。」
 父さんが深刻そうに、話している。

 その後返信が無いので、今日は寝るか。

 ありがとうございます、とサーシャさんの字が浮かび上がったので、どういたしまして、と書いて寝る。


 ◇


「ぐっがっ!」
 巨大なホールにうめき声が響く。

 ガシャン!と食器が落ちる大きな音を立てて、一人の男が床に倒れ込む。

「あなた!」
 妻アリス・フォルブルクが倒れた夫、サフマン・フォルブルクに寄り添う。

 周囲にいる、4組の貴族達は、遠巻きに見ている。

 サフマン・フォルブルクに向かって回復師が3人向かって行くが、一人の回復をサーシャ・フォルブルクは、指を指して叫ぶ。

「イドリス!あの人をすぐに止めて!」
 護衛隊長のイドリスは、一人の男性回復師を羽交い締めにする。

「離せ!すぐに治さないと手遅れになるぞ!」
 羽交い締めにされた、男は騒いでいる。
 イドリスは、男の言葉を無視している。それよりも、サーシャ様の言葉が、信憑性が高いのだ。断罪眼があり、嘘と、邪の感情を感じる事が出来るようになっていた。

「毒です!レベル3です!」
 サフマンの元に行った回復師が言う。レベル3の毒を解毒させる事は、出来ないみたいだ。

「どうにかならないの!」
 アリス・フォルブルクが叫ぶが、誰も答えない。

「サーシャお嬢様!」
 フォルブルク家の騎士がサーシャの元に近づく。

「サーシャお嬢様。そのネックレスの黒い石は、毒無効Lv3です。すぐに使って下さい。」
 騎士は、小声で言う。フォルブルク家の鑑定師だ。

 サーシャは、サフマンの元に向かい、ネックレスを当てる。ダメだ反応がない。

「サーシャ様!」
 イドリスが伝言板を持ってくる。

「エルジュさん。助けてください。」
 サーシャが伝言板に書いていく。


「ネックレスを首にかけて、願う?」
 サーシャは、ネックレスをサフマンの首にかけて願う。

「お父様。」
 願うと効果が発動した。毒無効Lv3と剛力Lv3×5個だ。

「復活だ!」
 サフマンは、飛び起きて叫ぶ。

 周りの人達か、あんぐりと口を開けている。死にかけた人が、飛び起きたのだ。

「サーシャありがとうな。ところで、そいつはなんだ?」
 イドリスに羽交い締めにされている回復師をにらみつける。


「あの人は、お父様を殺そうとしたのです。」
 違う!と男は叫ぶが否定すれば、するほどサーシャに嘘がばれている。

「黒幕は、誰だ?」
 サフマンが言うと、サーシャが一人の男性を指指した。

「どう言うことかな?シラジラ・ユウーザ男爵?」
 サフマンが睨み付ける。
 シラジラ・ユウーザ男爵。今回のパーティーの主催者で、欲深い男だ。他人を蹴落とし、実力がないが、裏工作を続けている貴族だ。

「無事で良かった。」
 とユウーザ男爵が言うが、周りの貴族は、誰も信用出来ないだろう。他の貴族達は、そそくさと帰っていく。

 残されたのは、ユウーザ夫婦とフォルブルク家の夫婦、サーシャと護衛隊だけだ。

「今謝れば許してやるぞ?」
 サフマンが睨み付けるが、ユウーザ男爵は、答えない。

「そうか。狙う相手を間違ったな。楽しみしておれ。」
 サフマン達が帰ろうとする。

「ふざけるな!おい!やってしまえ!」
 ユウーザ男爵が叫ぶと、柄が悪い男達30人ほど出てきた。

「ふっ。予想通りだな。」
 サフマンが呟く。護衛隊達も身構える。

「男爵様!やっちゃっていいのかい?」
 リーダーと思われる男が言う。手には斧を持った男だ。

「弱そうだな。サーシャ達は、下がってろよ!」
 そう言うと、サフマン様が走っていく。もともと、武勲で貴族になった、戦闘職のサフマン様が素手で、男達を倒していく。

 サフマンが殴りつけると、肉が抉れ、骨がむき出しになる。

「うむ。手応えが無いな。」
 剛力Lv3×5個で筋力が4.5倍になった一撃に誰も抵抗出来ずに、サフマン一人で5分もかからず、全滅させた。護衛隊の出番はなかった。

 ガタガタと足を震わせ、ユウーザ男爵は、膝をついた。

 その後、街の衛兵が呼ばれ、ユウーザ男爵達は、投獄された。





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