一般職アクセサリーショップが万能すぎるせいで、貴族のお嬢様が嫁いできた!〜勇者や賢者なんていりません。アクセサリーを一つ下さい〜

茄子の皮

文字の大きさ
上 下
1 / 48
天職アクセサリーショップ

天職の儀式

しおりを挟む
 この世界には天職がある。
 人が十歳になると、教会で祈りを捧げると天職を授かることができるのだ。

 英雄と呼ばれる人は、全て英雄職と呼ばれる天職を授かり、一般の天職とは何十倍もの戦力を有する事ができるのだ。
 たとえ天職とは違う職業についたとしても、天職持ちの人とは成長率が段違いになっているため、人は天職を職業とする人が普通なのだ。


 さて、ここハリソンの街に、今年十歳になる男の子がいる。

「大丈夫か?エルジュ。」

「大丈夫。ちょっと心配なだけだよ。」

 エルジュと呼ばれる短髪で黒髪の男の子。隣を歩く父親のカイルがからかいながら歩いている。
 エルジュは、自分が英雄職だったらどうしようと不安で昨夜は、なかなか眠ることができなかったのだ。

 父カイルは、冒険者の職についており、天職【戦士】をもつ2等級冒険者だ。

「エルジュが戦闘職だったらな~、一緒にダンジョンに行ったり楽しいだろうな~。」
 カイルは、楽しそうに話す。

 戦闘職。カイルの様な【戦士】は戦闘職と呼ばれ、街にあるダンジョンで稼ぐのに有利とされている。
 他に一般職の【商人】や生産職の【職人】などがある。英雄職として有名なのが【勇者】や【賢者】が有名だ。【勇者】は、【戦士】の最上位で剣術の最高成長を誇り、【賢者】に劣るが【魔術師】以上の魔法を使うことができる天職だ。【賢者】は【勇者】以上の魔法を使え、希少な回復魔法まで使う事ができる天職だ。子供の夢の天職トップ2だ。

「僕は、一般の天職でいいよ。」
 エルジュは、冒険者の父の影響で冒険者になりたいとは思っていない。毎日安全に帰ってくるとは限らない職業のため、ぼろぼろになった父を何度も見ているのだ。何度生死をさ迷ったかわからないのだ。

「それは神様が決めることだからな。どんな天職でも不便な事はないだろうさ。」

 確かにどんな天職でも、必要な場面はある。稼げる天職と稼げない天職はあるが。

「よし着いたな。」

 二人は教会に到着した。
 中に入ると、5人の親子が長椅子に座っていた。毎週一度の天職の儀式に参加する親子だ。
 エルジュ達も空いている椅子に腰かける。

「今回は、6人の子供達が天職の儀式に参加となります。」

 神父が話だした。

「天職は、神様からの啓示であるためいかなる不満があろうと変更は、できません。あなた達の人生を有意義なものとなることでしょう。」
「皆様、両手を胸の前で合わせて下さい。」

 エルジュは、両手を胸の前で合わせる。他の子供達も同じ様に合わせている。

「全知全能なる神よ。新たな天職に目覚める5人にご加護があることをここに願います。」
 神父が話終わると、子供達が光だす。

 エルジュは、白色に光る。他の子供達は、赤く光る男の子二人と青く光る女の子二人、白く光る女の子だ。

「赤く光るのが戦闘職。青く光るのが生産職、白く光るのが一般職です。金色が上級職と呼ばれてます。」

 僕は白色だから一般職か。

「まず赤く光った二人前に。」

 二人の男の子が神父の前に出る。神父が男の子の頭に手をかざす。
「君は、【騎士】の天職を授かりました。」
 体がエルジュより一回り大きい男の子は、【騎士】の天職を授かったようだ。
「君は、【魔法使い】の天職を授かりました。」
 もう一人の男の子は、【魔法使い】の天職みたいだ。どちらも戦闘職としては普通の天職だ。

 男の子達は、嬉しそうに親の元に戻り座る。

 次に青く光った女の子二人が前にでる。
【料理人】と【家具職人】だ。【料理人】はどこの食堂でも求められる天職で【家具職人】は、家具製造に特化した職だ。

 女の子達は、落ち込む様子無く笑顔で親の元に戻っていく。

「次に白く光った二人、前に。」
 エルジュは立ち上がり前に進む。隣にエルジュより頭一つ小さい綺麗な金髪の少女が並ぶ。

「君は、【アクセサリーショップ】だ。」
 エルジュは宣言される。
 アクセサリーショップ?宝石商ではなく。装飾品を扱う店か?
 エルジュは、名前を聞いただけでは理解できない。父カイルも見るも首をかしげている。

「君は、【回復術師】だ。」
 隣の女の子は、【回復術師】か。
【回復術師】怪我を治したり、病気を治しす能力が使える一般職としては当たりの職業だ。

 二人は親の元に戻り座る。

「これにて天職の儀式を終わります。今一度手を合わせ神に祈りを捧げてください。」

 6人の親子は手を合わせ神に祈りを捧げる。


「ありがとうございます。これにて終わりです。皆様に神のご加護がありますように。」


 神父が儀式を閉めるとエルジュの目の前が一変した。




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

世界最高のパティシエ〜罪深き男の奮闘物語〜

茄子の皮
ファンタジー
両親が亡くなり、村から旅立つ12歳の少年キャンディ。ユニークスキル【パティシエ】を活かし街で活躍する。冒険者だった父の憧れもあり、冒険者ギルドへ登録し、依頼をこなすがキャンディが作るジャムなどのスイーツが評判となり商人となる。スイーツの女神から世界中へキャンディのスイーツを広げなさいと使命を受け世界を旅をする。田舎少年の店が貴族の御用達店舗となり、権力と獣人の王族を仲間に引き入れ人間界だけでなく、亜人界、魔界、精霊界の問題を解決しながら旅をする物語です。 現在-村→トルマ街で店舗経営→ダンジョンマスター仲間になる→

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友
ファンタジー
 龍を狩る者、龍脈衆のセレットは危険な龍が湧く場所――龍脈で毎日何十体と龍を狩り、国と城の安全を守っていた。  しかし「サボっているのだろう?」と彼は私利私欲のために龍脈を利用したい者達に無実の罪を着せられて追放されてしまう。  絶望に暮れて追放されている時に助けてくれたのは幼馴染のアイシャだった。「私と一緒に帝国に亡命しない?」彼女に助けられ請われる形で実力主義の帝国に行く。  今まで人前に晒されていなかったセレットの力が人の目に見られ、その実力が評価される。何十人と集まり、連携を深め、時間をかけて倒す龍を一撃で切り裂いていくセレットの実力は規格外だった。  亡命初日に上級騎士、そして、彼のために作られた龍騎士という称号も得て人々から頼りにされていく。  その一方でセレットを追放した前の国は、龍脈から龍が溢れて大事件に。首謀者たちはその責任を取らされて落ちぶれていくのだった。  これはいいように使われていた最強の龍脈衆が、最高最強の龍騎士になる物語。  小説家になろう様でも投稿しています。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

弟子に”賢者の石”発明の手柄を奪われ追放された錬金術師、田舎で工房を開きスローライフする~今更石の使い方が分からないと言われても知らない~

今川幸乃
ファンタジー
オルメイア魔法王国の宮廷錬金術師アルスは国内への魔物の侵入を阻む”賢者の石”という世紀の発明を完成させるが、弟子のクルトにその手柄を奪われてしまう。 さらにクルトは第一王女のエレナと結託し、アルスに濡れ衣を着せて国外へ追放する。 アルスは田舎の山中で工房を開きひっそりとスローライフを始めようとするが、攻めてきた魔物の軍勢を撃退したことで彼の噂を聞きつけた第三王女や魔王の娘などが次々とやってくるのだった。 一方、クルトは”賢者の石”を奪ったものの正しく扱うことが出来ず次第に石は暴走し、王国には次々と異変が起こる。エレナやクルトはアルスを追放したことを後悔するが、その時にはすでに事態は取り返しのつかないことになりつつあった。 ※他サイト転載

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

処理中です...