14 / 52
第14話 いじわる
しおりを挟む
「佐伯先輩は、土日は何してるんですか?」
図書室閉室後の帰り道、思い切って聞いてみる。と、ちょっと声が上ずってしまった。
「……勉強かな。一応、これでも受験生だから」
佐伯先輩はきっと、私が本当に聞きたかったことをわかってしまっているに違いない。くすりと笑って答えた。
「勉強、かあ……」
佐伯先輩と二人で勉強会なんていうのには、正直憧れる。でも入学したての私が先輩に教えられることなんてないだろうし、私が教わるばかりじゃ先輩の邪魔になってしまう。
「やっぱり、図書館とかに行くんですか?」
ここで即次の話題に移るのはさすがにあからさまな気がして、私は続けて聞いた。
「うーん、基本は予備校の自習室かな。受講生向けに、わりと早い時間から解放されてるから」
「なるほど……」
予備校の自習室となると、きっと部外者の私は入れない。心の中でがっくりとうなだれていると、佐伯先輩が思いがけない言葉を口にした。
「一緒にする? 勉強」
「えっ?」
いつもの自習室で、というわけにはいかないはずだ。
「うちに来てくれてもいいよ」
佐伯先輩はにっこり笑ってそんなことを言った。
「──! えっと……」
佐伯先輩のお家──それは正直ものすごく興味がある。あるけれど、異性の自宅に気軽に遊びに行ける年齢ではなくなってしまったこともうすうすわかっていた。決して、佐伯先輩のことを信用していないわけじゃない。でも──。
どう答えようかと迷っていると、ふいに佐伯先輩が吹き出した。
「ごめんごめん。うん、女の子はそれくらい警戒心持ってた方がいいと思う」
やっぱり、私の思考は全て筒抜けなんじゃないだろうか。
「いえっ、警戒してるわけじゃ……」
慌てて首を振る。それは本当で、ただびっくりして迷ってしまっただけなのだ。幸いなことに、佐伯先輩に気を悪くしたようすは見られない。
「まあ、変なことは何もしないけどね」
そう言って笑っている。が、それより。
「へ、変なこと……?」
いったい何を想定して言っているのだろう。気にはなるものの、聞くのはなんだか怖い。
「……されてみたい?」
見上げた先で、佐伯先輩の目がいたずらっぽく光る。
「ちょっ……からかわないでください!」
あたふたする私の隣で、佐伯先輩は相変わらず笑っている。もしかしたら──いや、もしかしなくても、佐伯先輩って意外といじわるだったりするのかもしれない。
図書室閉室後の帰り道、思い切って聞いてみる。と、ちょっと声が上ずってしまった。
「……勉強かな。一応、これでも受験生だから」
佐伯先輩はきっと、私が本当に聞きたかったことをわかってしまっているに違いない。くすりと笑って答えた。
「勉強、かあ……」
佐伯先輩と二人で勉強会なんていうのには、正直憧れる。でも入学したての私が先輩に教えられることなんてないだろうし、私が教わるばかりじゃ先輩の邪魔になってしまう。
「やっぱり、図書館とかに行くんですか?」
ここで即次の話題に移るのはさすがにあからさまな気がして、私は続けて聞いた。
「うーん、基本は予備校の自習室かな。受講生向けに、わりと早い時間から解放されてるから」
「なるほど……」
予備校の自習室となると、きっと部外者の私は入れない。心の中でがっくりとうなだれていると、佐伯先輩が思いがけない言葉を口にした。
「一緒にする? 勉強」
「えっ?」
いつもの自習室で、というわけにはいかないはずだ。
「うちに来てくれてもいいよ」
佐伯先輩はにっこり笑ってそんなことを言った。
「──! えっと……」
佐伯先輩のお家──それは正直ものすごく興味がある。あるけれど、異性の自宅に気軽に遊びに行ける年齢ではなくなってしまったこともうすうすわかっていた。決して、佐伯先輩のことを信用していないわけじゃない。でも──。
どう答えようかと迷っていると、ふいに佐伯先輩が吹き出した。
「ごめんごめん。うん、女の子はそれくらい警戒心持ってた方がいいと思う」
やっぱり、私の思考は全て筒抜けなんじゃないだろうか。
「いえっ、警戒してるわけじゃ……」
慌てて首を振る。それは本当で、ただびっくりして迷ってしまっただけなのだ。幸いなことに、佐伯先輩に気を悪くしたようすは見られない。
「まあ、変なことは何もしないけどね」
そう言って笑っている。が、それより。
「へ、変なこと……?」
いったい何を想定して言っているのだろう。気にはなるものの、聞くのはなんだか怖い。
「……されてみたい?」
見上げた先で、佐伯先輩の目がいたずらっぽく光る。
「ちょっ……からかわないでください!」
あたふたする私の隣で、佐伯先輩は相変わらず笑っている。もしかしたら──いや、もしかしなくても、佐伯先輩って意外といじわるだったりするのかもしれない。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
若妻シリーズ
笹椰かな
恋愛
とある事情により中年男性・飛龍(ひりゅう)の妻となった18歳の愛実(めぐみ)。
気の進まない結婚だったが、優しく接してくれる夫に愛実の気持ちは傾いていく。これはそんな二人の夜(または昼)の営みの話。
乳首責め/クリ責め/潮吹き
※表紙の作成/かんたん表紙メーカー様
※使用画像/SplitShire様
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる