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友人目線(彼女の自殺)
高木 瑞穂(たかぎ みずほ)
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血なまぐさい。気持ちが悪くなって、吐きそうになる。でも、その時。私は、確かに見たんだ。麗子が自分からトラックの目の前に飛び出していったのを!
麗子が死んだ。私と帰っている途中だった。私の目の前で死んでいった麗子。なんだか最近は元気がなかった脳に感じていた。それに、私は麗子が自分からトラックに突っ込んでいったような気がするのだ。
しばらく、自分の部屋に引きこもって考え続けた。何故、彼女は死ななければならなかったのか。けれど、いくら考えても答えが見つかることはなかった。いじめられてもいなかった。親子の仲も良さそうだった。思い当たる自殺の原因なんて、一つもなかったのだ。
「麗子…。」
何度も何度も、繰り返しつぶやいた。
「そろそろでてきなさい。辛いのもわかるわ。怖かったよね。でも、そろそろお母さんにあなたの顔、見せてほしいな。」
ショックで閉じこもっているわけではなかったが、私は母の声と父の声につられて外に出た。綺麗な満月の夜だった。
月を背に、祈る。私には、あなたが自殺した理由なんてわからない。だから、ただ祈る。あなたがあの世ではなんの悩みもなく幸せになれるように。
そしたら、私も行くね。前に進むね?いつか私が死んで、あなたに会うことができたのなら。私がしてきたことを自慢してやるんだ。こんなにいいことがあったんだよ。こんなことができた世界なのに、なんで先に逝っちゃったの?こう、尋ねてみるのもいいかもしれない。どうして相談してくれなかったのって。
そしたらね、最後に言うの。たった一言。私からの、最大の友情。
来世で何かあったら、今度は私を頼ってね。絶対、守るから。
今度こそは、君を守るよ。だから、私、行くね。強くなってから、また、逢いに行くから。
最上級の友情を込めて。高木瑞穂。
麗子が死んだ。私と帰っている途中だった。私の目の前で死んでいった麗子。なんだか最近は元気がなかった脳に感じていた。それに、私は麗子が自分からトラックに突っ込んでいったような気がするのだ。
しばらく、自分の部屋に引きこもって考え続けた。何故、彼女は死ななければならなかったのか。けれど、いくら考えても答えが見つかることはなかった。いじめられてもいなかった。親子の仲も良さそうだった。思い当たる自殺の原因なんて、一つもなかったのだ。
「麗子…。」
何度も何度も、繰り返しつぶやいた。
「そろそろでてきなさい。辛いのもわかるわ。怖かったよね。でも、そろそろお母さんにあなたの顔、見せてほしいな。」
ショックで閉じこもっているわけではなかったが、私は母の声と父の声につられて外に出た。綺麗な満月の夜だった。
月を背に、祈る。私には、あなたが自殺した理由なんてわからない。だから、ただ祈る。あなたがあの世ではなんの悩みもなく幸せになれるように。
そしたら、私も行くね。前に進むね?いつか私が死んで、あなたに会うことができたのなら。私がしてきたことを自慢してやるんだ。こんなにいいことがあったんだよ。こんなことができた世界なのに、なんで先に逝っちゃったの?こう、尋ねてみるのもいいかもしれない。どうして相談してくれなかったのって。
そしたらね、最後に言うの。たった一言。私からの、最大の友情。
来世で何かあったら、今度は私を頼ってね。絶対、守るから。
今度こそは、君を守るよ。だから、私、行くね。強くなってから、また、逢いに行くから。
最上級の友情を込めて。高木瑞穂。
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