だから僕は自殺した

わかば

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僕の最後

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目がさめると、おきまりのような白い天井が見えた。ここは…病院か。
「目が覚めたのね。心配したのよ!3階から飛び降りるなんて!」
叫ぶ母親の声が頭に響く。左目には包帯が巻かれているらしく、右目を閉じると次回からは光が消えた。
「待っていなさい。すぐに先生を呼んでくるわ。」  
母さんはやっと冷静とりもどしたのか、医者を呼びに出かけた。いや、まだ冷静じゃないのかもしれない。医者を呼ぶなら、ナースコールを押せばいいだけなのに。
鏡を覗くと、包帯にはかすかに血が滲んでいた。死に損なった僕の、惨めな血は、流れることなく固まっていた。僕は、死ねなかった。

「大丈夫ですよ、もう助かりましたから。」
何が大丈夫なもんか。
「怪我が治ったら、精神科に入院することをお勧めします。きっと楽になりますよ。」
その通りだ。きっと、僕の心は病んでいる。でも、きっと楽にはなれないよ。
ねえ、麗子。しばらく君には会えそうにないや。
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