7 / 7
結ばれるまで
7話 ルド様
しおりを挟む
ふう、と大きく深呼吸をする。こんなに緊張するのはいつぶりだろうか?
「おはようございます、ルド様。」
「ああ。おはよう。」
私が今会っているのは、隣国、ルドベギアの王子ルド様。リーヌの婚約者だ。
緊張致しますわ……。本当に。
「大丈夫か?緊張しているのはいつものことだが、今日はいつにも増して緊張しているように見えるぞ。」
さすがは王子様。相手の細かいことまでよく見ているらしい。
リーヌが今日、招待されてここにきているのだが、もちろん目的は別だ。……婚約破棄をしてもらうために、私はきたのですから。けれど、その前に呼ばれた目的くらいは聞いておくべきでしょうか?
「今日はなぜ私をお呼びに?」
リーヌがそう尋ねると、ルド様はきょとんとしたような目をして私を見つめてきた。
「特に用はないが……用がなければ会いたいと思ってはダメか?」
婚約者なのだから、彼はそう言いたいのでしょうか?……な、なんだか申し訳ないですわ。なんだかルド様を裏切ってしまったようで……。
リーヌは小さく首を横に振り、ルド様に向き合った。
弱気になってはダメですわ!なんとかわかっていただけなければ、神様、ライトと結ばれないのですから……!
「ルド様、私、お願いがありますの。お話ししてもよろしいですか?」
私がそう尋ねると、ルド様は
「ああ、いいぞ。」
と言ってうなずいた。
心の中でライトに向かって念じる。
「ライト!始めます。」
頭の中に、
「わかりました。リーヌ。」
と言う言葉が響いたのを合図に、私は口を開いた。
「私との婚約を、破棄していただきとうございます。」
緊張の一瞬が身体中を響き渡った。ルド様の顔が、だんだん青く染まっていくのが分かる。
「な、なぜ……?」
……どう言うとこでしょうか?どうしてそこまで悲しむのですか?ルド様。まさか、本当に私を愛していたとでも?
「……他に好きな人ができましたの。」
がくりと、ルドが崩れ落ちる。
「そ、そんな……。許さない、許さないぞ。そいつに、俺と人目合わせろ!」
リーヌの肩に掴みかかり、揺さぶる。
頭の中では、愛しい人の声が響いていた。
「それで構いません。ルド様からリーヌを奪うのですから。」
私は了承の意を告げると、部屋を後にした。
「……心の中が罪悪感でいっぱいですわあ……。」
「おはようございます、ルド様。」
「ああ。おはよう。」
私が今会っているのは、隣国、ルドベギアの王子ルド様。リーヌの婚約者だ。
緊張致しますわ……。本当に。
「大丈夫か?緊張しているのはいつものことだが、今日はいつにも増して緊張しているように見えるぞ。」
さすがは王子様。相手の細かいことまでよく見ているらしい。
リーヌが今日、招待されてここにきているのだが、もちろん目的は別だ。……婚約破棄をしてもらうために、私はきたのですから。けれど、その前に呼ばれた目的くらいは聞いておくべきでしょうか?
「今日はなぜ私をお呼びに?」
リーヌがそう尋ねると、ルド様はきょとんとしたような目をして私を見つめてきた。
「特に用はないが……用がなければ会いたいと思ってはダメか?」
婚約者なのだから、彼はそう言いたいのでしょうか?……な、なんだか申し訳ないですわ。なんだかルド様を裏切ってしまったようで……。
リーヌは小さく首を横に振り、ルド様に向き合った。
弱気になってはダメですわ!なんとかわかっていただけなければ、神様、ライトと結ばれないのですから……!
「ルド様、私、お願いがありますの。お話ししてもよろしいですか?」
私がそう尋ねると、ルド様は
「ああ、いいぞ。」
と言ってうなずいた。
心の中でライトに向かって念じる。
「ライト!始めます。」
頭の中に、
「わかりました。リーヌ。」
と言う言葉が響いたのを合図に、私は口を開いた。
「私との婚約を、破棄していただきとうございます。」
緊張の一瞬が身体中を響き渡った。ルド様の顔が、だんだん青く染まっていくのが分かる。
「な、なぜ……?」
……どう言うとこでしょうか?どうしてそこまで悲しむのですか?ルド様。まさか、本当に私を愛していたとでも?
「……他に好きな人ができましたの。」
がくりと、ルドが崩れ落ちる。
「そ、そんな……。許さない、許さないぞ。そいつに、俺と人目合わせろ!」
リーヌの肩に掴みかかり、揺さぶる。
頭の中では、愛しい人の声が響いていた。
「それで構いません。ルド様からリーヌを奪うのですから。」
私は了承の意を告げると、部屋を後にした。
「……心の中が罪悪感でいっぱいですわあ……。」
0
お気に入りに追加
11
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

妖狐な許嫁が怖すぎるので、ヒロイン様にお任せしたいのですが(泣)
真弓りの
恋愛
妖と恋をする一風変わった和風乙女ゲームの世界に、妖狐:千尋様の許嫁として転生した真白。
大好きなキャラクターだというのに、弱者の性か巨大な妖力を持つ千尋様が怖くて怖くて仕方がない。もう本能の領域ゆえに震える手足を何とかするのは諦めて、大切な千尋様はヒロインにお任せし、自身は恙無く乙女ゲームの舞台から退場する事にした。
千尋様からの婚約破棄を受け、乙女ゲームの舞台から無事に何とか退場した真白。ついでに一族からも追放されて、一月経った今では街の居酒屋で『よろず仕事請負人』として働く毎日。
そんな彼女に、初めての『指名依頼』が。
喜び勇んで出かけてみれば、依頼主はなんと『ヒロイン』。
しかも入れ替わりで、千尋様までやって来て……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■毎回1000文字程度の更新です。
ざまぁ系ではございません。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。

気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

わたしにはもうこの子がいるので、いまさら愛してもらわなくても結構です。
ふまさ
恋愛
伯爵令嬢のリネットは、婚約者のハワードを、盲目的に愛していた。友人に、他の令嬢と親しげに歩いていたと言われても信じず、暴言を吐かれても、彼は子どものように純粋無垢だから仕方ないと自分を納得させていた。
けれど。
「──なんか、こうして改めて見ると猿みたいだし、不細工だなあ。本当に、ぼくときみの子?」
他でもない。二人の子ども──ルシアンへの暴言をきっかけに、ハワードへの絶対的な愛が、リネットの中で確かに崩れていく音がした。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる