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結ばれるまで
6話 父上への相談
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コンコンコンとノックをすると、中から低い声で
「入れ。」
と言われる。訪ねてきたときはいつもこうだ。
「失礼します。」
扉を開けると、書類を見つめながら厳しい顔をした父上がそこにいた。
「今度は一体何をしでかしたのだ?」
父上はあまり私のことを好きではないのかもしれない。私が父上の部屋を訪ねると、毎回必ずそう尋ねてくる。まあ、私には凛さんがいるので構わないのだが、少々つまらなくはある。
「相談があるのです、父上。」
そう言うと父上は書類から目を離し、私の方を見た。
「なんだ?」
すうっと息を吸い込み、大きく深呼吸をする。それから勇気を出して父に告げた。
「私はリーヌ嬢と恋仲になってしまいまして……どうにか彼女に婚約を破棄してもらい、結ばれることはできないでしょうか?」
前世からの約束であることは秘密だ。父は1秒も悩むことなく
「ダメだ。」
と答えた。やはりそうか、とがっくり肩を落とす。
「相手は他国の王子だぞ。要らぬ揉め事は避けたい。そんなことも分からぬのか。」
父上は大きくため息をつき、私を睨みつけた。
「申し訳ありません、父上。もう二度とこの話は持って参りません。」
父上にはね。
「よろしい。ではさっさと出て行け。」
私ははいと答えると、急ぎ足で部屋を出た。
はあ、と大きくため息をつくのが聞こえてくる。私は
「やはり、そうですよねー。」
と残念そうに返した。
私は今、魔法でライトと話をしている。人間に落ちても神様は神様だ。ライトはたくさんの知識を有しており、電話のような魔法の使い方を教えてくれた。
「どうしましょうか?」
私が尋ねると、神様は明るい声で答えてくれた。
「まずは凛さ……リーヌの婚約者、隣国の王子に話をもっていくのはどうでしょうか?」
「え、私の婚約者にですか?」
この国の王様、ライトの父はダメだと言う。なぜなら、要らぬ争い事を招くから。と言うことは、二人が結ばれること自体に反対はしていないと受け取ってもいい。であれば、リーヌの婚約者の方から婚約破棄させれば、二人が結ばれることは可能なのではないだろうか?と、ライトは言う。
「それは……確かにそうですね。」
「でしょう?まずは、どうやって向こうに行くなですけれどね……。」
ライトが悩んでいると、リーヌはふと思い出した。そういえば、来週婚約者の彼に会おうと招待されていたではないか。
「この件、私に任せてはくださいませんか?来週、彼と会う約束をしているのです。」
リーヌがそう言うと、ライトは少し
「えっ。」
と嫌そうな声を出したが、すぐにいいですよ、と答えた。
「私もテレパシーでサポートしますから、二人で頑張りましょう。」
リーヌは元気にはいっ。と答えた。ふたりでなにかをするというのがうれしかったのだ。
「入れ。」
と言われる。訪ねてきたときはいつもこうだ。
「失礼します。」
扉を開けると、書類を見つめながら厳しい顔をした父上がそこにいた。
「今度は一体何をしでかしたのだ?」
父上はあまり私のことを好きではないのかもしれない。私が父上の部屋を訪ねると、毎回必ずそう尋ねてくる。まあ、私には凛さんがいるので構わないのだが、少々つまらなくはある。
「相談があるのです、父上。」
そう言うと父上は書類から目を離し、私の方を見た。
「なんだ?」
すうっと息を吸い込み、大きく深呼吸をする。それから勇気を出して父に告げた。
「私はリーヌ嬢と恋仲になってしまいまして……どうにか彼女に婚約を破棄してもらい、結ばれることはできないでしょうか?」
前世からの約束であることは秘密だ。父は1秒も悩むことなく
「ダメだ。」
と答えた。やはりそうか、とがっくり肩を落とす。
「相手は他国の王子だぞ。要らぬ揉め事は避けたい。そんなことも分からぬのか。」
父上は大きくため息をつき、私を睨みつけた。
「申し訳ありません、父上。もう二度とこの話は持って参りません。」
父上にはね。
「よろしい。ではさっさと出て行け。」
私ははいと答えると、急ぎ足で部屋を出た。
はあ、と大きくため息をつくのが聞こえてくる。私は
「やはり、そうですよねー。」
と残念そうに返した。
私は今、魔法でライトと話をしている。人間に落ちても神様は神様だ。ライトはたくさんの知識を有しており、電話のような魔法の使い方を教えてくれた。
「どうしましょうか?」
私が尋ねると、神様は明るい声で答えてくれた。
「まずは凛さ……リーヌの婚約者、隣国の王子に話をもっていくのはどうでしょうか?」
「え、私の婚約者にですか?」
この国の王様、ライトの父はダメだと言う。なぜなら、要らぬ争い事を招くから。と言うことは、二人が結ばれること自体に反対はしていないと受け取ってもいい。であれば、リーヌの婚約者の方から婚約破棄させれば、二人が結ばれることは可能なのではないだろうか?と、ライトは言う。
「それは……確かにそうですね。」
「でしょう?まずは、どうやって向こうに行くなですけれどね……。」
ライトが悩んでいると、リーヌはふと思い出した。そういえば、来週婚約者の彼に会おうと招待されていたではないか。
「この件、私に任せてはくださいませんか?来週、彼と会う約束をしているのです。」
リーヌがそう言うと、ライトは少し
「えっ。」
と嫌そうな声を出したが、すぐにいいですよ、と答えた。
「私もテレパシーでサポートしますから、二人で頑張りましょう。」
リーヌは元気にはいっ。と答えた。ふたりでなにかをするというのがうれしかったのだ。
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