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鍛原家のハル君2

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あぁぁぁ…
また余計なもん拾ってきちまった。どうせ死ぬ奴拾ってどうすんだよ。

「あのぉ、オバQさんのお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか…。」
「貶してるのか敬ってるのかどちらかにしろ。」
別に禿げているわけでもない俺をなぜオバQと呼ぶのか。
さっきからこちらに気を遣うくせして、たまに失礼なことを言う。知らない男にのこのことついてきたかと思えば、俺との間隔を二メートル以上に保ち続けている。無用心なんだか、用心深いんだかわからん奴だ。

本当、なぜにこんなチビを拾ったんだ、十分前の俺。
だが、拾ってしまったものは仕方がない。最後まで世話をするのが拾い主の務めってもんだ。

「…鍛原 波流人。18歳。」
「ふぇ?」
「俺の名前だ。」
ふぇってなんだ。急に緩んだ空気に拍子抜けする。最初もそうだったが、こいつは脳処理が追い付かないとアホ面になるらしい。なんとなくだが、こいつの素はこのアホ面なんじゃないだろうか。そう思った。

「えっ、一つ違い!?」
「…じゃあ、おまえ一七か。てっきり十五くらいかと思ってたわ。」
「あははぁ、よく言われます。」
また、作り笑いに戻った。
「私は天宮 曇です。天の宮てんのみやにお天気のくもりです。変な名前でしょう。名前の通りパッとしない子に育っちゃいましたよ。ハハハ。」

心臓の辺りがウゾウゾした。
アホ面の時とは別の違和感。
曇の作り笑いは嫌いだ。今にも雨が降りだしそうな曇り空を彷彿とさせる。俺が一番嫌いな空だ。

そうこうしているうちに、家に着いた。
結局曇のせいで飛べなかったから、今日は止めるか。だが、こいつといると落ち着かない。顔がムカつく。だが、放置すれば何しでかすかわかんねえ。釘刺しとくか。
「泊めてやるから動くな。俺は海に行く。な、に、も、触るなよ。いいな。」

曇が小学生だったら見張っていたが、これでも一七だ。多少の分別はあるだろ。

最後まで世話するのが拾い主の務め?
知るか、俺は同年代が苦手なんだよ。
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