飛び降りるつもりが、恋に落ちました

私、飛びます

 私、天宮 曇あめみや くもりはちょっぴりおっちょこちょいなごく普通の高校生！今日から私は三年生！
それなのに…
寝坊しちゃったよー！！
私のバカバカバカー！！！


 なんて、言うとでも思ったか。
まあ、思わないよね。だって、タイトルがタイトルだもんね。飛び降りようとする様な奴が「バカバカバカー！！！」とか、言わないよね。

そうさ、君の予想通りだよ。

私は今、教頭に捕まるデッドエンドなんかじゃなくて、ガチもんのDEAD ENDへまっしぐらなのだよ。

 ちなみに、始業式は一週間後でここは学校からバスで二十分の崖っぷち。目の前には広い広い海。鼻をつくのは潮の香り。そして真下からは、これから岩諸とも私を砕いてくださる波の音がするね。今は…もう深夜をとっくに過ぎてる頃かな。(寝坊は本当にした)

 ほら、曇ちゃんよゐこだから。人に迷惑かけたくないの。ママは大昔に消えたし、パパは私の親権剥奪されてるし、育ててくれたじいちゃんは死んじゃったし。
友達はいなかっ…作らなかったし。
だから誰も心配させないし、悲しませることも無い。学校だって、一週間もあればクラス編成の調節もできるでしょ。迷惑っちゃ迷惑だろうけど、気にしない気にしない。
てな感じで、そもそも存在が空気の私はこのまま泡になって消えちゃおうって作戦です。

 さてさてさて、遺書を書く相手もいない。
こんな深夜に邪魔する奴もいない。
頭上では雲間から綺麗な満月がまん丸な顔を覗かせてる。
なんて良い自殺日和。

なんだけどさ。私、重大なミスを犯してしまったようです。

私、高所恐怖症だったわ。
崖の下を覗いたら、目眩がしたよ。ぐんわり視界が揺れたから、慌てて退いたよ。なんで身投げなんか選んだんだよ私。


私のバカバカバカー！！！