35 / 37
バレンタイン番外編
雪影とラッピング
しおりを挟む
クッキーをラッピング用のビニールに入れた後、柔らかい布製の袋に入れる。中身よりも外身の方が立派な気がして少し恥ずかしいが、だからといって包装を疎かにするわけにもいかない。
最後の仕上げにリボンを飾り付けつけようとして、美鎖は悩んだ。使用人たちが気を利かせてくれたのは嬉しいが、部屋には様々な種類のリボンが届けられていた。
サテン地、レース地、毛糸で編み込んだもの。深い艶をもったワインレッドから、カントリー調のアイボリー、ポップな水玉プリントのものまで。ふわふわの羽や小さいポンポンがついているものもあれば、針金が入っていて形が固定できるものもある。
包装用の袋を選ぶのも大変だったが、仕上げのリボンはもっと大変だ。蛇神様一人一人、違うラッピングにしてあげたい。
悩む美鎖の背後で、障子の戸が静かに開いた。
「ひゃっ! ゆ、雪影さん?」
振り返ると、にっこり笑った雪影が腕を組んで立っていた。その笑顔が恐ろしい。
「お、おかえりなさい……」
雪影は三人の蛇神様の中で一番年長だ。落ち着いていて話し方も丁寧。ただし、怒らせると怖い。
「美鎖、今日は私たちとは接触禁止って言ってませんでしたっけ?」
雪影が優しい微笑みを浮かべながら、ゆっくりと首を傾けた。銀色の髪がさらりと揺れる。漂う冷気に、美鎖はぞくりとする。
「ご、ごめんなさい、その……」
「まぁいいですけどね。私が依頼をこなしている間、美鎖が他の二人と一緒なのは、いつものことですから」
刺のある言い方だ。これはまずい。
美鎖は必死で話題をそらした。
「きょ、今日は祖母に何を頼まれたんですか?」
「雨をなだめるようにと。最近少し多かったですからね。そんなことより、美鎖」
話題転換失敗。雪影はゆっくりと美鎖の方へ近づいてくる。
「またお仕置きされたいみたいですね。もしかしてそれが狙いですか?」
雪影の瞳が妖しく光る。
「そっ、そんなことあるわけないじゃないですか!」
美鎖の顔から血の気が引いていく。一方の雪影はずいぶん楽しそうだ。
「いいでしょう、ではこちらも期待に応えねばなりませんね」
ふふふ、と含みのある笑い方をして、雪影は美鎖の体に手を伸ばした。
美鎖の両腕はリボンで頭上にまとめられてしまった。衣服はとうに剥がされている。
雪影が選んだのは、深紅のベルベットリボンだった。生地がしっかりしていて、簡単には解けたり千切れたりしない。
雪影は美鎖の足首を部屋の柱にくくりつけている最中だ。もう何度も見せた場所とはいえ、縛られて開かされるのは恥ずかしい。
「なんでこんなこと……」
美鎖の呟きに、雪影がぎょっとするようなことを言う。
「美鎖は縛られるのが好きでしょう?」
美鎖は慌てて否定した。
「それは雪影さんの勘違いですよ!」
「そうですか? ここはもう喜んでいるみたいですけど?」
足の付け根はもう蜜をたたえている。いくら愛され、慣らされたせいとはいえ、溶けやすい自分の体が嫌になる。
「食い締め方も全く違うんですよ。気づいてないんですか?」
美鎖は首を振った。
「では後でしっかり教えてあげますね」
雪影はうっとりと呟いた。
「さて、出来ましたよ」
雪影が立ち上がり、満足そうに美鎖の体を見下ろした。
美鎖は恥ずかしさに身をよじる。両手首と両足首に上質な赤いリボンをつけられ、大きく足を広げられる格好でくくられている。白い肌は羞恥でほんのりと薄桃色に染まっていた。まるで美鎖自身が雪影に捧げられるプレゼントになったかのようだ。
「綺麗ですよ、美鎖」
雪影がちろりと舌を出して唇を舐めた。彼が欲情している時の癖だ。
「さぁ、お仕置きを始めましょうか」
雪影の指が伸びてくる。くるぶしをくすぐるようになぞられて、美鎖は体をすくませた。そろり、そろりと、雪影の男の手が這いのぼってくる。脛を優しく包み込んだかと思えば、膝を爪の先でくるくるともてあそぶ。くすぐったさと、それだけではないザワザワした感覚。
「ああ……」
美鎖は切ない吐息を漏らした。
雪影の手が内股に触れる。ぴくぴくとひきつる柔らかい皮膚を堪能し、足の付け根へと移動してくる。
美鎖はぎゅっと目を閉じた。もうそこが充分すぎるほど潤っているのは自覚している。
だが、あとちょっとというところで、雪影の手は腹部へと移っていった。
「あ……」
思わず恨みがましい声をあげてしまう。
見上げると、雪影の優しく、とろけるような笑顔がこちらを見つめていた。
「どうしたんですか、美鎖?」
意地悪だ。反射的に膝を擦り合わせようとするが、足首のリボンがピンと突っ張っただけだった。雪影の嬲りに、美鎖はただ耐えるしかない。
ヘソをくすぐった後、雪影の指は胸の膨らみへと至る。輪郭をゆっくりなぞって、徐々に中心部へと近づいてくる。
乳輪の縁をたどりながら、雪影が密やかに笑った。
「もう固くなってますよ?」
頂点の粒は、痛いほど張りつめていた。ぷっくりと立ち上がって存在を主張している。
美鎖は縛られた手を握りしめて顔をそむけた。
雪影が人差し指で、ちょん、と粒をつつく。
「ん……」
そのままゆったりとした動きで、小さな円を描く。
「う、う……」
たった指一本に、美鎖の体は支配されてしまう。全ての神経が胸の突起へと集中し、体中に伝わっていく。
疼く。もっと。もっと欲しい。
「あ、あっ」
美鎖は涙目で雪影に救いを求めた。
雪影は余裕のある表情で薄く微笑み、覆い被さってくる。銀の髪が流れて、美鎖の肌を刺激する。赤い舌が見えた。
「くぅっ!」
胸の先端に吸い付かれ、美鎖は不自由な体を突っ張らせた。
転がされる。舌先でぐりぐりと押し潰されたかと思えば、なだめるように優しく吸われる。
片方を指に、もう片方を唇に捕らえられ、美鎖の中を電流が暴れまわった。放っておかれたままの秘所がズキズキと脈打つ。
「雪影さっ……もっ、もう!」
美鎖は切なく訴える。
「おや、もう我慢できないんですか? 美鎖はいつからそんなに淫乱になったんですかねぇ」
雪影は意地悪く、けれど楽しそうに笑う。
「は、早く……!」
「早く? 何を?」
雪影が白々しくとぼける。
「どうして欲しいんですか、美鎖?」
「うぅ……!」
美鎖は唇を噛む。
雪影は小首を傾げて待っている。白状するまで何もする気はないらしい。
「さぁ、言ってご覧なさい」
雪影の指が、美鎖のわななく唇をゆっくりとなぞった。その笑顔は、母親が優しく幼子をなだめるのに似ていた。
美鎖は小さく口を開く。
「下……にも、触っ、て……?」
「下ってどこですかねぇ?」
「……え?」
美鎖は裏切られたように目を見開いた。わかっているくせに。黙りこむ美鎖に、雪影はうっとりと囁いた。
「この前、教えてあげたでしょう? あなたの体に触れながら、ひとつひとつ、その名前を」
思い出しただけで顔が熱くなる。あの時の雪影は、自分の言葉を美鎖がきちんと繰り返すまで許してくれなかった。散々嬲られて、息も絶え絶えになったのを覚えている。
「はぁっ」
美鎖は一度だけ深く息を吐いた。泣きそうになりながら呟く。
「――――を、触って、ください……」
言った後で顔を隠したくても、手はリボンで結ばれている。できる限りそっぽを向こうとして、美鎖は首をひねった。
「もっと色っぽくおねだりして欲しかったんですけど、まぁいいでしょう」
雪影はすぐに腕を伸ばしてきた。
「ああっ!」
待ち焦がれた感触に、美鎖は呻き声をあげる。ぐずぐずにとろけきった場所を、雪影のしなやかな指が優雅に動き回る。
「ひっ! あっ! ふぁっ!」
花弁のあわい、ひっそりと息づく花芯に触れられた瞬間、美鎖の顎が跳ね上がった。ずくん、ずくん、と刺激が脳天にまで直撃する。
もう片方の手が姫穴に伸びてくる。
「だめ……!」
両手で責められたら、すぐ追い詰められてしまう。
「ああっ!」
長い指が分け入ってきた。熟れた内部をかきだし、なだめ、更に追いたてていく。
真珠を転がされ、内側はぐちゃぐちゃにかき回される。いいようにされて、美鎖は畳の上でのたうった。深紅のリボンが手足に食い込むのにも気づかない。
「あっ! きちゃうぅう!」
ものすごい速さで光が点滅する。星が降ってくる。暴力的なまでの快楽に、美鎖は全てを委ねた。
やがて。
うっすらと瞼を開く。視界が徐々にはっきりしてくる。
気づくと、雪影が足のリボンをほどき、美鎖の膝を抱えあげているところだった。入り口に押し当てられる灼熱の塊。
待って、という言葉は間に合わなかった。いつも微笑んでいる雪影が、その目に獰猛な雄の衝動を宿している。
「あああああっ!」
杭を打たれる。魂ごと貫かれるみたいに。
「美鎖……」
雪影に求められ、深く口づけする。その合間にも、鼻から艶かしい声が漏れていった。
「んっ! ふぅんっ!」
酸素がなくなる。頭がクラクラする。
上からも、下からも、雪影に犯されている。
「はぁっ」
雪影が唇を離した。熱を帯びた目が美鎖に突き刺さる。
いつの間にか彼の表情から余裕が無くなっていた。こんなにも大人びた人が、必死で自分を求めているという事実。
そんなに泣きそうな顔をしないで。
私はここにいるから。
ぼんやりと胸の内で呟きながら、美鎖は意識を手放した。
最後の仕上げにリボンを飾り付けつけようとして、美鎖は悩んだ。使用人たちが気を利かせてくれたのは嬉しいが、部屋には様々な種類のリボンが届けられていた。
サテン地、レース地、毛糸で編み込んだもの。深い艶をもったワインレッドから、カントリー調のアイボリー、ポップな水玉プリントのものまで。ふわふわの羽や小さいポンポンがついているものもあれば、針金が入っていて形が固定できるものもある。
包装用の袋を選ぶのも大変だったが、仕上げのリボンはもっと大変だ。蛇神様一人一人、違うラッピングにしてあげたい。
悩む美鎖の背後で、障子の戸が静かに開いた。
「ひゃっ! ゆ、雪影さん?」
振り返ると、にっこり笑った雪影が腕を組んで立っていた。その笑顔が恐ろしい。
「お、おかえりなさい……」
雪影は三人の蛇神様の中で一番年長だ。落ち着いていて話し方も丁寧。ただし、怒らせると怖い。
「美鎖、今日は私たちとは接触禁止って言ってませんでしたっけ?」
雪影が優しい微笑みを浮かべながら、ゆっくりと首を傾けた。銀色の髪がさらりと揺れる。漂う冷気に、美鎖はぞくりとする。
「ご、ごめんなさい、その……」
「まぁいいですけどね。私が依頼をこなしている間、美鎖が他の二人と一緒なのは、いつものことですから」
刺のある言い方だ。これはまずい。
美鎖は必死で話題をそらした。
「きょ、今日は祖母に何を頼まれたんですか?」
「雨をなだめるようにと。最近少し多かったですからね。そんなことより、美鎖」
話題転換失敗。雪影はゆっくりと美鎖の方へ近づいてくる。
「またお仕置きされたいみたいですね。もしかしてそれが狙いですか?」
雪影の瞳が妖しく光る。
「そっ、そんなことあるわけないじゃないですか!」
美鎖の顔から血の気が引いていく。一方の雪影はずいぶん楽しそうだ。
「いいでしょう、ではこちらも期待に応えねばなりませんね」
ふふふ、と含みのある笑い方をして、雪影は美鎖の体に手を伸ばした。
美鎖の両腕はリボンで頭上にまとめられてしまった。衣服はとうに剥がされている。
雪影が選んだのは、深紅のベルベットリボンだった。生地がしっかりしていて、簡単には解けたり千切れたりしない。
雪影は美鎖の足首を部屋の柱にくくりつけている最中だ。もう何度も見せた場所とはいえ、縛られて開かされるのは恥ずかしい。
「なんでこんなこと……」
美鎖の呟きに、雪影がぎょっとするようなことを言う。
「美鎖は縛られるのが好きでしょう?」
美鎖は慌てて否定した。
「それは雪影さんの勘違いですよ!」
「そうですか? ここはもう喜んでいるみたいですけど?」
足の付け根はもう蜜をたたえている。いくら愛され、慣らされたせいとはいえ、溶けやすい自分の体が嫌になる。
「食い締め方も全く違うんですよ。気づいてないんですか?」
美鎖は首を振った。
「では後でしっかり教えてあげますね」
雪影はうっとりと呟いた。
「さて、出来ましたよ」
雪影が立ち上がり、満足そうに美鎖の体を見下ろした。
美鎖は恥ずかしさに身をよじる。両手首と両足首に上質な赤いリボンをつけられ、大きく足を広げられる格好でくくられている。白い肌は羞恥でほんのりと薄桃色に染まっていた。まるで美鎖自身が雪影に捧げられるプレゼントになったかのようだ。
「綺麗ですよ、美鎖」
雪影がちろりと舌を出して唇を舐めた。彼が欲情している時の癖だ。
「さぁ、お仕置きを始めましょうか」
雪影の指が伸びてくる。くるぶしをくすぐるようになぞられて、美鎖は体をすくませた。そろり、そろりと、雪影の男の手が這いのぼってくる。脛を優しく包み込んだかと思えば、膝を爪の先でくるくるともてあそぶ。くすぐったさと、それだけではないザワザワした感覚。
「ああ……」
美鎖は切ない吐息を漏らした。
雪影の手が内股に触れる。ぴくぴくとひきつる柔らかい皮膚を堪能し、足の付け根へと移動してくる。
美鎖はぎゅっと目を閉じた。もうそこが充分すぎるほど潤っているのは自覚している。
だが、あとちょっとというところで、雪影の手は腹部へと移っていった。
「あ……」
思わず恨みがましい声をあげてしまう。
見上げると、雪影の優しく、とろけるような笑顔がこちらを見つめていた。
「どうしたんですか、美鎖?」
意地悪だ。反射的に膝を擦り合わせようとするが、足首のリボンがピンと突っ張っただけだった。雪影の嬲りに、美鎖はただ耐えるしかない。
ヘソをくすぐった後、雪影の指は胸の膨らみへと至る。輪郭をゆっくりなぞって、徐々に中心部へと近づいてくる。
乳輪の縁をたどりながら、雪影が密やかに笑った。
「もう固くなってますよ?」
頂点の粒は、痛いほど張りつめていた。ぷっくりと立ち上がって存在を主張している。
美鎖は縛られた手を握りしめて顔をそむけた。
雪影が人差し指で、ちょん、と粒をつつく。
「ん……」
そのままゆったりとした動きで、小さな円を描く。
「う、う……」
たった指一本に、美鎖の体は支配されてしまう。全ての神経が胸の突起へと集中し、体中に伝わっていく。
疼く。もっと。もっと欲しい。
「あ、あっ」
美鎖は涙目で雪影に救いを求めた。
雪影は余裕のある表情で薄く微笑み、覆い被さってくる。銀の髪が流れて、美鎖の肌を刺激する。赤い舌が見えた。
「くぅっ!」
胸の先端に吸い付かれ、美鎖は不自由な体を突っ張らせた。
転がされる。舌先でぐりぐりと押し潰されたかと思えば、なだめるように優しく吸われる。
片方を指に、もう片方を唇に捕らえられ、美鎖の中を電流が暴れまわった。放っておかれたままの秘所がズキズキと脈打つ。
「雪影さっ……もっ、もう!」
美鎖は切なく訴える。
「おや、もう我慢できないんですか? 美鎖はいつからそんなに淫乱になったんですかねぇ」
雪影は意地悪く、けれど楽しそうに笑う。
「は、早く……!」
「早く? 何を?」
雪影が白々しくとぼける。
「どうして欲しいんですか、美鎖?」
「うぅ……!」
美鎖は唇を噛む。
雪影は小首を傾げて待っている。白状するまで何もする気はないらしい。
「さぁ、言ってご覧なさい」
雪影の指が、美鎖のわななく唇をゆっくりとなぞった。その笑顔は、母親が優しく幼子をなだめるのに似ていた。
美鎖は小さく口を開く。
「下……にも、触っ、て……?」
「下ってどこですかねぇ?」
「……え?」
美鎖は裏切られたように目を見開いた。わかっているくせに。黙りこむ美鎖に、雪影はうっとりと囁いた。
「この前、教えてあげたでしょう? あなたの体に触れながら、ひとつひとつ、その名前を」
思い出しただけで顔が熱くなる。あの時の雪影は、自分の言葉を美鎖がきちんと繰り返すまで許してくれなかった。散々嬲られて、息も絶え絶えになったのを覚えている。
「はぁっ」
美鎖は一度だけ深く息を吐いた。泣きそうになりながら呟く。
「――――を、触って、ください……」
言った後で顔を隠したくても、手はリボンで結ばれている。できる限りそっぽを向こうとして、美鎖は首をひねった。
「もっと色っぽくおねだりして欲しかったんですけど、まぁいいでしょう」
雪影はすぐに腕を伸ばしてきた。
「ああっ!」
待ち焦がれた感触に、美鎖は呻き声をあげる。ぐずぐずにとろけきった場所を、雪影のしなやかな指が優雅に動き回る。
「ひっ! あっ! ふぁっ!」
花弁のあわい、ひっそりと息づく花芯に触れられた瞬間、美鎖の顎が跳ね上がった。ずくん、ずくん、と刺激が脳天にまで直撃する。
もう片方の手が姫穴に伸びてくる。
「だめ……!」
両手で責められたら、すぐ追い詰められてしまう。
「ああっ!」
長い指が分け入ってきた。熟れた内部をかきだし、なだめ、更に追いたてていく。
真珠を転がされ、内側はぐちゃぐちゃにかき回される。いいようにされて、美鎖は畳の上でのたうった。深紅のリボンが手足に食い込むのにも気づかない。
「あっ! きちゃうぅう!」
ものすごい速さで光が点滅する。星が降ってくる。暴力的なまでの快楽に、美鎖は全てを委ねた。
やがて。
うっすらと瞼を開く。視界が徐々にはっきりしてくる。
気づくと、雪影が足のリボンをほどき、美鎖の膝を抱えあげているところだった。入り口に押し当てられる灼熱の塊。
待って、という言葉は間に合わなかった。いつも微笑んでいる雪影が、その目に獰猛な雄の衝動を宿している。
「あああああっ!」
杭を打たれる。魂ごと貫かれるみたいに。
「美鎖……」
雪影に求められ、深く口づけする。その合間にも、鼻から艶かしい声が漏れていった。
「んっ! ふぅんっ!」
酸素がなくなる。頭がクラクラする。
上からも、下からも、雪影に犯されている。
「はぁっ」
雪影が唇を離した。熱を帯びた目が美鎖に突き刺さる。
いつの間にか彼の表情から余裕が無くなっていた。こんなにも大人びた人が、必死で自分を求めているという事実。
そんなに泣きそうな顔をしないで。
私はここにいるから。
ぼんやりと胸の内で呟きながら、美鎖は意識を手放した。
0
お気に入りに追加
1,078
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
4人の王子に囲まれて
*YUA*
恋愛
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生の結衣は、母の再婚がきっかけとなり4人の義兄ができる。
4人の兄たちは結衣が気に食わず意地悪ばかりし、追い出そうとするが、段々と結衣の魅力に惹かれていって……
4人のイケメン義兄と1人の妹の共同生活を描いたストーリー!
鈴木結衣(Yui Suzuki)
高1 156cm 39kg
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生。
母の再婚によって4人の義兄ができる。
矢神 琉生(Ryusei yagami)
26歳 178cm
結衣の義兄の長男。
面倒見がよく優しい。
近くのクリニックの先生をしている。
矢神 秀(Shu yagami)
24歳 172cm
結衣の義兄の次男。
優しくて結衣の1番の頼れるお義兄さん。
結衣と大雅が通うS高の数学教師。
矢神 瑛斗(Eito yagami)
22歳 177cm
結衣の義兄の三男。
優しいけどちょっぴりSな一面も!?
今大人気若手俳優のエイトの顔を持つ。
矢神 大雅(Taiga yagami)
高3 182cm
結衣の義兄の四男。
学校からも目をつけられているヤンキー。
結衣と同じ高校に通うモテモテの先輩でもある。
*注 医療の知識等はございません。
ご了承くださいませ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる