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本編

初夜4

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「美鎖、起きてー?」

 穂波はくりくりした目の、童顔の少年だった。仕草もどこか子どもっぽい。雪影と暗夜が落ち着いているので、余計にそう見えるのかも知れない。

 美鎖はまだ荒い息を吐いていた。足を閉じる気力もない。
 穂波の手が、無遠慮に伸びてくる。いきなり姫穴に指を二本突っ込まれて、美鎖は悲鳴をあげた。

「ひいぁ!」

「うわ、ぐちゃぐちゃで、ホント気持ち良さそう」

「おまえ、えげつないことすんなよ」

 暗夜の言葉に、穂波は無邪気に首を傾げる。

「んー? でも美鎖は喜んでるみたいだよ?」

 達したばかりの体はまだ熱を持っている。快楽の火種がおさまる暇も与えられず、美鎖は絶頂に近い場所で追い上げられ続ける。

「やっ、もぉゆるしっ、ひぃんっ!」

 剥き出しの神経を刺激されて、膝がガクガクと震える。

「これ、気持ちいー?」

 穂波がニコニコと顔を覗きこんでくる。無邪気さゆえの残酷さ。

「ダメっ! だめぇっ!」

 冷静な雪影とも、気遣うような暗夜とも違う。純粋な好奇心で、穂波は自由に指を動かす。

「あ、これ良いかも。ほら、美鎖の中、きゅってした」

「ううううう……」

 ぐちゃぐちゃと大事な場所を掻き回される。せっかく落ち着いていた痛みがぶり返してきて、美鎖は涙をこぼした。
 穂波が慌てて指を抜く。

「ご、ごめん! イヤだった?」

 泣き始めた美鎖に、穂波がおろおろする。

「お願いだから泣かないで」

 頭を撫でられる。困ったような顔をした穂波は、女の美鎖でも可愛いと思う。

「ごめん、今度は優しくするから。ね?」

 必死な言い方に、美鎖は思わず頷いていた。
 穂波はホッとしたように微笑んだ。

「でも僕、美鎖のいいところよくわからないからなぁ。どこが気持ちいいか、ちゃんと言ってね」

 穂波の手が美鎖の頬を撫で、首を滑って鎖骨を撫でる。

「すごい、すべすべだね」

 ぎゅう、と胸をつかまれた。

「柔らかい」

 その感触が気に入ったのか、穂波は楽しそうに手を動かす。乳房がぐにぐにと形を変え、たぷたぷと揺れる。

「へーえ、見て見て」

 穂波は目を輝かせて、ぐいっと胸の膨らみを持ち上げた。

「そ、そんなに、引っ張らないでください……」

 消え入りそうな声で美鎖が懇願する。 

「痛い?」

「痛くはないですけど……」

「あんまり気持ち良くないか。んー、じゃあこれは?」

 乳首を両方つねられる。

「あっ!」

 びくん、と美鎖の体が反応する。

「もっ、もう少し、優し、く……」

「ごめんごめん」

 穂波は手を離し、パクリと乳首をくわえた。

「ふっあ……」

 ねっとりと舐めあげられると先端がジンジンする。

「これは気持ちいいんだ?」

 穂波はニッコリ笑って、同じ場所をしつこく舐め回した。

「ああん……」

 乳首が充血しすぎて甘く痛む。びくん、びくん、と体が震える。
 もう片方の胸に穂波の手が絡みつく。今度の触れ方は優しい。頂点のしこりをそっと撫でられて腰が跳ねた。両方の胸を同時に責められるとたまらない。

「あっ、ひゃあんっ! あっあっあっ! ダメぇっ!」

「ダメ? なんでダメ? 痛い?」

 感じすぎるからなんて言える訳がない。涙目で唇を噛み締める。

「気持ち良さそうだけどなぁ」

 穂波が手を離す。美鎖はホッとしたような寂しいような複雑な気持ちになった。

「美鎖の体、美味しい……」

 穂波は胸から口を離すと、体を下にずらしていく。ちゅ、ちゅ、と腹部にキスをし、舌を出してベロリと舐める。
 やがて美鎖の濡れた花弁にたどり着いた。

「ねえ……ここ、入れていい?」

 ヒクつく割れ目に穂波の吐息がかかる。そんなところでしゃべらないで欲しい。

「美鎖、いいって言って?」

 穂波の舌が伸びてくる。

「くぅんっ!」

 尖らせた舌が上下に動く。そうやって、花弁に隠された秘穴を暴き出す。
 ぬるり、と、舌が中へと入り込んでくる。

「美鎖のここ、すごいよ。奥に吸い込んでくる」

「だ、めぇ……!」

「うーん、美鎖のダメはなんか信用出来ないなぁ。だってこんなにどろどろなのに」

 指が奥まで突き立てられると、肉壁は歓喜に震えて飲み込んだ。

「ふふ、やっぱりね。こっちの口の方が正直だ」

 先程泣かれたことを反省したのか、穂波は指を入れたまま動かさない。
 かわりに舌が肉芽を刺激する。

「あっ、あっ、あぁん、ひぁっ!」

 グリグリといたぶられて、美鎖は布団に爪を立てる。

「すごい締め付け……。ねぇ、気持ちいいって言ってよ」

 美鎖は頑なに首を振る。

「まぁいいや。僕、もう我慢出来ないし。次は教えてね」

 穂波は指を引き抜くと、自身の雄をあてがった。

「ひっ……ああ――っ!」

 三度目の挿入に、体はすぐ順応してしまう。

「はぁっ、美鎖、すごいよ……」

 感嘆の溜め息を吐いた後、穂波は即座に動き始めた。

「あっ! あぁっ! ひゃあんっ!」

 いきなりの激しい突き上げに、美鎖の体がガクガクと揺れる。

「ねぇ、わかる? 美鎖の中、僕がいるの」

「ひっ――!」

 荒い息を吐きながら、穂波が話しかけてくる。美鎖にはそれに答える余裕などない。
 体の内側が泡立つような感覚。男の欲望がザクザクと突き刺さり、ぐちゃぐちゃにかき乱される。
 自分の中で好き放題に暴れるものを、なぜか愛おしいと思ってしまう。未開発だった体は、立て続けに与えられる快感に、強制的に目覚めさせられる。

「ひあ、あああっ! あああああ!」

「美鎖、好き。大好きっ……」

 穂波が切羽詰まった声で呟く。
 そして、爆ぜた。

 どこか遠くで穂波のうめき声が聞こえた。体の内側で脈打つものを感じる。

 美鎖は目を見開いたまま涙をこぼした。
 こびりついた性の匂い。それも三人分も。
 どうしてそれを嫌だと思わないのだろう。おかしいはずだ。三人の男と結婚するなんて欲張りにも程がある。それなのに、拒絶する気持ちが全く浮かんでこない。自分はおかしいのだろうか。

 確かなことはひとつ。
 この多幸感を知ってしまったら、もう元には戻れない、ということだった。
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