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第16話 セリとドーラ
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「私は入り口で見張っている」
エドアルドの配慮に感謝し、サキナとセリは部屋に入った。豪華なソファに腰をおろす。
「立ってるだけで疲れるわー」
やれ、やれ、やっと座れた。
「サキナ凄いね。いいな」
「え?あんなヤツの子供いる?お祖父様に言って迎えに来てもらわない?」
サキナの言葉にセリは首を振った。
「いいよ。そしたら次は違う人のところに行くだけだし……。それに……」
「うん?」
「できない僕が悪いんだし……」
「何言ってんの!悪いわけないでしょ?」
ラース大公の星と言われた美しい瞳に元気がない。あんな拘束男と長い事いればこうなるわな。
「ドーラ様には側室は?」
「アザ花種ではないけど、何人かは……」
「そっかー、じゃあ原因はわからないわね」
他にもアザ花種がいてそちらにも子供がいないのなら、ドーラが原因だろうが。
「あのね、サキナ。ドーラ様はああ見えて、僕を大事にしてくれているから、大丈夫だよ」
「セリーー」
鎖でつながれているのが大事にすることだと?
あっ、大学のときそんな痛いカップルいたわー。トイレも男女兼用使ってて先生に怒られて、超黒歴史だったわーー、ええあたしよ。何考えてあんなことしてたのかしら?
「サキナは身体を大事にして」
セリは立ち上がった。
「えっ?もう?」
引き止めるサキナに首を振ってセリは部屋を出て行く。
「セリーー」
「はっ、はっ、はっ!」
エドアルドの荒い息を聞きながらサキナは考えていた。四つん這い中は顔を見られないので、素でも問題はない。最初よりは動きがいい。これもサキナの指導の賜物だろう。
「いいか?」
「(前より)いいですよ」
「もっと欲しいか?」
「(なんで男ってそれ言うんだろ?)いやん!」
いらないわよ。
フィニッシュは早いがしつこい旦那に何度も相手をさせられ、サキナは溜め息をつく思いだ。テレゼは空気を読んで寝ているし。泣いてくれればここから逃げ出せるのにーー。
「何でセリは逃げないのかしら」
「逃げられないのだろう?」
エドアルドが、何を当たり前のことを、という目でサキナを見た。
「そうかしら。マキラに手紙を書けるぐらいだし、逃げようと思えば何とかなりそうだけど……」
「おまえの弟が嘘を言っていた可能性もある」
言われてサキナはハッとなる。
そうだ、その考えがなぜ浮かばなかったのかーー。マキラがセリの現状をでっちあげ、ラース大公領の皆に伝えれば、それが本当になってしまう場合だってある。手紙が来ないのだから訂正のしようがないし、セリは何を言われているのかなんて知らないのだから。
「旦那様、意外に賢いんですね」
「だてに連戦連勝ではない」
エドアルドは偉そうに肩を張った。
そうね。初夜に愛人を取ったのと、早漏じゃなかったら、あたしも恋しちゃってたわねー。
サキナはエドアルドを連続でイカして再起不能にし、テレゼの世話を頼んで部屋を出た。
「セリの部屋は……」
従兄弟の部屋へと急ぐ。
意外な事に衛兵にドーラの部屋を尋ねると、すんなりと案内してくれた。
「ありがとう」
サキナが礼を言うと、衛兵は赤くなった。
「入ります」
ノックして部屋に入る。寝室は奥だろう。何やら男の激しい声が聞こえる。
「セリ!入るわよ!」
エドアルドの配慮に感謝し、サキナとセリは部屋に入った。豪華なソファに腰をおろす。
「立ってるだけで疲れるわー」
やれ、やれ、やっと座れた。
「サキナ凄いね。いいな」
「え?あんなヤツの子供いる?お祖父様に言って迎えに来てもらわない?」
サキナの言葉にセリは首を振った。
「いいよ。そしたら次は違う人のところに行くだけだし……。それに……」
「うん?」
「できない僕が悪いんだし……」
「何言ってんの!悪いわけないでしょ?」
ラース大公の星と言われた美しい瞳に元気がない。あんな拘束男と長い事いればこうなるわな。
「ドーラ様には側室は?」
「アザ花種ではないけど、何人かは……」
「そっかー、じゃあ原因はわからないわね」
他にもアザ花種がいてそちらにも子供がいないのなら、ドーラが原因だろうが。
「あのね、サキナ。ドーラ様はああ見えて、僕を大事にしてくれているから、大丈夫だよ」
「セリーー」
鎖でつながれているのが大事にすることだと?
あっ、大学のときそんな痛いカップルいたわー。トイレも男女兼用使ってて先生に怒られて、超黒歴史だったわーー、ええあたしよ。何考えてあんなことしてたのかしら?
「サキナは身体を大事にして」
セリは立ち上がった。
「えっ?もう?」
引き止めるサキナに首を振ってセリは部屋を出て行く。
「セリーー」
「はっ、はっ、はっ!」
エドアルドの荒い息を聞きながらサキナは考えていた。四つん這い中は顔を見られないので、素でも問題はない。最初よりは動きがいい。これもサキナの指導の賜物だろう。
「いいか?」
「(前より)いいですよ」
「もっと欲しいか?」
「(なんで男ってそれ言うんだろ?)いやん!」
いらないわよ。
フィニッシュは早いがしつこい旦那に何度も相手をさせられ、サキナは溜め息をつく思いだ。テレゼは空気を読んで寝ているし。泣いてくれればここから逃げ出せるのにーー。
「何でセリは逃げないのかしら」
「逃げられないのだろう?」
エドアルドが、何を当たり前のことを、という目でサキナを見た。
「そうかしら。マキラに手紙を書けるぐらいだし、逃げようと思えば何とかなりそうだけど……」
「おまえの弟が嘘を言っていた可能性もある」
言われてサキナはハッとなる。
そうだ、その考えがなぜ浮かばなかったのかーー。マキラがセリの現状をでっちあげ、ラース大公領の皆に伝えれば、それが本当になってしまう場合だってある。手紙が来ないのだから訂正のしようがないし、セリは何を言われているのかなんて知らないのだから。
「旦那様、意外に賢いんですね」
「だてに連戦連勝ではない」
エドアルドは偉そうに肩を張った。
そうね。初夜に愛人を取ったのと、早漏じゃなかったら、あたしも恋しちゃってたわねー。
サキナはエドアルドを連続でイカして再起不能にし、テレゼの世話を頼んで部屋を出た。
「セリの部屋は……」
従兄弟の部屋へと急ぐ。
意外な事に衛兵にドーラの部屋を尋ねると、すんなりと案内してくれた。
「ありがとう」
サキナが礼を言うと、衛兵は赤くなった。
「入ります」
ノックして部屋に入る。寝室は奥だろう。何やら男の激しい声が聞こえる。
「セリ!入るわよ!」
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