アレが欲しいだけですの。 ー愛人から旦那様を寝取る目的はひとつですー

濃子

文字の大きさ
上 下
16 / 19

第16話 セリとドーラ

しおりを挟む
「私は入り口で見張っている」
 エドアルドの配慮に感謝し、サキナとセリは部屋に入った。豪華なソファに腰をおろす。
「立ってるだけで疲れるわー」
 やれ、やれ、やっと座れた。
「サキナ凄いね。いいな」
「え?あんなヤツの子供いる?お祖父様に言って迎えに来てもらわない?」
 サキナの言葉にセリは首を振った。
「いいよ。そしたら次は違う人のところに行くだけだし……。それに……」
「うん?」
「できない僕が悪いんだし……」
「何言ってんの!悪いわけないでしょ?」
 ラース大公の星と言われた美しい瞳に元気がない。あんな拘束男と長い事いればこうなるわな。
「ドーラ様には側室は?」
「アザ花種ではないけど、何人かは……」
「そっかー、じゃあ原因はわからないわね」
 他にもアザ花種がいてそちらにも子供がいないのなら、ドーラが原因だろうが。
「あのね、サキナ。ドーラ様はああ見えて、僕を大事にしてくれているから、大丈夫だよ」
「セリーー」
 鎖でつながれているのが大事にすることだと?

 あっ、大学のときそんな痛いカップルいたわー。トイレも男女兼用使ってて先生に怒られて、超黒歴史だったわーー、ええあたしよ。何考えてあんなことしてたのかしら?


「サキナは身体を大事にして」
 セリは立ち上がった。
「えっ?もう?」
 引き止めるサキナに首を振ってセリは部屋を出て行く。
「セリーー」
 







「はっ、はっ、はっ!」
 エドアルドの荒い息を聞きながらサキナは考えていた。四つん這い中は顔を見られないので、素でも問題はない。最初よりは動きがいい。これもサキナの指導の賜物だろう。
「いいか?」
「(前より)いいですよ」
「もっと欲しいか?」
「(なんで男ってそれ言うんだろ?)いやん!」
  いらないわよ。


 フィニッシュは早いがしつこい旦那に何度も相手をさせられ、サキナは溜め息をつく思いだ。テレゼは空気を読んで寝ているし。泣いてくれればここから逃げ出せるのにーー。


「何でセリは逃げないのかしら」
「逃げられないのだろう?」
 エドアルドが、何を当たり前のことを、という目でサキナを見た。
「そうかしら。マキラに手紙を書けるぐらいだし、逃げようと思えば何とかなりそうだけど……」
「おまえの弟が嘘を言っていた可能性もある」
 言われてサキナはハッとなる。
 そうだ、その考えがなぜ浮かばなかったのかーー。マキラがセリの現状をでっちあげ、ラース大公領の皆に伝えれば、それが本当になってしまう場合だってある。手紙が来ないのだから訂正のしようがないし、セリは何を言われているのかなんて知らないのだから。
「旦那様、意外に賢いんですね」
「だてに連戦連勝ではない」
 エドアルドは偉そうに肩を張った。

 
 そうね。初夜に愛人を取ったのと、早漏じゃなかったら、あたしも恋しちゃってたわねー。



 サキナはエドアルドを連続でイカして再起不能にし、テレゼの世話を頼んで部屋を出た。
「セリの部屋は……」
 従兄弟の部屋へと急ぐ。


 意外な事に衛兵にドーラの部屋を尋ねると、すんなりと案内してくれた。
「ありがとう」
 サキナが礼を言うと、衛兵は赤くなった。
「入ります」
 ノックして部屋に入る。寝室は奥だろう。何やら男の激しい声が聞こえる。
「セリ!入るわよ!」
 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

フェンリルさんちの末っ子は人間でした ~神獣に転生した少年の雪原を駆ける狼スローライフ~

空色蜻蛉
ファンタジー
真白山脈に棲むフェンリル三兄弟、末っ子ゼフィリアは元人間である。 どうでもいいことで山が消し飛ぶ大喧嘩を始める兄二匹を「兄たん大好き!」幼児メロメロ作戦で仲裁したり、たまに襲撃してくる神獣ハンターは、人間時代につちかった得意の剣舞で撃退したり。 そう、最強は末っ子ゼフィなのであった。知らないのは本狼ばかりなり。 ブラコンの兄に溺愛され、自由気ままに雪原を駆ける日々を過ごす中、ゼフィは人間時代に負った心の傷を少しずつ癒していく。 スノードームを覗きこむような輝く氷雪の物語をお届けします。 ※今回はバトル成分やシリアスは少なめ。ほのぼの明るい話で、主人公がひたすら可愛いです!

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

処理中です...